ジュビロ磐田戦 観戦記

青春18きっぷで、東海道本線を乗り継いで神戸へ。
総合運動公園には、ユニバー記念競技場、グリーンスタジアム神戸などのスポーツ施設が集中しており、この日もグリーンアリーナ神戸では全日本総合ハンドボール選手権大会が行なわれていた。
どうりで、地下鉄にごつい男たちが乗っているわけだ。

開場前に到着してしまったため、列の最後尾に並んで開場を待つ。
門の際で抽選券が配布され、選手への花束贈呈者募集のコーナーも設置されている。
ちっ、やっぱり子供と女性のみか。まぁ男に渡されても嬉しくもなかろうが。
スタンドで、あらかじめ連絡を取っておいたジュビロサポのTERU氏、改めオグリンテルリン氏と会う。
#後日氏が語ったところによると、相当嬉しそうな表情で近づいていったらしい、私は。
話を聞くと、どうやらジュビロの状態は相当悪いらしい。
垣間見えたのは弱音か、それとも冷静な判断か。

しばらくして、札幌でお世話になったツアー組の方々が到着されたので、合流させてもらうことに。
神戸ユニバの自由席はバックスタンドまで切れ込んでいるので、見やすいバックスタンドに陣取る。
すぐ後方には「薩川半袖隊」が。鳥取から出現した「前田軍団」も着実に勢力を伸ばしている。
応援そのものを楽しんでいるあたり、いかにもフリューゲルスらしいという感がする。
電光掲示板に花束贈呈者の名前が表示され、そこにはきゃろるさんの名前が……
おぉ〜〜
いろいろあって、山口キャプテンに渡されたそうです。

ジュビロの布陣
ドゥンガが退団し、鈴木秀人とアジウソンを負傷で欠くためか、いつもの迫力が感じられない。
基本は4−4−2のまま。最終ライン左に山西、中央に田中誠と喜田、右に古賀。
中盤はボランチに福西と服部、左に名波、右に藤田。前線は奥が下がり目で、トップに中山。
レギュラーの座をつかみきれていない山西と福西、20歳で本来はボランチの喜多。ここらあたりが狙い目か。

4分
藤田が自陣からドリブルし、センターサークルをこえたあたりで右前方にスルーパスを出す。
中山が合わせて右に流し、アツの足に当たって、右サイドを上がる古賀に渡る。
ペナルティエリア内に切れ込んで右足でシュートを放つが、戻ったサツがスライディングで勢いを殺し、ナラが左手に当ててコーナーに逃げる。
ゴールに向かう際のトラップが大きかったとはいえ、失点していても不思議はなかった。
サツの足の速さに助けられた。なにより方向転換してからトップスピードに達するまでが速い。

6分
左サイドから、アツのロングスローがゴール前に上がる。
サンパイオが競り勝ってゴール前のスペースに落とし、久保山がノートラップで左足を振りぬく。
ボールはバウンドして大神の横を抜け、ゴール右に吸い込まれる。
ジュビロの選手がサンパイオにふたりついたため、久保山がフリーになってしまった。
完全なマークのミスだが、後ろから来るボールに合わせた久保山もさすが。
久保山は試合中消えていてもいいんだ、得点にからんでくれさえすれば。

23分
アツの左CKが、捲いてきてニアサイドのポストを叩く。

23分
ペナルティエリア内の混戦から永井が後ろへ戻し、波戸が右足で強烈なロングシュート。
クロスバーに当たって、ゴールラインを割る。
伸びすぎたのが災いした感がある。

40分
センターサークル付近から、藤田が右サイドを上がる古賀に出す。
古賀はいったん前方の中山に預けようとするが、サンパイオが足を伸ばしてカット。
古賀がこぼれ球を拾って縦に突破。スライディングするサツ、前田浩二を寄せつけず、ナラと1対1に。
ナラを充分引きつけてから左にはたき、走り込んだ奥がフリーで無人のゴールめがけシュート。
コースに入った尽が、体に当ててこれを外らす。
リターンパスをもらうべく、上がってきた勢いのまま前方に走っていた古賀。
ボールが絶好の位置に転がってきたとはいえ、素晴らしい突破だった。
飛び出したナラの頭上を越すことも可能だったが、より確実なほうを選んだわけだが……
あれは決めなきゃ、奥。
尽の素晴らしいディフェンスを後回しにしても、奥。

