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叶 精二 著
「日本のアニメーションを築いた人々」

(株)若草書房 刊
2004年1月28日発行
B6版・235ページ
ISBN4-948755-78-8
1250円


日本のアニメーションの創世期、中興期、そして現在の基礎を築いた6人(下記)のアニメーターの列伝。本人証言と関係者取材をもとに、各作品の制作エピソードをまじえながら、各氏の生涯を綴る。巻頭カラーでは各氏の直筆画や作品のスチル、巻末には用語解説とフィルモグラフィーを掲載。


「赤毛のアン」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」作画監督
「耳をすませば」監督
近藤 喜文

●最初で最後の長編監督作『耳をすませば』
●アニメーターに憧れて
●転機となった『未来少年コナン』『赤毛のアン』
●過渡期の作品『名探偵ホームズ』『ニモ』
●渾身の力作『火垂るの墓』
●立体的な顔への挑戦『おもひでぽろぽろ』
●素朴な実験作『そらいろのたね』
●心和む画文集「ふとふり返ると」
●最後の大仕事となった『もののけ姫』
●三〇年目の訃報とその後

「パンダコパンダ」「アルプスの少女ハイジ」
「母をたずねて三千里」「龍の子太郎」作画監督
小田部 羊一

●『ハイジ』のロケハンで得たもの
●日本初のキャラクターデザイナー
●少年時代から線で描いていた
●黄金期の長編で腕を磨く
●ひたすら悩んだ『太陽の王子 ホルスの大冒険』
●『長靴をはいた猫』と『空飛ぶゆうれい船』
●新様式の波を開発した『どうぶつ宝島』
●『長くつ下のピッピ』の頓挫と『パンダコパンダ』
●限界まで描いた『母をたずねて三千里』
●「羚」名義でパートナーシップを確立
●日本画調の様式美を追求した『龍の子太郎』
●原作をとことん尊重した『じゃりン子チエ』
●ゲームソフトと『ポケットモンスター』の監修
●『冬の日』と今後の展望

「アンデルセン童話 にんぎょ姫」作画監督
「注文の多い料理店」原画
「冬の日」演出
奥山 玲子

●三十一年目の会心作『注文の多い料理店』
●反抗的な文学少女
●給料格差と女性差別への怒りをバネに
●異例の早さで原画に昇格
●結婚と組合運動
●小田部問題
●『太陽の王子』の制作スタイルに違和感
●『海底3万マイル』と東映長編のピーク
●『ながぐつ三銃士』と激変する社内
●個性的な創作活動の模索
●ロックアウト
●劇場用作監の大任を果たし退職
●日本アニメーションを経てフリーに
●久々の本格長編『龍の子太郎』
●知られざる絵本作家としての仕事
●教育者、銅版画家としての活躍
●『冬の日』と新たな一歩

「太陽の王子 ホルスの大冒険」「ルパン三世」「パンダコパンダ」
「未来少年コナン」「ルパン三世 カリオストロの城」作画監督
大塚 康生

●十年早かった野心作『ルパン三世』
●作動原理に魅せられて
●療養生活を経てアニメーションの道へ
●アニメーターの適正
●アクションと怪物のエキスパート
●組合結成と『わんぱく王子の大蛇退治』
●『太陽の王子 ホルスの大冒険』の挫折感
●不整形
●「省セル」時代とアニメブームの到来
●『未来少年コナン』で大塚・宮崎コンビ復活
●東映長編の大棚さらい『ルパン三世 カリオストロの城』
●『じゃりン子チエ』と晩年の作品
●教育・著述その他の多忙な活動
●三つの大きな出来事
●アニメーターは演技者である

「こねこのらくがき」演出・作画
「わんぱく王子の大蛇退治」「長靴をはいた猫」「どうぶつ宝島」作画監督
森 康二

●誰も描けなかったヒルダ
●敗戦と復学
●一世一代の決意
●政岡憲三氏に師事する
●最高傑作『こねこのらくがき』と『白蛇伝』の誕生
●会社に翻弄された『こねこのスタジオ』
●黄金期の長編と闘病生活のはじまり
●『わんぱく王子の大蛇退治』で日本初の作画監督
●『長靴をはいた猫』と『どうぶつ宝島』
●視力低下を抱えながら描き続けた『ロッキーチャック』
●日本アニメーション社での晩年の仕事
●童画家と講師の仕事
●仕事一筋のまま他界
●森康二氏が手渡したバトン

「白蛇伝」「少年猿飛佐助」原画
「わんわん忠臣蔵」「アンデルセン物語」作画監督
大工原 章

●『白蛇伝』を生み出した二人の作画家
●絵描きを夢見た少年時代
●漫画映画への道のり
●挿絵画家としての挫折と日動時代
●政岡憲三に反発しアニメーターを志す
●アンチ・ディズニーを目指す
●漫画的誇張が開花した『少年猿飛佐助』
●『安寿と厨子王丸』のリアリズムに対する不満
●手塚治虫氏のキャラクターを拒否
●衰退期の長編で異質なデザインを追求
●スタジオカーペンター創設から現在まで


新聞各紙の書評(抜粋)◆

2004年2月15日(日)付「新潟日報」「読書」欄
「アルプスの少女ハイジ」の小田部羊一、「未来少年コナン」の大塚康生、戦後の日本動画草創期を支えた森康二、大工原章ら、現在の日本アニメ繁栄の基礎を築いたアニメーター六人の列伝。
 巻頭は、五泉市出身で「火垂るの墓」「耳をすませば」などに携わり、四十七歳で亡くなった近藤喜文だ。
 動く絵に感情を吹き込み、実写では表現しきれない世界を創造することに情熱を注ぎ込む「職人」たち。そして彼らが生み出した良質の作品群の制作過程がエピソードを交えて紹介される。
 戦後の混乱期から新たな表現を模索し、個人には日の当たりにくい世界で質の向上を求め続けた人々の姿は、まぎれもなく戦後日本の一断面だ。CG、海外発注で失われがちな、技と思いの一体感がそこにある。
 動画界に精通し、独自の評論活動を続ける著者の愛情あふれる筆は、アニメを見る目を変えさせてもくれる。

2004年3月15日(月)付「日刊ゲンダイ」「旬の面白本コーナー」欄
アニメーションは、膨大な数の絵を描き、それをコマ撮りで動かして作られている。長い制作期間を要し、量産は不可能だといわれていた。ほとんどが短編作品だったアニメーションだが、1960年代、日本は大量生産に踏み切った。現在では、毎週70本を超えるシリーズがテレビ放映されている。そのなかでも「もののけ姫」「ルパン三世」など、歴史に残る名作をつくり上げたアニメーターたちを制作秘話とともに紹介する。

2004年3月16日(火)付「しんぶん赤旗」「ほんだな」欄
世界最高水準にある日本のアニメーションは一朝一夕にできたものではありません。背後には多くのスタッフの才能と努力、長年にわたる蓄積があります。「アルプスの少女ハイジ」「ルパン三世」などかつての名作を作画監督として支えたアニメーター6人の仕事を通じ、現代につながるアニメの青春期をよみがえらせます。


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