真実か挑戦か - 読者の回答
97/8/1
普通に振る舞うことは、裸眼ステレオスコープのように難しい。
真か偽か?
真。それは意識してそうしようと思わなければ簡単なことだが、
ひとたび意識してしまうと、とたんに難しくなる。
その状態は、
普段は意識しないで行っている目のフォーカスを意識的にコントロールしないとできない裸眼ステレオスコープに似ている。
Kenji
97/8/2
奴隷であることは、不幸なことである。
真か偽か?
それは性格に依る。
実際には、ほとんどの人々が奴隷として扱ってくれる主人を必要としている。
それが霊長類の生きる道なのである。
Kenji
97/8/3
天文学は心理学である。
真か偽か?
真。天文学は天体を話題にするが、それにより人間が何を物体として見て、
何をそう見ないかが同時に明らかになっている。
どんな天文学的な観測でも、そこには抽象化の作用があり、
人間がどのように物事を理解するかを示している。
Kenji
97/8/4
超常っぽさは、人間っぽさである。
真か偽か?
真。人々が超常現象と呼ぶものは、彼らが科学的説明を持たない自然現象である
(他の人々は科学的説明を持っている場合が多い)。
彼らにとっては、超常っぽさを信じる方が、
科学的な方法論を用いて解明に挑むことより、簡単なのである。
何故なら、後者は前者ほどには直感的でないからだ。
直感は、社会的なスケールでの事象を理解するために発達してきたもので、
一般の自然的な事象について理解するための道具としては必ずしも適切でない。
直感は、例えば念力の存在を支持するが、
これは社会においては他人に触れずに (影響) 力を作用させることが可能だからと思われる
(このことは更には脳が身体の多くの部分をコントロールできることに対応している)。
個々の超常現象は、我々の社会の一側面を (そして脳の一機能を) 示しているのである。
Kenji
97/8/5
人々の頭はちっとも良くなってきていない。
真か偽か?
真。我々は数千年前に知的カンブリア紀爆発を迎えた後、大して変わっていない。
我々の多くはここ何千年もの間変わらぬ同じ問題に悩まされている。
Kenji
97/8/6
科学は宗教よりも聖なるものに近い。
真か偽か?
真。宗教は自然から切り離されていて、人間の創造の範囲に留まっている。
科学は我々が自然を理解するための挑戦で、
このちっぽけな人間のリアリティから遠ざかることを要求している。
Kenji
97/8/7
遺伝子組み替えされた食物は、人間のクローニングより安全である。
真か偽か?
偽。人間のクローニングは、
言ってみれば既存の人物と同じゲノムを持つ他の人物を作り出すだけである。
この2人は別人であり、
クローンには人権を与えないなどというとんでもない考えでも出てこない限り、
倫理的には考えることはあまりないのではないかと僕は考える。
一方、遺伝子組み替えされた食物は、
人間とは相性のよくない蛋白質を含んでいる可能性があり、
その場合は致命的な病気の原因になることも考えられる。
Kenji
97/8/8
人々には、
たった今娘を亡くしたばかりの父親が感じていることを知る権利がある。
真か偽か?
その人々がその父親の友人達で、
世話をするために彼が何を感じているかを知る必要があるというのでもない限り、
偽。
Kenji
97/8/9
自分が何を考えているか知っていなければ、思考は成立しない。
真か偽か?
思考は概念の操作であり、僕が思考するとき、概念を操作しているのは
僕 なのだから、真。
Kenji
97/8/10
考えうる何らかの遺伝子工学の方法論を用いて、恐竜を蘇らせることが可能である。
真か偽か?
偽。
恐竜を蘇らせるためには、その体内に寄生していたすべての細菌が必要となる。
もし恐竜のゲノムの完全な1セットが発見されたとしても、
その体内の寄生生物についてまでは分からない。
恐竜が住んでいた環境については常に推測が付きまとい、
どんな生物でも環境 (寄生生物を含む) に強く依存しているわけだから、
遺伝子工学による恐竜の完全な蘇生は不可能である。
Kenji
97/8/11
時間は空間的である。
真か偽か?
時間の向きについて話したりするし、
我々の心の目にとっては、時間は空間的であるといえるだろう。
Kenji
97/8/25
人間は家畜である。
真か偽か?
真。人間は狭い環境に押し込められて、
他の人間のために何かを生産することを強要されている。
これはまさに家畜の生き方である。
Kenji
97/8/26
あなたの子どもにとって、動物を殺して食べることを経験することは役に立つ。
真か偽か?
僕には子どもはいないが、よい教育だとは思う。
Kenji
97/8/27
より大きな脳は、より少ない数の種を意味する。
真か偽か?
真。
より大きな脳があれば、
遺伝的な多様性がそれほどなくても行動を多様化させることができるので、
異なる種を作り出す必要性がその分薄れる。
Kenji
97/8/28
受精の瞬間は存在しない。
真か偽か?
真。
受精は、精子の卵子への侵入に始まる一連のイベントからなる過程である。
最初の時点では、精子と卵子はまだ別々の実体であり、
受精の過程は両者の遺伝子が混ぜ合わされた時に完了する。
この混ぜ合わせは連続的な過程であり、
もしそれが完了する瞬間があるとしても、
それは人間が便宜上そう呼んでいるに過ぎない。
これはいかなる化学反応についてもいえることである。
Kenji
97/8/29
ら抜き言葉は駄目な日本語である。
真か偽か?
偽。
例えば「食べられる」は今、3つの用途に使われている:
「可能」「受け身」「尊敬」である (「尊敬」としては「召し上がる」の方がよいが)。
一方、「食べれる」は「可能」だけを表す。
理解しやすさという面では、ら抜き言葉の方が曖昧さがなく、
分かりやすいといえないだろうか。
人によってはこれをより進歩した日本語とさえ考えるかも知れない。
あなたは今、言語の進化の過程を目撃しているのかも知れないのだ。
Kenji
97/8/30
あなたの裸体は公衆の面前からは隠されるべきである。
真か偽か?
真。
裸体は、人間にとって最も近い自然はその身体であることを暴露する。
公衆にとっては、自然は隠されたり、そこから逃げたりするべきものなのである。
Kenji
97/8/31
喜劇は軍隊よりも戦闘的である。
真か偽か?
真。
喜劇は人類全体を相手に宣戦布告するが、
軍隊は特定の集団に対してしかそうしない。
Kenji
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