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     平成27年マンション管理士試験問題解説(1)

問1 区分所有法(総則)
問2 区分所有法(管理組合法人) 問8 区分所有建物(共用-分有) 問14 民法(共有) 問20 建築基準法(単体規定)
問3 区分所有法(規約) 問9 区分所有法(義務違反) 問15 民法(使用貸借契約) 問21 都市計画法(地域地区)
問4 区分所有建物(共有部分) 問10 財産等(滞納処理) 問16 民法(相続) 問22 水道法(貯水槽水道)
問5 区分所有法(管理組合法人) 問11 区分所有法(団地) 問17 品確法・民法(契約不適合) 問23 消防法(防火管理者)
問6 区分所有法(管理者) 問12 民法(贈与) 問18 不動産登記法 問24 警備業法
問7 区分所有法(集会) 問13 民法(無権代理) 問19 建替え等円滑法 問25

区分所有法集会

 

問 1〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分 所有法」という。)及び民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 区分所有法第3条の区分所有者の団体(以下「管理組合」という。)が集会を開催する場合は、規約を定め管理者を置かなければならない。  

 

2 規約敷地については、区分所有者が有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権の分離処分禁止に係る区分所有法第22条第1項の規定は適用されない。 

 

3 一部共用部分については、それを共用する区分所有者によって構成される管理組合が管理しなければならない。 

 

4 各共有者の持分の割合は、共用部分について規約に別段の定めがないときはその有する専有部分の床面積の割合により決められ、共用部分以外の附属施設について当事者の合意がないときは相等しいものと推定される。 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第3条では「区分所有者は、全員で物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」と規定されており設問は正しくないつまり「・・・することができる」は義務を定めた規定ではないので設問にある「集会を開催する場合は、規約を定め管理者を置かなければならない」ことはない規約の制定や管理者の設置は任意で必要でない 

 

・選択肢2:区分所有法第22条第1項では「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」と規定されており当設問は正しくない。つまり、区分所有法第22条第1項は規約敷地にも適用されるので設問は正しくない 

 

・選択肢3:一部共用部分については区分所有法第16条では「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており設問は正しくないつまり、一部共用部分でも全体で管理することがある。例えば下駄ばきマンションで店舗部分と住居部分で別々の管理組合を設置する必要はない 

 

・選択肢4:この設問は区分所有法と民法について問われており設問前半の「各共有者の持分の割合は、共用部分について規約に別段の定めがないときはその有する専有部分の床面積の割合により決められ」は区分所有法第14条に規定があり、後半の「共用部分以外の附属施設について当事者の合意がないときは相等しいものと推定される」は民法第250条に規定されており、併せて設問は正しい。なお、共用部分以外の附属施設については区分所有法に規定がないので民法の規定に従うこととなる。ここで敷地利用権は区分所有者の専有部分の床面積の割合に応じて所有するとこと勘違いしないように注意のこと 

 

≪答え≫  

 

 3条団体(管理組合)の集会、敷地利用権、共有部分、持ち分割合などの基本的な規定につき問うている。これは正答を期待したい。

 

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問 2 〕管理組合と管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

 

1 管理組合の滞納管理費等に係る債権は、区分所有者全員に団体的に帰属する債権であり、区分所有者全員と当該滞納者との間の債権債務関係である。

 

 

2 管理組合の管理者が職務の範囲内において第三者との間でした行為については、区分所有者は共用部分の持分の割合でその責めに任ずる。

 

3 法人格取得前の管理組合の滞納管理費等に係る債権は、法人格取得後も管理組合法人に帰属することはなく、管理組合法人と当該滞納者との間の債権債務関係にはならない。

 

4 管理組合法人の理事が職務の範囲内において第三者との間でした行為について当該法人の財産をもって債務を完済することができないときは、区分所有者は共用部分の持分の割合でその責めに任ずる。

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第7条第1項では「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」と規定されておりこれによれば設問は正しい

 

選択肢2:区分所有法第29条第1項では「管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合(共用部分の持分の割合)と同一の割合とする」と規定されており設問は正しい。これは条文通りである

 

・選択肢3:区分所有法第47条第5項では「管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢4:区分所有法第53条第1項では「管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条(共用部分の持分の割合)に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる」と規定されておりこれによれば設問は正しい

 

≪答え≫ 

  これも管理組合と管理組合法人に関する基本的な事項を問うている。正答を期待したい

 

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問 3 〕次のア~エの記述のうち、区分所有法に規定されておらず、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)に定めがあるものは、いくつあるか

 

ア 管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

イ 管理者は、管理組合が火災保険その他の損害保険の契約を締結した場合に、その契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。

ウ 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

エ 区分所有者は、その専有部分について、修繕を行おうとするときは、あらかじめ、管理者にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

 

 

≪解説≫

 

 

・選択肢ア:区分所有法と標準管理規約に規定があり設問は該当しない
*区分所有法:第8条に「前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる
*標準管理規約:第26条に「管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる

 

 

・選択肢イ:区分所有法と標準管理規約に規定があり設問は該当しない
*区分所有法:第26条第2項に「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする

 *標準管理規約:第24条第1項に「区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する
 第24条第2項に「理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する

 

 

・選択肢ウ:当設問は標準管理規約に規定されているが区分所有法には規定されていないので設問は該当する区分所有法は住居、店舗、事務所、倉庫などを対象にしており特に住宅に限定していない
標準管理規約第12条に「分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない

 

 

・選択肢エ:当設問は標準管理規約に規定されているが区分所有法には規定されていないので設問は該当する
*標準管理規約第17条第1項に「分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない


≪答え≫ 2 (選択肢ウ、エ)

 

 

  これもよく聞かれる設問である。区分所有法と標準管理規約をよく読みこんでおけばすぐにわかる事項である。本選択肢も含め一覧表にしてまとめておくとよい。なお、本設問は「定めがあるものは、いくつあるか」という問いかけでありすべての選択肢について正しいか、正しくないかを判断する必要があるので慎重を要する

 

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問 4 共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法に「規約で別段の定めをすることを妨げない。」と規定されていないものはどれか。

 

 

1 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。

 

 

2 共用部分の各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。

 

 

