セレッソ大阪戦 観戦記

フリエが消滅、マリノスと合併してF・マリノスに、と報じられてた29日。
サポーターが事務所に呼ばれたときには、すべてが決定されていた。
新横浜の全日空スポーツに行ってはみたものの、何ができるでもなかった。

あれから2日、試合を前に署名活動がはじまり、目印に青いリボンを配ることになる。
これが、後に「青い翼運動」と呼ばれる運動のはじまりである。
私も同行者が到着するまで、西ゲートのチケット売場の横で署名活動を手伝いました。
一緒に観戦したしもっちゃんは、ユースに友人がいたとかでアントラーズのファンだそうです。

フリエの応援
J開幕当初から分裂していたフリエの応援。
近年は、オーレ、アーザ、ティフォ−ジの3つのサポーターズクラブに分裂していた。
一見すると不協和音のようで、どこに合わせたらいいかわからなかった応援が、この日ひとつになった。

8分
吉田が右サイドをドリブルで突破。
ペナルティエリアに入るか入らないかのところで、右足でシュートと見せかけて切り返し。
左に軽く出して追走するペリクレスをやり過ごし、左足でグラウンダーのシュート。
古賀一成がブロックに入るも一歩及ばず、ボールは下川誠吾の手をかすめてゴール右へ。
鋭い縦への突破、素早い切り返しからの思い切ったシュート。
随所に、そして久しぶりに、吉田らしさが出ていたと思う。
ひとつ気になったのは、下川誠吾の位置。ちょっと、前に出すぎてなかったか。

18分
アツの左CK。ディフェンスがクリアするも、サンパイオが再度ヘディングでゴール前へ入れる。
左サイドの尽がピンタードと競って、こぼれ球がさらにその外側にいた吉田の前方に。
吉田が角度のないところから、豪快に左足で蹴り込んで2点目。
下川誠吾がまったく反応できなかったところを見ると、ディフェンスの影で死角になっていたのだろう。
こういうことがあるから、思い切りのよくなった吉田を見ると、何かが起こりそうな予感があるんだ。

24分
ペナルティエリア内右から、波戸が橋口を避けるようにゴール前にボールを上げる。
鈴木悟が永井と競りながらヘッドで遠いサイドにクリアするが、その落下点の前方にはフリーの山口が。
山口は後ろに数歩戻り、タイミングを合わせてオーバーヘッドキック。
重力に逆らうように振り放たれた右足が捉えたボールは、きれいな弧を描いてゴール左上に吸い込まれる。
ヤマが、キャップが、華麗に宙を舞った。
あれほどきれいなオーバーヘッドキックを、生で観ることができるとわ……
間違いなく、今年のベストゴールのひとつに数えられるでしょう。
山口は、後ろから抱きつかれながら、顔をくしゃくしゃにして笑っていました。
Beautiful Goal!! ──メモには、そう一言だけ書き残されています。

30分
永井がドリブルで、ペナルティエリアの外側を右サイドから左サイドへと流れ、左サイドを縦に突破。
さらに中へ切れ込んで、追いすがる古賀一成を押さえ、下川誠吾と1対1に。
下川誠吾がシュートに備えて体を浮かせた瞬間、その足下を右足のグラウンダーで抜いた。
ドリブラー永井の真骨頂たるプレー。
にしても、ドリブルでサイドチェンジされるとは、セレッソディフェンスの反応が鈍すぎた。
立て続けの失点で、セレッソのモチベーションは底を突いていたのだろう。

33分 選手交代:古賀一成→卜部太郎

40分
最終ラインからのボールを久保山が胸で左へ送り、前を向いている吉田の前方へ。
そのまま吉田が左サイドを独走し、ペナルティエリアに入ったところで左足で切り返してペリクレスをかわし、おちついてGKのいないゴール右へ右足で蹴り込んで、自身J初のハットトリック達成。
ゴールからははるかに遠いところでのプレーだったが、久保山のトラップ(パス)で勝負あった。
ボールを受けた吉田の前方には、広大なスペースが広がっていたのだから。

前半の感想

61分 選手交代:三浦淳宏→井上雄幾
負傷交代。こんな試合展開で無理する必要はない。次節に備えて大事をとった。

67分
久保山の左CK。ボールは中央のピンタード、ペリクレスらの頭上を越えて遠いサイドへ。
何を思ったか、走って戻った橋口が右足できれいに蹴り込んでOWN GOAL。
思わず、天を仰ぐ橋口。
ピンタードも、ペリクレスも、堀池も、鈴木悟も、中央から近いサイド寄りすぎていたけどね。
たしかに、遠いサイドからつめていた前田浩二はフリーだったけどね。
でも、走り込んだ前田浩二は、ボールの落下点をとうに過ぎていていたんだよ。
ボールが見えていなかったのか、ゴールラインにクリアしようとしたのか、単に集中力が切れただけなのか、ともかくセレッソからの贈り物。

