国士舘大学戦 観戦記

私の手帳によると、この日は関東社会人リーグ「神奈川県教員−本田技研ルミノッソ狭山」の試合を、保土ヶ谷公園サッカー場で観戦することになっていたのだが……行きたかったなぁ。

まぁなにはともあれ、横浜フリューゲルス時代に慣れ親しんだ三ツ沢。
国士舘大学の主催試合のためシミスポの姿はなく、サッカー部員総出での運営となった。
チケットの販売時間が開場時間と同じだったり(実際には開場15分前に販売が開始されたが)、チケット売場では部員が販売直前までチケットの枚数を数えたり、プログラムを探したり──
喩えていうならば、学園祭当日の朝のような雰囲気でした。

開場直後のスタンドにも部員が座っていたりして、思わずファゾリンに、
「渋谷(渋谷教育学園幕張高校)のときから見てました、頑張って下さい」
などとミーハーなことをしてしまったり──
ちなみに横浜フリューゲルスから大宮アルディージャに移籍した岸川義隆の同級生です。

横浜FCの布陣
GKは大石。最終ラインは右から幸田、高田、稲垣、公文。
中盤はボランチが後藤、右に重田、左に小野、中央に藪田。前線は松田と有馬。

国士舘大学の布陣
GKは宮澤。最終ラインは右から榎本、照井、吉村、松田。
ボランチが藤井、右に原、左に久島、トップ下に宮地。前線に吉田と佐野。

写真撮影
横浜FCだけでなく、国士舘大学の写真撮影も行われたのだが……
何を思ったか、久島寿樹の取ったポーズは正座。しかも両手はきちんと膝の上。
前列の場合、中腰なり腰を落とすなりして肩を組むのがあるべき姿だと思うが。
おかげで女性陣(男性も多数含む)の心はわしづかみにされ、メインの一角はにわか久島サポと化した。

4分
左サイドから中央に送られたボールが、松田のスルー(空振りかも)によって右サイドへ流れる。
フリーで待っていた重田がゴールを狙うが、はるか左の彼方に飛んでいく。
重田はフリーというよりも、ぽつんとひとり残っていたという形容がふさわしかったのだが、体が明らかに左のコーナーフラッグのほうを向いていた。あれではゴールに飛ぶわけがない。

11分
選手交代:公文裕明→渡辺一平
「あれ、一平がユニフォームを着てる」と思ったら、公文がタッチラインの外に出されていた。
稲垣が左サイドにまわり、前節に続いて高田と一平が中央でコンビを組む。
練習試合で見る限り、稲垣のサイドバックには大いに不安が残るのだが……

16分
久島が左サイドからドリブルで後藤、高田をかわして中央に切れ込み、スピードに乗って右足でシュート。
大石が横に飛んで弾き、こぼれ球も押さえる。

20分
稲垣が左サイドから蹴ったボールが直接ゴールに向かうが、宮澤が落ち着いてゴールの上へ押し出す。

22分
佐野が最終ラインの裏へ抜け出してスルーパスを受け、飛び出した大石の脇をグラウンダーで抜くが、わずかにゴールの左、サイドネットに引っかかる。

23分
ペナルティエリア内、宮澤と有馬(たぶん)の間のルーズボールを松田がかっさらって外に抜け出すが、ボールに伸ばした宮澤の手が松田の足にかかってしまい、松田が倒されてPKを得る。
松田はゴールに向かっていたわけではないので、ちょっと宮澤は焦り過ぎたかなという気がする。
まぁ角度のないところから、無人のゴールに右足インサイドで流し入れることも可能ではあるが。

23分
小野がPKをゴール左下に蹴り込んで、横浜FCが先制する。

28分
有馬が右サイドに展開し、重田がゴール前に速いボールを折り返す。
ディフェンスがトラップして浮いたボールを、走り込んだ有馬がボレーシュートするが、クロスバーを越える。

33分
右サイドで、(国士舘大学の)松田のクリアミスを(横浜FCの)松田が落下点に入ってヘッドで右に流し、上がってきた重田がそのまま縦に突破して、ゴール前の有馬にクロスを入れる。
有馬が粘って後ろに戻し、藪田が右足インステップでゴール右隅にきれいにコントロールする。
松田は落下点さえキープすれば、まさに敵なしだね。なにしろジャンプする必要がないんだもん。
藪田はほら、ペナルティエリアの外からだから(一言でかたづけるなって)。