3 共用部分の管理に関する事項は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しく変更を伴わないものを除く。)を除いて、集会の決議で決する。

 

 

4 各共有者は、共用部分をその用方に従って使用することができる。

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第11条第1項及び「第2項」に「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する」及び「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されておりこれによれば設問は正しくない

 

 

・選択肢2:区分所有法第14条第1項に「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によると規定されているが、同条第3項には「前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されているのでこれによれば設問は正しくない

 

 

・選択肢3:区分所有法第18条第1項に共用部分の管理に関する事項は、前条(共用部分の重大変更)の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができると規定されており、また、同条第2項に「前項の規定(集会の決議及び保存行為)は、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定規定されており設問は正しくない

 

 

・選択肢4:区分所有法第13条に「各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる」と規定されておりこ設問は正しい同条に「規約で別段の定めができる」の規定がない

 

 

≪答え≫ 

 

 

  当設問の「規約で別段の定めをすることを妨げない」とは法律的言い回しであるが「管理規約で定めることができる」との意である。該当する事項は沢山あるので一覧表でまとめておくとよい。この設問もよく出題される。また、設問は「規定されていないものはどれか」であり「規定されているものはどれか」でないことにも注意のこと。この設問は区分所有法を読み込んでいれば正答は一目見ただけでわかる。

 

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問 5 〕 甲マンション管理組合法人(区分所有者数は30人)において、A、B及びCの3名が理事に、Dが監事に、それぞれ選任されている場合の事務の取扱いに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、規約には、理事の員数は3と定められているものとし、集会にはA、B、C及びDのほか、区分所有者全員が出席したものとする。

 

1 規約に別段の定めがなくても、A、B及びCの3名の理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることができる。

 

2 Bが議長となって集会が開催されたときに、集会の議事録を書面で作成するには、A及びCが集会の議事録に署名押印をしなければならない。

3 Cが集会決議により解任された場合には、新たな理事が就任するまでの間、Cは理事の職務を行う必要がある。

 

4 規約の定めにより、A、B及びCの任期は1年に、Dの任期は3年とすることができる。

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第49条第5項に「規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げないと規定されており設問は正しくない。つまり、理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定める場合は規約で定めるとしている。法律的な言い回しに慣れること。
 なお、標準管理規約では管理組合法人を対象としていないが「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任し、
理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する」と規定されておりこれと混同しないこと

・選択肢2:区分所有法第47条第3項に「議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければならない」と規定されており設問はしくない。つまり、署名者の2名は会に出席した区分所有者であり理事とは規定されていない

 

・選択肢3: 区分所有法第49条第7項に「理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(第四十九条の四第一項の仮理事を含む。)が就任するまで、なおその職務を行うと規定されており設問は正しくない。集会で理事職を解かれた(解任)理事は対象となっていない。社会通念かすれば当然のことである


・選択肢4:区分所有法第49条第6項に「理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

  世の中に法人形態をとっている管理組合があまりないのに管理組合法人に関する問題は必ず出題される。下記選択肢1が若干頭をひねる設問であるが、選択肢4が明らかに正答であるから迷わず回答は4とすべきである。

 

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問 6区分所有者Aが甲マンションの管理者である場合の管理者の地位の喪失に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 集会の目的たる事項が、Aを管理者から解任する旨の議案であっても、Aは、集会の決議において、議決権を行使することができる。

 

2 Aを管理者から解任する旨の議案が集会で否決されたときは、区分所有者Bは、Aにその職務を行うに適しない事情があることを理由とする管理者の解任を求める訴えを提起することはできない。

 

3 Aが集会の決議に基づいて管理者になっているときは、辞任によって管理者の地位から離れるためには、集会において辞任を承認する決議が必要である。

 

4 Aが死亡し、妻CがAのただ一人の相続人である場合には、CがAの管理者としての地位を承継して、管理者となる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第38条に「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合(専有部分の床面積の割合)によると規定されており設問は正しい管理者が区分所有者であれば「管理者から解任する旨の議案」であっても議決権を失うことはない

 

・選択肢2:区分所有法第25条第2項に「管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができると規定されており設問は正しくない

 

 

・選択肢3:区分所有法第28条に「管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う」と規定されており、また、民法に委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができると規定されており、併せて設問は正しくない管理者は、いつでも、その職を辞することが可能だが、民法第651条第2項に「相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない」と規定されており注意が必要

 

・選択肢4:民法第653条に委任は委任者又は受任者の死亡により終了すると規定されており設問は正しくない管理者の地位は相続人へ承継されない

 

≪答え≫ 

 

 

 管理組合法人に関する2問目であるが区分所有法の他、民法の知識も必要であるが平易な設問である。

 

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問 7〕集会に関する次の記述の中の定数又は期間のうち、区分所有法の規定によれば、規約でその定数を増加することも減少することもいずれもできるもの、又はその期間を伸長することも短縮することもいずれもできるものはどれか

 

 

1 管理組合が管理組合法人となるためには、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によらなければならない。

2 区分所有者の1/5以上で議決権の以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。

3 建替え決議を会議の目的としない集会の招集の通知は、当該集会の会日より少なくとも1週間前に、各区分所有者に発しなければならない。

 

4 建替え決議を会議の目的とする集会の招集の通知は、当該集会の会日より少なくとも2月前に、各区分所有者に発しなければならない。

 

≪解説≫

・選択肢1:区分所有法第47条第1項に「第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる」と規定されており、この四分の三(特別決議)を増加させたり減少させたりするように規定されていないので設問は該当しない。なお、共用部分の変更行為で重大変更(その形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は特別決議を要するが区分所有者の定数を規約で過半数まで減じることができるという例外規定があり注意のこと

 

・選択肢2:区分所有法第34条第3項に「区分所有者の五分の一以上議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる」と規定されており定数についてのみ減少できるので設問は該当しない

 

・選択肢3:区分所有法第35条に「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができると規定されており期間について伸縮ができるので設問は該当する

 

・選択肢4:区分所有法第62条第4項に「当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる」と規定されており期間の伸長のみできるので設問は該当しない

 

≪答え≫ 

  これも区分所有法を十分読み込んでおけば容易に正答は得られる。問題は定数の増減、期間の伸縮がいずれも可であるものを問うており題意を取り違えないこと。なお、規約でその定数を増加できるもの、減少することもできるもの及びそのいずれもできないものを一覧で整理しておくとよい。


