ヴィッセル神戸戦 観戦記

スマイル大作戦を実行に移してみようかと、ふと気まぐれを起こしてはみたものの、11.23のアルゼンチン戦のチケットを入手した後、バスが渋滞に引っかかってしまい結局挫折。
今日なら人が少ないと思ったのに…… と思ったら、どうやら配らなかったらしひ。残念。
台風の接近に伴う雨は、小降りになったものの依然降り続け、観客席はまばら。
ヴィッセル側のゴール裏なんか、人の数が数えられるもんね。ひとり、ふたり……
なんとか100人はいるかな。200人、間違っても300人はいないだろうな。

余談だけど、ヴィッセルのチームカラーって何色だろう。
スタンドからは鮮やかなグリーンがかったブルーに見えたのだが、テレビではくすんだライトブルーにしか見えない。
印刷では、絵画の本物の色合いがわからないのと同じようなものか。

フリエの布陣
前田浩二がコントロールする最終ライン。今日のストッパーは薩川と佐藤尽。
#エンゲルス監督は尽を鍛えたいらしい。でも、埜下がベンチにも入っていないのは解せない。
左のウイングバックにアツ、右には波戸。
中央に永井、トップ下に久保山、トップにイゴールというのは前節と変わりなし。

1分
左サイドのアツからボールを戻されたサンパイオが、がら空きの中央にスルーパスを通す。
抜け出した永井がしっかり足下で止めて、GK前田信弘との1対1をあっさり決める。
思わず「入ったの? 情けねぇ〜〜」と叫んでしまうほど、あっけない先制点。
サンパイオがどこに出そうかと探してるのに、誰もつめないんだもん。
左サイドバックの海本が不用意に飛び出して、センターバックの三上と最終ラインまで戻っていた林の間にぽっかりとスペースができてしまった。
もっとも、誰一人として永井に注意をはらっていなかったのだから、入れられて当然だろう。

6分
FKをすべってミスして、思わず頭をかくサツ。後ろ姿が妙にかあいい。サルみたいで。
ごめん、サツ。馬鹿にしてるわけじゃないのよ、ほんとに可愛かったんだから。
「おいおい」という半ば呆れた声と笑い、それから指笛がからかい半分に投げかけられる。
テレビ中継ではエンゲルス監督がアップになっており、まったく捉えられていなかったが。
まだ余裕があったころの、微笑ましいワンシーン。

23分
左サイドで河錫舟がいったん林に預け、走り込んでスルーパスをもらう。
波戸が追うが間に合わず、河錫舟がふわっとしたボールをゴール前に入れる。
遠いサイドの金度勲が、スライディングしながらいっぱいに伸ばした右足に当て、ボールはゴールの中へ。
ナラがちょうど飛び出せないあたりに、見事にコントロールされた河錫舟のセンタリング。
前田浩二が中に入りすぎて、外で待っていた金度勲をフリーにしてしまった。

27分
サツと金度勲の競り合い。体を入れられていたのを入れかえして、ショルダーチャージで弾き飛ばす。
金度勲、一回転してしばし呆然。「うぉ〜」「すげ〜」と次々に賞賛と驚嘆の声があがる。

43分
サンパイオのパスを受けた左サイドのイゴールが、前が空いているのを見てすかさずロングシュート。
安部の体に当たってループシュートになり、前田信弘の頭上を越えてゴールに吸い込まれる。
ディフェンスに当たったのは確認できたが、それにしてもきれいな弧を描いた。
前田信弘の位置が前目だったことも幸いした。
流れが完全にヴィッセルに傾いていたので、救われた思いがした。

ロスタイム
イゴールが中央から右へドリブルしながら、逆サイドから走り込む永井へ大きなクロスを入れる。
永井は前田信弘と1対1になりかけるが、トラップが大きくボールを奪われる。

前半の感想
これだけ? とお思いでしょうが、これだけです。ほとんど見せ場はありませんでした。
フリエは開始直後と終了直前にあったチャンスを活かしただけで、あとはヴィッセルのペース。
それでも、攻撃がちぐはぐでフィニッシュまで至らないのが、下位チームの悲しい性だろうか。
ドリブルには不向きな天候にもかかわらず、フリエの選手は持ちすぎるきらいがある。
また、イゴールが不必要に外に開いているのも、バランスを崩す要因ともなっている。
ほら、あんまり左サイドに開くから、久保山が居場所に困ってすっかり消えちゃってるじゃないか。

