ジェフ市原戦 TV観戦記

夜勤のために残念ながら観戦はできず。家でおとなしく、千葉テレビを見ていました。
もっとも、画面を通して見る雨足の激しさを考えると、ある意味正解だったかも。

大雨に祟られた前節同様、市原臨海競技場のグラウンド状態は最悪。
ピッチには水がたまり、走ると水飛沫が高く跳ね上がる。
ボールは止まるし、足はとられる。当然、鋭いドリブルなどは望むべくもない。
ゴール前に至っては、完全に地肌が露出して、子供がどろんこ遊びをした後のよう。
ここ、水はけ悪すぎ……

フリエの布陣
前節とおんなじなので省略。ほぼ固定された感がある。

8分
左サイドから上がってきた江尻が、ゴール前へ大きく放り込む。
鈴木隆行が右足のヒールで武田の後方へ落とし、武田がゴールを背にしてこれをキープ。
振り向きざまに放ったシュートは、マークについていた尽の足に当たってすぐ後ろに落ちる。
ところが、カバーしようとした前田浩二がはじいてしまい、ボールはなんと鈴木隆行の前方へ。
鈴木隆行の右足をいっぱいに伸ばしてのスライディングシュートは、ナラの手をかすめてバーに弾かれる。

24分
江尻の左からのCK。きれいな弧を描いたボールに、完璧なタイミングで飛んだ山口が頭で合わせる。
強烈なヘディングシュートは、ニアサイドのポスト前にいた久保山の体に当たる。
そのはねかえりを再度中西がねらうが、大きくふかしてしまう。
当たらなければ入っていたかどうかは別として、"防いだ"ではなく"当たった"という表現で正解。

44分
ジェフの大きなクリアが最終ラインにまで達し、サツが頭でクリア。
これをマスロバルに拾われて、右足で強烈なミドルシュート。
サツの背中に当たってコースが変わるも、ナラがパンチングでコーナーに逃げる。
マスロバルの右足…… ま、コースが変わらなければ、枠を大きく外れていたんだけど。

前半の感想
完全にジェフのペース。ほとんどのプレーが、フリエの陣内で展開されている。
なにしろ、ナラがゴールキックを12本も蹴ったのに対して、下川はなんと0本。
2度の決定機の他にも、いいミドルシュートが何本かあり、守備を修正する必要がある。

55分
イゴールがディフェンス3人に囲まれて、倒されて得た右サイドのFK。
アツの右足のキックは、風にのってやや山なりの軌道を描いてゴールへ。
ボールはクロスバーをかすめて下に落ち、サイドネットを揺らす。フリエ先制。
軸足がボールより前に出ていた感じがしたので、ドライブシュート((C)大空翼)とは言わないまでも、バックスピンがかかっていたのではないだろうか。ビデオではそこまで確認できないが。
とにかく、いつもの鋭く落ちるボールとは一味違う、惚れ惚れするような芸術的なフリーキックだった。
なお、イゴールを倒した際に中西にイエローカードが出ている。

それはさておき、ゴールが決まって一拍おいて聞こえた
「きゃ〜〜!! あっちゃ〜〜ん!!」
という女性の歓声。やっぱりきゃろるさんなのでしょうか?
私もTVの前で感声をあげていたので、ビデオを見るまで気づきませんでしたが……
集音マイクの感度ってすごいですね。

57分 選手交代:久保山由清→大久保貴広
この最悪のピッチコンディションの中、なんで大久保を? と思わないでもなかったが。
大久保を左のウイングバックの位置に入れて、アツを中央にまわす。
確かに、大久保のサイド(バックスタンド側)はそれほど水がたまっていないけどね。

69分
波戸が山口智をかわして、右サイドを突破。
中央からもイゴールが抜け出しており、2対1(中西)の状況。
追う中西のスライディングにかまわず、強引にシュートするが、ゴールを大きく外れる。
ゴール前でフリーで待っていたイゴールが、憮然とした表情を見せる。
波戸もなぁ、もぉちょっとまわりを見る余裕があればなぁ。
そこそこのボールでもいいから、ゴール前へ折り返せれば追加点間違いなしだったのにぃ。

