ジャトコ戦 観戦記

横浜FCでは初のアウェイ観戦となる、県営愛鷹(あしたか)広域公園多目的競技場。
今日でなければ公式戦で見られない選手がいる、というのがアウェイまで足を運んだ理由。
望月さん、運転していただいてありがとうございました。
あまりに快適すぎて、思わずうつらうつらとしてしまいました。
機会がありましたら、またよろしくお願いします。

街を見下ろす高台にあり、その名の通り公園の緑に囲まれた陸上競技場である。
近年完成した競技場で、青々と生えそろった芝生がとても美しい。
座席があるのはメインだけで、バックとゴール裏は芝生席になっている。
#広さは充分なので、その気になれば簡単に収容人数は増やせそうだ。
競技場までの道には案内板が設置されており、とてもありがたかった。
欠点といえば、東名高速・沼津ICを下りてから競技場まで、コンビニひとつないことくらいか。

霧雨がぱらついているので、屋根の恩恵に与れるメイン上段での観戦(軟弱だし)。
バックには、キャンプ用の青いテントまで張られている。ここも、ほのぼのしているなぁ。

前座試合
ハーフコートで、少年サッカーの試合が2試合同時に行われた。
目を引いたのが髪の長い女の子。中盤で的確な指示を出し、男子にも力負けしていない。
考えたらこの年代は、男子よりも女子の方が(いろんな意味で)強いんだよなぁ〜〜
フォーメーションもしっかりしていて、小学生にしてはやけに上手いと思っていたら……
そうだよ、ここ静岡県じゃん(笑:やっと気がつく)

横浜FCの布陣
中盤の後藤、増田、高木を出場停止で欠いているため、選手が大幅に入れ替わっている。
なお、遠藤も後藤も出場していないため、大石がキャプテンマークをつけている。
GKは大石。最終ラインは中央に真中と稲垣、右が幸田、左が公文。
中盤はボランチが高田、右に重田、左に高尾、中央にパベル。前線は有馬と藪田。

ジャトコの布陣
GKは油原。最終ラインは中央が大石、右が松原、左が森田。ウイングバックが右に岩下、左に松尾。
ボランチが守備的な太田と攻撃的な河合、中央に松橋。前線は望月と新村。

1分
中央のパベルが右サイドのスペースにボールを出し、重田が快足を飛ばしてこれに追いつく。
重田がゴール前に入れた低く速いクロスは、ディフェンスの頭をかすめるも勢いは衰えず、有馬がダイビングヘッドでゴールに押し込む。
もうすっかりおなじみになった、低空を貫く有馬のダイビングヘッド。
一見無茶とも思えるパベルの要求(パス)に、しっかり応えた重田も素晴らしかった。
本職は右のサイドバックだが、中盤の右サイドの方が性に合っているかもしれない。
多少当たりに弱くても後方には幸田が控えているし、長い距離を戻ってくる必要もないし……
#公式記録によると、パスを出したのが真中、クロスを入れたのが高尾になっている。
#いくらなんでも重田と高尾を見間違えるかぁ? 立端(たっぱ)が違うだろ、立端が。

6分
ゴール正面やや遠い位置からの松橋のFK。ゴールの左上を狙うが、大石が右手でバーの上に弾く。

14分
自陣のゴールラインを割ったボールについて、ゴール前まで戻っていたパベルが
「ワンターッチ!」「ワンターッチ!」「ワンターッチ!」と三度副審にアピール(笑)
そんなに連呼しなくても、もちろん判定はゴールキックなんだが。

17分
藪田が右サイドを突破し、ディフェンスの間をかいくぐって中へ切れ込み左足でシュート。
ゴールの左上に大きく外れる。

22分
左サイド深くからの公文のFK。速いボールを真中がヘッドで遠いサイドに流し、藪田がヘディングシュートを放つが、油原の真正面をつく。

24分
右サイドから上がったクロスに、遠いサイドにいるふたりのうち、外側にいた高田がヘッドで合わせる。
油原が正面でブロックし、ゴール正面に転がったボールに走り込んだ重田が左足で……空振り。
ゴールとの間にはディフェンスの選手が数人いたとはいえ、重田は完全にノーマークだった。
油原は体勢を立て直しきっていなかったので、ゴールに飛べば面白かっただろうに。

