デンソー戦 観戦記

体調が……優れない。疲労が残る体を引きずって、なんとか競技場までは来たものの……
肝心の試合の記憶があまりない。しかもこの日の気温の低さも相俟って、結局風邪をひいてしまった。

YOKOHAMA FULIE RADIO
メインスタンドの前に設けられたテント。天幕が透明になっているとはいえ、高すぎて観戦の邪魔。
春畑道哉(TUBE)など、DJの選曲は悪くなかったと思うけど。
演劇集団キャラメルボックスの公演「俺たちは志士じゃない」で使用された曲とか──

オペル贈呈式
シルバーのボディーにオレンジのライン? センス悪ぅ……

教育長挨拶
愛川町、綾瀬市、海老名市と首長が足を運んでくれたのに、結局横浜市の市長は来ないんだ。
まぁ、祝電を送ってきただけでも大した進歩だとは思うけど。
ともかく、横浜市教育長太田昇氏による挨拶とPKセレモニー。
今まで登場した中では、シュートのスピードもコントロールも一番よかったです。

横浜FCの布陣
GKは大石。最終ラインは右から幸田、真中、一平、公文。
中盤はボランチが高田と後藤、右に増田、左に小野。前線は有馬とパベル。

デンソーの布陣
GKは長縄。最終ラインは右から長谷、百武、西村、井口。
中盤はボランチが由井と堀、右に小池、左に徳重。前線は小林と高山。

10分
小野が左サイドから大きくサイドを変えて、増田が右サイドからゴール前にクロスを上げる。
長縄がジャンプして両手で押さえたかに見えたが、有馬がヘディングで競ってボールがこぼれる。
有馬が倒れ込みながら、落ちてきたボールを右足で押し込んで、横浜FCが先制する。
デンソーの選手たちが主審に詰め寄るが、もちろん判定は覆らない。
オーロラビジョンに映されたリプレイを見ればわかるが、あれはキーパーチャージではない。
有馬の頭はボールを捕らえているが、それ以外の部分は長縄の体には一切触れていない。
長縄が空中でバランスを崩して、ボールを手放したと見るべきだろう。
#正確にはルールが改正されて、ゴールエリア内でゴールキーパーが保護されることはなくなったので、
#キーパーチャージという反則は存在しないのだが、言葉そのものは現在も使われているので……

14分
パベルが右足で強烈なミドルシュートを放つが、右のポストに弾かれる。

22分
中央やや左から堀がドリブルで持ち込んで、上がってきた高山にパスを通す。
高山はそのまま縦に突破して、左足で大石の左脇を抜いて、あっさり同点に追いつく。
すべてペナルティエリア内でのプレー。というか、ペナルティエリアで許すか、普通?
センターラインの不安(詳しくは後述)が早くも的中してしまった。

29分
徳重が左サイドで幸田からボールを奪い、中へ切れ込んで大石と1対1になる。
シュート体勢に入ったところで、真中が戻ってなんとかエンドラインに蹴り出す。

32分
増田の右サイドからのクロスに、遠いサイドの小野がヘディングで合わせるが、ゴールの左に外れる。

34分
ゴール前から戻ってきたボールを、徳重が胸でトラップして左足でボレーシュートを放つが、右に外れる。

36分
小野の左CK。一平や長縄の頭上を越えて、遠いサイドの有馬が左足でボレーシュート。
枠に向かったボールを、ゴール手前で徳重が腕を上げて阻止し、主審の笛が吹かれる。
副審に確認した上で、主審は徳重にレッドカードを出した。もちろん判定はPK。
徳重隆明、退場。
瞬間、手が出てしまうのは責められないとして、長縄がちょっとボールにつられたかな。

39分
小野のPK。長縄の動きをよく見て、ゴール左隅に蹴り込んで突き放す。

ロスタイム
大石がペナルティエリアぎりぎりまで出てきて、クロスボールをジャンピングキャッチ……したはずが、着地時にこぼして相手に奪われたので、前を向かせないようにして、ペナルティエリアの外で倒す。

もちろん大石にはイエローカード(前を向かれていたら、たぶんレッド)が出される。
奪われてからの対処は的確だったが、それにしても下らないところでカードをもらう。

前半の感想
国士舘大学戦と同様、コロッケ(小池)のいるデンソーサイドに立って観戦していたので……
センターラインに並んだのは── 真中、一平、後藤、高田、パベル。
機動力に欠けるわ、高田とパベルはチーム事情からポジションを移っているわで、正直不安。
しかもあっさり的中するし。