41分
藪田が右サイドを上がる有馬に出して、有馬は左右に揺さ振りをかけて照井を外してから右足でゴールの右下を狙うが、宮澤が弾いてコーナーに逃げる。

44分
久島が自分で切れ込まずに左サイドに大きく開き、松田が遠いサイドにクロスを上げる。
ゴールの右で吉田が足を伸ばすが止められず、ボールはエンドラインを割る。

前半の感想
久島の一件があったため、どちらかといえば国士舘大学サイドに立って観戦していたもので……
横浜FCが試合を支配していたし、PKは余計だったが0−2というのは順当なところだろう。
芝の美しさと主審の技術が、前節とは段違いだったことを付け加えておく。

後方の子供の声援
後方から「ジャッキー・チェン取れよ」や「ブルース・リー」といった謎の声援が飛んでいたのだが、
よくよく聞いてみるとジャッキー・チェンというのは重田のことで、ブルース・リーが有馬らしい。
まぁ似てる似てないはともかくとして、その年でブルース・リーを知っているのか?

45分
選手交代:吉田英雄→小松和彦
選手交代:重田征紀→増田功作

49分
小野が左サイドからクロスを入れ、松田がディフェンスを体で押さえて後方に戻し、有馬が宮澤の逆をついて右足で蹴り込み、試合を決定付ける3点目をあげる。
松田の体はまだ完成されてはいないが、同年代相手であればポストプレーも充分通用するようだ。

52分
ボールがタッチラインを割ったところでプレーが止められ、稲垣にイエローカードが出される。
ゴール裏からは激しいブーイングが飛んだが、直前のアドバンテージを見たプレーを取られたのだろう。
ちゃんと後藤にも、ファウルのあった場所を指差して説明していたみたいだし。
確かに主審がプレーを止めたとき、ボールの側に稲垣がいたのは紛らわしかったとは思うが、いくらなんでもシャツの裾をパンツに入れてないからって、カードは出されないよ(苦笑)

58分
増田が右サイドを上がって折り返し、遠いサイドでフリーの小野が右足でボレーシュートを狙うがミートせず、
ボールはワンバウンドでクロスバーに当たり、そのままゴールの上を越えていく。
小野よ、なぜフリーで待ち構えていてミートしない。

59分
ロングフィードを受けて、ディフェンスにつかれながらも宮地が放ったシュートは、クロスバーを越える。

63分
榎本が右サイドを突破。稲垣を前にして後方に戻し、久島が右足でグラウンダーのシュートを放つ。
真正面に飛んできたボールを、大石が腰を落としてしっかりと押さえる。

69分
大石のゴールキックが、落下点に入ろうと争っていた有馬と榎本の間に吸い込まれるように落ちてきて、有馬の背中を直撃する。
痛そうなのはわかるが、榎本を押さえつけるのに必死でボールを見ていないのはちょっと……

70分
選手交代:稲垣博行→中丸貴之
後藤が最終ラインの左、小野がボランチにそれぞれ下がり、中丸が中盤の中央に入って、藪田が左にまわる。
しかし後藤がサイドバックとはねぇ、リティも攻撃偏重のメンバーでベンチを固めるから。

73分 選手交代:宮地 宏→高橋 隆

77分 選手交代:原大史朗→景山健司

79分
高橋のロングフィードを受けて、佐野がペナルティエリア内にドリブルで切れ込むが、幸田が後方からのタックルでエンドラインに蹴り出す。

82分
小松のマークをものともせず、増田が右サイドをドリブルで突破してクロスを上げる。
近いサイドに走り込んだ中丸がヘッドで合わせようとするが、照井に競り負ける。

87分
左サイドから入れた後藤の速いクロスが、ゴール前の松田に渡る。
胸でのトラップがやや大きく、右足のシュートは飛び込んだ宮澤に体でしっかりブロックされる。

ロスタイム
自陣左サイドから後藤のスローイン。ボールは一度もタッチラインを越えることなく、外を転がっていく。
これにはさすがの後藤も苦笑い。

後半の感想
国士舘大学に決定的な場面がなかったことを考えると、1点というのはやはり物足りない気がする。
シュートの数も目に見えて減少しており、中盤を支配していただけということだろうか。
2点以上の差をつけての勝利となると、なんとファーストステージの大塚戦まで溯らねばならないが、この日の国士舘大学の出来からすれば、ついて当然の点差だったといえるだろう。

主審 廣嶋禎数
FIFA国際副審で、Jリーグでも数多くの試合で副審を担当しているあの廣嶋さんです。
そういえば今年の天皇杯決勝でも副審をされてました(覚えていたのは私じゃないけど)。
今年のJリーグの審判名鑑から名前が消えていたと思ったら、JFLで笛を吹いていたんですね。
彼のように副審として高い評価を受けている審判は、ずっと副審のままでいてほしい気もしないではないけど、日頃からJFLの審判に辟易しているわれわれに、格の違いというものを見せつけてくれました。
それにしても、笛を吹いた後のさわやかな笑顔が印象的な人だなぁ。