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問 8〕敷地が甲地、乙地及び丙地の3筆に分かれ、101号室、102号室及び103号室の3つの専有部分が存する区分所有建物がある。甲地及び甲地上の101号室はAが、乙地及び乙地上の102号室はBが、丙地及び丙地上の103号室はCが、それぞれ所有している(いわゆる分有形式)。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aが甲地及び101号室をDに譲渡した場合、101号室の権利の移転の登記がなされても、甲地の権利の移転の登記がなされなければ、Dは、甲地の権利を、第三者に対抗することができない。 

 

 

2 Bが死亡して相続人がないときに、遺贈を受けた者が存在せず、また特別の縁故があった者に対する相続財産の全部又は一部を分与する家庭裁判所の審判もない場合には、乙地及び102号室は国に帰属する。

 

 

管理組合が丙地の管理を行う旨の規約の定めがなくても、管理組合は、丙地の管理を行うことができる。

 

 

4 区分所有建物の共用部分のA、B、Cの持分について、それぞれ甲地、乙地、丙地の面積の割合によることとする規約を定めることができる。

 

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:分有形式であれば登記上も戸建てと変わりがなく甲地の権利を、第三者に対抗できるので当設問は正しい。区分所有法第22条に敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない」との分離処分禁止があるがこれと勘違いしない事

 

 

・選択肢2:一戸建てと同じ扱いの分有形式では区分所有法は適用されず民法の処分されなかった相続財産は、国庫に帰属するが適用されるので当設問は正しい

 

 

・選択肢3:丙地はCの単独所有地なので管理は持主が行うが、管理組合が丙地の管理を行うなら規約でその旨の規定が必要なので当設問は正しくない

 

 

・選択肢4:区分所有法第14条「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によるが、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されており当設問は正しいつまり、共用部分のA、B、Cの持分についてそれぞれ甲地、乙地、丙地の面積の割合によることとする規約を定めることができる

 

≪答え≫ 

 

 

 不動産登記法の分有に関する問題である。分有形式については設問にも解説があるが敷地の共有との違いを理解しておくこと。

 

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問 9区分所有法第6条第1項の区分所有者の共同の利益に反する行為を行っている者(以下「義務違反者」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

 

1 専有部分で騒音や悪臭等を発生させる営業を行っている義務違反者に対しては、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有法第59条による区分所有権及び敷地利用権の競売請求が認められる。

 

 

 

2 区分所有者の管理費等の滞納によって、共用部分等の管理に要する費用が不足し管理が不十分になったり、他の区分所有者の立替えの必要が生じたりする場合は、当該区分所有者の滞納は、区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。

 

 

3 管理費等の滞納による義務違反者に対しては、区分所有法第57条の差止請求及び第58条の専有部分の使用禁止の請求を行った上で、それでも功を奏さない場合でなければ、同法第59条による区分所有権及び敷地利用権の競売請求は認められない。

 

 

 

4 管理費等を滞納している義務違反者に対して、管理費等の滞納の解消を図るため「管理者は、区分所有権及び敷地利用権の競売請求の訴えに関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、原告となることができる。」旨規約に定めることはできない。

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第59条第1項に「第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができると規定されており設問は正しい

 

 

・選択肢2管理費等の滞納は区分所有者の共同の利益に反する行為に該当するので設問は正しい。具体的事例は判例によるが常識的判断でよい

 

 

・選択肢3:設問にあるように義務違反者に対して区分所有法第57条(差止請求)及び第58条(専有部分の使用禁止)の請求を行わないと第59条(競売)の請求ができないという規定はないので設問は正しくない差止請求、専有部分の使用禁止や競売はそれぞれ単独で請求できるが、管理費等の滞納があるので即、競売請求をすることは考えずらい

 

 

・選択肢4:区分所有法第57条第3項に「管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる」と規定されており設問は正しい。「競売の訴えは区分所有法第59条に規定がありこの訴えの提起は同法第57条第3項の決議に準用する」と規定されており集会の決議が要件となっている。つまり、事柄上、理事会の決議だけでは不可としている

 

 

≪答え≫ 

 

 義務違反者に関する問いであるが区分所有法第57条~第60条をしっかり読み込んでおけば正答得るのは容易である

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問 10〕甲マンション管理組合(以下「甲」という。)の区分所有者Aに対する滞納管理費等の請求に関するマンション管理士の次の意見のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲の規約は、標準管理規約と同様であるものとする。

 

 

1 甲は、Aに対して未払金額とそれに対する規約所定の割合による遅延損害金、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して請求することができます。

2 甲は、Aに対して違約金としての弁護士費用を請求することができますが、これは、契約上の金銭債務の不履行による損害賠償として弁護士費用を請求する場合と同様です。

3 Aが違約金としての弁護士費用の支払いを遅延したときは、甲は、Aに対して民法所定の割合による遅延損害金を請求することができます。

 

4 Aの滞納管理費等に係る債権の時効による権利消滅の効果は、5年の時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生じます。

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:標準管理規約第60条第2項に「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる」と規定されており設問は正しい。設問に区分所有法、民法や判例と範囲は広いが設問の最後に「甲の規約は、標準管理規約と同様」とあり標準管理規約を対象にすべきである

 

 

・選択肢2:弁護士費用を違約金として請求すべきか契約上の金銭債務の不履行による損害賠償として請求すべきかとの問いであるが、判例によれば金銭の債務不履行による損害賠償として請求できないので設問は正しくない

 

 

・選択肢3:民法によれば遅延損害金は「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする」が適用され設問は正しい。なお、民法改正で利率は、年三分となった

 

 

・選択肢4:時効の利益を受けるかどうかは、時効の完成によって利益を受ける当事者の意思(援用)によるので設問は正しい。民法第145条に「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないと規定されている

 

 

≪答え≫ 

 

 

  滞納管理費等の請求に関する問いであるが、選択肢2は法律的知識がないと判断は難しいかも。他の選択肢が正しいことは容易にわかるので消去法で選択肢2を不正解とするのがよい。弁護士費用の請求について新しい知識として学ぶことになる。

