毒を吐く 〜横浜FC選手批評〜

GK  1 大石尚哉  試合 21 失点 30
  開幕前の期待が大きすぎたのか、それともヴェルディでの印象が美化されていただけなのか。
  飛び出し、バックパスの処理、ポジショニング、どれをとっても安心して観ていることができない。
  横浜FCには薩川了洋、大岩剛、西ヶ谷隆之といった優秀なDFはいないのだから。
  なにより2試合しか出場していない吉田明博に見劣りするというのは、ちょっと……
  GKとしての実力は、まぁJFL中位といったところだろう。
 

GK 12 吉田明博  試合 2 失点 1
  練習試合を観戦して、佐々木仁や中村孝也の後塵を拝することはないだろうと踏んではいたが、
  大石尚哉以上のものを感じさせてもらえるとは、正直思わなかった。
  ただせっかく奪ったポジションを、自らの不注意であっさり譲り渡してしまったのは……
  GKは絶対に"機運"を逃してはいけない。
 

GK 21 佐々木仁  試合 1 失点 1
  第3GKの名に違わぬ実力と成績。
  唯一出場した試合が敗戦というのは確かに気の毒だったが。アウェイゲームだったしね。
 

GK 22 中村孝也  試合出場なし
  1998年のJリーグで最も頼りにならなかった正GK、前田信弘の控えの控えのそのまた控え*1
  ──ということで、はなから期待はしていなかった。一年間の接待、お疲れ様。
  そもそもGKは3人で充分、負傷したら他チームからレンタルで獲得すればいいと思うが。
 

DF  2 重田征紀  試合 17 得点 0 アシスト 3
  開幕戦で退場したことが、結果的には彼にとって幸いした。
  中盤の右サイドで自慢のスピードを活かし、積極果敢なドリブルでサイドを切り崩す。
  横浜FCでは有馬賢二と並んで、ゴールの方をを向いてプレーする数少ない攻撃の選手である。
  そもそもDFとしてはあまりにお粗末。当たりに行って弾き飛ばされるようでは、お話にならない。
  まぁ少々の当たりでも宙を舞うので、攻撃の際には功を奏することもあるのだが。
  付け加えるとすれば、あまりに負傷が多いこと、そして上のリーグでは通用しないだろうということ。
 

DF  3 遠藤昌浩  試合 7 得点 4 アシスト 1
  ある意味、一番利口だった選手。
  常時出場できる生温い環境よりも、高いレベルでの競争と充実した練習環境を選んだのだから。
  ヴェルディからは戦力外を通告されたものの、練習に参加していたエスパルスへの入団が決定した。
  レギュラーが獲れるとは到底思えないが、戸田和幸のバックアップくらいにはなるだろう。

  開幕戦を観た限りでは、元日本代表の守備も大したことない*2という感想を抱いたのだが、
  他の選手はもっと大したことなかった。
  2nd Stageの勝利は、彼の遺産の賜物だろう。半ばにして、あっさり食い潰されたけど……
 

DF  4 真中幹夫  試合 16 得点 0 アシスト 3
  負傷で開幕から出遅れたのがすべて。結局、最後までトップコンディションには戻らなかった。
  おかげで傷が癒えていないのか、全力でプレーしていないのか、それとも年齢からくる衰えなのか、
  傍目には判別がつかないのがなんとも。
  高田昌明の他には彼しかいないので、来季も先発することになるんだろうけど。
  印象としては、高田昌明を一回りスケールダウンした感じ(誉めてないよ)。
 

DF  5 幸田将和  試合 21 得点 0 アシスト 5
  重田征紀が退場したときはどうなることかと思ったが、1st Stageはその穴を埋めて大活躍。
  ただ試合を追うごとに、中盤の選手を追い越す動きが全く見られなくなったのはなぜか?
  リティの指示? それともその必要はないと自分で判断した?
  年間を通じてコンスタントに出場したことで、ベストイレブンにも輝いたが、大いに不満が残った。
 

DF  6 公文裕明  試合 19 得点 0 アシスト 3
  満身創痍。Jリーグのクラブが触手を伸ばさなかったのもうなずける。
  ベテランらしさがうかがえる守備はともかくとして、やはり攻撃には期待できない。
  心なしか、ロングスローの到達距離も短く思えてくる。
  問題があるとすれば、彼を除いて左サイドバックができる選手がいないに等しいという、
  チーム事情の方だろう(正確にはひとりいたのだが、リティのお気に召さなかったようで)。
  控えているのが、動かないの(稲垣博行)と当たりに弱いの(根子達也)ではねぇ……
  まぁ戻ってもポジションは安泰だから、ゆっくり静養できたという考え方もあるにはあるが。
 

