一平のインタビューもそこそこに、平塚競技場を後にして国立競技場へ向かう。
千駄ヶ谷駅で待たせていた後輩の友人とも無事合流し、みなの待つアウェイ側ゴール裏へ。
せきとり、ありがとうございました。
ちなみにこの日の「君が代」独唱は、J−WALK。
日本の布陣
GKは曽ヶ端。フラット3の最終ラインは中央に宮本、右に中沢、左に中田浩二。
中盤はボランチにヤット(遠藤)と稲本、サイドハーフは右に明神、左に本山。
中田英寿のいない中央には中村俊輔が入り、福田と高原が前線に位置する。
タイの布陣
GKはウィラット。
最終ラインは後方にニルツがひとり余り、右からアピチェット、カネー、ナラット、タノンサク。
中盤はボランチにキサナ、左のティーラサクはやや守備的、そして右にイトサレット。
前線はジャトポンとスティー。
9分
右サイド、タイ陣内の中ほどからの中村のFK。左足で蹴ったボールは、カーブを描いてゴール前に上がる。
走り込んだ高原がバックヘッドで合わせるが、飛び出したウィラットが両手で弾く。
落ちてきたところを、急制動をかけた福田がオーバーヘッドを狙うが、さすがに足は届かず。
ディフェンスがタッチラインに蹴り出す。
ボールを見て足が止まってしまったディフェンスと、GKウィラットの間に上がった絶妙のボール。
高原の体勢が充分ではなかったのと、目前までウィラットが迫っていたため、ゴールにはならなかったが。
11分
中央やや左、ペナルティエリアのすぐ外にいる中村が、向かってきたディフェンスのクリアボールを
ツータッチでゴールエリアにまで迫り、左足でグラウンダーのシュートを放つが、ゴールの右に外れる。
トラップでふたりを抜いて、次のタッチでさらにひとりをかわして、そしてシュート。
ボールタッチがやわらかくて、動きそのものもしなやかだよね、中村は。
25分
自陣からニルツが最終ラインの裏にふわっとしたボールを蹴り、イトサレットが2列目から飛び出す。
中田浩二に体を寄せられる前に、左足で浮かせて曽ヶ端の頭上を狙うが、ゴール左に外れる。
オフサイドの位置にいたジャトポンとスティーは、たんたんと戻ってプレーに関与しないことをアピール。
だからパスの出し手にプレッシャーをかけずに、オフサイドトラップを仕掛けるのは危険だって。
28分
45分
48分
54分
58分
59分
60分
選手交代:イトサレット→イッサワ
80分
82分
選手交代:ナラット→プレタラット
88分
遠藤保仁
右サイド、11分のプレーとほとんど同じ位置からの中村のFK。
同じようなボールに、同じように高原がヘッドで合わせるが、クロスバーを越える。
宮本のセンターサークルからのフィードに、高原がペナルティエリア内右サイドに抜け出して、
タイ陣内で本山がボールを奪い、高原(福田?)から中村へ戻される。
その間を利用して左サイドを駆け上がった本山に、中村から正確なパスが送られる。
本山はダイレクトで左足を振りぬくが、ゴールの右に外れる。
危ない場面は一度か二度、もちろんボールを支配しているのは日本だが、どうにもリズムが悪い。
福田と高原にむやみにくさびのパスを入れたり、こらえきれずにゴール前にクロスボールを放り込んだり。
人数が足りていないので、みすみす相手にボールを渡してしまっている。
タイはゴール前を固めているという印象はないが、守備にはやはり多くの人数を割いており、
日本のシュートが枠に飛んでいないのも、気がかりなところである。
選手交代:福田健二→平瀬智和
福田は前半の出来を考えれば、交代もやむなし。
ヤットの左CK。右足から放たれた速いボールに、近いサイドの平瀬がヘディングで合わせ、
そんな中、ヤットのクロスから生まれたCK。高原の前にいた平瀬が見事にこれを叩き込んだ。
タイも集中を切らしていたんだろうなぁ、あれだけフリーでシュートを許すんだから。
左サイドからの本山のスローイン。
いったん中村に預けてリターンをもらい、イトサレットをかわして左サイドを鋭くえぐる。
ゴール前に低く折り返し、フリーの平瀬が左足ダイレクトで合わせて追加点をあげる。
ディフェンスが一斉に下がってゴール前を固め、ペナルティスポット付近にぽっかりとスペースが空く。
そこにするりと入り込んだ平瀬。低く押さえたシュートもさることながら、その感覚の鋭さを評価したい。
アピチェットが外に出されてひとり少なかったことも、タイには災いした。
