川崎フロンターレ−サガン鳥栖 観戦記 点描

日中は、海老名でJFLの"佐川急便東京SC−愛媛FC"を観戦。
攻守の動き出しの早さといい、豊富な攻撃のアイデアといい、愛媛FCはサッカーの質が違った。
少なくとも、将来のJリーグ参入を視野に入れた戦い方はしているようだ。

その後、緑スポーツセンターでフットサルの忘れ物を回収してから、等々力競技場へと向かう。
町田の「柳麺 伽藍堂」に振られたのは痛かったが……店主は椅子を並べて仰向けに寝てたな(苦笑)
不定休を謳っている以上は仕方ないとはいえ、訪れた客に見せる姿ではないと思われる。

 

2階席に人の姿があったので行ってみたのだが、どうやら開放しているわけではないらしい。
議連協(川崎市技能職団体連絡協議会)のための招待席か、紛らわしいことを。
結局、スタジアムを一周してしまった。

サガン鳥栖の横断幕
ゴール裏に貼られた4枚組の連作。
  「クニシャン川崎」「ープだ小石」「ーチングノリオ」「自分に負けるな
バックスタンドにはこんな直球のものも。
  「悪は必ず滅びる」「照子に戦力外!

 

川崎フロンターレの布陣
GKは吉原。最終ラインは中央に渡辺匠、右に箕輪、左に伊藤宏樹。サイドハーフは右に長橋、左にアウグスト。
中盤はボランチが茂原と鬼木、中央に今野。前線はジュニーニョとホベルチ。

サガン鳥栖の布陣
GKは高橋範夫。最終ラインは右から鈴木、宮川、ペリクレス、中村祥朗。
中盤はボランチが村主と森、右にジュニーニョ、左に川崎。前線は鳴尾と佐藤大実。

2分
今野の左サイドからのFK。右足でカーブをかけてゴール前に入れる。
アウグストが体勢を低くしてヘッドですらし、ボールは右のポストに当たってゴールに吸い込まれる。
近いサイドであれだけ自由にさせては……マークしていたはずのディフェンスはどこへいった?

12分
中央やや右から茂原がミドルシュートを放つが、ゴールマウスの左上を叩く。高橋範夫は一歩も動けず。

17分
中央のジュニーニョが左サイドに展開し、アウグストが左足で狙い澄ましたクロスボールを上げる。
ホベルチがヘディングで合わせるが、クロスバーをかすめてわずかにゴールの上へ。

20分
アウグストの右サイドからのFK。左足から放たれたボールは、強烈な回転がかかってゴール前へ。
走り込んだホベルチのヘッドはわずかに届かず。バウンドして鋭く曲がって、サイドネットを揺らす。
ボールの軌道を見定めた上で、合わせてくるのに備えて、高橋範夫は中央よりにポジションを修正。
結果的にそれが裏目に出たわけだが……まぁ、アウグストのシュートを誉めるしかないだろう。

29分
ジュニーニョ(鳥栖)の右CK。佐藤大実がヘディングですらし、遠いサイドにボールが流れる。
ホベルチが右足でクリアしようとして空振り。すかさず、宮川が右足で豪快に蹴り込む。
無理をせず、サイドラインにでも蹴り出しておけばよかったものを。

31分
今野とのワンツーで茂原が右サイドを突破し、ペナルティエリアに切れ込んで高橋範夫と1対1に。
右足でのグラウンダーの折り返しに、遠いサイドに走り込んだホベルチはボールをまたいで……

41分
村主が左サイドから右足でクロスを上げ、鳴尾が吉原の前に走り込んでヘディング。クロスバーを直撃。
ゴール前のマークが甘すぎるのは、サガンもフロンターレも同じか。
これが決まっていれば、試合の流れを引き寄せることも可能だったのだろうが……

ロスタイム(公式記録では44分)
ジュニーニョが中央をドリブルで突破。(ディフェンスのいない)左前方のスペースにパスを出す。
ホベルチが高橋範夫との1対1をきっちり決めて、フロンターレに決定的な3点目が入る。
さすがにこれは外さないか。

ロスタイム(公式記録では44分)
自陣右サイドで、ジュニーニョ(鳥栖)が今野めがけてスライディング。
スパイクの裏を見せて、両足を揃えてのタックルに、辺見主審から2枚目のイエローカードが出される。
ジュニーニョ 退場。
同情の余地のない危険なプレー。ちなみに、1枚目は長橋との小競り合いでの喧嘩両成敗。
とりあえず、観戦記が書きやすくなったことだけは確かだ(爆)

