アルヤーミの左足は行き場をなくして、あのような不自然な倒れ方になったのだろう。
65分
オレンベがチャトのパスを受けて左サイドを突破、ペナルティエリアに切れ込んで中央に折り返す。
一度はボールを奪われたものの、イブラヒム・アルシャハラニのロングパスは、ディフェンスがクリア。
自陣右サイドでボールを拾ったジェレミが、一気に最終ラインの裏へロングパスを通す。
エトーが抜け出してアルデアイエと1対1になり、右足アウトフロントで落ち着いてゴールに流し込む。
|
ユニフォームを脱ぎ捨てながら、一目散にシェーファー監督の下に走り寄り、熱い抱擁を交わすエトー。
最終ラインを上げようとした矢先の出来事で、ズブロマウィがわずかにひとり残っていたか。
エトーは右足を振り抜くと見せて、腰を落としたアルデアイエを嘲笑うかのように、ゴール右隅を突いた。
71分
選手交代:ズブロマウィ→アルジュマン
この試合に勝利しなければ、事実上セカンドラウンド進出の望みを絶たれるサウジアラビア。
前線の枚数を増やして勝負に出る(引き分けでも可能性は残るが、得失点差の争いになると……)。
73分
おつかれさま。正直、本調子からは程遠いように思えたので。
78分
アルヤーミ(?)のパスを受けて、アルテミヤトが胸トラップでボールを前方に浮かせると、落ち際を狙ってロングレンジから右足を一気に振り抜く。ボールはゴールの左に大きく外れる。
80分
アリウムのゴールキックを、サウジアラビアがヘディングに競り勝って右サイドに展開。
アルジュマンの折り返しをアルテミヤトが落として、イブラヒム・アルシャハラニが右足でシュート。
ディフェンスに跳ね返ったところを、さらにアルテミヤトが右足でボレーシュート。ゴールの右に外れる。
一連の流れの中で、アルテミヤトは完全にフリー。後は枠にさえシュートが飛べば(こればっかり)。
84分
左サイドでもプレーするが、ヌジャンカの本職はストッパー。守備を固めてきた……んだろうなぁ。
86分
選手交代:アルハスラン→アルハウサウィ
88分
センターサークル付近から、フォエが中央にぽっかり空いたスペースをドリブルで突破。
ペナルティエリアに入って左足でシュートを狙うが、トゥカルがスライディングでかろうじてブロック。
|
棒立ちになっていたというよりは、当たりに行くべきか迷っているうちに突破されたという印象。
センターバックふたりが、あっさり間を抜かれたからなぁ(苦笑)
試合終了
テリエ・ハウゲ主審、ノルウェーでは試合終了を告げる笛は5回も鳴らすのですか?
後半の感想
カメルーンが意地を見せて、シュート数でサウジアラビアを上回ったものの、前半と大差ない内容。
エトーのゴールは素晴らしかったが、それ以外に見せ場があったかと問われれば、言葉に詰まる。
モハメド・アルデアイエ
これまでは驚異的な反応だけが取り上げられてきた感があるが、そんな彼ももう30歳になる。
なにより経験が物を言うポジション。これからどう円熟味を増してくるのか、非常に楽しみでもある。
しなやかな身のこなし、ペナルティエリアにまで届くパントキック、そして持ち前のキャプテンシー。
ドイツ戦の大敗から5日、そのポテンシャルはこの試合で遺憾なく発揮されたのではないだろうか。
ナワフ・アルテミヤト
2000年アジア最優秀選手。
アルメシャルが負傷で登録を外れ、アルジャバーは虫垂炎を患い、オベイド・アルドサリも途中退場。
ストライカーが相次いで姿を消したことで、彼にかかる負担が増したのはもちろん確かだろう。
とはいえ、生粋のパサーだからといって、それはシュートが下手な言い訳にはならない。
カメルーン 評
アフリカ選手権を連覇し、シドニーオリンピックでも金メダルを獲得した「不屈のライオン」。
とはいえ、実力の"片鱗"程度すら見せてもらった気がしない。
ドイツとの最終戦が控えているだけに、最小得点差での勝利は"負けにも等しい"と言わざるを得ない。
サウジアラビア 評
ドイツに0−8で敗れた影響が懸念されたが、アルジョハル監督が見事に守備を立て直してきた。