 

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問 11 〕 一団地内に専有部分のある建物であるA棟及びB棟がある場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、団地の敷地はA棟及びB棟の各区分所有者の共有であるものとする。

 

1 団地管理組合(区分所有法第65条の団地建物所有者の団体をいう。以下この問いにおいて同じ。)において、A棟及びB棟の管理又は使用について団地規約(同法第66条において準用する第30条第1項の規約をいう。以下この問いにおいて同じ。)が定められている場合であっても、A棟の区分所有者の集会で、A棟の管理組合における管理者を定めることができる。

 

 

 

団地管理組合においてA棟及びB棟の管理又は使用について団地規約が定められている場合、A棟の建物の保存に有害な行為をしているA棟の区分所有者に対し、団地管理組合の集会で、区分所有法第57条の行為の停止を請求する訴訟を提起するための決議ができる。

 

3 団地管理組合においてA棟及びB棟の管理又は使用について団地規約が定められている場合、その規約で定めた事項については、団地規約を変更又は廃止しなければ、A棟の区分所有者の集会において、A棟の管理又は使用に関する規約を定めることはできない。

4 団地内にA棟の区分所有者が共有する倉庫が存する場合には、A棟の区分所有者の3/4以上でその共有持分の3/4以上を有するものの同意がなければ、団地管理組合がその倉庫を管理するための団地規約を定めることはできない。

≪解説≫

 

・選択肢1:団地管理組合と棟管理組合が並存できるかとの問いであるが当然並存できるので設問は正しい。大規模な団地であれば何でも団地管理組合が管理することは不可能であり、棟固有の問題は棟管理組合に任すべきである。区分所有法第65条によれば団地管理組合の成立の要件は団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属すること」である

 

・選択肢2:区分所有法第66条には同法第57条で規定している建物の保存に有害な行為をしている区分所有者しているの行為の停止等の請求準用する規定がないので設問は正しくない。なお、同法第58条(使用禁止の請求)及び第59条(競売の請求)なども準用されていない。義務違反者の問題は団地全体の問題ではないので団地管理組合に持ち込まず棟の管理組合で解決するようにしている

 

・選択肢3:区分所有建物が団地規約の管理対象物に含まれた後に団地規約から離脱しようという場合は、当該一部建物所有者や区分所有者のみの決議で団地規約から離脱することはできず団地規約自体の変更又は廃止によらなければ団地規約から離脱することはできないので設問は正しい

 

・選択肢4:区分所有法第68条に「第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による同意があることを要する」と規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

  団地に関する問いである。区分所有法の団地に関する規定は長文であるに加え、引用、準用が多く到底読み解くのは困難である。マンション管理の知識第2編第1章第10節に要約して解説されているので参照するとよい。選択肢4は若干頭をひねる問いであるが、他は容易に正答が得られる。

 

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問 12〕 Aは、Bとの間で、自己の所有する甲マンションの301号室をAがBに贈与する旨の贈与契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 贈与契約が書面によってなされていない場合には、贈与契約に基づいてAからBへの301号室の所有権移転登記がなされた後であっても、Aは、贈与契約を撤回して、その所有権移転登記の抹消をBに対して請求することができる。
 

2 Aは、301号室をBに引き渡すまでの間、善良な管理者の注意をもって同室を保存する義務までは負わず、自己の財産に対するのと同一の注意をもって同室を保存すれば足りる。

3 贈与契約の際に、Aが老人ホームに入居するための費用をBが負担する旨もあわせて合意されていたにもかかわらず、Bがこの費用を支払わない場合には、Aは、相当の期間を定めてその支払義務の履行をBに催告し、その期間内に履行がなければ贈与契約を解除することができる

4 贈与契約を締結する前から301号室には隠れた瑕疵があり、贈与契約を締結した後にこれが判明した場合には、Aは、当該瑕疵の存在を知っていたか知らなかったかにかかわらず、Bに対し、売主と同様の瑕疵担保責任を負う。

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第条第550条に「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない 」と規定されており設問は正しくない。所有権移転登記がなされた後は贈与契約を撤回して、その所有権移転登記の抹消することができない

 

・選択肢2:民法第400条に「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢3:民法第553条に「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」と規定されており設問は正しい負担付契約は双務契約に関する規定が準用されているので受贈者が負担の内容を履行しない場合は、贈与者は贈与契約を解除することができる

 

・選択肢4:民法第551条第1項に「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」と規定されており設問は正しくない贈与の目的物が特定した時点の状態で引き渡せば、瑕疵があったとしても贈与者が当該瑕疵の存在を知っていたか知らなかったかにかかわらず債務不履行の責任を問われることはない

 

≪答え≫ 

 民法からの出題であるが法律を知らなくても常識的な判断で正答は得られる。瑕疵担保責任について選択肢4をどう判断するかによる。なお、民法改正で「隠れた瑕疵」は「契約不適合」となった

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問 13〕Aは、Bから代理権を与えられていないにもかかわらず、Bの代理人として、Cとの間で、Bの所有する甲マンションの401号室をCに売却する旨の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか

 

1 表見代理の成立する要件が満たされている場合には、Cは、表見代理の主張をせずに、Aに対し、無権代理人としての責任を追及することができない

 

2 Cが売買契約の時にAに代理権が存在しないことを知っていた場合には、Cは、Aに対し、無権代理人としての責任を追及することができない。

 

3 売買契約の締結後にAが死亡し、BがAの地位を単独で相続した場合には、Bは、Aによる売買契約の締結について、追認を拒絶することができる

 

4 売買契約の締結後にBが死亡し、AがBの地位を単独で相続した場合には、Aは、Cからの401号室の所有権移転登記及び引渡しの請求を拒むことができない

 

≪解説≫

 Aーーーーーーーーーーーーー
 本人           |
 |             |
 |             |
 B------------ C
無権代理人        相手方

 

・選択肢1:民法117条及び判例によれば「相手方は本人に対する表見代理を主張することも無権代理人に対して責任を追及することもできる」とされており設問は正しくない。表見代理の成立する要件は、①代理権授与の表示による表見代理、②権限外の行為の表見代理、③代理権消滅後の表見代理がある 

 