前半終了

45分
選手交代:中村祥朗→服部浩紀
箕輪へのラフプレイで、服部にイエローカードが出されたのはこの1分後(笑)

サガン鳥栖の布陣 そのに
GKは高橋範夫。最終ラインは右から鈴木、宮川、ペリクレス、森。
中盤はボランチが村主と川崎、右に鳴尾、左に佐藤大実。最前線に服部。

ひとり少なくなったので1トップにするけど、FWの枚数は減らしたくないといったところか。
サガンのFWは、好むと好まざると中盤で起用される運命にあるようだ。唯一の例外が服部。

47分
空中のボールをクリアしようと足を高く上げた森と、そこに走り込んだ長橋が交錯。
目の前で起こったプレーに、ファウルをアピールする鍛冶副審のフラッグが上げられる。
場所はペナルティエリアの中。倒されたフラッグの方向が、フロンターレのPKを示している。
あれでPKかよ……(呆然) 長橋が遅れて飛び込んだように見えたが、サガンの間接FKでは?
仮に遅れたのが森の方だったとしても、試合が壊れることを承知の上で取るほどのプレーか。
サガンの選手たちが鍛冶副審に執拗に詰め寄ったのも理解できる。高橋範夫が制していたようだが。

49分
ジュニーニョのPK。高橋範夫のステップに惑わされることなく、右足でゴール左隅に決める。
懐かしのインベーダーのような、高橋範夫の左右に激しく動くステップは何なんだ……
FKでのポジショニングもそうだが、GKのセオリーからはことごとく外れている選手だな(苦笑)

58分
ジュニーニョが右サイドをドリブルで上がり、いとも簡単にペナルティエリアへと切れ込む。
切り返して体勢を整えると左足を一閃。ボールはゴールネットの天井に突き刺さる。
ペリクレスは距離を開けて半身の構えでただ下がるだけ。切り返されたらあっさり終了。
そもそも、フロンターレボールになった瞬間に、動き出した選手の数が明らかに違っていた。
ジュニーニョがシュートした時点で、ペナルティエリアに6人もいたからな……

59分
選手交代:佐藤大実→大友 慧
大友も来季はベガルタ復帰だろうな。もちろん、前提となるのはベガルタの降(以下略)

63分
ホベルチが右サイドから低いボールを折り返し、ジュニーニョが遠いサイドに流れながら受ける。
ゴールに向き直ってシュートするが、高橋範夫が素早く詰めてコースを消し、かろうじて弾き出す。

68分
選手交代:今野 章→中村憲剛
入ってくる選手の腕にキャプテンマークを巻いてから退場する。今野が交代する際の見慣れた光景。

72分
中央を切り裂くスルーパスに、ホベルチが抜け出して高橋範夫と1対1になる。
そのまま右へかわそうとするが、高橋範夫が倒れながら懸命に腕を伸ばして弾き出す。
──で、こぼれ球を拾ったホベルチと、それを追った高橋範夫がペナルティエリアの端で対峙。
そのマッチアップにスタンドは沸いたが……きっちり決めておけや。

76分
選手交代:長橋康弘→岡山一成
選手交代:川崎元気→井手口純
フロンターレの意図は明白だが、サガンはなぜここで井手口? これ以上傷口を広げたくないのか。

川崎フロンターレの布陣 そのに
GKは吉原。最終ラインは右から伊藤宏樹、箕輪、渡辺匠、岡山。
中盤はボランチが山根と中村憲剛、右に茂原、左にアウグスト。前線はジュニーニョとホベルチ。

サガン鳥栖の布陣 そのさん
GKは高橋範夫。最終ラインは右から鈴木、宮川、井手口、ペリクレス。
中盤はボランチが村主と森、右に鳴尾、左に大友。最前線に服部。

77分
中央やや右で茂原、ジュニーニョ、ホベルチとボールがつながり、ペナルティエリア深くから折り返す。
ボールは走り込んだ茂原の後方を抜けて、フリーのジュニーニョがスライディングで押し込む。
流れるようなダイレクトパス、そして基本に忠実なパス・アンド・ゴー。
ホベルチがボールに追いついくと、横には広大なスペースとそこに走り込む茂原とジュニーニョ。
高橋範夫が一か八か茂原へのパスコースを切りに行ったのも、致し方ないことだろう。
ジュニーニョは自身初のハットトリック達成。意外といえば意外だが、生粋のFWではないしな……