しかし、このままでは引き分けることはできても、おそらく勝つことはできないだろう。
くどいようだが、シュートが枠に行かないのだから。4年前、日本がフランスでそうだったように。
余談
サウジアラビアの選手名。とにかくメディアによってまちまちで、ひとつとして同じ表記がない(苦笑)
公式プログラムや配布される先発メンバー表、雑誌などを参考にしつつ……まぁ、通りのいい名前で。
カミス・アルドサリなんて書かれても誰のことだか。ちなみに、アルオワイランのことね。
コラム「スタジアムの中だけがワールドカップか」
試合終了後、再度チケットの礼を述べると、吐き出されるようにしてスタジアムを後にする。
無料シャトルバス乗り場へ向かうが、浦和駅行きはすでに長蛇の列。一向に動く気配すらない。
早々に見切りをつけて(はなから期待なんてしてなかったけど)、浦和美園駅へ。
途中、警察車両と警察官によって作られた人垣で、交通規制が行われている。
本来であれば15〜20分程度で済む距離を、人波に揺られながら黙々と1時間もかけて歩く。
左は一面の畑、右は水路。道中見かけたのは、唐揚げや焼そばを売る屋台と"帽子"を売る外国人がひとり。
プラットホームへと順送りにされ、到着した電車に乗り込んで、王子駅でJR京浜東北線に乗り換える。
──はたと思う。本当にそれでいいのか、と。
改めて言うまでもないが、ワールドカップは"祭り"だ。少なくとも、これまでの大会はそうだった。
スタジアムのみならず、街そのものが喧騒とは無縁ではいられなかった。だが、"ここ"にはなにもない。
浦和美園駅前にはコンビニが一軒だけ。日商1200万円という数字が、選択肢のなさを物語っている。
はたして、勝利に沸くカメルーンサポーターは、どこで歓喜し、歌い、踊ればいいのだろうか。
ボランティアのみなさんには申し訳ないが、ひとりひとりの表情(かお)が見えなかった。
カメルーン人やサウジアラビア人のサポーターが、決して多くはなかったのも事実だろう。
それらを考慮に入れた上で、あえて言わせてもらう。
この試合は、「スタジアムの中ですらワールドカップではなかった」と。
サッカーどころ"さいたま市"の盛り上がり様は、永遠に窺い知ることはできなかった。
カメルーン 1
| 0 | 前半 | 0
| サウジアラビア 0
|
1 | 後半 | 0
|
会場:埼玉スタジアム2002/観衆:52328人
|
得点:1-0 エトー(65分、アシスト=ジェレミ)
|
カメルーン | サウジアラビア
|
---|
GK | アリウム | GK | アルデアイエ
|
DF | チャト | DF | アルジャハニ
|
DF | ウォメ■ | DF | トゥカル
|
DF | 84ヌジャンカ | DF | ズブロマウィ
|
DF | ソング | FW | 71アルジュマン
|
DF | カラ | DF | アルシャハリ
|
DF | ジェレミ | DF | スリマニ
|
MF | ローラン | MF | I・アルシャハラニ
|
MF | フォエ | MF | アルハスラン
|
MF | ヌゴム | MF | 86アルハウサウィ
|
DF | 45オレンベ | MF | アルワケイド
|
FW | エトー | MF | アルテミヤト
|
FW | エムボマ | FW | O・アルドサリ
|
FW | 73ヌディエフィ | FW | 35アルヤーミ■
|
SUB | ソンゴー | SUB | ザイド
|
SUB | カメニ | SUB | バブクル
|
SUB | メトモ | SUB | アルハシー
|
SUB | エパレ | SUB | A・D・アルドサリ
|
SUB | アルヌジ | SUB | アルサカフィ
|
SUB | ヌド | SUB | アルシャルフーブ
|
SUB | スフォ | SUB | アルオワイラン
|
SUB | ジェンバ | SUB | アルガムディ
|
SUB | ジョブ | SUB | アルジャバー
|
注釈:時間は手元の時計で計っていますので、1分程度の誤差はあります。
Back