第4回神奈川県サッカー選手権大会 兼 第79回天皇杯全日本サッカー選手権大会神奈川県代表決定戦
横浜F・マリノスユース戦 観戦記

大和スポーツセンターねぇ…… あんまり印象ないや。
水着を持ってきていたら、試合終了後に確実に泳いでいただろうなぁ、というくらい暑かったことくらい。

計らずも横浜ダービーになってしまい、横浜FC関係者は相当胃を痛めたのではないだろうか。
横浜F・マリノスは横浜F・マリノスで、横浜FCの存在自体を認めてはいないようだし。
おまけに相手はユースということで、もし負けようものならマスコミの餌食にされること間違いなし。
横浜FCの選手たちもやりにくかっただろうなぁ。ある意味、大人気無いわけだし。
それでいて準決勝を見た限りでは、テクニックとスピードは間違いなくFマリユースの方が上なんだよなぁ……

マクドナルドの出前
えぇ、あのファーストフード最大手のマクドナルドです。してくれるんですよ、出前。
いやねぇ、入れ忘れがあったので電話したら、持ってきてくれるっていうもんだから、一品だけ持ってきてもらうのも悪いし、追加注文していいかって聞いただけなんですけどねぇ。

エールの交換
ASAは公言していた通り、横浜F・マリノスへのエールは一切なし。
一方少し離れたグループからは、「よ・こ・は・ま え〜ふまりのす」というコールがあがる。

トリコロールのユニフォームも、日産自動車も、もちろん全日空も、私にとって嫌悪の対象でしかないし、横浜F・マリノスというチームを認めたくない気持ちも理解できる。
#だいたい横浜F・マリノスは、どう考えても横浜マリノス以下のチームだし。
それでも選手たちには罪はないわけだし、素晴らしいプレーには拍手を持って応えることにしている。
だいいち、アマチュアの試合ならともかくとして、試合前のエール交換は覇気を殺ぐので好きではない。
試合後であればかまわないと思うが。

ちなみに、試合後に横浜F・マリノスサポーターから横浜FCへ向けて、コールがあったらしいが……
サンバ踊ってて聞いちゃいねぇよ、ASA。

横浜FCの布陣
GKは大石に代わって公式戦初出場の吉田。あとはいつも通りの4−4−2。

横浜F・マリノスユースの布陣
GKは榎本。最終ラインは右から田中、数馬、松井、後藤。
中盤はボランチが金子、右に飯田、左に越智、中央に斎藤。前線は鈴木と服部。
キャプテン小原は足首の負傷を準決勝で悪化させたため、出場していない。

2分
浮き球のパスを後藤が右足でゴール前に流し入れ、有馬がダイビングヘッドで合わせるも、判定はオフサイド。

5分
小野の右CK。藪田が右足でジャンピングボレーを狙うが、ディフェンスにブロックされる。

6分
後藤が右サイドからアーリークロスを上げ、藪田が滞空時間の長いヘディングで合わせるが、ネットの上。
後藤に対してプレッシャーはないわ、前方には大きなスペースを空けているわで、ディフェンスぼろぼろ。

8分
ゴール正面からのFK。飯田が右足で狙うと思わせておいて、後方から走り込んだ後藤が左足でシュート。
ボールはジャンプした壁を嘲笑うかのように足下を抜け、左のポストを直撃する。
跳ね返りを高田がクリアして、なんとか事無きを得る。
意表を突かれたのか壁でボールが見えなかったのか、吉田は一歩も動けなかった。
実際メインから観ていて、後藤の存在には気がついていても注意はほとんど払っていなかった。
もしこれが決まっていたら、おそらく横浜FCの勝利はなかったであろう。

11分
服部が左サイドから中にドリブルで切れ込んで、ゴール正面から右足でシュート。
高田と真中の間を抜けるが、わずかにゴールの左に外れる。
ゴール前だというのにマークが甘すぎる。高田も真中もスピードがないのだから、もっと早く体を寄せるべき。

20分
藪田が3人に囲まれながら、左サイドから中に抜け出して右足でシュート。ゴール左に外れる。
先の服部のシュートと似たようなかたち。Fマリユースのディフェンスは、とにかく寄せが早い。

