鹿島アントラーズ戦 観戦記

25日夜、夜勤中の私の携帯に一本の電話が入る。
「あ、ゆきさん。明日のクリスマス会に出演してもらうから、午前11時までに来てね」
それは、所属する国際交流会IFCの前代表(マリノス戦に同行した桐光学園のひと)からだった。
#ちなみに製作者本人が卒業してしまったため、1997年から更新されていません。
ねぇ、私の睡眠時間は? ねぇってばぁ……(黙殺されたらしい)

料理を手伝って、出演(内容は秘密)して、談笑して、忘年会に出て、2次会……
もぉかんべんしてください(泣) 抜け出して山手線を一周とすこし、泥のように眠る。
寒空の下1時間ほどホームに並び、品川駅から大垣行臨時便に乗って大阪をめざしました。
ムーンライトながらと違い、普通のボックス席なので腰や背中が痛い。でも寝る。ぐぅ〜〜

大阪駅であさごはんを食べて、しばし街を散策してから長居スタジアムへと向かうことに。
入場ゲート側のグッズショップを覗いていると、声をかけられる。
みなさんはすでに到着されており、前座試合の'98Jユースカップ決勝戦を観戦しているとのこと。
さすがにお早い……

決勝戦に勝ち上がったのはジェフとアントラーズ。
ユースの選手には詳しくないので、ジェフのMF阿部勇樹とアントラーズのFW小林康剛を中心に観戦。
ジェフが2−1とリードして前半を折り返し、後半に入っても明らかにジェフのペースだったのだが、辺見主審の不可解な判定で追加点を奪えず、85分、89分と立て続けに失点して逆転負けしてしまった。
取るべきところで反則を取らずして、何が主審だか。
アントラーズからはGK加藤慎也、DF松島竜太、DF矢畑智裕、DF中嶋譲、FW小林康剛が昇格。
ジェフからはMF内田耕平が昇格、FW松田佑也が本田技研に入団することになった。
いつの日か、彼らに再会することもあるだろう。

フリエの試合開始まで、オーロラビジョンで2時間早くキックオフされるもうひとつの準決勝を観戦。
サービスがいいぞ、長居スタジアム。
それにしても解せないのが準決勝の試合会場。逆にしろ、逆に。

スタンドには「必薩仕事人・薩川了洋」の横断幕も登場し、薩川半袖隊もらしくなってきました。
相変わらず、フリエのファンは前向きです。

アントラーズの布陣
いつも通りの4−4−2。最終ラインは左から相馬、室井、秋田、名良橋。ボランチに本田と内藤。
ビスマルクと阿部が攻撃を組み立て、最前線には長谷川とマジーニョが並ぶ。

3分
波戸が名良橋からボールを奪い返し、右サイドの久保山がゴール前にアーリークロスを上げる。
室井の頭に当たって遠いサイドに流れ、吉田がヘディングで戻して、永井が右足でボレーシュート。
ペナルティエリアの外、難しい体勢から放たれた一撃は、詰める秋田と室井の間を抜けてゴール左隅に決まる。
シュートの瞬間、高桑は反対方向の足に体重をかけており、完全に逆をつかれていた。
フリーだったとはいえ、ノートラップで狭いコースを狙うあたりはさすがに永井。

7分
永井が自陣からドリブルで中央突破。DFを引きつけてから、フリーで上がる右サイドの吉田へ。
ペナルティエリア内に入り、シュートと見せかけて遠いサイドにクロスを上げる。
永井が飛んで合わせようとするが、ジャストミートしなかった。
速攻による逆襲。永井のパスがもう少し優しければ、吉田はそのまま右足でシュートできただろうし、
吉田のクロスもあと少し短ければ、永井のヘディングはゴールに突き刺さっていただろう。
左サイドからアツも上がってきていたので、永井も無理をせずに任せるべきだったかもしれない。
ま、いい攻撃だったということで。

10分
アツの左CK。直接ゴールを狙ったが、ニアポストにいた本田がヘディングでかろうじてクリア。
ボールが落ちてくるところを尽が右足で合わせようとするが……スカる。
ワンバウンドで長谷川の腕に当たったが、故意ではなかったためハンドは認められず。

10分
右サイドから波戸のロングスロー……と思いきや、完全なファウルスロー。
踏み込んだ足がタッチラインを踏んでいるのはよく見るが、完全にラインを越えているのは珍しい。
いや、べつにアツと張り合わなくても……