45分
選手交代:公文裕明→松田正俊
4−4−2から3−5−2へ、大きく布陣が変更された。
GKは大石。最終ラインはスイーパーに真中、ストッパーは右に幸田、左に一平。
中盤はボランチが高田と後藤。ウイングハーフが右に増田、左に小野。中央には一列下がって有馬。
前線はパベルと松田。

サイドに大きく開いた増田と小野の位置は、明らかに守備を無視しているとわかるほど高い。
ダブルボランチのはるか前、トップ下の有馬とほぼ同列というあたり。

47分
選手交代:百武義成→飯塚正道
百武は有馬との接触による負傷交代。

56分
ペナルティエリア内で松田が相手選手を引っ張って倒し、デンソーにPKが与えられる。
前後関係不明。右サイドからクロスが入ったのは記憶しているが……

56分
高山がPKをゴール左隅に蹴り込んで、謎なうちに同点に追いつかれる。

58分
右サイドから増田がクロスを上げて、松田がヘッドで左サイドの小野の足下に落とす。
小野のクロスに、近いサイドに有馬が走り込んでヘッドで合わせるが、長縄に防がれる。
こぼれ球を松田が押し込むが、判定はオフサイド。
正確には小野がクロスを上げたときの、有馬の位置がオフサイド。
松田はフリーだったので、戻すのではなく思い切ってシュートしてみてもよかったのでは。

62分
増田が右サイドから上げたクロスに、松田がディフェンスの上からヘディングシュートを叩きつけるが、長縄が正面でしっかり押さえる。

67分 選手交代:高橋秀樹→犬飼 力

73分
小野が左サイドからクロスを入れ、ゴール前の混戦から有馬が右足でシュート。
ディフェンスの足に当たって裏にこぼれ、すかさず詰めた松田が右足で豪快に蹴り込む。
ボールがこぼれたのは、ディフェンスにとっては背後、しかも長縄は飛び出せないという絶好の位置。
松田の反応も素早いもので、ゴールを嗅ぎつけるストライカーとしての能力の確かさが窺えた。

79分
自陣でコロッケがパスをカットし、すかさず前方のスペースにスルーパスを通す。
パスを受けた西村が無人の右サイドをドリブル突破し、左サイドからは堀が上がる。
西村の折り返しをゴール前で堀が合わせるが、ゴール左に大きく外れる。
コロッケがパスを通した時点で、横浜FCディフェンスはピッチ中央をおたおたと戻っている最中。
もちろん間に合うはずもなく、デンソーにとっては同点に追いつく絶好機だったのに……
つまらないシュートミスをしたものである。

82分
スルーパスを予測して、幸田はオフサイドトラップを仕掛けたが、真中はその場で手を挙げただけ。
「真中……まったく感じてないよ」

「あ、一平が上がってたからか……(笑)」
一平がいたら、オフサイドトラップは無理だと思っているらしい(失礼な奴である)。

84分
犬飼がペナルティエリア内左サイドから、高田を振り切ってシュートを放つが、ゴール右に外れる。

85分
選手交代:有馬賢二→橋本研一
橋本はとにかくアクションが大きい。囮としては最適かもしれないけど……

87分
選手交代:パベル→根子達也
根子を最終ラインに入れて、布陣を4バックに戻した。
だからぁ……リティは根子のどこが左サイドバックに向いていると思っているんだろう。

ロスタイム
右サイドから上げた橋本のアーリークロスが、西村の頭上を越えて遠いサイドの松田へ達する。
松田が右足でシュートを放つが、長縄が飛び込んで正面でブロックする。

後半の感想
デンソー、これで本当にひとり少ないの? 互角以上の戦いしてるじゃん。
79分のシュートミスさえなければ、間違いなくデンソー戦は三連続で延長戦になってただろうね。
3−5−2への布陣変更で、クロスは左からは小野が、右からは増田が上げたとすぐわかるので、デンソーにしてみれば次の手が容易に読める(メモを取るのは楽だけどね)。
終盤、また増田と小野のポジションが入れ替わっていたけど……