藪田光教
本人がどう考えているかはわからないが、われわれにとって念願の中盤へのコンバート。
なにしろペナルティエリアの内と外で、シュートの精度がこれほど変わってくるFWも珍しい。
自陣深くからの素晴らしいフィード、安定したボールキープ、そして正確なミドルシュート。
断言しよう、彼はプレッシャーのきつい前線ではなく、中盤でこそ活きる選手であると。
守備も悪くはないし、なにより彼が中盤に下がることによって、小野を左サイドに出せるのが大きい。

稲垣博行
意外だったロングスロー。
考えてみればセレッソではずっとリベロだったので、お目にかかる機会がなかったのだろう。
サイドバックとしては、気がつくと上がっていてしばらく戻ってこない。
一平と見紛う体格のため、彼と一平の間のスペースはとかく不安材料でしかないのだが……

久島寿樹
国士舘大学の一回生ということで、まだ初々しさが残っているように見受けられたのだが、ジュニアユースやユース代表の経験があり、ヴェルディ川崎に在籍していた元Jリーガーじゃん。
……ってことは、あの正座はウケ狙い? まぁいいか。ちなみにヴェルディユースでは田中洋明の同期ね。
テクニックもあるし、ドリブルの切れもある……けどねぇ、ヴェルディユース出身なら当然という気も。

国士舘大学 評
中盤で久島と宮地が奮闘していただけで、頼みの佐野に決定的なかたちでボールが渡ることはなし。
クロスボールもサイドからサイドへ行ったり来たりするか、大石の守備範囲にしか上がらないのでは、正直お話にならない。シュートもほとんど枠を外れていたし、見所はほとんどなかった。
GKの宮澤が細身のパランパンのようだと評判だったのだが、これ聞いたら本人は怒るだろうなぁ。
ところで背番号29以降は半袖ユニないの?

選手個々の評価
GK大石尚哉  6 ………無失点とはいえ決定機はなく、唯一の危ない場面でも脇を抜かれていた。
DF幸田将和  5.5 ………試合を経るに従って、クロスの精度がどんどん低くなるのが気がかり。
DF高田昌明  6 ………守備陣の活躍で勝利したわけではないので、及第点といったところか。
DF稲垣博行  6 ………別項参照。
DF公文裕明  ---
MF後藤義一  6 ………宮地とのけずり合いが見物でした。まぁ無難にこなしていたかな。
MF重田征紀  6.5 ………クロスの精度も高く、前半で交代させられるような出来ではなかった。
MF小野信義  6.5 ………ラストパスは正確だが、シュートの精度が一向に上がらないのはなぜだろう。
MF藪田光教  7.5 ………別項参照。
FW有馬賢二  7 ………シュートの積極性が戻りつつあり、ポストプレーにも安定感があった。
FW松田正俊  7 ………得点こそなかったが、高さを活かして全得点に絡む活躍を見せた。

DF渡辺一平  6 ………相変わらずカットしたボールが中途半端なところへ飛んでいくなぁ。
MF増田功作  6.5 ………右サイドで発揮されるキープ力は、やはり終盤でこそ真価を発揮する。
MF中丸貴之  6 ………今更追加点も不要だったし、目立たなかったのも仕方がないだろう。

監督
リトバルスキー 6 ………久々の大勝で選手のテストも行えた。でも守れる選手もベンチに入れようね。

国士舘大学
前半横浜FC
後半
会場:横浜市三ツ沢公園球技場/観衆:2099人
得点:0-1 小野信義(23分、PK)
   0-2 藪田光教(31分、アシスト=有馬賢二)
   0-3 有馬賢二(49分、松田正俊)

国士舘大学横浜FC
GK宮澤 仁GK大石尚哉
DF榎本雅大DF幸田将和
DF照井 篤DF高田昌明
DF吉村匡史DF稲垣博行
DF松田和之MF70中丸貴之
MF藤井庄一DF公文裕明
MF原大史朗DF11渡辺一平
MF77景山健司MF後藤義一
MF久島寿樹MF重田征紀
MF宮地 宏MF45増田功作
FW73高橋 隆MF小野信義
FW吉田英雄MF藪田光教
FW45小松和彦FW松田正俊
FW佐野智洋FW有馬賢二
SUB立石和憲SUB佐々木仁
SUB堤 憲吾SUBパベル

注釈:時間は手元の時計で計っていますので、1分程度の誤差はあります。

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