26分
前線から戻された浮き球を、小野が左足でボレーシュート。ネットの上に引っかかる。

29分
左サイドから入ったクロスに、坂田が右足で合わせてネットを揺らすが、オフサイドの判定。

34分
後藤のパスを受けた藪田が中に切れ込み、ディフェンスに後方から倒されるがノーファウル。

35分
右サイドで幸田のパスを受けて、増田が角度のないところからGKの頭上を狙うが、クロスバーを越える。

40分
左コーナー付近からの小野のFK。藪田が折り返したボールをディフェンスがクリアミスし、裏に走り込んだ増田が右足でジャンピングボレー。ボールはクロスバーのはるか上に消える。
増田さぁ…… フリーでゴールもがら空きなのに、なんで全力で右足を振り切るかなぁ。
しかも上にふかすという、器用なんだか不器用なんだかわからない芸当まで披露してくれて。
どう考えてもその方が難しいだろう、当てただけでもゴールを割ったはずなのに。

44分
選手交代:根子達也→重田征紀
パスミスなどの中途半端なプレーが多く、再三飯田の突破を許していた根子を交代させた。
スピードのある重田をぶつけて飯田の動きを封じるという意味合いもあるだろうが、あまりに不甲斐ない試合展開に、引き締めにかかったという印象の方が強い。

44分
中盤で藪田がくさびになったところを、飯田が後方から足を払ってしまい2回目の警告を受ける。
飯田紘孝、退場。
この直前にも重田と後藤をぶっちぎって右サイドを突破していただけに、これは痛すぎる。
自陣深くに攻め込まれたわけでも、ゴールに向いてしいたわけでもないのに、不必要なファウルだった。
この結果Fマリユースは攻撃の起点を失い、最終的に勝敗を決した退場になってしまった。

ロスタイム
小野が左サイドに出たボールを受けて、ディフェンスをかわしてゴール前にマイナスのパスを送る。
さわれば一点というおあつらえむきのボールを、後藤がクロスバーのはるか上にふかす。
ごっさんさぁ……(以下略)

前半の感想
横浜FCは決定機──というよりも、絶対に決めなければいけない場面──をふたつ外し、Fマリユースはスピードを活かしてシュートまでは辿り着くのだが、枠を捕らえられない。
で、結局両チーム無得点のまま前半を終了。あの展開では、そりゃ奥寺GMも怒るわ。

素朴な疑問
なんでHOPSの紙コップにBudweiserのビールを注ぐかなぁ。

45分 選手交代:増田功作→中丸貴之

45分
センターラインを越えて上がってきた真中から、成太を経由して右サイドの小野に展開される。
小野は追いすがる後藤を振りきって縦に突破し、エンドライン手前からゴール前にクロスを上げる。
あまりにゴールに近すぎたが、榎本が右手ではたこうとして失敗し、真下に落ちてゴールを割ってしまう。
あれはどう考えてもクロスの上げ損ない。本人も語った通り"恥ずかしい"ゴール。
シュートの意思がなかったのだから、OWN GOALでも充分だろうよ、というのが私の感想。
にしても、横浜FCは後半開始直後のラッキーなゴールが多いよなぁ。
ちなみに中丸だと思っていました。嘘を教えて申し訳ありませんでした。>公式サイト担当さま

48分
小野か中丸の右CK。近いサイドで真中がヘッドでそらして、藪田が右足で合わせるが、ゴールの中にいた田中がかろうじてクリアする。

49分
中丸の左CK。ショートコーナーでいったん真中に預け、戻りながら中丸がリターンパスを受ける。
ゴール前にクロスを上げ、小野が滞空時間の長いヘディングでゴールに叩き込む。
クロスを上げた中丸もゴール前も完全にフリーで、Fマリユースのマークが甘すぎた。
間を置かずに上げた追加点は、Fマリユースの戦意を喪失させるには充分すぎた。

51分
ゴール前で中丸がキープしてバックパス。走り込んだ小野が右足でシュートするが、ゴール左に外れる。

52分
選手交代:服部直之→坂田大輔
右の飯田に続いて中央の服部が退いたことで、攻撃の起点となる選手がいなくなり、これ以降Fマリユースの攻撃に明確な意図が見られなくなる。
それでもゴール正面でFKを許すなど、横浜FCの最終ラインは相変わらず安定感を欠いている。