70分 選手交代:鈴木隆行→廣山 望

71分 選手交代:永井秀樹→吉田孝行
ドリブルはできず、スルーパスも出せず、守備に追われていたので妥当な交代だろう。
というか、高さがある選手がいないので、フリエにとって大雨は大敵なんだよな。

72〜74分
一三が足を滑らせて、アツにボールを奪われる。後ろから手でつかんで止めようとするが、振り切られる。
中西が、ドリブルのコースに体を入れてアツを倒し、この日2枚目のイエローカードを出される。
中西永輔 退場。
さらに、抗議した山口智に暴言があったとして、レッドカードが出される。
山口 智 退場。

フェルシュライエン監督に言わせれば、ファウルを取るべきはその前の一三のプレーであって、中西ではないのだそうだが…… う〜ん、微妙だなぁ。
さかのぼって流したプレーをファウルとすべきか、それとも流した後のプレーをファウルとすべきか。
ルール的にはどちらが正しいんでしょうか。

以下は、山口智にレッドカードが出された直後の、選手たちの動き。
主審に手を出そうとする武藤と、それを見るや腕をつかんで抑える武田。
主審を取り囲む輪をかき分けて主審に近づき、抗議しながらも他の選手を抑えるキャプテン江尻。
抗議の中にも冷静さを失わないベテランと血気盛んな若者──という図式が見て取れる。
武藤はこの時点で、すでに激高してたんですねぇ。

76〜80分
武田がサツを背負いながら、味方のクリアを胸でトラップして反転。
このとき、サツを手で押しのけたとしてファウルを取られる。
両手を上げて抗議の意を示し、なんともいえない──やりきれないというか、なんか今にも泣き出しそうな(ように見えた)──表情を見せる武田。 そして、たんたんと自陣に戻っていくサツ。
武藤が主審に近づいていって抗議する。そして、去り際に何か言ったのだろう。
その後ろ姿に向けて、レッドカードが出される。
武藤真一 退場。
武田はさらに大きく両手を広げ、上げた両手を下に振り下ろし、やり場のない感情をぶつけていた。
何事かを叫ぶその表情は、言葉では表現しえない何かで湛えられていた。
武藤はすね当てを外し、これまた何事か大声で吐き捨て、足下のペットボトル(推測)を大きく蹴り上げ、ピッチを去っていく。
それと前後して、フェルシュライエン監督が副審の制止を無視し、ピッチに足を踏み入れる。
説明を求める監督に対し、主審は取り合おうともせず、ただピッチの外に戻ることを要求する。
それでも出ようとしない、フェルシュライエン監督。
主審は笛を短く吹き、左手を高く上げて、右手を追い払うように振り、退席を宣告する。
フェルシュライエン監督 退席。
その判定を知ってか知らずか、監督は自陣ベンチに戻り、腰を下ろす。
近づき、グラウンドの外を指差して退席を促す主審と、座り続ける監督。
1分ほどが経ち、監督はようやく腰を上げ、理解できないといった表情でベンチを後にする。

引き鉄になった武田のプレーは、はたしてファールに値したかどうか。
あれだけサツに密着されていたのでは、振り向く際に振り払うのも仕方ないだろう。
あれをファールと取られては、FWなんかやってられないと思う ……ぞ、私ゃ。
権力を振りかざし、自らが試合の主役となる主審。
この日の越山は、1級審判に成り立てで、判定に一貫性がなくカードを乱発する人だそうですが……
彼に限らず、審判のレベルの早期向上が望まれます。それとも、選手に比べて層が薄すぎるのか。
また、観客席から乱入した自称サポーター連中。気持ちは理解できるが、行動を理解しようとは思わない。