33分
重田が右サイドのスペースに出して藪田が追うが、一歩先んじた油原がクリアする。

36分
重田が右サイド深くで粘って、ゴール前にクロスを上げる。
藪田が胸でトラップして、切り返してから左足でシュートを放つが、森田にブロックされる。

36分
上のプレーで得た、左サイドからの公文のCK。ショートコーナーを受けて、高尾がハイボールを上げる。
ゴール前で藪田が油原と競り、キャッチし損なったところを有馬がヘッドで押し込む。
スタンドからは有馬が押し込んだように見えたが、公式記録はOWN GOALに訂正されたらしい。
どうやら、有馬のシュートをクリアしようとしたディフェンスに当たったようだ。
藪田のプレーはキーパーチャージではなかったし、油原はキャッチできたと思うのだが。
ちなみに、重田はスローインと勘違いして右サイドでボールを持っており、副審から指摘される。
見事なおおぼけぶり。おかげですっかり出遅れていた。

前半の感想
開始直後に得点したものの、それ以降はロングボールの応酬になってしまう。
大石や最終ラインがボールをキープしていても、ジャトコはプレッシャーをかけてこない。
そのため攻撃は組み立てやすかったはずだが、なんとか追加点を上げたという印象が強い。
それでも先週のデンソー戦に比べれば、安心して見ていられるらしいが。

本日のプレスキッカー
左サイドからは公文が、前半には機会がなかったが右からは重田が蹴る。
小野、中丸、後藤が出場しておらず、パベルはゴール前に必要なためだろうが、なんともはや。

本日のTIFOSI
ASAがバックで応援していたため、ゴール裏はTIFOSIがひとりじめ。
やったね(笑) ハーフタイムには芝生の上を転がり落ちていました。
横断幕は持ってこなかったみたい。

45分
選手交代:有馬賢二→橋本研一
前半削られて(自爆も含めて)痛む場面が多く見られた有馬。
試合終了後、根子に背負われてバスに乗り込んだそうで、足の状態が心配される。
一方、代わって入った橋本は、高尾と並んで今季JFL初出場。
これで横浜FCのフィールドプレイヤーは、全員出場したことになる。

46分
左サイドからクロスが上がり、ゴール前の橋本が胸でトラップしようとするがミス。
ディフェンスのクリアを藪田が拾い、ミドルレンジから狙うがゴールの左へ外れる。

48分
スルーパスを受けた岩下が、ゴール前までドリブルで持ち込む。
戻った重田に体を寄せられながら、飛び出した大石の横を狙ってシュートするが、わずかに右に外れる。
横浜FCの守備が整わないうちに仕掛けられた、理想的なカウンターだった。

56分
高尾のスルーパスに藪田が反応するが、油原が飛び出してタッチラインに蹴り出す。

59分
重田が右サイドからスルーパスを通し、抜け出した藪田が独走する。
油原が飛び出したのを見計らって、左足で浮かせようとするが、ゴール左に大きく外れる。
「藪田、正座!」(本来は、三ツ沢のソニー仙台戦で、藪田に浴びせられた名言です)
わざわざ難しい体勢にして、わざわざ難しいことをやろうとしている。

59分
クリアボールを岩下が拾い、右サイドからゴール前に速いグラウンダーのボールを入れる。
ゴール前で待っていた望月がダイレクトに右足で合わせ、勢いよくネットを揺らす。
岩下のシュート気味のクロスが入った瞬間、思わず「面白い!」と口走っていた。
実際、狙いとしては面白かったとは思うが、望月の位置は明らかにオフサイド。
大石は反応すらしていなかった。しかし、副審の旗は上がらない。
終いには、執拗に副審に抗議する幸田にイエローカードが出される。
気持ちはわかるけど、わざわざ遠いサイドから抗議しにくるから……

64分
左サイドから高尾がクロスを上げ、近いサイドの橋本がヘディングシュートを放つが、オフサイド。
シュートそのものは、しっかりゴール左上にコントロールされ、油原もかろうじて弾いたのだが……
フリーにもかかわらず、わざわざオフサイドの位置で足を止めて待つことはないと思うぞ、橋本。
もう一歩、なぜに下がれないかなぁ。