48分
右サイドから永島がゴール前にクロスを放り込む。
長谷部が胸にわずかに当ててコースを変え、その外側にいた金度勲が左足で合わせてこの日2点目。
長谷部のプレーは傍目にはスルーしたのと大差ないのだが、走り込むのが速すぎてタイミングの合わなかった金度勲に、シュートしやすいボールに変えてあげた、素晴らしいプレーだったと思う。
さすがにこれは、ビデオで見るまでわからなかった。
問題なのは、長谷部と金度勲の間にいながらクリアし損なったサツでしょう。
そして、壮絶な撃ち合いの幕が開けた……

51分
河錫舟のセンタリングがこぼれたところを、走り込んだ林が左45°からミドルシュート。
完全にフリーだったにもかかわらず、クロスバーのはるか上を越える。

51分
ゴールキックをセンターサークル内でサンパイオが競り合い、ボールはヴィッセル最終ラインの裏へ。
イゴールが抜け出して、追いすがる海本を寄せつけず、前田信弘の動きをよく見て左足で蹴り込む。
体を後ろに倒して後ろの海本を押さえながら、長い足でのグラウンダーのシュート。
イゴールがGKとの1対1を決めたのって、これがはじめてじゃないかな。

53分
波戸の右CK。サンパイオが頭で合わせたが、ミートせずボールは波戸の方へ。
気を取り直して再度クロスを入れるが、金度勲が高い打点でクリア。
これがアツの足下に入り、ワントラップして得意の右足でのロングシュート。
低く押さえられたボールは、前田信弘の横でワンバウンドしてゴールネットに突き刺さる。
ヴィッセルの選手がゴール前に集まっていたので、思わず「撃て!」と叫んだ瞬間に振りぬかれた右足。
かっこよすぎますねぇ、相変わらず。
ちょっと気になったのは金度勲の動き。クリアがアツに渡ってしまったのを見てすかさず距離をつめ、
シュート体勢に入ったのを見て全速力でスライディングタックル。
わずかに一歩及ばなかったが、状況認識と決断の早さはさすがに現役の韓国代表。
もっとも、そのおかげでシュートコースが空いたという話も、なきにしもあらず。

55分
自陣左サイドのレディアコフが、右斜め前方にボールを出す。
永井がスライディングタックルしてくる海本をかわし、センターライン付近から独走。
前田信弘と1対1になるが、タイミングをずらして転がしたシュートはゴール左に外れる。
これをしっかり決めておけばなぁ。後々悔やむことがなければいいが、と思ったらやっぱり……
前田信弘の手にさわってコースが変わったようにも見えるが、実際どうだったか。

57分
アツが自陣深くから中央をドリブルで上がり、左サイドのイゴールへ。
ディフェンスをひとりかわして、ゴールラインと平行にドリブルしたまではよかったが、中央へ戻したパスが弱く、カットされて前節の得点の再現はならず。

57分 選手交代:幸田将和→布部陽功
2点差をつけられたところで、守備的な幸田から攻撃的な布部への交代。
ヴェルディとジュビロで揉まれ、その実力を評価している私としては、なぜ先発しなかったかが疑問。

58分
右サイドの金度勲がポスト役の永島にあずけて、左サイドに大きくまわりこむ。
永島がスルーパスを通し、金度勲がナラの注意を引きつけて中央の河錫舟へ折り返す。
ナラが反応した逆をついて、落ち着いて左足で流し入れる。
金度勲が走り込むまで、ためをつくった永島を誉めるべきか、ふがいないディフェンス陣を責めるべきか。
あまりの展開に、何対何なのか把握できなくなる。フリエが勝ってる……んだよ……な。

62分
遅延行為で前田浩二に警告を出した上、やり直しを指示する2度のホイッスルに、フリエゴール裏は騒然。
主審に容赦ないブーイングが浴びせられる。主審がこめかみに青筋浮かべてどうするんだ、まったく。
それにしても、集音マイクに入る入る。

64分 選手交代:久保山由清→吉田孝行

64分
自陣からのFKをゴール前へ放り込み、金度勲がヘディングシュート。
ゴール前で永島が合わせるが、ナラが体で止めて、DFがゴールラインに蹴り出す。
永島のシュートは、角度を変えるなんて生易しいものじゃなかった。スーパーセーブ。

