大塚戦 観戦記

ひたちなかでの後藤のコメントを知り、国立競技場でナビスコカップ決勝を観戦しようと思った。
半袖隊としては、御本尊と崇める薩川選手の所属する、柏レイソルを応援するのも至極当然のこと。
モチベーションを言い訳にするようなキャプテンが率いるチームに、期待を抱くことはできなかった。
それでも── 大塚というチームを一度は見ておきたい思いから、横浜FCの試合に足を運ぶことにした。
#試合終了直前の渡辺毅の劇的な同点ゴール、そして手に汗握るPK戦での決着。
#柏レイソルの優勝を携帯で知らされ、激しい後悔の念にかられたことはまぎれもない事実である。

さがみ野駅から一時間に一本しかないバスに揺られて、降りたところは綾瀬小学校前。
「どこだここは?」と思いつつ、記憶を頼りに保険医療センターを見つけ、なんとか会場に到着。
ピッチの状態は相変わらず最悪。まぁ一ヶ月程度で改善されるほど、芝は生易しいものではないが。

メインスタンド中央で、せきとりしながら前座試合を眺めていると、懐かしい顔から声をかけられる。
パピィくん──昨年の10月29日、今はなき新横浜の(株)全日空スポーツに、ともに駆けつけた仲である。
横浜FCの財政問題、来季の戦力分析(つまりは誰が必要で、誰が不要かということ)などについて話す。
気心が知れているので、多少過激な内容でも大丈夫……だよね。

前座試合
2nd Stageの愛川で企画されたものの、悪天候のために中止されたOver40サッカー大会。
ソシオOver40の対戦相手は、綾瀬市四十雀(しじゅうから)選抜。
前半途中から観戦したが、随所に経験者を配しているためか、どうして予想以上にレベルが高い。

思わず笑ってしまったのが、テニスコートのフェンスにあった「鈴木@公式サイト」の横断幕。
それなりに動いてはいたようですが、なにせ前線でコンビを組んだのが、後半から出場した辻野社長では……
ちなみにその社長ですが、「足は遅いしうまくはない」という著書の記述通りの実力でした。
それよりも、接触プレーで骨でも折るんじゃないかという心配のほうが……

試合のほうは、綾瀬市四十雀選抜が1−0で勝利。
もっと点差が開いてもおかしくはなかったが、なにせシュートが枠に行かないので……

横浜FCの布陣
GKは大石。最終ラインは右から真中、高田、一平、公文。
中盤はボランチが後藤、右に増田、左に藪田、中央にパベル。前線は有馬と松田。
負傷の癒えた公文が4試合ぶり、パベルも3試合ぶりに先発に名を連ねた。

ジャトコの布陣
GKは監物。最終ラインは中央に小井土、右に藤原、左に野口。ウイングバックが右に笠原、左に古賀。
ボランチが吉成と桑山、中央に横瀬。前線は林と片岡。

4分
増田が右サイドからクロスを上げ、遠いサイドの有馬がヘッドで叩きつけるが、ゴールの左に外れる。

17分
ゴール正面でのパベルのポストプレーから、ペナルティエリアのすぐ外から後藤がミドルシュートを放つ。
真正面に飛んで監物に弾かれるが、右サイドにこぼれたボールを増田がゴール前に折り返す。
有馬がヘディングで合わせるが、力なく監物がしっかり押さえる。

20分
左サイド深くから古賀が折り返し、ゴール前に走り込んだ林が強烈なシュートを放つ。
クロスバーに嫌われ、跳ね返りを一平がエンドラインにクリアする。
ペナルティエリアに走り込む林を、誰もチェックしてないんだもんなぁ……

23分
藪田の左CK。真中がバックヘッドで前方に流し、有馬が右足で合わせる。
右に大きく外れたボールを、パベルが足を出して方向を変えるが、それでも枠には行かず。
しかもオフサイド。

29分
右サイドから入った増田の折り返しが、ディフェンスの足に当たってゴール前に浮く。
松田がヘディングで押し込むが、オフサイドの判定。

34分 選手交代:吉成浩司→福谷祥伯

43分
藪田の左CK。一平(?)のヘッドはゴールの中にいたディフェンスが体でブロックし、クリアする。

前半の感想
ちぐちぐはぐはぐ。
松田が精彩を欠いており、周囲と動きが合っていなかったり、トラップが不安定だったり。
パベルとポジションチェンジする場面も見られたが、あまり効果はなく、有馬の調子も決してよくはない。
ディフェンスは、シュートは許すものの決定機は一度だけで、まずまずの出来なのだが。

関係者たち
田中、稲垣、重田、中村、根子の5人は、最前列の手すりに寄りかかって観戦。
座れや(苦笑)
メイン上段に設置されたテントには、かつて横浜フリューゲルスで活躍した前田治氏の姿も。
現在は横浜F・マリノスジュニアユースでコーチをしているはずだが、顔がふっくら丸くなって……