64分 選手交代:岩下 潤→松木秀樹

67分
松橋の左サイドからのFK。ゴール前の混戦から松木がシュートするが、大石が正面に入って防ぐ。

71分
左サイドでフリーで待つ藪田にボールが渡り、そのまま独走。
切れ込んで油原と1対1になり、ゴール右隅に落ち着いて蹴り込む。
珍しくシュートに到るまでに無駄な動きがひとつもなかった。

71分
選手交代:高尾啓治→根子達也
今季初出場だった高尾。大塚ではボランチ、横浜FCの練習試合ではサイドバックなどをこなしていたが、久々に攻撃的なポジションでプレーした。
正直あまり期待はしていなかったが、左サイドからのいい崩しが再三見られた。
後藤が復帰する次節以降も、見てみたい選手である。

74分
最終ラインからのフィードを藪田がヘッドで落とすが、一瞬両チームともに足が止まる。
その隙を突いて、根子が正面からシュートするが、バーの上を越える。

80分 選手交代:パベル→小野信義

81分
松木がゴール前で振り向きざまにシュートし、ネットを揺らすが、主審はハンドの判定。
幻のゴールに終わる。
誰のハンドだったかは不明だが、ここで失点していたら、確実に流れはジャトコに傾いていただろう。

83分
ジャトコ陣内に入ったところで藪田が倒され、右サイドに少し離れたところで橋本が倒される。
リティが語気も荒く抗議に向かい、稲垣(?)はひじを打つしぐさで主審にアピール。
副審は旗を丸めて、上方で小さく円を描くようにまわして、反則があったことを示す。
主審が歩み寄って協議し、松原にレッドカードが出される。
松原忠明、退場。
しかも、松原は素知らぬ振りをして、ちゃっかり水を飲みに行ってるでやんの。

気がつくとふたりとも倒れていたので、詳しい経緯については不明。
この副審、オフサイドの判定は相当あいまいだったが、ちゃんと反則を見ていたのでよしとしよう。
主審はなんとか見られるようになってきたが、副審のレベルはあいかわらず低いと感じる。

87分
左サイドから公文のクロスが入り、走り込んだ橋本が右足インフロントで合わせるが、ボールはポストの右上をかすめる。

88分
新村が右サイドに出して、望月が縦に突破。ゴールライン手前から速く低いクロスを入れる。
遠いサイドの松木が懸命に足を伸ばすが、わずかに届かず。
近いサイドにいた大石はボールに触れず、松木が触れば1点という場面だった。危ない、危ない……

ロスタイム(公式記録では89分)
新村からボールを受けた松木が、左サイドを持って上がり、速いグラウンダーのクロスを入れる。
ゴール前で、合わせようとした新村とディフェンスの間で混戦になり、ボールがこぼれる。
最後は右サイドから走り込んだ松橋が、右足で豪快に蹴り込んで1点差に迫る。
フリーの松橋には誰も注意を払っていないわ、シュートコースはがら空きだわでは、お話になりません。
試合終了直前の、集中力の欠如としか言いようがない。

ロスタイム
右サイドから左サイドまでボールがまわされ、高田がゴール前にクロスを上げる。
橋本のボレーシュートはミートせず、ディフェンスに当たって油原が押さえる。

後半の感想
公式記録によると、ジャトコのシュートが9本に対して、横浜FCは藪田の3本のみ。
80分過ぎからのジャトコの猛攻を、なんとかしのいで逃げ切ったというのが実感。
点差が2点でなかったら、もしくは試合時間がもう10分あったら。想像したくもない。

遠藤昌浩、移籍
奥寺GMが選手たちを迎えた後、マイクをもってピッチに足を踏み入れる。
そして、その口から「キャプテン遠藤昌浩のヴェルディ川崎への移籍」が告げられる。
サポーターが一瞬騒然となる中、スーツ姿の遠藤本人が登場。サポーターへの挨拶があった。