DF 19 稲垣博行  試合 13 得点 0 アシスト 0
  レセプションから危惧していたのだが、開幕してからも一向に体が絞れてきた様子が見られない。
  思った通りレギュラーには程遠かったが、出場停止の多いチームにあっては出場させざるをえない。
  かといって出場したら出場したでたらたらと動くだけ。やる気のかけらも見られない。
  センターバックではその鈍重さを突かれ、サイドバックとしてはもう素人同然。
  サイドを上下するのではなく、下がったら下がりっぱなし、上がったら上がりっぱなし。
  ボールを奪われて逆襲されているにもかかわらず、その足は止まったまま。
  そんなだから不用意な警告も多くなる。4試合足らずで累積3枚貯まるってのはどうよ。
  中途半端なロングスローを投げて、脅威にもならないクロスを上げて──
  あれが本当にセレッソでレギュラーとして活躍した稲垣博行か? 正直、怒りすら覚える。

  天皇杯のヴェルディ戦では予想外にも活躍したそうですね。やればできるんですね。
  JFLとはモチベーションが違いましたか。そうでしょうね、格上との対戦ですものね。
  それでしたら、来季のあなたの出番は天皇杯の三回戦だけでかまいませんね。
  またあのようなプレーをされては、他のJFLのチームに対して失礼に当たりますもの。
 

DF 20 渡辺一平  試合 9 得点 1 アシスト 0
  最終ラインで周囲に指示を出している側から、いとも簡単に足下をボールが通過していく姿と、
  センターサークルから最終ラインに指示を出しつつ、自分の足を一向に動かそうとしない姿と、
  パワープレーで前線に上げられて、どう動けばいいかわからずにうろうろしている姿──
  それがあなたのすべてです。怠惰とか緩慢とか、一言で片づけてもいいんだけど(苦笑)
  フリューゲルスでプレーしていた選手の扱いは別格なのかな。戦力外を通告されないとか……

  ジャトコ戦で見せてくれたFKは、全国のサッカー少年少女に勇気を与えてくれました。
  壁が飛ばないと、FKって結構簡単に入るものなんですね。
 

DF  7 後藤義一  試合 21 得点 1 アシスト 3
  それなりに過ごした一年で、何か実りましたか? 何か収穫はありましたか?
  モチベーションの上がらないチームにあって、キャプテン自らがやる気を失っていては、
  チームに魅力なんて感じられるわけありませんよね。
  おそらくJFLで現役を終えることになるでしょうから、老い先短い体を労りつつ、
  残り少ない選手としての時間を大切に過ごしていただきたいものですね。
  正直、コストパフォーマンスが悪すぎるんですよ、あなたは。
  中盤の左もボランチもそれなりにこなしていたようですが、素養が他の選手とは違いますものね。
  コンサドーレにいたあなたは、確かに渋い輝きを放っていましたしたよ。
 

MF  8 高田昌明  試合 23 得点 0 アシスト 0
  上を目指すでもなく、手を抜くでもなく、横浜FCで一所懸命にプレーする希有な選手。
  フリューゲルスにいたころからパスカットの能力は高く、守備には定評があったが、
  展開力はまるでなかった(ボールを奪ったらとにかくエドゥーに預ける)。
  足下が弱い点を除けば、センターバックとしてはまずまず合格点が出せるのではないだろうか。
  ただボランチは問題外。チーム事情で仕方ないとはいえ、なにしろ展開力に難があるのだから。
 

MF 14 高木成太  試合 17 得点 0 アシスト 1
  ボランチながら積極的に攻撃参加はするし、視野はそこそこだし、展開力もあるのだが、
  なにより致命的なまでにトラップが下手。それはもうプロとは思えないほどに。
  なにしろ足下でぴたりと止められないのだから、安心してボールを預けることができない。
  こんなトラップをしている選手が、素早く前線に正確なボールを供給できるわけがない──
  そう悟ったとき、彼のことは見限った。
  ボランチがひとりの布陣を敷く横浜FCにあって、出来不出来の差が激しすぎるのも問題。
  場合によっては、ひとりでゲームを壊してしまうほど。
 

MF 16 高尾敬治  試合 7 得点 0 アシスト 0
  出自からして謎な選手。いったいヴェルディに在籍していたのはいつなんだ?
  ボランチにしては堅実だが、面白味に欠ける。つまりは展開力に乏しいと。
  それよりも彼に期待していたのは、左サイドバックで起用されること。
  練習試合での動きを見て、両足に爆弾を抱える公文裕明が出場できなくなった場合、
  必ずや出番が回ってくると確信していたのだが……
  2nd Stageまではともかく、しだいに根子達也に取って代わられてしまう。
  戦力外通告は仕方ないとしても、納得がいくかたちでチームを去りたかったのではないだろうか。
  考え様によっては、ホーリーホック戦にわずか11分で退場したのがけちのつけはじめかもしれない。
 

