ヴェルディ川崎戦 観戦記

1時間程前に到着すると、オーロラビジョンには「ヴェルディ川崎の歩み」とやらが流れている。
懐かしく見させてもらったのだが、ヴェルディ側のゴール裏からは見えないんだよね。
三ッ沢でもそうだが、ホーム側とアウェイ側の振り分けはもっと弾力的に行なわれるべきだと思う。
雨はあがったものの、霧がかかって視界不良。かなり肌寒くて、風邪をひいてしまった。
ずずっ…… ドリンク剤飲んでこれ書いてますが、ゆっくり休もう。

選手紹介の女性DJ。声は甲高いし抑揚は変だし、はっきり言って耳障り。かんべんしてくれよ〜〜
オーロラビジョンに「本日のボールボーイ 墨田工業高校」と表示されて、ボールボーイたちが飛び出してくる。
センターサークルを中心に円を描いて一礼、駆け足で戻っていく。なんか新鮮。

フリエの布陣
最終ラインは前田浩二がひとり余って、薩川と埜下が2トップをマーク。
#薩川はストッパーでありながら積極的な攻撃参加をみせるので、リベロの称号を与えやう。
左のウイングバックにはアツが久々に入り、右は前節同様に波戸。
中央には永井が復帰して、前線は久保山とイゴール ……ということになっている、一応。

8分
サツからのパスを山口が戻りながら受けて、振り向きながら前線にグラウンダーで通す。
イゴールがワントラップして、ペナルティエリア外からミドルシュート。ゴール左へ外れる。

12分
フェルナンドがセンターサークル付近から、左サイドへスルーを通す。
中村忠がゴールライン手前で切り返し、全速力で追っていた波戸は勢い余って通り過ぎる。
落ち着いてゴール前へマイナスのパスを流し入れ、走り込んだフェルナンドがフリーでシュート。
押さえたいいシュートだったが、ゴール右へ外れる。
かなり肝を冷したが、埜下がよくシュートコースを消していた。

14分
センターサークル付近から、再びフェルナンドが右サイドのスペースにボールを出す。
ペナルティエリア手前から、フリーの北澤が豪快に右足を振りぬくが、これもゴールの右へ。
角度的にも充分だったし、DFに寄せられる前にシュートした判断も間違ってはいない。
それが枠に行かなかったあたりが、北澤らしいと言えばらしいのだが。
あの制球力で、よく日本リーグで得点王が取れたもんだ。
後ろの男性が隣の女性に一言 「ま、北澤だからな」

18分
左サイドでサツからアツに、そしてアツがタッチライン際のスペースに出す。
ボールを受けたイゴールは、マークにつく米山をまったく相手にせず、そのまま左サイドを突破。
ゴールラインと平行にドリブルで切れ込み、ディフェンスを引きつけて右足アウトで中央へ戻す。
走り込んだフリーの永井が、右足インフロントで合わせて、フリエ3試合ぶりに先制。
イゴールが素晴らしい個人技を見せてくれた。8割方彼の得点といえよう。
米山がバランスを崩して、イゴールの前にまわりこめなかったのが、ヴェルディには痛かった。
完全にシュートレンジに入り込まれたため、菊池新吉もイゴールに注意を向けざるを得ず、結果的にゴールの右側は完全にがら空きに。
ステップを微妙に調節して、そこにしっかり蹴り込んだ永井の技術もさすが。

27分
永井が右足のアウトで絶妙なスルーパス。久保山が抜け出して、菊池新吉と1対1に。
トラップが若干大きかったか、シュートは判断よく飛び出した菊池新吉の足に阻まれる。

31分 選手交代:山田卓也→三浦泰年

31分
藪田の右CK。フリーで放った柱谷のヘディングシュートは、大きく右に外れる。
フリーもフリー、半径3m以内には敵も味方もいない、まさにどフリー。
ジャンプしてバランスを崩したわけでもなく、両足を地につけてのヘディング。
なのに、なんで枠に行かないんだろう。柱谷哲二だから?

35分
オーバーラップしたサツが、久保山にスルーパスを出すも失敗。
こぼれ球を拾ったアツが左サイドからペナルティエリア内の久保山へ。
久保山がゴールライン手前で切り返し、ゴール前で待つ永井へ。
永井がDFを背負いながらボールを受け、反転してDFの股間を抜くシュート。
菊池新吉が後ろに下がりながらも、左足一本でこれを止める。
菊池新吉が決定機を立て続けに防いだ。めっきり影が薄くなったとはいえ、さすがは元日本代表。
得点にならなかったのは悔しいが、それだけフリエが攻め込んでいるという証。
暇そうだったからなぁ、ジュビロの大神。

37分
山口から右サイドのイゴールへスルーパス。
両足をうまく使ったドリブルで米山をかわし、飛び込んだ菊池新吉の上を狙ってシュート。
まわり込んだ中村忠がうまく足を入れて、間一髪コーナーに逃げる。