・選択肢2:民法117条2項1号に「他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、相手方は無権代理人の責任を追及することはできない」と規定されており設問は正しいここで第三者はC、他人はAと読み、Cが売買契約の時にAに代理権が存在しないことを知っていた場合、CはAに対して無権代理人としての責任を追及できない。

 

・選択肢3:判例によれば、無権代理人Aが死亡し、本人Bがその地位を単独で相続した場合は、相続人たる本人Bの無権代理行為(売買契約の締結)について追認を拒絶することは何ら信義則に反しないので追認を拒絶することができるので設問は正しい本人B(父)が無権代理人A(子)を相続した場合、AがBに無断で契約した売買契約について、当然に追認を拒絶することができる

 

 

・選択肢4:判例によれば、売買契約の締結後にBが死亡し、AがBの地位を単独で相続した場合には、Aは、Cからの401号室の所有権移転登記及び引渡しの請求を拒むことができないので設問は正しい無権代理人A(子)が本人B(父)を相続した場合Aは、Cからの401号室の所有権移転登記及び引渡しの請求を拒むことは信義則に反し許されない。

 

≪答え≫ 

 表見代理からの出題だが選択肢1がわかれば他の選択肢は深く吟味しなくても正答を得られる。選択肢3、4は常識を働かせればよい

 

 

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問 14 〕 夫A及び妻Bが、甲マンションの501号室の区分所有権を各1/2の持分割合で共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、管理費の負担に関する合意を除き、共有者間において別段の特約はないものとする。

 

1 AB間において501号室の管理費の負担者をAと合意した場合、その合意が書面で行われ、その旨が甲マンションの管理者に通知されたときは、管理者はBに対して管理費を請求することができない。

 

501号室の上階である601号室の所有者Cが、不注意により浴室から溢水(いっすい)させ、501号室に損害を与えた場合、A及びBがCに損害賠償を求めるときは、それぞれの共有持分の割合に応じて請求しなければならず、自己の持分割合を超えて請求することはできない。 

 

 

3 Aが、501号室の共有持分権をAB間の成人の子であるDに譲渡する場合は、Bの同意を得なければならない。 

 

 

4 Aが、自らの趣味で行っている日曜大工の作業中に、誤ってベランダから工具を落下させ、通行人Eが怪我をした場合、Bは自らに過失がなくても、区分所有権の共有者として、Aと連帯してEに対して損害賠償責任を負わなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第253条第1項に「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」と規定されているので設問は正しくないお、共有者間で支払を特定の者とする合意は債権者である管理組合の合意があれば有効となるが、設問にある「その旨が甲マンションの管理者に通知された」だけでは管理者はBに対して管理費を請求することができる。

 

・選択肢2:判例(最判昭51.9.7)によれば「共有物の侵害に基づく損害賠償請求は各共有者が共有部分の割合に応じてしなければならず自己の持分割合を超えて請求できない」ので設問は正しい

・選択肢3:民法第206条に「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」規定されており、共有持分権は譲渡・抵当権の設定など自由に処分できるので設問は正しくない

・選択肢4:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、区分所有権が共有となっていてもBは連帯責任を負わず、Aのみが不法行為責任を負うので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 専有部分をの区分所有権を複数人が共有している場合の基本的な良問である。

 

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問 15Aがその所有する甲マンションの105号室に関し、Bとの間で使用貸借契約を締結し、これを引き渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

105号室に瑕疵があった場合、貸主Aは、その瑕疵を知り、かつ、これを借主Bに告げなかったときには担保責任を負う。

Bが105号室に有益費を支出し、使用貸借契約終了時に同室の価格の増加が現存する場合には、Bは、支出した金額又はこれを支出したことによる同室の増価額のいずれかを選択してAに請求することができる。
 

3 AとBが貸借の期間を定めた場合でも、その期間内にAが死亡したときは、Aの死亡時にAとBとの使用貸借契約は効力を失う。

4 105号室がBの居住を目的として使用貸借されている間は、Aが105号室をCに売却しても、Bは、Cに対し、引き続き借主であることを主張することができる。

 

≪解説≫

 

 

・選択肢1:民法第596条で「使用貸借の貸主の引渡義務等は第551条の規定(贈与者の引渡義務等)は、使用貸借について準用する」 と規定されており、民法第551条第1項により「貸主は、使用貸借の目的である物を、使用貸借の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定する」と規定されている。したがって、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときでも原則として担保責任を負う必要はないので設問は正しくない。民法改正で「正しくない」となった


・選択肢2:民法第595条に「借主は、借用物の通常の必要費を負担する。また、第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する 」と規定されており、民法第583条第2項の規定によれば、「通常でない必要費についてはその金額を、有益費については、価格の増加が現存する場合に限り、貸主の選択に従って、その支出した金額又は増加額の償還をさせることができる」と規定されていおり設問は正しくない。設問では借主の選択によるとされておりひっかけ問題である

 

・選択肢3:民法第597条第3項に「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う」と規定されており、貸主が死亡してもその効力を失わないので設問は正しくない

 

・選択肢4:使用貸借において、貸主が使用貸借の目的物を譲渡した場合、不動産登記法上使用貸借を登記することは認められておらず、また、使用貸借には借地借家法の適用もないことから借主が引渡しを受けていても新所有者に対抗することはできないので設問は正しくない賃貸借契約と異なるところである

 

 ≪答え≫ なし

 

 使用貸借契約に関する出題であり珍しい。賃貸借契約は貸主は担保責任を負うが使用貸借は原則として負わないなど賃貸借契約と異なる箇所を押さえておくこ。

 

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問 16 〕Aがその所有する甲マンションの301号室をBに賃貸していたところ、Aは死亡し、Aの配偶者C並びに子D及びEは、いずれも単純承認した。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか

 

1 遺産分割によってCが301号室を相続し、Aが死亡するまでに滞納した管理費の負担に関する合意がないときは、甲マンション管理組合の管理者Fは、遺産分割後において、Aが死亡するまでに滞納した管理費の1/4をDに対して請求できる。


 

2 遺産分割によってDが301号室を相続し、Aが死亡するまでにBが滞納した賃料債権の帰属に関する合意がないときは、Dは、遺産分割後において、Aが死亡するまでにBが滞納した賃料債権の1/4をBに対して請求できる。