65分
そのCKからのカウンター。ナラのパンチングをヴィッセルの選手が空振りし、アツが奪って独走。
前方に吉田、左からイゴール、右からは山口が上がり、後ろからもひとり加勢し、5対2の局面。
ディフェンスを充分引きつけて右に出したが、山口のシュートはクロスバーのはるか上へ。
GKとの1対1で、なんであそこまで力一杯ふかすのだろう。
このあたりから、山口が前がかりになり動きそのものもおかしくなる。
絶対に決めなければならない場面を外し、雲行きがさらに怪しくなってくる。

67分
右サイドからイゴールのミドルシュート。手前でショートバウンドする難しいボールは、いったん前田信弘がはじくが、永井が詰める前になんとか押さえる。

本日の入場者数
3762人か…… 台風来てるし、相手は関西のチームだし、どちらも下位に低迷してるし、今日から日本シリーズだし、まぁこんなもんか。主催試合最低記録を更新しちゃったけど。

78分
海本がバックパスを受け損ない、イゴールがカット。
そのまま独走もできたが、前田信弘がだいぶ前に出ていたので思い切ってシュート。
頭上を狙ったつもりが、グラウンダーのシュートになってしまい、前田信弘ががっちり押さえる。

80分
林が吉田をかわしてドリブルで上がり、前方の金度勲に。
ポストプレーと思わせて、絶妙なヒールで浮かせてディフェンスラインの裏へ。
河錫舟がヘディングで右へ流し、永島が左足でボレーシュートを放つも、ゴール右へ外れる。
河錫舟のヘディングがやや大きく、ボールが永島の軸足の方へ流れてしまったために外れたが、ゴール前のマークはばらばらで、失点しなかったのは幸運以外のなにものでもない。

80分 選手交代:レディアコフ→原田武男
その交代は危険だ。あまりに危険すぎる。
守りを固めてどうにかなるような、まともな試合じゃない。前線の選手を減らしてどうする。
原田は一応守備的な選手だけど、上背もなければ足が速いわけでもない。
体力のあり余っている選手を、金度勲にマンマークでつけるとかいうのであればともかく。
例えば埜下とか。あ〜、埜下はなんでベンチに入っていないんだ〜!
以上が、交代のボードを見た瞬間に、私の頭をかけめぐった内容の一部始終です。
杞憂に終わってよかった。

83分
アツのロングスローをサンパイオがトーマスと競るが、どちらの頭にも当たらず。
ワンバウンドしたボールを、吉田が地に足をつけた状態で、上半身をひねりながら頭で押し込もうとするが、前田信弘が横っ飛びで、手に当ててコーナーに逃げる。
前田信弘、この日一番にして唯一の見せ場。

83分
波戸の右CK。サンパイオが足下に入ったボールをトラップして、ディフェンスをかわして左足でシュート。
ボールはネットを揺らしたものの、副審が旗を上げており判定はオフサイド。
スタンドからは、なぜだか全然わからなかった。副審を批難する声も次々とあがる。
ビデオで確認したらば、一目瞭然。前田浩二が前田信弘の前に立って、視界を塞いでる。
こりゃ、ボールにふれてなくてもオフサイドだわ。うん、判定は正しい。
もっとも、前田浩二はただ戻り遅れただけだろうけど。

84分 選手交代:長谷部茂利→和多田充寿
TBSのスーパーサッカーで、一躍全国に名前が知れ渡った和多田くん登場。

89分
原田が左サイドのオープンスペースに出して、永井が走り込む。
そのまま持って上がり、中央へ切れ込むと見せかけてヒールで残して、アツへ。
アツがゴールライン手前から、速い折り返し。ゴール前の吉田は反応できず、ボールは素通りしてしまう。
「何見てんだよ!」という女性の怒号が飛ぶが、前でヴィッセルの選手がさわって方向が変わったので、足伸ばしても届かなかっただけじゃないかな、たぶん。タイミングもずらされたわけだし。
やけに冷静だな、私。

試合終了
メインスタンドに向かって挨拶した後、バックスタンド前まで歩み寄って全員で丁寧に挨拶。
それから自陣ゴール裏に近づいてきて、これまた丁寧な挨拶をしてくれる。
悪天候の中、会場まで足を運んでくれた観客に感謝の意を込めてか、それとも、あまりにふがいない試合をしてしまった自分たちに、自責の念を抱いての行動か。
それにしても、前田浩二の挨拶の丁寧なこと。なんども頭を下げて、ほんと律義な人なんですね。

