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     平成26年マンション管理士試験問題解説(1)

 

 

問1 区分所有建物(共用部分)
問2 区分所有建物(敷地利用権) 問8 区分所有法(義務違反者) 問14 民法等(不法行為) 問20 建築基準法(違反建築物)
問3 区分所有法(管理組合法人) 問9 区分所有建物(複合用途型 問15 民法(賃貸借契約) 問21 都市計画法
問4 区分所有法(義務違反者) 問10 区分所有法(団地) 問16 民法(相続) 問22 水道法(貯水槽水道)
問5 区分所有法(規約) 問11 被災区分所有法 問17 宅建業法(8種規制) 問23 消防法(防炎性能)
問6 区分所有法(集会) 問12 借地借家法(借家権) 問18 不動産登記法 問24 警備業法
問7 区分所有建物(敷地利用権) 問13 民法(意思表示等) 問19 建替え等円滑法 問25 標準管理規約(規約)

 

問 1〕マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)の区分所有者の共有に属する次のア~エについて、規約でその持分を定めることができるものは、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、いくつあるか

 

  ア 専有部分以外の建物の部分

 イ 規約により共用部分とされた附属の建物

 ウ 建物の所在する土地

 エ 共用部分以外の附属施設

 

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

 

 

 ≪解説≫

 

 マンションの共有部分を理解しているかを問う基本的な問題である。

  共有部分とは区分所有法第2条第4項に「専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規定により共用部分とされた附属の建物をいう」と規定されており、共用部分は規約でその持分を定めることができるので選択肢ア及び選択肢イが該当する 土地や共用部分以外の附属施設は規約でその持分を定めることができない。従って、該当するものは二つである


 

≪答え≫ 

 

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問 2 〕A所有の甲地に所在するマンションの専有部分をA及びBが所有している場合の敷地利用権に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

 

 

1 Aが第三者Cのため甲地に賃借権を設定し、A及びBがCから賃借権の譲渡を受けその持分が各1/2である場合、A及びBのそれぞれの賃借権の準共有持分が敷地利用権となる。

 

 

 

2 AがBのため甲地に地上権を設定し、BがAの専有部分所有のための甲地の使用を認容する場合は、Aの敷地利用権は、地上権者Bとの間の契約上の利用権である。

 

 

 

3 AB間の使用貸借契約により、AがBの専有部分所有のための甲地の使用を認容する場合のBの敷地利用権は、使用借権であるが、登記することにより敷地権となる。

 

 

 

4 Aが甲地をA及びBの所有する各専有部分の底地ごとに区画して分筆し、Bの専有部分の底地部分に賃借権を設定し敷地利用権とした場合、Bは、専有部分と敷地利用権とを分離して処分することができる。

 

 

≪解説≫

 

 

・選択肢1:区分所有法第2条第6項に「敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地(所有権、地上権、賃借権、使用借権等)に関する権利をいう」と規定されており、区分所有者が複数ある場合は、敷地利用権は区分所有者全員で共有または準共有している。本選択肢設問ではCから賃借権を譲り受けておりA及びBはのそれぞれの賃借権の準共有持分が敷地利用権になり設問は正しい

 

 

・選択肢2:地上権はBが持っておりAの敷地利用権は地上権者B間の契約上の利用権とな設問は正しい

 

 

・選択肢3:不動産登記法では使用借権は登記できないので設問は正しくない

 

 

・選択肢4:Bの賃借権は単独で所有しており区分所有法第22条で規定する分離処分禁止の対象にならず設問は正しい

 

 

≪答え≫ 

 

 

   この問いは登場人物3名おり、所有者、賃借権、地上権、敷地利用権及び使用借権などの権利が問われているので頭の中で考える前に図示するとよい。使用借用権が登記できないことを知っていれば他の選択肢を吟味することなく即、正答が得られる

 

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問 3 〕管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 監事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮監事を選任しなければならない。 


2 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、裁判所によって特別代表者が選任され、この者が管理組合法人を代表する。

 

3 管理組合法人は、財産目録を作成しなければならないが、常にこれを主たる事務所に備え置くことについては義務づけられていない。

 

4 管理組合法人の解散事由は、建物の全部の滅失又は建物に専有部分がなくなることであり、集会の決議によることは含まれない。

 

 

≪解説≫

 

 

・選択肢1:区分所有法第49条の4に「理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない」と規定されてお監事に関しても同法第50条第4項にこの規定が準用されており設問は正しい

 

 

・選択肢2:区分所有法第51条に「管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する」と規定されており設問のような規定はなく設問は正しくない

 

 

・選択肢3:区分所有法第48条第2項に「管理組合法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない」と規定されており設問は正しくない

 

 

・選択肢4:区分所有法第55条第1項三に「管理組合法人は、集会の決議によつて解散する」と規定されており設問は正しくない

 

 

≪答え≫ 

 管理組合法人からの出題である。選択肢1の仮監事に関する出題なので区分所有法は隅から隅まで目を通しておく必要がある。 

 

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問 4管理組合(区分所有法第3条の団体をいう。以下同じ。)の管理者の訴訟の追行等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