 

3 遺産分割によってD及びEが301号室を持分各1/2として相続し、Aの死亡後遺産分割までに滞納した管理費の負担に関する合意がないときは、甲マンション管理組合の管理者Fは、遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までに滞納した管理費の全額をDに対して請求できる。


4 遺産分割によってEが301号室を相続し、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納していた賃料債権の帰属に関する合意がないときは、Eは、遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納した賃料債権の全額をBに対して請求できる。

 

≪解説≫

 

選択肢1:被相続人に対する金銭債務(可分債務)は、被相続人の死亡とともに法定相続分に応じ各共同相続人が相続する。したがって、管理者はDに対して滞納管理費の1/4を請求するできるので設問は正し

 

・選択肢2:被相続人の金銭債務(可分債権)は、被相続人の死亡とともに法定相続分に応じて各共同相続人が相続する。したがって、Dは遺産分割後においてAが死亡するまでにBが滞納した賃料債権の1/4をBに対して請求できるので設問は正しい

 

・選択肢3:被相続人の死亡後遺産分割までは301号室は、C、D、Eの共有状態にあり管理費の支払債務は不可分債務なので連帯債務の規定が準用され、管理者はDに対して滞納管理費の全額をDに対して請求することができるので設問は正しい

 

・選択肢4:賃料債権の帰属は後にされた遺産分割の影響を受けないので、Eは遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納した賃料債権の1/4しか請求できないので設問は正しくない遺産である不動産から生じる金銭債権である賃料債権は、遺産とは別個のものであり相続開始から遺産分割までの間の当該不動産は共同相続人の共有に属するものであるから各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得することになる

 

≪答え≫ 

  遺産相続に関する問題であるが共同相続について単純承認の場合、下記をしっかり覚えておくとよい。最近は毎年のように出題されているが誰がいくら相続するかなどの単純な問題は出ないのでよく勉強しておく必要がある

 *被相続人死亡前の金銭債務は遺産分割手続きを経ずに各相続人の法定相続分に応じて分割される
*相続開始から遺産分割までの債務は共有者の不可分債務となる
*相続開始から遺産分割までの賃料債権は各共同相続人がその相続分に応じた分割単独債権となる

 

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問 17 〕 分譲業者Aが、Bに新築建物である甲マンションの101号室を売却し、建物に隠れた瑕疵が発見された場合の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、売買契約に瑕疵担保責任についての特約はなかったものとする。

 

1 AからBに店舗である101号室が引き渡された1年後に、内壁の塗装に隠れた瑕疵が発見された場合、Bは、Aに対し、損害賠償請求をすることはできない。
 

AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、その瑕疵が重要でなく、その修補に過分の費用を要するときは、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができない。

 

3 AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見され、Bが、Aに対し、柱の瑕疵の修補請求を行い、Aがこれを完了したときは、修補完了後もBに損害が残存していたとしても、Bは、Aに対する損害賠償請求をすることはできない。
 

4 AからBに住宅である101号室が引き渡された1年後に、建物の浴槽に隠れた瑕疵が発見された場合、BがAに対し損害賠償請求を行うには、瑕疵の発見から1年以内に裁判上の権利行使をしなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:対象が店舗なので品確法の適用はなく、民法第566条に「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と規定されており設問は正しくない。設問では一年以内にその旨を売主に通知していない

 

 

・選択肢2:住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があるので、住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づいて瑕疵担保責任を追及することができるので設問は正しい。したがって、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができる

 

・選択肢3選択肢2と同様に品確法及び民法が適用されるが、契約不適合の修補請求を行い売主がこれを完了したときでも買主に損害が残存していた場合は買主は損害賠償請求をすることはでできるので設問は正しくない

 

・選択肢4:選択肢1で解説の通り、買主は瑕疵の発見から1年以内にその旨を売主に通知する必要はあるが裁判上で権利行使をすることまで求められていないので設問は正しくない 

 

≪答え≫ 


 売主の瑕疵担保責任に関して民法、宅建業法及び品確法に規定があるので比較して確認しておく事
 

 

民法

品確法

対象

制限なし

新築住宅のみ

瑕疵の対象

制限なし

住宅の基本構造部分のみ

責任の内容

損害賠償責任、契約解除

損害賠償責任、契約解除、修補請求

責任期間

瑕疵を発見した時から1年

引き渡してから10年

 

宅建業法では業者自らが売主の場合は期間について引き渡しの日から2年以上とする特約はできる。 なお、改正民法により各選択肢のコメントを追加する

・選択肢1:「瑕疵担保責任」がなくなり「契約不適合責任」になった。また、売主が種類または品質に関して、契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において買主がその不適合を知った時から1 年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主はその不適合を理由として履行追完の請求、代金減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない

選択肢2:改正前民法では仕事の目的物の「瑕疵が重要でない」こと及び修補に「過分の費用」を要することという2つの要件が満たされなければ瑕疵の修補を請求することができないと定められていたが、改正民法では同条項は削除された。履行請求権の一般原則により処理されることになり、修補請求をすることができるか否かは履行不能の規定により「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるとき」にあたるか否かで判断されることになる

選択肢3:契約不適合責任は「追完請求権」及び「代金減額請求権」が行えるが、これらが債務不履行になったときは「損害賠償請求権」及び「解除権契約」が行える

・選択肢4:民法改正前は「損害賠償の金額については瑕疵を知った時から1年以内に根拠を示す必要があったが改正民法では「不適合を知った時から1年以内に具体的な根拠がなくてもとりあえず相手に不適合を通知する」だけでよくなった  

 

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問 18 〕 区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 建物の区分の登記は、一棟の建物である甲建物を物理的に区分して二棟の建物とし、既登記の建物の登記の登記記録から区分して新たに一個の区分建物とする登記である。

 

2 敷地権付き区分建物についての一般の先取特権に係る権利に関する登記であって、敷地権が生ずる前に登記原因が生じ、区分建物に関する敷地権の登記後に登記がされるものは、建物についてのみ効力を有する登記として登記することができる

 

3 区分建物である建物を新築して所有者となった者が死亡し、表題登記のない当該区分建物の所有権を相続した者は、被相続人を表題部所有者とする当該区分建物についての表題登記を申請しなければならない
 