41分
永井が右に開き、波戸がゴール前へ大きなクロスを入れる。
ボールはヴェルディDF陣の頭上を越えて、遠いサイドで待つイゴールへ。
イゴールが左足でダイレクトで合わせるも、ゴール左へ外れる。
フリーだったし、ゴール前は数的優位だったし、なにもそんなに焦らなくても……

44分
ラモスがやわらかいタッチでゴール前にスルーパスを入れる。
北澤が走り込むが、埜下が体を上手く入れて、ボールはナラが押さえる。
スタンドから見ると、ボールが体を入れた埜下の左手に……
ま、故意ではないということで。

前半の感想
完全にフリエのペース。直接観てはいないのだが、4節のガンバ大阪戦以来のことだろうか。
とはいえ、問題もある。31分の柱谷に見られるようなマークのずれや、ボランチが引きすぎて、中盤で自由にまわされる場面がしばしば見られたのが気がかり。
ヴェルディはフェルナンドの動きが目立ったが、彼をサポートする選手がいない。
能力の高さは確かなので、ぜひともエウレルと2トップを組ませてみたい。
決定機の数は似たようなものだが、菊池新吉に止められたフリエに対し、ヴェルディは枠にすら飛んでない。
いや、前節までのことを思うと、とても他人事とは思えないのだが。

59分
サンパイオが右に開き、波戸がゴール前にクロスを上げる。
フリエの選手が誰もいないにもかかわらず、柱谷は体を投げだすようにして頭でクリア。
これが米山のかかとに当たって、なんと久保山に。久保山からイゴール、そして左サイドのアツへ。
アツがフェイントでモアシールをかわし、中へ持ち込みながら右足ヒールでスルーパスを出す。
イゴールが走り込んで、左サイド角度のないところから左足一閃。
菊池新吉の右を抜けて、ゴールネットを揺らす
波戸の精度の低いクロスを、なぜ柱谷は無理に頭でクリアしようとしたのか。
トラップして易々とキープできたはずなのに。状況判断がまるでできていない。
この致命的なミスがなければ、アツの芸術的ヒールも、イゴールのシュートも生まれなかった。
その直後、ペナルティエリア内で、波戸が胸でトラップしてから落ち着いてクリアしたのを見て、ベテランってなんなんだろうと、ふと考えてしまった。
アツがイゴールとすれ違ったとき、一瞬彼の方を見たので、ばっちりアイコンタクトが取れていた。
両チームのこれまでの負け方からいって、フリエの勝利は決まったなと、ひとり確信。

61分
柱谷のクリアがアツに渡り、前方のイゴールへ。
数的優位を活かして中央へ切れ込み、得意のミドルシュート。
柱谷がなんとか爪先に当ててコースを変える。
アツからイゴールへ渡ったときの、ヴェルディ守備陣の動き出しが明らかに遅かった。
相当、尾を引いている模様。このまま行けるな、うん。

65分 選手交代:菅原 智→増田功作

67分
右サイドから波戸が中へ切れ込み、中央のイゴールへ。
イゴールが右足のアウトでゴール前へスルーパスを出し、抜け出した久保山が菊池新吉と1対1に。
右足のシュートは力なく止められたが、跳ね返りを落ち着いて左足で流し込み、決定的な3点目。
三浦泰年がボールに気を取られ、走り込む久保山に気づくのが遅れた。
ただ、27分のプレーといい今回といい、どうもGKとの1対1に弱いのが気がかり。まるでイゴールのように。

70分
サンパイオからのカウンター。左前方を走る山口にはヴェルディの選手がふたりついていると見るや、右から上がっていく永井へスルーパスを出す。
ペナルティエリア内でシュート体勢に入ったところを、中村忠がコーナーに逃げる。
スルーパスの出しどころがふたつもあるなんて。なんか夢のよう……

76分 選手交代:中村 忠→ダニエル
ボールが出ずに、タッチラインのところで5分近くも待ちぼうけ。
前園と交換で、レンタル移籍してきたダニエルをここで投入。
柱谷と米山の後方に入れて、三浦泰年を前目に上げて、3バックにした模様。
効果のほどはさておき……

77分 選手交代:レディアコフ→吉田孝行

86分
永井が左サイドに速いスルーパスを出し、追いついたアツがゴールライン手前から中に折り返す。
待っている吉田の後方から、走り込んだ久保山が頭で合わせたが、わずかにゴールの左へ。
モアシールが足でクリアしようとしたところへ、果敢に飛び込んでのへディング。
枠には飛ばなかったが、しっかりミートしていた。

89分 選手交代:久保山由清→大島秀夫

ロスタイム
中盤での軽快なパスまわしから、山口、永井を経由して、右サイドの波戸へ。
低くてカーブのかかった、この日一番のセンタリングは、合わせる大島がわずかに届かず不発に。

試合終了
久しぶりの勝利に、選手たちの顔も晴れやか。
ゴール裏に挨拶して引き上げた後も、ひとり残って手を挙げて答える前田浩二が印象的。
トレセンで見たときは、あんなに無愛想だったのに。無愛想といえば永井か……

