水戸ホーリーホック−アルビレックス新潟 観戦記

ホーリーホックの存続が危ぶまれる中、観客動員に貢献するべく行ってきましたよ、はるばる笠松へ。

同行者はFてーとく氏。使用するのはもちろん青春18きっぷ。
9:03発の横須賀線で保土ヶ谷駅を起ち、山手線、常磐線と乗り継いで、10:25に松戸駅で下車。
ここで氏と合流すると、10:37発のいわき行きで揺られることおよそ2時間。ようやく水戸駅に到着する。

試合開始は18時なのに、なぜこんなにも早い時間に着いたのか──
その理由とは、遠征の最大の醍醐味ともいうべき、「地元の名産を味わう」ために他ならない。
茨城県といえば"あんこう"なのだが、冬の魚が初秋に食べられるわけもなく、狙いを"軍鶏"に変更。
「五鐡 夢境庵」(店名は鬼平犯科帳の軍鶏鍋屋「五鐡」に由来)にて、軍鶏すき焼きに舌鼓を打つ。
なお、これまた名産である"納豆"については、関西出身の氏の猛反対にあったことを書き添えておく。

時間にまだ余裕があったので、駅前のLIVIN水戸で行われているという、パネル展を見に行くことに。
……が、案内所の女性からしてそのことを知らないとは、いったいどういうことか。
パネル展そのものは、エスカレーター周りを利用したごくごく一般的なもの。
水戸ホーリーホックの認知度を上げるためにも、常設できないものかと思ったりもする。

水戸駅ではJA常陸太田市梨部会が梨を配っていたのだが、「安全で〜す」と言いながら渡すのはどうかと。
無登録農薬の使用が問題になっているのはわかるが、思わず受け取るのをためらってしまった。
#生産者の名誉のために記しておくが、甘くてみずみずしい梨で、美味しかったですよ。
あらかじめ土産を購入してから、再び常磐線に乗り込んで最寄駅とされる東海駅へ向かう。

茨城県東海村。言わずと知れた、原子力関連施設の集中する曰く付きの村である。
総ガラス張りの外観もさることながら、驚くべきことに駅構内にはギャラリーまで設置されている。
このアンバランスさに、施設を受け入れたことに対する国からの補助金の多さが窺い知れる。
臨時バスよりも早く来た、1時間にわずか1本という茨城交通のバスで、笠松運動公園を目指す。

競技場の外でTシャツとタオルマフラーを購入し、Tシャツにマルクスと山中良二のサインをもらう。
その際に直接確かめたのだが、マルクスがフリューゲルスユースに在籍していたのは96〜98年だそうだ。
せっかくなので、Tシャツを着込んでタオルマフラーを首にかけてみたのだが……
どこをどう見ても、アルビレックスを応援しているとは思えんな(苦笑)

余談ではあるが、思い出すのも腹立たしい3週間前の佐川急便東京戦において、公衆の面前で喧嘩を買った奴の姿を見つけたのだけは余計だったな。実際、激しく気分を害した。

 

試合前の風景
ホーリーホックサポからアルビレックスサポへ、感謝の意を込めて「アルビレックス!」コール。
それに対して、アルビレックスサポからは「セクシー木澤!」コールが返される。
もっとも、木澤はこの試合には出場しないんだけどね(苦笑)

水戸ホーリーホックの布陣
GKは本間。最終ラインは中央に鳥羽、右に小川、左に木山。サイドハーフは右に北島、左に山崎理人。
中盤はボランチが上園と栗田、中央に山本翔平。前線は深川と吉田。

アルビレックス新潟の布陣
GKは野澤。最終ラインは右から小林悟、セルジオ、丸山、神田。
中盤はボランチが秋葉と宮沢、右に寺川、左に深澤。前線は氏原と船越。

7分
左サイド、山崎理人が深川とのワンツーリターンで、寺川と小林悟のふたりを一気に抜き去る。
そのままペナルティエリアに切れ込むと、右足でシュート。ボールはサイドネットを大きく揺らす。
山崎理人がボールをちょんと浮かして、深川がヘディングで小林悟の脇を抜くパスを返す。
小林悟は下がりながら左右に振られる格好になり、バランスを崩してのスライディングが精一杯。
サイドを突破された時点で、勝負あった。