18分
山口が中盤の選手を引きつけてから、センターサークル付近にいる永井へパスを通す。
永井がぽっかり空いたスペースを独走。左から久保山、右には吉田、さらにその外から波戸が上がる。
最終ラインに残っていた相馬、室井、秋田は、ラインを保ちながら下がっていく。
フェイクを挟んで室井を外し、ペナルティエリアの外から右足でシュート。
シュート回転がかかって、わずかにゴール右上に外れる。

23分
ビスマルクの右CK。逃げていくボールに、走り込んだ秋田が高い打点で合わせる。
ナラが逆をつかれながらも左手一本で止め、右手でボールを胸元に引き寄せてがっちりとキープ。
秋田に外側からまわりこまれたため、完全にフリーでシュートさせてしまった。
ゴール前には長谷川が詰めていたので、ナラがはじいていたらおそらく失点していただろう。

27分
フリューゲルスのミスパスを本田がカットして、マジーニョへ。
尽に競り勝ち、サツが詰めてきたところで右サイドでフリーになった長谷川へパス。
ペナルティエリアのすぐ外、右45°から右足でシュートするが大きく外れる。

30分
ビスマルクのスルーパスに、走り込んだマジーニョと戻るサツが交錯。
ペナルティエリアに入ったところで、マジーニョの右腕がサツの顔面にヒット。
一瞬、いや三瞬ほどの間があって、顔面を押さえて倒れるサツ。
モットラム主審の笛が吹かれ、すぐ起き上がって手を叩くサツ。
サツにイエローカード、マジーニョにレッドカードが出される。
マジーニョ 退場。
おそらく腕が絡んだか、引っ張られたかして、それを振りほどこうとしたのだろう。
サツ、倒れるの遅すぎ。でもって、すぐ起き上がって喜ぶんじゃない。
ナラは抗議するアントラーズの選手を尻目に、おでこの上にボールを乗せて遊んでるし。
ナラのキックで再開されたということは、もしかしてサツのイエローってオーバーアクション?
「サツ、決勝戦出れるよね?」などと周囲に確認していたが、この時点で駄目だったらしい。
いずれにしろ、すぐに杞憂になるわけだが。

32分
阿部のドリブルを、サツがコースに体を入れて止めて、2枚目のイエローカード。
薩川了洋 退場。
体を入れて姿勢を低くして、左肩で阿部をふっ飛ばしているからなぁ……
確信犯だろうなぁ……

前半の感想
得点こそ1−0だが、ペースを握っているのは完全にフリエ。
ビスマルクが完全に押さえ込まれているため、アントラーズは本来の攻撃ができていない。
対するフリエは、序盤は永井が、終盤は波戸の動きが光っていた。
ひとり減った後も互いに布陣は変わらず、フリエは2−5−2、アントラーズは4−4−1の模様。

46分
左サイドからアツのFKがゴール前に上がる。
ボールは両チームの選手の頭上を越えて、高桑の前でショートバウンド。
いったんははじくが、なんとか押さえこむ。
競り合うときに、届かないからといって両手を挙げるのはどうかと思うぞ、尽。

53分
左45°からビスマルクのFK。長谷川のヘディングシュートは、ワンバウンドでナラが押さえる。

53分
阿部が左サイドをドリブルで突破して、長谷川と室井の待つ中央にクロスを上げる。
長谷川が胸でトラップして、ペナルティエリアの外から右足でシュート。
前田浩二の尻に当たってコースが変わり、ボールはゴール前に走り込んだ阿部の目の前に。
阿部が得意の左足で合わせるが、ゴールの右に外れる。
波戸と尽が阿部についていたため、ゴール前に残っていたのは前田浩二ひとり。
クロスが緩やかだったためにサンパイオが戻れたが、それでも長谷川と室井はフリーだった。
今みたいに、尽が右サイドに釣り出されるのが恐いなぁ。

58分
名良橋のドリブルをアツが止めて、自陣深くから左サイドを持って上がる。
本田をフェイントでかわして中央の永井へ。室井がカットするが、こぼれ球を拾ってさらに縦へ。
秋田をスピードでかわし、左足でシュートするがミートせず。
戻った相馬の右足に当たってゴールラインを割る。あわやOWN GOAL。

62分
左サイド、阿部のスローインを相馬が受けて、前線の長谷川に出す。
相馬が折り返しをもらい、中に切れ込むと見せて前田浩二をかわし、縦に突破して左足でシュート。
グラウンダーのボールはゴール右に外れる。