4 区分建物の合併の登記は、表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物に合併し、これらを同一の登記記録に記録することによって、一個の建物とする登記である。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分建物が何であるかが分かっていれば容易に正しくないと判断できるので設問は正しくない建物の区分の登記とは表題登記がある建物または附属建物の部分であって区分建物を登記記録上区分建物とする登記いう

 

・選択肢2:不動産登記法73条1項に敷地権付き区分建物についての「質権又は抵当権」に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは、建物についてのみ効力を有する登記として登記することができるが、一般先取特権については、このような規定はないので設問は正しくない

 

・選択肢3:不動産登記法第47条第2項に「区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる」と規定されており「・・・しなければならない」とは規定されていないので設問は正しくない被相続人を表題部所有者とする当該区分建物の表題部登記申請はこれを補完するものである


・選択肢4:不動産登記法第54条第1項3号に「区分建物の合併の登記は、表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物に合併し、これらを同一の登記記録に記録することによって、一個の建物とする登記であると規定されており設問は正しい


≪答え≫ 

 

  不動産登記に関する問題であるが今年度は難しかった。特に選択肢2と選択肢3は不動産登記法の条文に関わる設問である。選択肢4を正しそうだという感覚で回答するより仕方がないか

 

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問 19〕マンション敷地売却組合(この問いにおいて「組合」という。)が施行するマンション敷地売却事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 組合設立の認可を申請しようとするマンション敷地売却合意者は、組合の設立について、マンション敷地売却合意者の4/5以上の同意を得なければならない。

2 マンションの一つの専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を1人の組合員とみなす。

3 組合には、役員として、理事3人以上及び監事2人以上を置く。

4 組合員の数が50人を超える組合は、総会に代わってその権限を行わせるために総代会を設けることができる。
 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:マンション建替え円滑化法に「認可を申請しようとするマンション敷地売却合意者は、組合の設立について、マンション敷地売却合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条の議決権の合計がマンション敷地売却合意者の同条の議決権の合計の四分の三以上であり、かつ、同意した者の敷地利用権の持分の価格の合計がマンション敷地売却合意者の敷地利用権の持分の価格の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない」と規定されており設問は正しくない4/5以上の同意を得なければならないのは「権利変換計画及びその変更は組合員の議決権及び持分割の各4/5以上で決する。」場合なので間違わないこと

 

・選択肢2:マンション建替え円滑化法に「マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす」と規定されており設問は正しい。これは区分所有法と同じである

 

・選択肢3:マンション建替え円滑化法に「組合に、役員として、理事三人以上及び監事二人以上を置く」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢4:マンション建替え円滑化法に組合員の数が五十人を超える組合は、総会に代わってその権限を行わせるために総代会を設けることができる」と規定されており設問は正しい総代会では、総会に代わり普通決議事項を決議できるが特別決議事項(マンション建替え円滑化法30条)及び役員の選任は個々の組合員への影響が大きいため決議することができない。特別決議事項と役員の選任は、原則どおり、総会において決議することになる

 

≪答え≫ 

  マンション建替え円滑化法からの出題であるがここ2年間はマンション敷地売却組合からの出題である。同法は十分目を通しておく必要がある。今年の出題はマンション建替え円滑化法の条文のとおりであり平易であった 

 

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 20〕共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか

1 共同住宅の敷地内には、屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m以上の通路を設けなければならない。

 

2 共同住宅の地上階における居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して1/7以上としなけ
ればならない。

 

 

3 高さ15mの共同住宅には、避雷設備を設けなければならない。

 

4 共同住宅の2階以上にあるバルコニーの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。  

 

≪解説≫

 

・選択肢1:建築基準法施行令第128条に「敷地内には、第百二十三条第二項の屋外に設ける避難階段及び第百二十五条第一項の出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が一・五メートル以上の通路を設けなければならない」と規定されており設問は正しい

 

 

・選択肢2:建築基準法第28条第1項に「住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない」と規定されており設問は正しい

 

 

・選択肢3: 建築基準法に第33条「高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない」と規定されており設問は正しくない。二十メートル以上ではないので注意を要する

 

 

・選択肢4:建築基準法施行令第126条第1項に「屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない」と規定されており設問は正しい。なお、建築基準法高さ1mを超える階段には手すりを設ける」と規定されており勘違いしない事

 

≪答え≫ 

 建築基準法からの出題であるがここ4年間は毎年出題されている。今年は数値に関する設問であり数値を覚えていれば容易に回答できる。 

 

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問 21〕 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

1 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとされており、市街化調整区域については、用途地域を定めてはならないものとされている。

 

 

2 市街地開発事業の都市計画は、市街化調整区域内において定めることはできないが、準都市計画区域内において定めることはできる。

 

 

3 地方自治法に規定する指定都市及び中核市の土地の区域の全部又は一部を含む都市計画区域については、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めなければならない。

 

 

4 都市計画区域に定められる都市計画は、都道府県が定める都市計画のみならず、市町村が定めるものについても、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない。

   

≪解説≫

 

・選択肢1:都市計画法第13条第1項7号に「市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」と規定されており設問では「市街化調整区域は原則として定めないとしており設問は正しくない

 

・選択肢2:都市計画法第8条第2項に「準都市計画区域については市街地開発事業は含まれていない」ので設問は正しくない

 

・選択肢3:都市計画法第13条第1項2号に「区域区分は、当該都市の発展の動向、当該都市計画区域における人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用を確保し、効率的な公共投資を行うことができるように定めること」と規定されており、 また、都市計画法施行令第3条に「都市計画区域として政令で定めるものは、地方自治法で定める指定都市の区域の全部又は一部を含む都市計画区域とする規定されており、設問にある中核市(人口20万人以上の自治体)は含まれていないので 設問は正しくない

 

・選択肢4: 都市計画法第6条の2第3項に「都市計画区域について定められる都市計画は、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない」と規定されており都道府県が定める都市計画だけでなく市町村の定めるものについても適用されるので設問は正しい

 

≪答え≫ 

  都市計画法からの出題である。都市計画法も最近、毎年1題は出題されており要マークである。今年は都市計画法の詳細な規定や地方自治法の知識もないと正答を得るのは難しい。選択肢をざっと見てあれやこれやと迷うことなく選択肢4が正答であろうと推定するしかないか。