大塚サポーター
音色といい調子といい、太鼓の叩き方はまるで祭りのよう。
両側に竿のついた旗(のようなもの)を掲げて応援していたのだが、そこに書かれていたのは「惜」の一字。
またこれが絶妙のタイミングで出てくるんだ。
ちなみに裏側には「OK」と書かれていたが、出番はほとんどなかった模様。
「ヴォルティス徳島」コールが残っているのは、まだ夢をあきらめていない証拠か。

45分
選手交代:松田正俊→小野信義
パベルを前線に上げて、小野は中盤の中央に入る。

46分
小野が笠原をかわして左サイドを突破。ペナルティエリアに入り、エンドライン手前から左足で折り返す。
監物が体を倒して伸ばした手の先を抜けて、小井土の体に当たったボールを、藤原とパベルが競る。
エンドラインを割ろうかというこぼれ球を、待ち構えていた小野が再度左足で折り返す。
監物が飛び上がって右手に当てたボールを、パベルが右足ダイレクトで蹴り込んで先制。
体力の有り余っている小野の素晴らしい突破と、藤原に簡単にクリアさせなかったパベルの粘り。
ゴールの中にいたディフェンスが、監物から近すぎて一瞬ボールを見失ったことも、シュートを容易にした。

52分
小野が右サイドからクロスを上げて、近いサイドの有馬がヘディングで流す。
遠いサイドのパベルが右足で合わせるがミートせず、監物が押さえる。

52分
増田が右サイドからクロスを上げて、遠いサイドの有馬が藤原より早く落下点に入ってヘディング。
監物の横っ飛びも及ばず、しっかりコントロールされたボールがゴール右に吸い込まれる。
藤原は戻りながらのプレーだったので、有馬はゴールの左右どちらをも狙うことができた。
ディフェンスの死角に入り込んだ有馬も素晴らしいが、大塚のプレッシャーが落ちてきている感がある。

65分
右サイドから林が大きくサイドチェンジし、抜け出した古賀がゴールへ迫る。
右後方に戻るディフェンスを押さえてシュートを放つが、ゴールの右に外れる。
実質、大石と1対1の場面だったのだが、ちょっとコースを狙いすぎたかな。

72分
右サイドから藪田の左足のFK。有馬の足下に入るが、右足のシュートは大きくふかしてしまう。
「有馬 シュート 枠に蹴ってね♪」(TIFOSI/引越しのサカイの節で)

75分
選手交代:増田功作→高尾啓治
選手交代:福谷祥伯→大場 啓
小野を右サイドに出し、高尾を後藤の右に並べて布陣をダブルボランチに変更。
高尾はセーフティファーストで、無理をせず簡単にボールをさばいていく。

80分
選手交代:パベル→中丸貴之
藪田を前線の右に上げて、中丸は中盤の左に入る。

ロスタイム(92分)
右サイドから藪田がクロスを上げ、遠いサイドの有馬がヘディングで戻す。
小野が右足で合わせるが、強烈なシュートはクロスバーを叩いてしまう。
直後に試合終了のホイッスル。あまりに悔しそうにしていたためか、みんなに慰められる。
でも、決めなきゃ。

後半の感想
決定機も一度あったが、許したシュートはその一本のみ。
大塚の攻めが単調になったこともあるが、守備についてはほとんど不安を抱くことがなかった。
(観戦した)15試合目にして、初めてディフェンスが勝利をもたらした試合だったといえるだろう。
しかしなんで横浜FCのサポーターは、逃げ切るべき場面でさらなる攻撃を要求するのだろうか。

本日の審判
メイン側を担当した副審の中原美智雄を除いては、判定はおおむね公正だったと思うが──
予備審判の佐々木淳一。上下ジャージでは、緊張感のかけらも感じられない。

本日のTIFOSI
バックのテニスコート前に陣取るが、横断幕は持参してこなかったようだ。
大塚と同様、「FUNKYよこはま」と書かれた両側に竿のついた旗(のようなもの)を掲げていたが、タッチラインを割るボールをそれで取りに行ったり、選手の視界に入るように揚げてみたり。
最近は明らかに笑いを意識している様子。路線変更か?
ちなみに新曲も披露。はたして定着するか。

試合終了後の顛末
SKY PerfecTV!のインタビューの書割が組まれるが、総合優勝の表彰があるとかで、あわてて撤収される。
優勝カップが全員にまわされ、リティと阪倉コーチが胴上げされた後、選手たちは競技場を一周する。
ウイニングランの後方にいた小野、そして最後尾にいた大石は、TIFOSIに囲まれて胴上げされる。
気持ちは理解できるが、大石の胴上げは思いっきりピッチの中だぞ。