63分
左サイドをアツが持って上がり、本田と名良橋につかれながらも、本田の股を抜いて突破を図る。
アツが拾うより先に、永井が拾ってさらに深く進入。秋田と本田に行く手を阻まれ、本田に奪われる。
いずれもペナルティエリア内でのプレー。
アツと永井のテクニックも素晴らしいが、ファウルを犯さずにボールを奪ったアントラーズはさすが。

63分 選手交代:内藤就行→本山雅志

67分
早いリスタートから左サイドの吉田に渡り、ゴール前にクロスが上がる。
久保山と山口が詰めていたが、室井がゴールラインに逃げる。

69分
前のプレーで得たCKからアントラーズに速攻を仕掛けられるが、山口がボールを奪う。
サンパイオが右サイドに出して、波戸が突破。高桑の位置を見て右足で強烈なロングシュートを放つ。
高桑はパンチングでコーナーに逃げる。
得点にこそなっていないが、波戸はロングレンジからほんとにいいシュートを放つ。
一樹が勝っているのは足の速さだけになってきた感があるなぁ……

71分 選手交代:吉田孝行→アンデルソン

73分
選手交代:阿部敏之→柳沢 敦
右足首の負傷が癒えているであれば、間違いなく先発出場していたはず。
にもかかわらず、柳沢を使わなければならないあたり、敵さん余裕がなくなってきているな。

75分
左サイドで柳沢が相馬に戻し、右足でゴール前へクロスを上げる。
本山、長谷川が走り込むが、サンパイオが本山に競り勝ってヘディングでコースを変える。
長谷川がフリーだったので、サンパイオがさわらなかったらと思うと……

フリエの布陣変更
アントラーズがFWを増やしてきたため、尽と前田浩二がストッパーとして2トップをマーク。
状況に応じてアツが最終ラインに入り、ひとり余ってリベロ的な役割を担う。

79分
選手交代:室井市衛→小笠原満男
小笠原を中盤に投入し、本田を最終ラインに下げる。中盤は全員が攻撃的な選手に。

80分
左サイドに出たスルーパスを、相馬がゴール前へ低いボールで折り返す。
近いサイドに走り込んだ長谷川が右足アウトサイドでシュートを狙うが、前田浩二が体を投げ出して防ぐ。

80分
ペナルティエリアの外から相馬が右足でミドルシュートを放つが、枠を外れる。

82分
センターライン付近からアンデルソンが左サイドを突破。
ペナルティエリア内で切り返して、名良橋をかわして右足でシュート。
勢いはさほどなく、秋田の体に当たってゴールラインを割る。

84分
最終ラインにいたアツがコースを読んでパスカット。そのまま右サイドをドリブルで上がる。
ペナルティエリアに入ったところで、フェイクを挟んで本田をかわそうとするが、ボールを奪われる。
倒されたけれども、しっかりボールに行っていたのでファウルにはならないわな。

85分
アンデルソンが中央を持って上がり、ディフェンスの間を通して右から上がる永井へ。
ペナルティエリアを縦に切れ込んで右足でシュートを放つが、高桑が真正面で押さえる。

89分
右サイドでボールを受けた柳沢が、アツをかわしながらまわりこんでゴール前へ向かう。
ペナルティエリア手前で山口がスライディング。
ボールが足下から離れた一瞬の隙を突いて、アツが体を入れ換えてボールを奪う。
ファウルを犯さず前を向いたFWからボールを奪う。地味だが、非常に大きなプレーだった。

89分
相馬が左サイドから、ゴール前に大きなクロスを入れる。
長谷川が前田浩二に競り勝って折り返し、走り込んだ名良橋が倒れ込みながら右足で強烈なボレーシュート。
ナラのほぼ正面に飛んだため、体を投げ出して胸でしっかりキャッチ。
ふぅ〜〜 これはほんとに危なかった。
名良橋はクロスを上げているぶんには恐くないけど、中に入られると恐い。
ロングシュートの精度は高いし(ポストやバーをよく叩くけど)、ボレーシュートもあるし。

ロスタイム(92分、公式記録では89分)
選手交代:永井秀樹→原田武男

試合終了
ナラ、原田と抱き合い、山口の背を叩き、久保山の頭を叩き、ガッツポーズを小さく挟んで。前田浩二……
エンゲルス監督は笑みを湛えて両手を突き上げ、山根くんは満面の笑みを浮かべ、喜び叫ぶスタッフたち。
──なんてのはすべて後からビデオで確認したことであって、実際は観客席で歓喜の輪の中にいましたけど。