70分
右サイドから波戸のロングスロー。サンパイオがピンタードに競り勝ち、バックヘッドで遠いサイドヘ送り、永井が軽く右足のボレーで合わせる。
ゴール左を易々と割り、フリエ新記録の7点目。
もう、なにも言いません。モチベーションの問題だから。

76分 選手交代:吉田孝行→大島秀夫

79分
選手交代:久保山由清→アンデルソン
選手交代:清水和男→白井博幸
電光掲示板には、白井博幸→清水和男と表示されていたような気が…… 気のせいか。

82分 選手交代:橋口 勝→藏田茂樹

85分
マニッチが左から右に流れて、右足で強烈なミドルシュート。
ナラが手で押し出す。
ひとつくらいはセレッソの攻撃も書いておきましょうか。でも、ほんと決定機は皆無だったんですよ。

89分
永井が倒されて得たFK。ゴール正面の絶好の位置からだったが、アンデルソンのキックは壁に阻まれる。
アツ以外には、優れたプレスキッカーがいないですねぇ。
ま、試合が試合だけに、ちょっと思っただけなんですけどね。

試合終了後
ゴール裏で話し合いがあるということで、メインスタンドやバックスタンドからもファンが集まってくる。
全日空スポーツからは山田恒彦社長以下数名が出席したが、全日空本社の人間は姿を見せていない。
話し合いは平行線を辿ったままで、上方でカメラを構えていた取材陣もすっかりだれきっている。
それも当然のこと。山田社長は、自分が責任をもって合併の決定を下したと言う一方で、吸収合併を見直す権限は自分にはないなどと言っているのだから。
つまり、この場の収拾をつけてこいとだけ言われて、決定権を与えられていないわけだ、本社から。

メインスポンサーであるバンダイですら、報道されるまで合併の話を全く聞いていなかったという事実。
社長の「努力した」という言葉だけが、空しく響く。
全日空本社の人間は都合で来れなかったと言うが、競技場関係者は来ていたと証言している。
京都の西京極総合運動競技場では、試合終了後にマリノスの谷口武彦常務が説明を行なったが、
サポーターのひとりが持っていたハンドマイクを投げつけて、流血沙汰になったとか。
情報だけがいろいろと入ってくる。

進展はなく、かといって妥協点を見出すでもなく、話し合いは続けられる。
秋の夜は寒さも厳しく、ただ時間だけが過ぎていく。
野次馬も含めて4000人はいたと思われるファンも徐々に減少し、私も引き上げを決意しました。
同行者もいましたし。

競技場が閉鎖される20時以降も場所を移して続けられ、一応の決着を見たのは翌日の2時だったそうです。

横浜フリューゲルス
前半セレッソ大阪
後半
会場:横浜国際総合競技場/観衆:14234人
得点:1-0 吉田孝行(8分)
2-0 吉田孝行(18分)
3-0 山口素弘(24分)
4-0 永井秀樹(30分)
5-0 吉田孝行(40分)
6-0 OWN GOAL(67分)
4-0 永井秀樹(70分、アシスト=波戸康広、サンパイオ)

横浜フリューゲルスセレッソ大阪
GK楢崎正剛GK下川誠吾
DF薩川了洋DF橋口 勝
DF前田浩二DF82藏田茂樹
DF佐藤 尽DFペリクレス
MF三浦淳宏DF堀池 巧
DF61井上雄幾DF清水和男
MF波戸康広MF79白井博幸
MF山口素弘MFピンタード
MFサンパイオMF鈴木 悟
MF永井秀樹MF西澤明訓
FW久保山由清MF古賀一成
FW79アンデルソンFW33卜部太郎
FW吉田孝行FW横山貴之
FW76大島秀夫FWマニッチ
SUB佐藤 浩SUB武田治郎
SUB原田武男SUB勝矢寿延

注釈:競技場で観戦しながら取ったメモを参考にしているので、若干誤りがあるかもしれません。
気付かれた方は、どんどんご指摘下さいませ。
なお、時間については競技場の電光掲示板の時計を参考にしましたが、1分程度の誤差はあります。

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