自陣深くで日本がボールを奪い、中村が左サイドのオープンスペースに大きく展開する。
走り込んだ平瀬がきっちりコントロールして、ペナルティエリアに入ってカネーと対峙。
縦方向に動いてカネーを外し、エンドライン手前から左足で低く折り返す。
高原が走り込んで左足で合わせ、立て続けに追加点をあげる。
ゴール前に揃っていた3バック。カネーは平瀬を追い、中央のニルツもつられて下がる。
結果的にまたもやスペースが生じ、3バックとは距離を置いていた高原がすかさず走り込む。
もちろんGKウィラットは近いサイドのポストを固めているから、あとは合わせるだけ得点になる。
素晴らしいです、はい。
左サイドから放り込まれたボールを、中田浩二が戻りながら左足でクリア。
高く上がってあまり距離が出ず、落ちてきたところを本山が中田浩二に戻す。
これをトラップし損ない、ジャトポンが拾って右足で豪快にゴール右に蹴り込む。
明らかに本山の判断ミス。左足で戻すのではなく、右足でクリアすれば問題はなかった。
右サイドの明神がスルーパスを通し、平瀬が外に開いてこれをもらう。
高原が中に入ってディフェンスを引きつけ、フリーになったヤットに平瀬のクロスが入る。
胸でのトラップが流れてしまい、シュートには至らず。
選手交代:本山雅志→戸田和幸
戸田を最終ラインに入れて中田浩二を左に出すのではなく、戸田はそのまま本山の位置へ。
左アウトサイドはエスパルスでは経験があるが、代表では練習したことすらないらしひ。
選手交代:中村俊輔→藤本主税
小笠原の調子が上がらないため、合宿に追加招集された藤本。
個人的に大好きな選手なので、彼の出場はなにより嬉しかった。
ゴール正面やや左からのFK。ニルツが右足で直接狙うが、曽ヶ端に両手で押さえられる。
コースはよかったが、ボールにスピードがない。曽ヶ端も飛ぶタイミングをしっかり計っていた。
藤本が中盤でためをつくり、前方にグラウンダーのパスを出す。
高原がディフェンスをやり過ごし、ペナルティエリア右サイドから右足で強烈なシュート。
ウィラットがなんとか体で押さえる。
藤本が左サイドでボールを奪い、ドリブルでペナルティエリアに切れ込む。
後方から足をかけられて倒されるが、主審の笛は鳴らない。
藤本がヒールで左サイドのスペースに流し、藤本が走り込むのを待って平瀬がゴール前に折り返す。
これはカネーにカットされるが、足を伸ばして高原がこぼれ球を戻し、藤本が右足でシュート。
わずかにゴールの左に外れる。
結局のところ、失点を許すまでの13分間だけだったよなぁ……
以後は攻撃のかたちはつくれるのだが、どうしてもシュートまで行けない。
終盤、途中出場した藤本がかき回すことによって、ようやくシュートが撃てるようになった。
この日のタイが相手であれば、2点差はセーフティリードではあったが。
しかし日本の左サイドからの攻撃には、思わず惚れ惚れと見入ってしまうよなぁ。
ナイジェリアで行われたワールドユースで、一皮も二皮も剥けたガチャピン……じゃない、ヤット。
右サイドからカーブをかけたアーリークロスの精度も高いので、アウトサイドでも起用できるかも。
中田英寿も小野も不在のため、トルシエに指名されてプレスキッカーもつとめた。
球筋が素直すぎるきらいはあるものの、キックの精度は高く、平瀬の先制点を演出した。
決定機を逃すなど不満も残ったが、日本の中盤に欠かせない選手に成長したことを改めて実感した。
日本
3
0 前半 0
タイ
1
3 後半 1
会場:国立競技場/観衆:54678人
得点:1-0 平瀬智行(48分、アシスト=遠藤保仁)
2-0 平瀬智行(54分、本山雅志)
3-0 高原直泰(58分、平瀬智行)
3-1 ジャトポン(59分)
日本 タイ
GK 曽ヶ端準 GK ウィラット
DF 中沢佑二 DF アピチェット■
DF 宮本恒靖 DF カネー
DF 中田浩二 DF ニルツ■
MF 明神智和 DF ナラット
MF 稲本潤一 DF 82プレタラット
MF 遠藤保仁 DF タノンサク
MF 本山雅志 MF キサナ
DF 78戸田和幸 MF イトサレット
MF 中村俊輔 FW 60イッサワ
MF 80藤本主税 MF ティーサラク
FW 福田健二 FW ジャトポン
FW 45平瀬智行 FW 89バムルン
FW 高原直泰■ FW スティー
SUB 南 雄太 SUB ワチャラポン
SUB 酒井友之 SUB ウドム
SUB 小笠原満男 SUB クワンチャイ
SUB 小島宏美