1773年に製作されたフランス製ネセセア。ゴールド、エナメル、ベッコウを用いている。ニューヨーク、メトロポリタン美術館蔵。

ネセセア
(nesessaire:仏語)

裁縫道具とペンを収納したパーティ用の小物を指す。裁縫道具はダンス会場に於けるドレスのほつれを直す貴婦人のたしなみとして、ペンはダンスを申し込んできた男性の内、好ましい人物が居た場合に名前を書き留める為に入っている。
 
necessaireはフランス語だが、英語のnecessaryと同じ意味をもち、「必要な」、「不可欠な」等の意味がある。貴族階級の婦人には必須のおしゃれ小物というわけなのだろう。写真のネセセアはルイ十六世即位の前年に製作され、金、七宝、鼈甲を用いた豪華なもの。このようなものを「不可欠な」と呼んだパロックのヨーロッパ貴族達の生活が想像される。


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