8分
氏原がディフェンスにつかれながらシュートを放つが、本間が右手でゴールの左に弾き出す。

11分
センターサークルから、寺川が前線のスペースめがけて一気にロングフィード。
鳥羽がまずボールに追いつくが足につかず、船越に体を寄せられると簡単にボールを失う。
船越が木山に潰されながら後方に流し、氏原がペナルティアークから右足で豪快に叩き込む。
これは鳥羽の完全なミス。鳥羽と木山のふたりで挟み込んでいたとはいえ、相手は船越。
タッチラインに蹴り出すなり、本間にいったん返すなりすれば、防げた失点だったといえる。

12分
山崎理人のスルーパスから、吉田が左足でミドルシュートを放つが、クロスバーを超える。

19分
山本翔平が右へ流れながら右足でシュート。ボールは山なりでバーに当たり、ゴールの上へ消える。

26分
中央やや左からの宮沢のFK。左足で直接ゴールを狙うが、本間が横に飛んで弾き出す。

32分
自陣のセルジオからのロングフィード。右サイドを駆け上がる小林悟が追いつき、クロスを上げる。
走り込んだ船越がヘディングで合わせるが、ボールはあさっての方向へ。

34分
右サイドの北島が、逆サイドの栗田めがけて大きくサイドチェンジ。
左足でトラップすると、バウンドして落ちてくるボールに合わせて、左足を豪快に振り抜く。
ドライブ回転のかかったミドルシュートは、野澤の右手によってクロスバーの上に弾き出される。

前半の感想
互角の展開。それにしても、アルビレックスのディフェンスが、ひどくばたばたしていな。

45分
選手交代:山本翔平→池田伸康
選手交代:深川友貴→小野隆儀
深川は前半ポストプレーに冴えを見せていたが……45分間を全力でプレーしたからこそ、か?

49分
本間が手のひらに乗せたボールを、氏原が後方からかっさらうが、主審の判定はなぜかファウル。
一斉にブーイングを浴びせるホーリーホックサポーター。
しかし、パントキックの体勢に入っているならいざ知らず、これは明らかに正当なプレーのはず。
事実、森敦彦はコンサドーレでプレーしていた97年に、同様の場面から失点しているのだから(苦笑)

54分
氏原が池田伸康からボールを奪い取ると、ディフェンスを充分に引きつけて横にパスを出す。
どフリーの船越が左足で放ったシュートは、無情にもゴールマウスの右に外れる。
……船越よぉ(怒)

60分
宮沢の右CK。ディフェンスがヘディングでクリアしたボールが、ゴール右の氏原に渡る。
角度のないところから、すかさず右足でシュートするが、ポストに当たってサイドネットを揺らす。

62分
左サイドからの池田伸康のFK。右足でグラウンダーのシュートを放つが、わずかにゴールの左。

本日の入場者数
4954人と発表される。一見、もっと多いように感じたのだが……思った以上に伸びなかったな。
新潟からのバスツアーだけで少なくとも6台。不足していたのは、ホーリーホックの集客力か。
もっとも、これだけ報道陣が駆けつけては、水増しするわけにもいかなかったのだろうが(爆)

68分
選手交代:宮沢克行→大橋正博
わずか2週間前に、F・マリノスからレンタル移籍してきた期待のゲームメイカーが、満を持して登場。
早くから中村俊輔の後継者と目され、昨年もホーリーホックで大活躍したことは、記憶に新しい。
とはいえ、交代させるべきは、まるで機能していなかった深澤の方ではないだろうか。

些細な出来事
スパイクを履きかえるセルジオ。ピッチの中でするな……というか、自陣のゴール前でするな(笑)
仮に攻め込まれたとして、どうやってもオフサイドが取れないではないか。

73分
山崎理人が左サイドから中に切れ込んで、右足でミドルシュートを放つが、クロスバーを超える。

78分
選手交代:深澤仁博→長谷川太郎
ようやく深澤が退いたが、代わって入った長谷川太郎も本来は前線でプレーする選手。むぅ……

81分
選手交代:秋葉忠宏→三田 光
秋葉は肩を痛めたことによる負傷交代。先の交代が行われる以前から、ピッチの外で治療を受けていた。

84分
選手交代:吉田賢太郎→冨田大介
本職はボランチのはずだが、なぜかそのまま前線に投入される冨田。
菅野監督のこの采配が、よもやあのような結果をもたらすことになろうとは……

88分
中央をドリブルで上がる池田伸康から、左サイドを上がる山崎理人にパスが出される。
左足の前にあるボールを、右足アウトサイドで引き寄せることで、対峙する小林悟の体勢が崩れる。
すかさず右足で上げたアーリークロスは、ゴール前にぽっかりとできたスペースへ。
冨田のぎこちないスライディングシュートがネットを揺らし、土壇場でホーリーホックが突き放す。
……やはり最後は山崎理人だったか(嘆息)
なお、小野隆儀が近いサイドに流れたからこそ、できたスペースであることを付け加えておく。