79分
アウグストの中央やや左からのFK。中村憲剛とのパス交換から、左足でクロスボールを上げる。
近いサイドに走り込んだ岡山が、ディフェンスの前で足で合わせてゴールネットを揺らす。
岡山の足で決めたゴールというのも珍しい。数年前までは確かにストライカーだったんだけど。

83分
選手交代:アウグスト→鬼木 達
こんな試合くらいは早めに休ませるべきだと思うが、ハットトリックの可能性があったとはいえ。
それにしても、左サイドでプレーする茂原は違和感があるな。適性があるようには思えないが。

川崎フロンターレの布陣 そのさん
GKは吉原。最終ラインは右から伊藤宏樹、箕輪、渡辺匠、岡山。
中盤はボランチが鬼木と山根、右に中村憲剛、左に茂原。前線はジュニーニョとホベルチ。

83分
中央でジュニーニョがヒールでスルーパスを通し、ホベルチが高橋範夫と1対1の場面を迎える。
左にかわしてシュートするが、ペリクレスが股間からポストに突っ込みながら、スライディングで防ぐ。
ペリクレスが最後の最後で意地を見せた。もっとも、それまでがあまりに酷すぎたわけだが。
セレッソを退団してから2年以上もブランクがあるのだから、当然といえば当然か。

後半終了

あんたが大賞
ハットトリックのジュニーニョではなく、なぜか7点目を決めた岡山に贈られる。
商品は新潟産コシヒカリ50kg(朝日新聞のティッシュペーパー1年分とはえらい違いだな:笑)。
後でジュニーニョに30kg、アウグストに20kgほど分けてあげるように。

試合の感想
見ていて切なくなった……これでいいのか、Jリーグは?
先日、横浜FCがアルビレックスに7失点を喫したのに続いて、サガンも同様の醜態をさらした。
闇雲にJ2のチーム数を増やせと主張する向きもあるが、そういった連中にこの試合を見せてやりたい。
J2のレベルに見合わないチームを昇格させても、リーグそのものがつまらなくなるだけだ。

フロンターレが27本ものシュートを浴びせたのに対して、サガンが放ったシュートはわずかに4本。
後半に限れば、フロンターレが18本、サガンが0本と文字通りの"サンドバッグ状態"。
ホベルチが遊び心を出したりしなければ、おそらくサガンの失点は二桁になっていただろう。

そもそも、サガンは何をしたいのか? 千疋"傀儡"監督とアンドレコーチの指導力不足は明らかだが、加えて場当たり的に選手を獲得するものだから、メンバーが一向に固まらない。
助っ人という言葉は好きではないが、外国籍選手も助けるどころか足を引っ張っているのが現実だ。
川前はどこへ行った? 佐藤陽彦は? 矢部は?(負傷中だったら申し訳ない)

F・てーとく氏の言葉を借りれば、点差以上にその実力には大きな開きがあったということ。

川崎フロンターレ

前半サガン鳥栖

後半
会場:等々力陸上競技場/観衆:5002人
得点:1-0 アウグスト(2分、アシスト=今野 章)
   2-0 アウグスト(20分、FK)
   2-1 宮川 悟(29分、ジュニーニョ、佐藤大実)
   3-1 ホベルチ(44分、ジュニーニョ)
   4-1 ジュニーニョ(49分、PK)
   5-1 ジュニーニョ(58分)
   6-1 ジュニーニョ(77分、ホベルチ)
   7-1 岡山一成(79分、アウグスト)

川崎フロンターレサガン鳥栖
GK吉原慎也GK高橋範夫
DF伊藤宏樹DF鈴木勝大
DF渡辺 匠DF宮川 悟
DF箕輪義信DFペリクレス
MF山根 巌DF中村祥朗
MF茂原岳人FW45服部浩紀
MF長橋康弘MFジュニーニョ
DF76岡山一成MF森 恵佑
MFアウグストMF村主博正
MF83鬼木 達MF川崎元気
MF今野 章DF76井手口純
MF68中村憲剛FW佐藤大実
FWジュニーニョMF59大友 慧
FWホベルチFW鳴尾直軌
SUB相澤貴志SUBシュナイダー潤之介
SUB我那覇和樹SUB古川隆志

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