優勝カップを持った大石が到着し、カップを中心にして全員で記念撮影。
大声でTIIFOSIの「よ・こ・はま! よ・こ・はま!」をコールしながら。
#数打ってるからなぁ、TIFOSIは。印象深いコールもそれなりに多い。
#横浜フリューゲルスのときも、天皇杯で優勝したときやフリエ元町が閉店したときのコールは、
#TIFOSIの「ゲットゴール吉田」だったしなぁ。

撮影の後、SKY PerfecTV!のインタビューが行われ、リティと奥寺GMが登場。
奥寺GMが胴上げされ、インタビューはキャプテンの後藤に。
その最中に、全員が一列になって手をつなぎ、メインに向かって万歳三唱。
音頭はご指名で大将(佐々木)。

ASAから「大塚FC」コールがあり、撤収準備をしていた大塚サポが手を挙げてこれに応える。
同行者を見失ってしまったので、右へ左へと踊るASAを横目に、会場を後にしました。
天皇杯一回戦、横浜FC−新潟大学のチケットを購入して。

大塚 評
すでに今季の負け越しも決定しており、JFL中位に留まっているのもうなずける出来。
プロ化の断念で主力選手が抜けた影響は大きいようで、全体を見回して「これ」という選手がいない。
前半は184cmと長身の林の動きがよかったが、後半は中盤に下がってパスを出す側に回っていた。
中盤が機能しなくなったからだろうが、前線に張っているのでなければ、あまり恐さを感じない。
横浜フリューゲルスユース出身の桑山に注目するつもりが、試合が始まるとすっかり忘れてしまった……

JFL 総合優勝
優勝ねぇ…… 周囲の喜ぶ人たちを見ていると、優勝したんだろうなぁ、という気はする。
でも、あまり実感はない。
2nd Stage以降、ふがいない内容で、結果的に勝ったという試合ばかりを見せられたので、「いいのかなぁ、こんなチームが優勝して」という印象のほうが強いためだろう。
#横浜フリューゲルスへの思い入れが強すぎて、横浜FCに対して冷めた部分があるからかもしれないが。

余談だが、リティは奥様と選手がユニフォームの下に着る優勝Tシャツを、朝5時まで作っていたそうな。
優勝Tシャツ……横浜フリューゲルス……元日の天皇杯決勝……(涙)

選手個々の評価
GK大石尚哉  6 ………致命的なミスもなかったが、見せ場もほとんどなかった。
DF真中幹夫  7 ………豊富な運動量で、最終ライン中央のカバーから攻撃参加までこなす。
DF高田昌明  7 ………二度ほど危ない場面はあったが、それ以外は安心して見ていられた。
DF渡辺一平  6 ………前線から早く戻る。カバーを人任せにしない。自陣にひとり残ると非常に恐い。
DF公文裕明  7 ………休養充分で、積極的に攻撃参加。戻ってきて改めて知るありがたみ。
MF後藤義一  6 ………序盤はミスも多かったが、終盤にきて動きがよくなった。
MF増田功作  7 ………自慢の右足を活かして右サイドを切り崩す。プレスキックは問題外だけど。
MF藪田光教  6.5 ………サイドでボールを要求するときは、手を挙げるだけでなく声も出しましょう。
MFパベル   6.5 ………キープ力と中盤で制空権を奪えるのは貴重だが、いかんせん運動量がない。
FW有馬賢二  6 ………得点したもののシュートの精度が低く、満足の行く出来ではない。
FW松田正俊  5 ………ミスから攻撃のリズムを崩す。ボールが足についていなかった。

MF小野信義  6.5 ………後半開始直後に得点に絡む。終了直前のシュートが決まっていればなぁ。
MF高尾啓治  ---
MF中丸貴之  ---

監督
リトバルスキー 6.5 ………相変わらず起用の基準が見えてこないが、松田を下げた判断は正しかった。

横浜FC
前半大塚
後半
会場:綾瀬市民スポーツセンター陸上競技場/観衆:2122人
得点:1-0 パベル(46分)
   2-0 有馬賢二(52分、アシスト=増田功作)

横浜FC大塚
GK大石尚哉GK監物政希
DF真中幹夫DF小井土佳央
DF高田昌明DF藤原雅之
DF渡辺一平DF野口大悟
DF公文裕明MF笠原宗太
MF後藤義一MF吉成浩司
MF増田功作MF34福谷祥伯
MF75高尾啓治MF75大場 啓
MF藪田光教MF桑山 照
MFパベルMF古賀秀樹
MF80中丸貴之MF横瀬善行
FW有馬賢二FW林 威宏
FW松田正俊FW片岡功二
MF45小野信義SUB迫 秀男
SUB吉田明博SUB川地貴裕
SUB橋本研一SUB中村貴之

注釈:時間は手元の時計で計っていますので、1分程度の誤差はあります。

Back