前半の感想
中盤はジュビロに支配されている感があるが、それは試合前から予想されたこと。
3日前の雨中の試合で風邪をひいて、熱を押して出場している選手もいる。
それでも2回あった決定機を除けば、ゴールが脅かされるようなことはなかった。
もっとも40分の尽のプレーがなければ、そんな悠長なこと言ってられなかったろうが。

ハーフタイム抽選
選手のサインなどが当たるの抽選には、地元兵庫出身のJリーガーの名前がずらり。
どのチームが勝ち上がってくるかはわからないとはいえ、波戸康広と奥大介以外に今日出ている選手はいたかなぁ。

46分
選手交代:福西崇史→川口信男
前線の選手を入し、奥をボランチに下げるのはジュビロの常套手段。

51分
サンパイオのパスカットを受けて、サツが自陣深くからドリブルで左サイドを上がる。
古賀と奥の間をすりぬけ、センターライン手前から右前方にスルーパスを出す。
上がってきた永井が、得意のドリブルで無人の中央を独走。
ペナルティエリア内に入ったところで、大神が出てきたのを確認して右足でシュート。
狙いすぎたか、右のポストに当たって大きく跳ね返る。
あぁぁ〜〜!! 永井〜〜!!
絶叫、そして天を仰ぐ。しばらく収まらないどよめき、そして起こる永井コール。
サツがドリブルで突破して、スルーパスまで出してくれたのにぃ……
追いすがるディフェンスを寄せ付けないスピードといい、あえてコースの狭い右を狙うシュートといい、いかにも永井らしいプレーなので、責めるのも酷かなぁ。
永井は緊張の糸がぷつりと切れたか、以後は目に見えて精彩を欠いてしまう。

52分
名波が自陣から左サイドをドリブルで上がり、右サイドの奥に大きくサイドチェンジ。
奥は縦への速い突破でサツを振り切り、ペナルティエリア内で中央へマイナスのパスを出す。
戻ったサツが遠いサイドへクリアするが、これがペナルティエリア内でフリーの名波の足下へ。
中央へグラウンダーのパスを出し、走り込んだ藤田が右足でシュートするが、サンパイオが体を張ってブロック。
奥は勢いがつきすぎていたため、シュートには行かずパスも正確さを欠いた。
名波は利き足が左だったため、シュートではなく周りをよく見て藤田にまかせた。
いずれもペナルティエリア内でフリーにさせているのが気にかかる。

66分
久保山がドリブルで中央を上がる。
センターライン手前で、田中誠が左後方からスライディングタックルで倒してしまい、この日2枚目のイエローカード。
田中誠 退場。
1枚目も、18分に久保山のドリブルを倒れ込みながら手でボールを止めたときのもの。
いったい誰が最終ラインの指揮を執るのか疑問だったが、どうやら服部が田中誠の位置に下がった模様。
とはいえ、服部にセンターバックの経験はないはずで、これは明らかに苦肉の策。
ボランチも奥ひとりになってしまい、おいそれと上がるわけにはいかなくなってしまった。

69分
アツがゆっくりとボールを持って上がり、中央やや左から右足でロングシュート。
大神が横に飛んで、パンチングでコーナーに逃げる。

71分
服部がボールを奪った勢いのまま中央をドリブルで上がり、右の藤田へパス。
ドリブルのコースを消された藤田が再び戻し、服部が左足でゴール前にロビングを上げる。
フリーになっていた中山にぴたりと合い、ヘディングでナラの頭上を抜く。
ひとり少ないジュビロ、同点に追いつく。
絶妙なバックステップで、前田浩二とサツの裏のスペースに抜け出した中山。
ここまでゴール前で、仕事らしい仕事をさせていなかったのだが……
ナラの位置をよく見て、ゆるやかなボールでナラの頭上を越すあたり、さすがは成長著しい三十代。