MF 17 根子達也  試合 8 得点 0 アシスト 2
  唯一Jリーグ経験のない選手。そのぶん年俸も……
  ブランメルでも主力選手だったわけではなく、その痩身ゆえに第一印象はどうしても実力に
  懐疑的なものにならざるをえなかった。
  負傷離脱した公文裕明の穴を埋めるべく、左サイドバックで起用されることが多かったが、
  リティは彼のどこにサイドバックとしての適性を見出したのであろうか。
  当たりは弱い、ポジション取りも上手くなく、鋭い攻撃参加を見せるわけでもない。
  はっきりいって、到底向いているとは思えない。
  ブランメルで一緒にプレーした彼を、出場させようとしたのでないことを信じたいが……
 

MF 18 小野信義  試合 23 得点 4 アシスト 11
  彼については、開幕前の評価を詫びなければならない。
  ヴェルディで6年間もくすぶっていたような選手に、大したプレーができるわけないと思った。
  開幕直前、中盤の中央での起用が予想されていたが、私の評価は中丸貴之の方が上だった。
  実際、開幕してからも周囲の期待に応えるプレーは少なかったように思える。
  1st Stageではセットプレーからしかアシストを記録していない事実が、それを物語っている。
  パベルが中盤に下がってからは出番も少なくなり、そのまま消え行くかに思えたのだが──
  F・マリノスユースとの一戦でのハットトリック以来、何かが変わった気がする。
  藪田が中盤に下がったことで得意の左サイドに入り、正確なクロスで僅差の勝利に大きく貢献した。
  時としてリティの不可解な指示で右サイドにまわり、その輝きが影を潜めることはあったが。
  開幕当初と比較すると、見違えるほど動きはよくなった。
  その終盤の好印象ゆえに、中盤から唯一人ベストイレブンに選出されたのも、至極当然のことだろう。
 

MF 23 中丸貴之  試合 10 得点 0 アシスト 1
  練習試合を見る限り、他を凌駕して中盤のポジションを確保するかに思えたのだが……
  まさかハーフタイムプレイヤー*3だったとは。
  スターティングメンバーに名を連ねても、体力の残っている選手を相手に思うようにプレーできず、
  無駄に体力を消耗して、後半にはピッチから姿を消している。
  後半から出場させてやればそれなりの動きはしてくれるが、プレーエリアが重田征紀と増田功作の
  ふたりと重なっているため、利用価値は決して高くない。
 

FW  9 橋本研一  試合 4 得点 0 アシスト 0
  エースナンバーをもらって…… で、あのていたらく?
  練習の出来がいくら素晴らしくても、実戦で実力が発揮できなければプロとしては失格。
  アントラーズ入団一年目、開幕戦から起用されたころの輝きも今では見る影もない。
  オフサイドラインは見ていない、動きが大きすぎて目立ちすぎる。ストライカーとは思えない。
  出場した試合の印象が悪いというのもあるが。
 

FW 10 パベル   試合 20 得点 8 アシスト 2
  確かに彼がいなかったら…… とも思わないではないが、彼もコストパフォーマンスが悪すぎる。
  最初の数試合こそ得点を重ねたものの、夏場に差しかかってからは急激にペースダウン。
  中盤に下がったことも理由のひとつだろうが、ディフェンス面での活躍ばかりが目立つのはなぜ?
  結局、ストライカーとしての彼は、天皇杯まで戻ってくることはなかった。
  引退試合となったヴェルディ戦は、燃え尽きる前の線香花火が一瞬ぱっと光り輝いたようなものか。
  元チェコスロバキア代表だけあって、確かにひとつひとつのプレーは上手い。
  ボレーシュート、トラップ、トリッキーなプレー、そして危機察知能力。
  それでも、やはり物足りなさは残った。
 

FW 11 増田功作  試合 19 得点 2 アシスト 2
  彼の最大の難点は、重田征紀とプレーエリアが重なること。
  オフサイドラインを横目で見ながら飛び出しのタイミングを計るなど、意外な一面も(笑)
  えぇ、橋本研一に見せてやりたいくらい。
  ふたりともスピードを活かしたプレーが持ち味だが、深くまで切れ込んでいく重田征紀に対して、
  どちらかといえばアーリークロスや、切り返して左足でシュートを狙うタイプだろうか。
  負傷離脱や、不本意な左サイドでの起用があったので、評価を下すのは難しいのだが。
  あ、ボレーシュートの精度だけはどうにかしなさい。問題外、とても元FWとは思えない。
 