痛い。正直痛い。横浜FCの最終ラインは、遠藤と真中がそろって完成すると信じていたから。
それでもプロである以上、より高いレベルでプレーしたいと思うのは当然だろう。
J1に上がるには、最低でもあと3年はかかる。それまで待てという資格は、誰にもない。
米山、中沢、林などとの争いになるだろうが、1試合でも多く出場してくれることを切に願う。

JFLからJ1へのレンタル移籍というのもおかしな話だが、契約は来年1月末までとのこと。
本音を言えば、代わりにヴェルディから誰か欲しいけど。構想外になっている西ヶ谷とか……

ジャトコ 評
前半は単調な攻めを繰り返していたが、後半はまるで別のチーム。
松木を投入して3トップ気味になってからは、完全に主導権を握っていた。
動きのよかったのは前線の4人、それからひとり熱くなっていた左ウイングバックの金髪・松尾。
なお、GK油原はゴールキックの方向が定まらず、タッチラインを割るたびにTIFOSIの野次を浴びていた。

それから素晴らしかったのがサポーター。
余談になるが、直前までジャトコの掲示板では、応援についての白熱した議論が交わされていた。
結局は横浜FCサポーターに数で負けないために、一般のお客さんを巻き込もうという意見が通って、メインで応援することになったようだ。
太鼓に囃子、小太鼓はマーチングバンドのような叩き方。しかも応援が途切れない。
メインで観戦していると、なぜか身体が反応している自分に気がつく。

選手個々の評価
GK大石尚哉  6.5 ………ハイボールの処理が安定しており、まったく不安を感じなかった。
DF幸田将和  6 ………得点にこそ絡まなかったが、プレーは安定していた。あの抗議は意外だった。
DF真中幹夫  6.5 ………負傷から復帰してやっと最終ラインが安定した。課題はスタミナ。
DF稲垣博行  6 ………ボールを奪ってから積極的に攻め上がる。裏をとられないように注意。
DF公文裕明  5.5 ………どうしてもパスミスが目についてしまう。プレスキックは及第点。
MF高田昌明  6 ………空中戦には強いが足下がやや弱い。高木のようにはボールを散らせないか。
MF重田征紀  7 ………藪田へのスルーパス、正確なクロス、このまま中盤にコンバートする?
MF高尾敬治  6.5 ………周囲はよく見えているし、テクニックもある。いい意味で予想を裏切った。
MFパベル   6 ………役割は全うしていたが、もっとゴールへの意欲を見せてほしい。
FW有馬賢二  7 ………前半だけで実質2得点。彼が退いてからは得点が入る気がしなかった。
FW藪田光教  6 ………ペナルティエリアの外ではいい仕事をするのだが、中では期待薄。

FW橋本研一  5 ………得点してくれそうな気配すらなかった。試合勘が戻っていないのか。
MF根子達也  6 ………積極的な動きでアピールするが、評価としては可もなく不可もなく。
MF小野信義  ---

監督
リトバルスキー 6 ………現有戦力でなんとか勝利。選手層の薄さに頭を痛めていることだろう。

ジャトコ
前半横浜FC
後半
会場:県営愛鷹広域公園多目的競技場/観衆:1809人
得点:0-1 有馬賢二(1分、アシスト=重田征紀)
   0-2 OWN GOAL(36分)
   1-2 望月昭秀(59分、岩下 潤)
   1-3 藪田光教(71分)
   2-3 松橋力蔵(89分)

ジャトコ横浜FC
GK油原丈著GK大石尚哉
DF松原忠明DF幸田将和
DF大石信幸DF真中幹夫
DF森田直樹DF稲垣博行
MF河合崇泰DF公文裕明
MF太田貴光MF高田昌明
MF岩下 潤MF重田征紀
FW66松木秀樹MF高尾敬治
MF松尾昌則MF71根子達也
MF松橋力蔵MFパベル
FW望月昭秀MF80小野信義
FW新村泰彦FW有馬賢二
SUB沖田政夫FW45橋本研一
SUB渡邊俊二FW藪田光教
SUB森野章三SUB吉田明博
SUB鈴木 亮SUB中丸貴之

注釈:時間は手元の時計で計っていますので、1分程度の誤差はあります。

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