77分
左サイドから、アツのロングスローがゴール前に上がる。
サンパイオが3人に競り勝ち、体をひねりながらゴール前のスペースに流す。
走り込んだ吉田が、ヘディングで落ち着いて大神の右脇を抜き、フリエ勝ち越し。
確かに、フリエのセットプレーはサンパイオの頭に合わせる一点張りだが、サンパイオに3人も競りに行って、遠いサイドをなおざりにしてしまっては本末転倒。
フリーで走り込んだ吉田のすぐ後ろには、同じくフリーの前田浩二。
あまりの無防備ぶりに、ジュビロのクリアミスかと錯覚してしまった。

81分
選手交代:藤田俊哉→高原直泰
この選手交代は大いに疑問。
高原の投入に異存はないが、中盤の選手を代えるなら藤田ではなくて名波。
名波は最初からどことなく動きがおかしかったので、残ってくれてこちらとしても好都合。
思い切って山西を下げて3バックにする手もあったのでは。

86分
選手交代:永井秀樹→アンデルソン
完全に消えていた永井を下げ、スピードのあるアンデルソンを投入。
ディフェンスを牽制するためと思われるが、こういった場面で使えるまでに成長したんだなぁ(しみじみ)。

87分
自陣で山口からアンデルソン、波戸とボールをまわし、アンデルソンは右サイドを上がって行く。
波戸がセンターサークル内の山口にパスを出し、大きくはたいてアンデルソンに。
アンデルソンがフェイントで服部をかわし、中に切れ込んで左足で強烈なロングシュートを放つ。
大神はパンチングでコーナーに逃げるのが精一杯。

ロスタイム
波戸のバックパスが弱く、中山が走り込むが、ナラが交錯しながらもスライディングでタッチに逃れる。

後半の感想
ひとり多くなってから失点してしまったが、決定機はこちらもわずかに2回。
驚異的な得点力を誇るジュビロに、本来のサッカーをさせなかった。
前半鋭い上がりを見せた古賀に、攻撃参加を許さなかったのも勝因。

ジュビロ磐田 評
1st stage, 2nd stageと、完膚なきまでに叩きのめされたジュビロ磐田の姿は何処へ……
レギュラー3人を欠いているとはいえ、ここまで変わるものだろうか。
攻撃陣にはタレントが揃っているが、守備陣の層の薄さが露呈してしまった感がある。

精神的支柱のドゥンガが去り、来季はフリエから移籍する前田浩二にその期待がかかる。
というか、テクニックに劣ることに目をつぶってでも使わないと、また脆さが露呈することになりかねない。
新入団では金沢浄(国士館大学)が、服部年宏をボランチに追いやるかに注目。
フリエに入団するはずだった、西紀寛(市立船橋)の入団も内定しているんだよなぁ。

試合終了後
一緒に応援した方々と夕食をいただき、クリスマスに彩られた神戸異人館へ。
聖歌隊、キャンドル、西洋風の建築物。幻想的な雰囲気に包まれていました。
そうそう、バルサの姉弟、英語話せなくてごめんなさい……

※NHK衛星放送のダイジェストは、後半の時間経過表示に誤りがありますのでご注意下さい。

ジュビロ磐田
前半横浜フリューゲルス
後半
会場:神戸総合運動公園ユニバー記念競技場/観衆:12336人
得点:0-1 久保山由清(6分、アシスト=三浦淳宏、サンパイオ)
1-1 中山雅史(71分、服部年宏)
1-2 吉田孝行(77分、三浦淳宏、サンパイオ)

ジュビロ磐田横浜フリューゲルス
GK大神友明GK楢崎正剛
DF山西尊裕DF佐藤 尽
DF田中 誠DF前田浩二
DF喜多 靖DF薩川了洋
DF古賀琢磨MF三浦淳宏
MF服部年宏MF波戸康広
MF福西崇史MFサンパイオ
FW46川口信男MF山口素弘
MF名波 浩MF永井秀樹
MF藤田俊哉MF86アンデルソン
FW81高原直泰FW久保山由清
FW奥 大介FW吉田孝行
FW中山雅史SUB佐藤 浩
SUB尾崎勇史SUB原田武男
SUBデジマールSUB氏家英行
SUB清水範久SUB大島秀夫

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