53分
中丸の右CK。後方に戻して重田がグラウンダーのミドルを放つが、榎本がかろうじてコーナーに逃げる。

54分
上のプレーで得たCKもゴールラインにクリアされ、中丸の右CKも3回目。
有馬がヘディングで合わせるが、坂田が体で跳ね返す。

66分
選手交代:高田昌明→稲垣博行
高田は負傷退場。前半にも一度負傷しており、今回は×印が出されていたが大丈夫だろうか。
ただでさえスピードのない最終ライン中央、さらにスピードがなくなってしまった。

70分
真中がペナルティエリア内で田中に奪われるが、田中はボールを置いてきてしまい、なんとか真中が奪い返す。
大事には至らなかったが、真中のプレーは軽率だった。

72分
数馬がセンターライン上から左サイドへ大きく展開し、抜け出した坂田が上手くトラップして左足で狙うが、グラウンダーのボールはゴールの右に外れる。

73分
バックパスを榎本がキャッチするが、アピールも実らずプレーは続行される。
わかった人だけからブーイングがあったのが、ちょっとおかしかった。

74分
左サイドからボールが戻され、成太がドリブルで左前方に切れ込んで左足でシュートを放つ。
榎本が止めたこぼれ球に藪田が飛び込んで押し込むが、明らかにオフサイド

79分
右サイドに出たボールを、エンドラインを割る寸前に中丸が止めて、周囲をよく見て後ろに戻す。
走り込んだ小野がグラウンダーで豪快に蹴り込んで、膠着した試合に終止符を打つ。
今季公式戦では無得点──なにしろゴールはデンソー在籍時の1996年以来──の小野のハットトリック。
というか、ヴェルディ川崎では出場機会がなかったし、ガンバ大阪でも得点は記録していない。
デンソーでの3得点が、プロとしてこれまで彼が公式戦であげた得点のすべてである。
1988年5月28日、石橋貢(大洋)の1試合3本塁打みたいなものか(またわけのわからないことを)。

83分
成太が中盤でボールを奪い返して、すかさずゴール前に流し入れる。
藪田が抜け出して榎本と1対1になるが、浮かせたシュートはゴール左に外れる。
ほんっ、とペナルティエリア内では使えないなぁ、藪田は。

87分 選手交代:斎藤 優→片野賢二
88分 選手交代:鈴木達也→栗原勇蔵
同時に交代させるはずが、記入ミスかボードを間違えたかで、栗原の方はワンプレー遅れてしまった。

88分
ペナルティエリア内で、藪田が有馬に流して榎本と1対1に。右足のシュートはブロックされる。

ロスタイム(公式記録では89分)
自陣左サイド、中盤に位置していた重田がボールをいったん後ろに戻す。
最終ラインの後藤が左サイドキックで軽く右前方に出すが、数馬の足に当たって後藤の後方に転がる。
ルーズボールを拾った田中は、タイミングを見計らって中の坂田に折り返す。
坂田は縦に切れ込むと見せて真中のスライディングを誘い、左にかわしてから左足でシュート。
グラウンダーのボールが右のサイドネットに突き刺さり、Fマリユースが一矢報いる。
最終ラインの目前をあれだけ堂々と横切られては、吉田もどうすることもできなかった。
というよりも──
そもそも重田は後ろに戻す必要があるほど、プレッシャーを受けていたわけではないし、
後藤は後藤でたらたら走って、フリーでパスの出し所を探している田中を追おうともしないし、
稲垣は田中につくんだかつかないんだか、中途半端なポジショニングで役に立たなかったし。
まぁ確かに、今更一点くらい取られても大勢には影響はないかもしれないけど?
物事には"後味"ってものがあるでしょうが。か・な・り、悪いよ。

後半の感想
開始直後の小野のゴールがすべて。集中力を切らしたFマリユースは易々と追加点を許してしまう。
Fマリユースも途中出場の坂田がひとり気を吐いたが、個人技だけの攻撃では一点を返すのがやっと。
やはり若さがでたかなぁ。

