2002年W杯の決勝誘致のためにも、ダービーマッチで競技場を満員にしたい横浜市。
地元商店街に配ったり、企業に購入してもらったりと涙ぐましい努力のかいもあり、自由席は前売りで完売。
あまりいい気はしないが、サッカーを観に来てくれるのだからよしとしますか。恩恵も被ったことだし。
そんなこんなで、さるスジから入手したチケットで、珍しく7人もの大所帯で観戦してまいりました。
予告もなしに鳴り響く耳を劈かんばかりの爆発音と、それに伴う足元の揺れに思わず。
メインスタンド前に真っ青な煙が上がり、バックスタンド前から花火が打ち上げられる。
武男のJ100試合出場の花束贈呈が地味に執り行われ、選手たちがグラウンドへ散って行く。
どうでもいいが、風下にいると火薬の匂いが鼻につくぞ。
フリエの布陣
最終ラインは中央に原田、右に薩川、そして左に俊輔対策としてサンパイオ。
中盤は氏家と山口が下がり目、右に永井、左にアツ。
前線は左にイゴール、中央フットレ、そして右に遠藤というのが一応基本的な布陣。
遠藤は途中から動きの悪い永井にかわり中盤に下がった。
7分
俊輔の左CKを城が頭で合わせるも、ボールはゴールネットの上に。
俊輔の左足から放たれるプレスキックは、独特の伸びがあって非常に守りづらい。
同行した桐光学園の先輩の言である。
17分
右サイドでボールを持った俊輔が中へ切れ込み、サンパイオをかわしてシュート。
飛び込んだナラが一度は体で止めるも、こぼれ球を俊輔に拾われ再び狙われる。
あのサンパイオをもあっさりとかわす俊輔の突破力。
セットプレーやシュートの精度といい、このまま育ってほしい逸材である。
当たり負けさえしなくなれば、すぐにでも海外でも活躍できるのではないか。
25分
アツがゴール正面を左から右にドリブルで切れ込み、左のアウトサイドで中央へスルーパス。
遠藤が走り込むが、寸前のところでコーナーに逃げられる。
28分
38分
41分
前半の感想
49分
52分
52分
54分
選手交代:氏家英行→井上雄幾
55分
59分
61分
選手交代:ゴイコエチェア→寺川能人
67分
選手交代:永井秀樹→吉田孝行
74分
79分
82分
選手交代:安永聡太郎→平間智和
89分
試合終了後
負けるべくして……
ダービーマッチ
注釈:競技場で観戦しながら取ったメモを参考にしているので、若干誤りがあるかもしれません。
右サイドで安永がDFと競り合いながら、前方のスペースに技ありの縦パスを出す。
走り込んだゴイコエチェアがフリーの状態で、ゴールラインぎりぎりから直接中央へ折り返す。
おとりになった城に薩川がつられ、2列目から飛び込んだフリーの俊輔が強烈なヘディング。
ボールは勘で飛んだナラを嘲笑うかのように、左を抜けてネットを揺らす。
フリーで上げさせて、フリーで合わされ、そりゃ得点されて当然だわ…… というゴール。
ゴイコエチェアには原田が向かい、薩川は城のマークと、ここまではセオリー通り。
ところが肝心の俊輔に一番近かった氏家は、ゴイコエチェアの動きに注意を奪われ、
その一瞬の隙が俊輔を完全にフリーにしてしまい、あわてて追った氏家と右サイドから駆けつけた遠藤の目前で、
スローインをもたつくサツに、遅延行為でイエローカードが出る。
だから〜〜。 負けてるチームがわざわざ試合の進行を遅らせるわけがないじゃない。
誰も疑問に思わないのかなぁ。
左サイドを突破したアツから、遠いサイドで待つフットレへボールが上がる。
フットレが中央へ折り返して、走り込んだ遠藤が合わせ、ゴール前のイゴールが角度を変えて、ゴ〜〜ル!!