後半の感想
もぉ、ノーガードの撃ち合い。攻撃が素晴らしいわけではなく、お互い守備がザルゆえの撃ち合い。
#これでもかなり削ったんですよ。ディフェンスにブロックされたシュートは、ほとんど省いてるし。
前節のヴィッセル−ジェフ戦。両チーム5得点ずつなんて、いったいどんな展開だったのか疑問だったのだが……もういい、わかった。よ〜〜く、わかった。サッカーじゃねぇな、こりゃ。

単純なカウンターの応酬。フリエはパスとドリブルでつなぎ、ヴィッセルは最終ラインからのロビング一本。
でもって、ときどき思い出したようにパスでつないでくると。
入れ替え戦にまわりそうな相手(今日の敗戦で参入が決定)と、同じレベルで戦ってしまっている。
両チームとも動き出しが遅く、敵も味方もピッチ上を同じ速さでスクロールしてる感じ。
後方でパスをまわして相手に奪われるし、上がりは遅いし、戦線は間延びするし、サイドチェンジはカットされるし、足は止まっているし、山口は状況を無視してオーバーラップするし。
よく勝ったな、ほんと。

ヴィッセル 評
大量失点は、明らかに石末龍治の不在が原因。腰痛だそうだが、はたして入れ替え戦に間に合うのか。
前田信弘は1対1の場面でこらえきれず、先に動いてあっさり逆をとられてしまっている。
ジュビロに7点、サンガに2点、ジェフに4点、フリエに4点と、こう立て続けに大量失点しては、自信も喪失していることだろう。
ヴェルディ戦には石末が出場して、154日ぶりの勝利を手にしているというのがなんとも……
川崎製鉄から出向中の、ベテランの兼本のほうがよかったんじゃないかな。

むろん、大量失点の責任はGKだけにあるわけではない。
中盤は競り合いに勝てず、最終ラインは頻繁に裏をとられる。
菊池利三でも遠藤昌浩でもいいから、とっとと獲得してディフェンスを再整備しないと、ほんと手遅れになるぞ。オファーは出しているそうだが、はたして来てくれるかどうか。
林をセンターバックに入れればかなり安定するとは思うが、そうするとボランチが手薄になるし……
河錫舟は、金度勲とのホットラインがあるだけに、攻撃的な位置に置きたいし……
にしても、長谷部、林、前田信弘、布部、それから警告累積で出られなかったが左サイドバックの吉田恵。
レギュラーの半数をヴェルディ出身者に頼らざるをえないあたりが、ヴィッセルの基盤の弱さだろう。

私的には、J2降格の大本命。というか、順当にヴィッセルとアビスパで決まりでしょう、たぶん。

フリエについて一言
佐藤尽のディフェンスは、見ていてまだまだ危なっかしい。
久保山は、その存在そのものが消えてしまっていた。
今後の課題として、真摯に受けとめませう。

横浜フリューゲルス
前半ヴィッセル神戸
後半
会場:横浜市三ツ沢公園球技場/観衆:3762人
得点:1-0 永井秀樹(1分、アシスト=サンパイオ)
1-1 金 度勲(23分、河 錫舟)
2-1 レディアコフ(43分)
2-2 金 度勲(48分、永島昭浩、長谷部茂利)
3-2 レディアコフ(51分、サンパイオ)
4-2 三浦淳宏(53分)
4-3 河 錫舟(58分、永島昭浩、金 度勲)

横浜フリューゲルスヴィッセル神戸
GK楢崎正剛GK前田信弘
DF薩川了洋DF海本慶治
DF前田浩二DF三上和良
DF佐藤 尽DFトーマス
MF三浦淳宏DF幸田将和
MF波戸康広DF57布部陽功
MFサンパイオMF林健太郎
MF山口素弘MF安部雄大
MF永井秀樹MF長谷部茂利
FW久保山由清FW84和多田充寿
FW64吉田孝行MF河 錫舟
FWレディアコフFW金 度勲
DF80原田武男FW永島昭浩
SUB佐藤 浩SUB兼本正光
SUB井上雄幾SUB窪田龍二
SUB大島秀夫SUB矢野マイケル

注釈:三ツ沢球技場のHOME側からは時計が見えないので、時間は手元の時計で計っています。
ですから、公式記録とは確実に1分程度のずれが生じていると思います。
三ツ沢の時計はアナログだから、例え見えてても…… だけどね。

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