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2004-8-2-(Mon)のネタ



某コラムに対抗してみるテスト

普通の人々の生活にきわめて重大な影響を与える事柄を議論することを、プロに任せないことこそ大事だと私は思う。いまこそ、わたしたちの未来を“専門家(エキスパート)”の手から奪い返すときだ。みんなの問題を、普通の言葉で問いかけ、普通の言葉で応えてくれるよう求めるときだ。 - Arundhti Roy

…そうである。
私は専門家ではないから(かといって普通の人と言えば石が飛んでくるんだろうけれど)、当然の事ながら上記の言葉を肯定している。専門家の中には、こ難しい用語や、一定の知識を前提とした言葉遣いによって自身を専門家たらしめようとするあまり、普通の人に呪文を投げかける呪師のように見られている方もおられるように思う(もちろん、こういった人はどの専門分野にも存在する)。

こういった方が権威を持ち過ぎれば、当然の事ながら専門家と市井の人との間に生じる壁や溝がどんどん成長していくという事は自明である。一例としては法曹関係者をあげておけば十分であろう。

その一方で、啓蒙書と呼ばれるジャンルが存在する事からも分かるとおり、溝を埋めたり壁を低くしようとする動きも存在する。問題は、そういった動きをおこす人自体が専門家の縛りに絡め取られ、結局専門用語を使わざるを得なくなり、啓蒙書が専門書然となってしまうという結末をたどってしまうことだ。これの例は、遺伝子学あたりをポイントしておこう。

ただ、それはある程度はしょうがない事である。専門用語とは、しょせん「一般用語で説明しづらい」からこそうまれる用語であり、かつ、その用語は、「専門家にとっては日常用語」となっているからである。また、外来語に由来する言葉であればさらに壁がひとつ増える事になる。サーバーという言葉を連想してみればわかりやすいだろう。

しかし、それでも「奪い返す」ためには、なんらかの歩み寄りが必要である。ひとつには、やはり専門家が平易な言葉で事象を説明する必要があろう。それとともに、普通の人が、その専門分野における専門用語のいくつかを一般用語にまで落とし込むといった作業も必要となろう。

専門家が平易な言葉で説明できるかどうかは、ひとえにその専門家の良心にかかっている。権威として君臨することを目的とした言葉選びを行っている人にそういった行為はできまい。一方、普通の人が一般用語まで落とし込む事は、その人の努力そのものと、周囲にいる専門家のサポートがあってこそ成り立つ。右も左も分からず専門書で理解するのは単なる苦行である。

やはり、中間に位置する人物がより多くあらわれる事が必要なのだろう。専門家が出す成果を、普通の人に伝え、使ってもらうための情報の流れを制御できるのは、両者の立場を理解できる中間人物ということになるのだろう。

とはいえ、ここが最大の問題でもある。なにせ、専門用語を排除しようとすると単に長ったらしくなるだけであるから、専門用語に近い一般用語で代用する、という手段も取らざるを得ない場合があるわけだが、そういった行為を「専門家は嫌う」のだ。そしてその専門家は「彼のいうことは間違っている」と突っ込みを入れ、結果、情報の流通は疎外されてしまうのである。また、一般の言葉で説明すると「重みがない」と敬遠される事も多い。よくわからないけど専門家の方が正しい、というわけだ。よくありがちなパターンではないか。

この「最大の問題」については私は答えを持っていない。ひとつの解としては、「平易な文章」+「詳細かつ正確な脚注」というのが現状のベストかな、と思っていたりする。専門家が納得する正確な情報を脚注で伝えつつ、平易な文章で一般の人にも分かるように説明する事で、両者の溝は埋められるのではないか、と妄想してみているのだが、どうだろうか?

まぁどちらにせよ、より多くの人が真実を知る事は単純に良い事だと思う。
ただ、専門分野は細分化されているため、網羅しようとしても無理なのだから、必要に応じて専門を平易に解説できる人を知っておく、という事が一番重要なのではないかと思っている。教科書で一番大事なのが目次と索引であるように。

PS 法曹関係者といっても千差万別である事を最近の勉強会で実感した。
あぁいった方ばかりならば法曹界もとっつきやすくなるだろうになぁ、と思う。



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