FW 13 藪田光教  試合 23 得点 12 アシスト 2
  最も上昇志向の強い選手。
  横浜FCを踏み台にして、Jリーグの舞台に返り咲くことを目指していた選手。
  プロとしてそう考えるのは当然だし、共感できる。
  仮にもかつてJリーガーと呼ばれた選手が、JFLなんて三部リーグの水に慣れてどうする?
  もちろん働きながらアマチュアチームでサッカーを続けていくのも、ひとつの人生だとは思うし、
  それを否定するつもりは毛頭ないが、横浜FCの選手はプロ契約なんだから。
  ヴィッセル移籍、おめでとう。昨年の入団テストは不合格だったよね。

  ペナルティエリア内からのシュートは枠に飛ばず、ペナルティエリアの外から放ったシュートは
  ここしかないという絶妙のコースへ飛ぶという、摩訶不思議なFWである。
  「2列目で使え!」という念がリティに通じたのか、中盤にコンバートされてからは、
  囲まれてからが強いボールキープと絶妙な球出しで、見違えるような活躍を見せた。
  FWとしては罵声の浴びせがいのある選手だったけどね。「正座!」
 

FW 15 有馬賢二  試合 24 得点 19 アシスト 4
  常に前を向いて、シュートすることを意識しているストライカー。
  ゴール前での得点感覚は素晴らしく、中盤が機能していれば得点王も狙えたかもしれない。
  シュートで終わろうという姿勢は、FWとしては当然のことであるし、好感も持てる。
  う〜ん、貶しようがないなぁ。
 

FW 24 田中洋明  試合 1 得点 1 アシスト 0
  デビュー戦は華々しかったが、リティが重用したのは遅れて加入した松田正俊の方。
  所詮、遠藤昌浩の代わりにヴェルディから譲り受けた、構想外になっていた選手ということか。
  可能性を感じさせる選手ではあったが…… 横浜FCからも後味の悪い去り方をしたし……
  国士舘大学への進学が決定したようなので、おそらく来季は敵として見えることになるだろう。
  ヴェルディユースで同期のくっしー*4も在学しているし、なにより彼はまだ21歳。
  Jリーグに復帰する道*5が閉ざされたわけではないのだから。
 

FW 25 松田正俊  試合 9 得点 3 アシスト 2
  圧倒的な強さで"かながわゆめ国体"を制した、千葉県代表のストライカー。
  FC東京からレンタルで加入し、その長身と恵まれた体格を活かしたプレーは攻撃の幅を広げた。
  本田技研戦での活躍をはじめとして、3rd Stageの優勝は彼によるところが大きい。
  体をつくってポストプレーに磨きをかければ、必ずやFC東京でも活躍できることだろう。

 

監督    ピエール・リトバルスキー
  ボール蹴りたくてうずうずしているんだったら、いっそのこと現役復帰すればいいのに。
  ブランメルでも内実はプレイング・マネージャーだったわけだし、選手の誰よりも上手いんだから。
  プレスキックだけでも大きな武器になるし、センターバックの不安もある程度は解消されるだろう。
  しかも使えない選手をひとり解雇できるわけだから、人件費の削減にもなって一石二鳥。
  試合中の指示とか選手交代はどうするかって? いなくても別に支障なさそうじゃん(暴言)

  監督としての資質は…… すでに語ったも同然ですね。
  選手のモチベーションを上げるのも、監督の大切な仕事なのだから。
 

*1……前田信弘の控えというのは、ヴィッセルのフロント入りする一方、神戸FC1970でもプレーしている石末龍治。
    その控えというのは、川崎製鉄の会社員に戻って、リバーフリーキッカーズでプレーしている兼本正光。
*2……考えてみれば、大したことないのも当然かもしれない。なにしろファウルで相手を止めるプレーはあまりに有名で、
    川淵チェアマンから「ああいうのはみっともない。技術が低いからだ」と、名指しで批難されたこともあるのだから。
*3……その名の通り、前半ないしは後半の45分間しか体力のもたない選手のこと。
    代表的な選手としては、芹沢直茂(清水学苑)が挙げられる……って、それは"蒼き伝説 シュート!"の登場人物だって。
    現実の選手でいえば、松木秀樹(ジャトコ)などがその典型に当たるだろう。
*4……観戦記を読まれた方ならご存知だろうが、写真撮影の正座でわれわれを虜にした、久島寿樹のことである。
*5……ジェフから戦力外を通告されて中央学院大学へ進学した式田高義は、昨年途中に大学を中退してアルビレックスへ入団した。
    またヴェルディを退団して、在学していた中央大学サッカー部に籍を移した一木太郎は今春卒業を迎え、
    Jリーグではないが、ソニー仙台で新たなサッカー人生のスタートを切ることになった。
    個人的に復帰が待たれるのは、中京大学在学中の西政治(東福岡−アビスパ)なのだが。
 

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