……と思いきや、イゴールの位置がしっかりオフサイド。
前半最大の見せ場。何が素晴らしいって、すべてのプレーがダイレクトだったこと。
ここで同点にしていれば、悪いなりに後半ももっと面白かったと思うのだが。
開始から15分程は両チームともに目立った動きはなく、退屈な試合展開を予感させる。
マリノスは最終ラインから前線までの距離が短く、非常にコンパクトないいサッカーをしている。
一方フリエは、前節延長戦の疲れが抜けていないのか、全体的に体が重く動きに精彩を欠いていた。
とくに永井の動きが悪く、故障明けのフットレも随所に光るプレーを見せるが、まだ完全ではない様子。
中央の遠藤から、前を走る山口へスルーパス。エリア寸前で井原と交錯するも、ホイッスルはなし。
相変わらず井原は汚い、そして上手い。ファールを取られないやり方をよく知っている。
もっともあれだけ痛んでいたのだから、ボールを外に出すとか、試合を止めるとかの配慮が欲しかった。
ゴール前フリーで城がボレーシュートを放つが、ボールはゴールのはるか上へ。
マリノスのパスミスを前線中央にいたフットレが奪い、右から上がる永井へパス。
永井が切り返そうとするが、井原が素早くコーナーに逃げる。
氏家も井上も、さほど印象に残るような働きはしていなかった。
井上は、一度だけ左サイドを突破する鋭いドリブルを見せてくれたのだが。
俊輔がドリブルで切れ込み、サンパイオをかわして原田をかわしてGKナラと1対1に。
ナラが飛び込んでなんとか体で押さえる。
中盤からアツが左足で低く抑えたロングシュートを放つ。
川口の伸ばした手には届かなかったが、ボールは右ポストに当たり惜しくもゴールインならず。
後半開始から15分間だけは、ダービーマッチにふさわしい白熱した攻防を見せてくれた。
このプレー以降、フリエの攻撃はジリ貧になってしまった。
自陣左サイドの上野から、左サイド前方でフリーの安永へのカウンター。
安永は小気味好いまでのまたぎフェイントで、原田をあっさりかわして左足を振りぬく。
地をはう強烈なシュートは枠をきっちり捉え、点差が2点に広がる。
俊輔と見紛うような巧みなボールさばきと、左足での完璧なシュート。
1年間のスペイン修行が伊達ではなかったことを、まざまざと見せつけてくれた。
以前はシュートをふかしてばっかりだったのに…… とは、前出の俊輔の先輩の感想である。
中央をドリブルするレディアコフを井原が体で止め、やっとイエローカードが出る。
フットレがドリブルで持ち込み、左足アウトサイドでアツへはたく。
アツがエリア内に切れ込むも、全体的に上がりが遅く、井原に競り負けてこぼれ球を小村に拾われる。
あまりにふがいない試合に、フリエ側ゴール裏自由席から入場時に配られたうちわが続々と投げ込まれる。
相撲の座布団と同じで、連鎖反応で面白半分に投げる奴が出てくるからやめろっていうのに。
確かに紙製だから、フリスビーの要領で投げるとよく飛ぶのだが……
第一、危ない。まだ持ってる方は、右手で持って左手の甲を叩いてみましょう。結構痛いから。
「なんで缶ビールとか駄目なんですか」
冗談で言ったんだけどなぁ…… 2階席でよかった。
「投げると危ないから。500mlのペットボトルなんかも本当は禁止なんだよね。
今まで観た中で、もっとも退屈で気が重くなったダービーマッチでした。
3−4−3とはいえ、左右のウイングからのサイド攻撃は機能していない。
中央突破しようにも、頼みのドリブラー永井とフットレは精彩を欠いている。
#アツもドリブラーだが、タイプが違うのでこの場合は除く。
頼みの綱はスルーパスだが、そうとわかっていて抜けるほど井原、小村は甘くはない。
つまりは負けるべくして負けた、ということ。
今年の開幕戦はともかくとして、できればダービーマッチは終盤戦に組み込んで欲しい。
優勝争いをしているチームを、それまで不調だったチームが打ち負かすことこそ、
シーズン序盤にあっても、何か味気ないという気がしてならないのは、私だけだろうか。
横浜フリューゲルス
0
0 前半 1
横浜マリノス
2
0 後半 1
会場:横浜国際総合競技場/観衆:53598人
得点:0-1 中村俊輔(28分、アシスト=ゴイコエチェア)
横浜フリューゲルス 横浜マリノス
GK 楢崎正剛 GK 川口能活
DF サンパイオ■ DF 野田 知■
DF 原田武男 DF 小村徳男
DF 薩川了洋■ DF 井原正巳■
MF 山口素弘 DF 神田勝夫
MF 氏家英行 MF 上野良治
MF 54井上雄幾 MF 中村俊輔
MF 三浦淳宏 MF ゴイコエチェア
MF フットレ■ MF 61寺川能人
FW レディアコフ MF 遠藤彰弘
FW 永井秀樹 FW 城 彰二■
FW 67吉田孝行 FW 安永聡太郎
FW 遠藤保仁 MF 82平間智和
SUB 佐藤 浩 SUB 榎本達也
SUB 埜下荘司 SUB 鈴木健仁
SUB 前田浩二 SUB 岡山一成
気付かれた方は、どんどんご指摘下さいませ。
なお、時間については競技場の電光掲示板の時計を参考にしましたが、1分程度の誤差はあります。