84分
右サイドからアツが、逆サイドの波戸めがけてサイドチェンジのような大きいクロスを上げる。
波戸が頭でゴール前へ折り返し、フリーのイゴールが軽く飛んでヘディングシュート。
クロスバーを軽く叩き、そのままゴールの中へ落ちていった。
イゴールのヘディング。なんか、珍しいものを見てしまった。
フリーで打たせれば、ちゃんとコントロールされるものですね。
両手でおでこを軽く叩くイゴールが、なんかかわいかったです。「ここ、ここ」って感じで。
にしても、ゴールの瞬間にカメラが捉えたフリエサポーター、わずか十余名。
画面がすこし寂しかった。

88分 選手交代:佐藤 尽→井上雄幾

ロスタイム(95分、公式記録では89分)
左サイド、センターサークルとほぼ平行なあたりから、イゴールがシュートを狙う。
ボールは前に出ていた下川のはるか頭上を越え、無人のゴールへ吸い込まれる。
3人少ない状況では、GKがスイーパーの役割もこなさなければならず、前に出ていたのは責められない。
あれだけの距離を射た、イゴールの正確で力強いキックの方を誉めるべきだろう。
ゴールを決めたイゴールは、笑顔でステップを踏み、体を左右にゆらす。
そうか。本来は、こういう表情を見せてくれる選手だったんだなぁ。
にしても、直線距離で50m近くはあったと思うが……

後半の感想
退場者が出るまでは、前半と同様にジェフのペース。
退場者が出てからも、すぐにはフリエのペースにはならず、ジェフに攻め込まれるていたらく。
11人対11人で最後まで行ったならば、勝利の女神はジェフに微笑んだことだろう。

ジェフ市原 評
若い、若すぎる。いや、たしかに実年齢もそうとう若いんだけど。
下川が28歳、キャプテン江尻と武田が31歳、日本人最年長が控えのGK白井で32歳。
それからベンチに入っていない26歳の野々村を除けば、残りはすべて25歳以下。
その25歳にしても中西、武藤、レンタルで移籍してきた中田一三だけ。
この試合についてはその若さがあだとなってしまったが、さらなる成長が見込まれる選手たちが数多くいるチームだけに、このまま終わってほしくはない。
県内には、市立船橋と習志野という選手の供給源となる強豪校もいるし。
とはいえ、現在もU-19に酒井と櫛野を取られ、入れ替え戦と重なるU-21には山口智と廣山の参加が確実。
場合によっては酒井の参加もありうるだけに、J2転落の危機に瀕していると言わざるを得ない。

中田一三 評
彼を語る際には、必ず「本来は攻撃的MFだが」という一文が添えられるのだが、いったいいつの話だ?
フリエでもアビスパでも大分トリニティでも、ポジションはもっぱらサイドバックかボランチでしょ。
左サイドバックに入れば、「もともとは右のサイドバックなんですけどね」とか言われるし。
闘志を前面に出すタイプだけに、四日市中央工時代のようにキャプテンシーを発揮して、ジェフを引っ張ってってもらいたいものである。
ん? あぁ、評価ね。枠を外れたり正面を突いたりはしたものの、
右足のミドルも3本ほど見せてくれたし、攻撃の組み立てにも積極的に絡んだし。
チームに合流してから日が浅いことを考えれば、まずは及第というところか。
でも、退場劇のそもそもの発端は、彼が足を滑らせたことにあるんだよな。

ジェフ市原
前半横浜フリューゲルス
後半
会場:市原臨海競技場/観衆:2513人
得点:0-1 三浦淳宏(55分、FK)
0-2 レディアコフ(84分、アシスト=波戸康広)
0-3 レディアコフ(89分)

ジェフ市原横浜フリューゲルス
GK下川健一GK楢崎正剛
DF江尻篤彦DF薩川了洋
DF中西永輔DF前田浩二
DF山口 智DF佐藤 尽
DF鈴木和裕DF88井上雄幾
MFスコルテンMF三浦淳宏
MF中田一三MF波戸康広
MF武藤真一MF山口素弘
MFマスロバルMFサンパイオ
FW鈴木隆行MF永井秀樹
FW70廣山 望FW71吉田孝行
FW武田修宏FW久保山由清
SUB白井 淳MF57大久保貴広
SUB栗原克志FWレディアコフ
SUBビングリーSUB佐藤 浩
SUB西脇良平SUB氏家英行

Back