優勝セレモニー
奥寺康彦GM、リトバルスキー監督、後藤義一キャプテン、辻野臣保社長による挨拶。
社長……相変わらず一言多すぎ。この場で本音を吐露する必要もないだろうに。

1999 VICTORY PARADE
「サポーターのみなさん、思い思いの形で喜びを表現してください!」
アナウンスに、すかさず「よ・こ・はま! よ・こ・はま!」で応えるTIFOSI。
君たちに言ってるんじゃないってば(こういうところは相変わらずだなぁ)。

コロッケ
デンソーの小池啓介の愛称。まかり間違ってもキテレツ大百科の"コロ助"ではない。
……というかさぁ、身長160cm・体重50kgって絶対にサッカー選手の体格じゃないよね。
筋肉は脂肪よりも重いことを考えると、数字から想像される以上に小柄。
なにしろスタンドから見た印象が「か……かわいい」なので(誉め言葉にはならないだろうなぁ)。

もちろん桐蔭学園−駒澤大学というエリートコースを歩んできただけあって、テクニックは素晴らしく、また確固たるものがあるからこそ、現在も第一線で活躍できているのだろう。
この試合では一平に向かっていく場面が多く、その対比が面白かった。潰されないようにね……
なお高山英樹は高校、大学の一年後輩。横浜FCの橋本研一も高校の一年後輩である。

デンソー 評
最終ラインと前線が間延びすることなく、コンパクトなサッカーを見せてくれる。
決して飛びぬけた選手がいるわけではないが、戦術を徹底することによってそれを補っている。
JFLという、草サッカーの延長線上に存在しているかのようなリーグにあって、見る者にサッカーというものを思い起こさせてくれる、そんな異質な存在かもしれない。

選手個々の評価
GK大石尚哉  5.5 ………失点は仕方がないとしても、あのイエローカードは頂けなかった。
DF幸田将和  5.5 ………自陣深くでボールを奪われて、要らぬピンチを招いた。
DF真中幹夫  6 ………オフサイドトラップの絶好機に、何も感じていなかった印象しかない。
DF渡辺一平  6 ………ドリブルでハーフウェイラインを越えて、スルーパスを出したのには驚き。
DF公文裕明  6 ………交代は戦術的なものなので仕方がないだろう。足の状態も思わしくないようだし。
MF後藤義一  5.5 ………あまり印象に残っていない。ダブルボランチは機能していたとは言い難い。
MF高田昌明  5.5 ………鋭い読みは最終ラインでこそ発揮される。ボランチはもう無理だろう。
MF増田功作  6 ………右サイドから再三クロスを上げるが、やや単調すぎたきらいがある。
MF小野信義  6.5 ………クロスボールの精度も高く、中盤に不可欠な存在にまで成長した。
FWパベル   5 ………あれ、いたの? 見せ場がミドルシュート一本だけではねぇ。
FW有馬賢二  7 ………全得点に絡む活躍ぶり。彼のような選手は、DFにとっては脅威になる。

FW松田正俊  6 ………ペナルティエリアでの反則と決勝点で相殺かな。彼が帰ると苦しいだろうなぁ。
FW橋本研一  ---
DF根子達也  ---

監督
リトバルスキー 6 ………大胆な布陣変更も見せたが、終盤の選手交代には疑問が残った。

横浜FC
前半デンソー
後半
会場:横浜国際総合競技場/観衆:10026人
得点:1-0 有馬賢二(10分)
   1-1 高山英樹(22分、アシスト=堀 弘和)
   2-1 小野信義(39分、PK)
   2-2 高山英樹(56分、PK)
   3-2 松田正俊(73分)

横浜FCデンソー
GK大石尚哉GK長縄友規
DF幸田将和DF長谷 迅
DF真中幹夫DF西村俊寛
DF渡辺一平DF百武義成
DF公文裕明DF47飯塚正道
FW45松田正俊DF井口博一
MF後藤義一MF由井仁志
MF高田昌明MF堀 弘和
MF増田功作MF徳重隆明
MF小野信義MF小池啓介
FWパベルFW小林達也
DF87根子達也FW高山英樹
FW有馬賢二FW67犬飼 力
FW85橋本研一SUB礒道孝輔
SUB吉田明博SUB寺尾 拓
SUB高尾敬治SUB伊藤智弘

注釈:時間については競技場の電光掲示板の時計を参考にしましたが、1分程度の誤差はあります。

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