ロスタイム
勝ち越したのにもかかわらず、なぜかそのまま前線に残っている冨田(苦笑)
アルビレックスがパワープレーでセルジオを上げたのに伴って、ようやく後方へと下がってくる。

後半の感想
後半開始からの15分間。攻勢に出た時間帯に逆転できなかったのがすべて、なんだろうけど……
ホームタウン・ディシジョンか、それとも判官びいきか。審判の判定がホーリーホックに有利すぎた。
もちろん、それもサッカーの一部であることは、十二分に承知した上で言っているのだが。

最後に、Fてーとく氏のお言葉を。
「昼に食べたのは、実は軍鶏ではなくて白鳥だったのか」

山崎理人
東福岡の三冠、そして選手権連覇の立役者のひとり。左右のサイドバックをこなせるのが唯一の特徴。
卒業と同時にサンガに入団したが、会見で「僕は紫色が好きじゃない」と発言した話はあまりに有名。
それはさておき、対面の小林悟が守備に難があるとはいえ、全得点に絡む活躍を見せたのはさすが。
右足から放たれる正確なボールは、今後もホーリーホックの大きな武器となることだろう。

ANA
横浜トライスターを我が物にし、時を経て横浜フリューゲルスを消滅させた、忌むべき航空会社。
合併した横浜F・マリノスから撤退したと思えば、今度は舌の根の乾かぬうちにJ2のクラブを支援か?
その合併が発表された後、J2でもかまわないからチームの存続をと懇願するサポーターに、
「J2ではやる意味がない」と言い切ったのはどこの会社だったか。相変わらず節操がないな(嘲笑)
まぁ、ホーリーホックにとっては貴重なスポンサー様なんだろうけど。

水戸ホーリーホック 評
この試合に関しては、選手たちが「意気に感じた」という表現がふさわしいだろうか。
最下位を争っていた昨年の面影はまるでなく、本間のパントキックにも成長の跡が見られた(苦笑)
ひとつだけ言わせてもらえば、山本翔平が中盤を支えているようではいかにも苦しい。
昨年の大橋といい、中心選手をレンタル移籍に頼らざるを得ないのが、実状なのかもしれないが。

アルビレックス新潟 評
よりにもよって、存続のかかった大一番に対戦することになるとは、運がないとしか言いようがない。
今季随一の出来のフロンターレに完敗したり……巡り合わせの悪さはどうにかならないものか(嘆息)

 

アルビレックスの敗戦を見届けると、余韻に浸ることなく臨時バス乗り場へと向かう。
路線バスがもう残っていないのは確認済み。最初に来たバスにかろうじて座り、東海駅へと戻る。
それにしても、駐車場が充分にあるとはいえ、公共交通機関の貧弱さは致命的といえる。

20:28発の上野行きに乗るが、牛久・佐貫間でまさかの人身事故発生。電車は大幅に遅れる。
度重なる停止信号や成田線との合流もあり、定刻から34分遅れて、ようやく23:23に上野駅に到着。
友部駅で"フレッシュひたち"を待っていた親子は、無事家に帰りつけたのだろうか。

私は東京駅を23:50に発車する、横須賀線の最終電車にはなんとか間に合ったが……
後発の臨時バスに乗っていたのであれば、間違いなくタクシーのお世話になっていたことだろう。
「遠征は余裕を持って」という、いい教訓かもしれない。

……さすがに疲れた。

水戸ホーリーホック

前半アルビレックス新潟

後半
会場:笠松運動公園陸上競技場/観衆:4954人
得点:1-0 山崎理人(7分、アシスト=深川友貴)
   1-1 氏原良二(11分、船越優蔵)
   2-1 冨田大介(88分、山崎理人)

水戸ホーリーホックアルビレックス新潟
GK本間幸司 GK野澤洋輔
DF小川雅已DF小林 悟
DF鳥羽俊正DFセルジオ
DF木山隆之DF丸山良明
MF北島義生DF神田勝夫
MF上園和明MF秋葉忠宏
MF栗田泰次郎DF81三田 光
MF山崎理人MF宮沢克行
MF山本翔平MF68大橋正博
MF45池田伸康MF寺川能人
FW深川友貴MF深澤仁博
FW45小野隆儀FW78長谷川太郎
FW吉田賢太郎FW氏原良二
DF84冨田大介FW船越優蔵
SUB石川 研SUB前田信弘
SUB磯崎敬太SUB高橋直樹

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