TVインタビュー
笑顔であれだけしゃべってる永井、久しぶりに見た……

後半の感想
前半とは打って変わってアントラーズペース。
フリエのディフェンスも、ゴール前のアントラーズの選手を捕らえきれていない。
幸いだったのは、マジーニョが退場していていなかったこと。
フリエもサツが退場して10人になっているので、条件は同じだと思われるかもしれないが、少し違う。
時として10人になってから攻撃が機能することがあるが、それはスペースが広くなったからだ。
アントラーズの場合は、ターゲットがひとり減ったことによって、明らかに攻撃力が低下していた。
長谷川にクロスが入った際、側にいるマジーニョに落とすという選択肢がなくなったため、落とし所に困ったり、無理にシュートに行かざるを得なかったりする場面が多々見られた。
11人対11人であっても、サツがマジーニョを押さえていれば同じだろうと思われるかもしれないが、なあに、尽があれだけ翻弄されていたことを考えれば、おそらくいてもいなくても同じでしょ……
はっはっはっはっはっはっはっはっ………
書いてて虚しくなってきた。でも、たぶん事実。

鹿島アントラーズ 評
1st stage、2nd stageと僅差ながら勝利しているので、フリエの勝利に疑いを抱くことはなかった。
Jリーグチャンピオン、なにするものぞ。
ジュビロ磐田戦は、ねぇ……(苦笑)

奥野僚右と増田忠俊が負傷で不在、攻守の要ジョルジーニョが退団してなおこの布陣。
本山雅志、小笠原満男、曽ヶ端準、金古聖司、小林康剛と着実に戦力を補強しており、うらやましい限り。
今年も鈴木隆行、栗田泰次郎、池内友彦、佐藤洋平をレンタル移籍させ、小川雅已は請われての移籍、解雇した真中靖夫と水筑優文はいずれもJ1のチームが獲得した。

選手層が厚い。有望な若手が集まる。若手育成のシステムが整っている。選手をレンタル移籍させる余裕がある。
解雇した選手にすら買い手がつく。ブラジルと太いパイプがあり、しかもテクニカルディレクターはジーコ。
地元に密着している。最大収容人員15870人のカシマスタジアムで、平均観客動員15345人という素晴らしさ。
しかもそのカシマスタジアムは今年改修され、最大収容人員は飛躍的に増える。
うらやましがってばかりもいられませんが、いいことずくめですね。
フリエの選手に触手を伸ばす必要性すらありませんわ。
ジョルジーニョの抜けた穴さえ埋まれば、少なくとも数年は安泰でしょう。
心配があるとすれば、選手の海外移籍による戦力低下くらいでしょうか?

試合終了後
喜びをかみしめ帰路に。関西国際空港へ向かう人、新幹線を利用する人と別れ、私はひとり各駅停車の旅。
「みんな貧乏が悪いんやぁ〜〜!!」 ……ってのは高橋留美子の「超女」でしたっけ?
まぁ私の場合、半分は好きでやっているわけですが。
大垣駅発の東京行臨時便に乗り、深い眠りに落ちる。
途中寄り道をしてまきさん宅を訪問。高校時代の同級生で…… 肩書きは何にしましょうか?
チケットその他もろもろを受け取り、憩いの我が家へと辿り着く。
しかし、眠ることは許されない。午後には友人が来訪し、修羅場(業界用語:笑)が始まるのだ。
あぁ、私の睡眠時間はいづこ…… とほほ。

横浜フリューゲルス
前半鹿島アントラーズ
後半
会場:長居スタジアム/観衆:20315人
得点:1-0 永井秀樹(3分、アシスト=吉田孝行)

横浜フリューゲルス鹿島アントラーズ
GK楢崎正剛GK高桑大二朗
DF薩川了洋DF相馬直樹
DF前田浩二DF室井市衛
DF佐藤 尽MF78小笠原満男
MF三浦淳宏DF秋田 豊
MF波戸康広DF名良橋晃
MF山口素弘MF本田泰人
MFサンパイオMF内藤就行
FW永井秀樹MF63本山雅志
DF89原田武男MFビスマルク
FW久保山由清MF阿部敏之
FW吉田孝行FW73柳沢 敦
MF71アンデルソンFW長谷川祥之
SUB仁田尾博幸FWマジーニョ
SUB佐藤一樹SUB曽ヶ端準
SUB大島秀夫SUB真中靖夫

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