 

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問 22〕 貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とする水道は、水槽の有効容量を問わず、貯水槽水道である。

2 貯水槽水道のうち、水槽の有効容量の合計が10㎥を超えるものは、簡易専用水道となる。

3 貯水槽水道のうち、水槽の有効容量の合計が100を超えるものは、専用水道となる。

4 水道事業の用に供する水道から供給を受ける水に加えて自家用の井戸を水源とし、水槽の有効容量の合計が10以下のものは、貯水槽水道である。  

 

≪解説≫

 

・選択肢1:貯水槽水道は水道事業の用に供する水道及び「専用水道以外」の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。そして、水槽の有効容量の合計が、100立方メートルを超えるものは専用水道となることがあるので問は正しくない

・選択肢2:簡易専用水道とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいうが、水槽の有効容量の合計が10立方メートル以下のものは除かれているので有効容量の合計が10立方メートルを超えるものが簡易専用水道であり問は正しい

・選択肢3:貯水槽水道は水道事業の用に供する水道及び「専用水道以外」の水道を指し貯水槽水道のうち一定のものが専用水道となるわけではないので問は正しくない

・選択肢4:自家用の井戸を水源とするものは貯水槽水道から除かれるので問は正しくない

 

≪答え≫   

 

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問 23〕共同住宅の防火管理に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 100人が居住する共同住宅では、防火管理者は、消防計画に基づき、消火、通報及び避難の訓練を行わなければならない。

2 高さ50mの共同住宅であって、その管理について権原が分かれているものの管理について権原を有する者は、統括防火管理者を協議して定めなければならない。

3 管理について権原が分かれており、統括防火管理者を定めなければならない共同住宅において必要な消防計画は、統括防火管理者が消防計画を作成すれば、それぞれの防火管理者は消防計画の作成が不要となる。

4 100人が居住する共同住宅の防火管理者は、消防計画を作成するとともに、当該消防計画を所轄消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長)又は消防署長に届け出なければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:消防法に「共同住宅で収容人員が50人以上の場合、管理権原者は一定の資格者のうちから防火管理者を定め消防計画に基づき、消火、通報及び避難の訓練行うこと」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢2:消防法に「高さ31m超の共同住宅であって、その管理について権原が分かれているものの管理について権原を有する者は、を協議して定めなければならない」と規定されており設問は正しい

選択肢3:消防法では「統括防火管理者防火対象物の全体についての防火管理に係る消防計画は統括防火管理者が作成し、それぞれの防火管理者にはそれぞれの消防計画を作成する」ように定められており設問は正しくない

・選択肢4:消防法には選択肢4のように規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

  消防法からの出題である。平成26年4月1日施行に改正規された統括防火管理者が含まれておりこれを知っていれば容易に正答が得られる。直前に改正された法律についても注目の事。

 

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問 24〕警備業務に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 機械警備業を営む警備業者が機械警備業務を行おうとするときは、当該機械警備業務に係る基地局又は送信機器を設置する警備業務対象施設の所在する都道府県の区域ごとに、当該区域を管轄する公安委員会に届け出なければならない。

2 警備業務対象施設に各種のセンサー等を設置し、それらの端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信することで、警備員が対応するシステムは、機械警備業務である。

3 警備業者は、20歳未満の者を警備員として警備業務に従事させてはならない。

4 警備業者は、警備業務を行うに当たって携帯しようとする護身用具については、警備業者の主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に届け出なければならない。

≪解説≫

 

・選択肢1:警備業法に「機械警備業を営む警備業者は、機械警備業務を行おうとするときは、当該機械警備業務に係る受信機器を設置する施設(基地局)又は送信機器を設置する警備業務対象施設の所在する都道府県の区域ごとに、当該区域を管轄する公安委員会に次の事項を記載した届出書を提出しなければならない」と規定されており設問は正しい

・選択肢2:警備業法に「機械警備業務とは、警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置使用して行う警備業務をいうと規定されており設問は正しくない端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信する機械警備務ではない

・選択肢3:警備業法に「18歳未満の者は警備員となってはならず、警備業務に従事させてはならない規定されており設問は正しくない20歳未満の者ではない

 

・選択肢4:警備業法に「警備業者は、警備業務を行おうとする都道府県の区域を管轄する公安委員会に当該公安委員会の管轄区域内において警備業務を行うに当たって用いようとする服装の色、型式その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない」と規定されており設問は正しくない警備業者の主たる営業所の所在地ではなく、警備業務を行おうとする都道府県の区域を管轄する公安委員会に届け出る必要がある

 

≪答え≫ 

 警備業法からの出題である。機械警備についてはよく出題されるので法律の概要を知っておく必要がある

 

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問 25〕集会に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、適切なものはどれか

 

1 集会を開催したところ議長の他に出席者が1人しかいない場合でも、委任状及び議決権行使書の数が規約で定めた定足数に達していれば集会は成立するし、議案を決議することもできる。

2 集会に欠席のつもりで委任状を提出していた区分所有者が予定を変更して途中から集会に出席し、残りの議案について自ら議決権を行使しようとするときは、受任者の同意を得なければならない。

3 共用部分の管理(共用部分の変更及び保存行為を除く。)に関する事項を議題とする集会において、規約で定めた集会の定足数を満たせずに流会となった場合は、管理者が決することができる旨の規約の定めは無効である。
 

4 継続して3年間、集会に出席せず委任状も議決権行使書も提出しない区分所有者は、その意思決定を管理者に委ねたものとみなす旨の規約の定めは有効である。  

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第39条に「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り区分所有者及び議決権の各過半数で決することができ、議決権は書面で、又は代理人によつて行使することができる」と規定されており設問は適切である 

 

・選択肢2民法第651条に委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と規定されており設問は適切でない

 

・選択肢3:区分所有法第18条に「用部分の管理に関する事項はその形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除いて集会の決議で決することができるが規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されており設問のような規定をすることはできるので設問は適切でない。

 

選択肢4:区分所有法には設問のような規定はなく設問は適切でない

 

≪答え≫ 

 

  集会に関する出題であり正答を得るには容易である

 

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