後半の感想
ヴェルディにチャンスらしいチャンスを与えず、フリエが完全にゲームを支配。
得点は2点に終わったが、攻めの型をしっかりつくれたのが大きい。
前半あれだけ攻撃の基点になったフェルナンドは、完全に消えていた。

ヴェルディ 評
かつての王者の風格は見る影もなく、ベテラン揃いのただのチームに成り下がってしまった。
永井、武田、藤吉といった中堅どころを放出したのはともかくとして、このチームに選手をレンタル移籍させるだけの余裕があるとは、到底思えないのだが。
高木、カズ、エウレルの負傷で、実力的に数段劣る藪田を起用せざるを得ないのでは、川勝監督が気の毒。
阿部、布部、栗原のストライカー勢に続き、林が神戸へ、前園がブラジル・サントスへレンタル移籍。
菊池利三もチームを離れそうだし、ほんとに勝つ気があるんだろうか。
#実際、ここ1年の間にヴェルディを離れた選手でチームができるからなぁ。
#例:FW武田、栗原/MF永井、前園、廣長、長谷部/DF石川康、戸倉、林、布部/GK大石
#大石はもうヴェルディに復帰してるけど。よくよく見ると、5人も桐蔭学園出身者が。不遇だなぁ。

それから、ヴェルディに関して父が気になる情報を仕入れてきた。
柱谷哲二とラモス瑠偉がヴェルディを退団するそうな。
もっとも情報源は夕刊紙らしいし、第一声が「ヴェルディの井原が退団するってよ」だったので、きわめて信頼性に乏しいのだが。気になったので、一応付記しておきます。

フリエの布陣と評価
久保山はもっぱら引き気味で、2列目から飛び出してこそ真価を発揮できる選手。
イゴールも引いてボールをもらうことが多く、実質トップが不在の状況。
だからこそ、左からアツが、中央から永井と山口がいいタイミングで飛び出せるとも言えるが。
左のアツは積極果敢に攻め上がり、波戸は地味に最終ラインのカバーに奔走と対照的。
アツは(私の考える)本来のポジションに戻り、実に生き生きとプレーしていた。
彼は前方にスペースのあるポジションで、というか行動範囲を限定してあげたほうが活きると思う。
波戸はあまり敵陣深くまでは攻め込まず、かなり手前からカーブをかけてクロスを放り込むことに終始。
そのクロスもCKもあまりに精度が低すぎるので、もっともっと練習すべし。
久保山は決定力に欠けるきらいはあるものの、動きそのものには合格点をあげられるのではないかな、と。
ジュビロ戦の観戦記でふれた埜下は、予想通りベテランらしい安定した守備を見せてくれた。
ヴェルディの攻撃が、ジュビロと比較して数段劣っていることを差し引いても、零封は立派。
TVKで解説の加茂周が、最終ラインはゾーンディフェンスと言っていたが、サツや埜下が左右に動いていたのでマンマークという印象を受けたのだが、どうだろうか。

ポスト役がいなくても、ドリブルと精度の高いスルーパスで攻撃は組み立てられる。
でもじつわ、サイド攻撃が機能していないことには変わりがないんだよね。
それから、ボールを持って自陣に向かうアツにしばしばブーイングが浴びせられたが、攻める意欲がないならともかく、出すところがなくて下げる場合までブーイングするのはどうかと思うぞ。
サポーター諸兄よ。

おまけ
不調にあえぎ、シーズン半ばで監督が交代。応援にはまとまりがなく、フロントは何考えているかわからない。
おまけに、国立競技場史上ワースト2の観客数。
とまぁ、明るい話題の少ない似たもの同士の対戦と相成ったわけだが、正直負けなくてよかった。
ここに負けるようでは、ほんとに最下位が見えてくるからなぁ。

ヴェルディ川崎
前半横浜フリューゲルス
後半
会場:国立霞ヶ丘競技場/観衆:10506人
得点:0-1 永井秀樹(18分、アシスト=レディアコフ)
0-2 レディアコフ(59分、三浦淳宏)
0-3 久保山由清(67分、レディアコフ)

ヴェルディ川崎横浜フリューゲルス
GK菊池新吉GK楢崎正剛
DF中村 忠DF薩川了洋
DF76ダニエルDF前田浩二
DF柱谷哲二DF埜下荘司
DF米山篤志MF三浦淳宏
DF山田卓也MF波戸康広
MF31三浦泰年MF山口素弘
MF菅原 智MFサンパイオ
FW65増田功作MF永井秀樹
MFモアシールFW久保山由清
MF北澤 豪FW89大島秀夫
MFラモス瑠偉FWレディアコフ
FWフェルナンドFW77吉田孝行
FW藪田光教SUB佐藤 浩
SUB小針清允SUB原田武男
SUB渡辺淳一SUB井上雄幾

注釈:競技場で観戦しながら取ったメモを参考にしているので、若干誤りがあるかもしれません。
気付かれた方は、どんどんご指摘下さいませ。
なお、時間については競技場の電光掲示板の時計を参考にしましたが、1分程度の誤差はあります。

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