横浜F・マリノスユース 評
しっかりした技術、右サイドからの突破、スピードのある攻撃陣、そして決定力不足。
神奈川大学との準決勝で感じた、長所と短所がそのまま表れた試合だった。
すでにトップチームに合流している大橋正博や、U-18日本代表の川口正人といった主力の名前がないが、これは天皇杯予選のチームが一、二年生で構成されているからである。
どうりで二年生の小原章吾がキャプテンマークをつけていたわけだ。
合併によりトップチームはチームとしてのまとまりを欠いたが、ユースは間違いなく強くなったと断言できる。

本日の審判
JFLの主審とは違い、細かい注文はつけなければ主役になることもなく、試合を進行させていた。
ちょっと終盤、判定がFマリユースに傾いたような気もしないではないが……
ちなみに予備審判は女性でした。

表彰式
賞状や優勝杯、NHK杯などを受け取ったのは、吉田、幸田、真中、そして後藤。
なんだ、フィールドプレイヤーは年齢順か。
優勝杯よりもNHK杯のほうが大きいのは、もはやお約束と化しているらしい。
優秀選手は真中とFマリユースの田中、最優秀選手には文句なしで小野が選ばれた。
真中ねぇ……(苦笑)

それからそこの女性、賞状を両手にぴらぴらさせて持ってこない。漆塗りの盆に入れてこないか、普通。
驚いたのは、NHKの方の口から"横浜フリューゲルス"の名前が出たこと。
横浜FCについて語る上で避けては通れないとはいえ、公の場で発言するとは思っていなかった。
もしかしたら初めてじゃないだろうか。

選手個々の評価
GK吉田明博  6 ………ほとんど見せ場はなかったが、失点は彼の責任ではない。左投げなんですね。
DF幸田将和  5 ………パスミスが多く、フォローが遅いため前線で増田を孤立させてしまった。
DF高田昌明  5 ………相手FWのスピードに追いつけず、ゴール前でフリーにさせる場面が目立った。
DF真中幹夫  5.5 ………高田と同様にスピードで完全に負けていたと思うが、なぜに優秀選手かなぁ。
DF高尾敬治  4.5 ………不用意なパスミスが多く、スピードのある飯田に再三振り切られていた。
MF高木成太  5 ………大きすぎるトラップと不正確なパス。プレッシャーに弱い面が露呈した。
MF増田功作  5 ………マークがきつくてほとんど仕事をさせてもらえず。決定機を逸したのは問題。
MF小野信義  7 ………ハットトリックは素晴らしいが、あえて苦言を呈するならもう一点取れたなと。
MF後藤義一  5 ………決定機を逸し、安易なパスミスは余計な失点につながった。
FW有馬賢二  5 ………シュートは確実に枠を捕らえていたが、消えている時間帯も結構あった。
FW藪田光教  5 ………なぜペナルティエリア内からだと枠に飛ばないかな。トップ下での起用を望む。

DF重田征紀  5 ………対面の飯田が退場したのにねぇ。不用意なバックパスから失点も招いたし。
MF中丸貴之  7 ………フリーだったとはいえ、ラストパスの精度は相変わらず高い。
DF稲垣博行  5 ………無難にこなしたとは思うが、やはりスピードが不足している。

コーチ
  阪倉裕二  5 ………もっとテクニカルエリアを有効に使って、積極的に指示を出ましょう。

横浜FC
前半横浜F・マリノスユース
後半
会場:大和スポーツセンター陸上競技場/観衆:1615人
得点:1-0 小野信義(45分)
   2-0 小野信義(49分、アシスト=中丸貴之)
   3-0 小野信義(79分、中丸貴之)
   3-1 坂田大輔(89分)

横浜FC横浜F・マリノスユース
GK吉田明博GK榎本哲也
DF幸田将和DF田中隼磨
DF高田昌明DF数馬正浩
DF66稲垣博行DF松井拓来
DF真中幹夫DF後藤大輔
DF根子達也MF金子勇樹
DF44重田征紀MF飯田紘孝
MF高木成太MF越智隼人
MF増田功作MF斎藤 優
MF45中丸貴之FW87片野賢二
MF小野信義FW鈴木達也
MF後藤義一MF88栗原勇蔵
FW有馬賢二FW服部直之
FW藪田光教FW52坂田大輔
SUB大石尚哉SUB吉竹和治
SUB高尾敬治SUB大平 潤
SUBパベルSUB 
SUB田中洋明SUB 

注釈:時間は手元の時計で計っていますので、1分程度の誤差はあります。

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