 

 

1 規約により使用目的を庭として専用使用権を与えられた敷地を勝手に駐車場に改造した区分所有者に対して、管理者が他の区分所有者の全員のために、原状回復を求める訴訟を原告として提起するためには、集会の決議を経なければならない。

 

 

 

2 管理者が原告として滞納管理費等の支払を求める訴訟の係属中に、管理者自身の区分所有権を第三者に譲渡し区分所有者でなくなった場合であっても、管理者は、原告として当該訴訟を追行することができる

 

 

 

3 集会において、共用部分に係る大規模修繕工事の瑕疵について、管理者が施工業者に瑕疵修補に代えて損害賠償請求を求める訴訟を提起することが決議された場合は、管理者は、区分所有者のために原告として当該訴訟を追行する。

 

 

4 管理者が原告として訴訟を追行する場合、当該訴訟に要する費用又は要した費用について、管理者は、各区分所有者に対して、前払い又は償還の請求をすることができるが、弁護士費用については、前払い又は償還の請求をすることができない

 

 

≪解説≫

 

 ・選択肢1:区分所有法第57条に「区分所有者は建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないが、この行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる」及び「この規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない」と規定されており設問は正しい

 

 

 ・選択肢2:区分所有法第25条第1項に「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる」と規定されており、管理者は解任されない限り区分所有者でなくなってもその地位は継続するので設問は正しい

 

 

・選択肢3:区分所有法第26条第4項に「管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる」と規定されており設問は正しい。当設問と直接関係はないが、民法改正では請負は売買の担保責任を準用し、注文者は履行の追完請求、報酬の減額請求、損害賠償の請求及び契約の解除ができるようになった 

 

 

・選択肢4:民法第649条及び第650条第1項では「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。また、受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる」と規定されている。また、訴訟追行に必要な弁護士費用もこれらの費用に含まれる考えられるので設問は正しくない

 

 

≪答え≫ 

 

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問 5 〕次の各決議については、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数によるが、この区分所有者の定数について、規約でその過半数まで減ずることができるものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか

 

1 区分所有者の共有に属する敷地又は共用部分以外の附属施設の変更についての集会の決議

 

2 規約の設定、変更又は廃止についての集会の決議
 

3 管理組合法人となる旨の集会の決議
 

4 訴えをもって、共同利益背反行為をした区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する旨の集会の決議

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第17条第1項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢2:区分所有法第31条第1項に「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする」と規定されており規約で別段の定めができることを認めていないので設問は正しくない

 

・選択肢3:区分所有法第47条第1項に「第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる」と規定されており規約で別段の定めができることを認めていないので設問は正しくない

 

・選択肢4:区分所有法第59条及び関連条項に「訴えをもって、共同利益背反行為をした区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求する旨の集会の決議は区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数よってする」と規定されており規約で別段の定めができることを認めていないので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 

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問 6 〕集会に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

 

1 区分所有者は、規約の定めによらない限り、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することはできない。

 

2 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならないが、共有者がそのための協議をしないとき、又は協議が調わないときであっても、管理者が指定することはできない。

3 集会においては、招集の通知によりあらかじめ通知した事項についてのみ決議をすることができ、規約で別段の取扱いをすることはできない。

 

4 管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をする必要があるとともに、個々の区分所有者の請求がある場合にも、これに応じることができない正当な理由がない限り、報告をする必要がある。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第39条第3項に「区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によつて議決権を行使することができる。と規定されており設問は正しくない規約の定めによらなくても集会の決議でも可能である

 

 

・選択肢2:区分所有法第40条に「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」規定されているが、共有者がそのための協議をしないとき又は協議が調わないときは管理者が指定することはできることまで規定されていないので設問は正しい

 

 

・選択肢3:区分所有法第37条第2項に「集会においては、あらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されており設問は正しくない

 

 

・選択肢4:区分所有法第43条に「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」と規定されており設問の前半は正しいが、後半は判例により個々の区分所有者の請求がある場合はこれに応じる義務はないとされており結論として設問は正しくない

 

 

≪答え≫ 

 

 これも区分所有法を読み込んでいれば容易に正答を得られる

 

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問 7〕甲マンションには、4つの専有部分があり、101号室と102号室はAが、201号室はBが、202号室はCがそれぞれ所有している。甲の敷地は、A及びBが敷地利用権(AとBの共有)を有しているが、Cは敷地利用権を有していない。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、甲については、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることが登記され、また、規約に専有部分と敷地利用権とを分離して処分することができない旨が定められているものとする。

 

1 A及びBが、Cに対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求したときは、その意思表示によって、一方的に時価による売買契約成立の効果が生じる。

2 Aの所有する101号室に係る敷地利用権と102号室に係る敷地利用権の割合は、その割合が規約に定められているときはその割合によるが、規約に定められていないときは等しい割合による。

 

3 Aが、101号室と分離して、101号室に係る敷地利用権について第三者Dのために抵当権を設定した場合に、Dがその抵当権設定時にそれらの分離処分が禁止されていることを知らないときは、Aは、その無効をDに主張することができない。

 

4 Bが死亡して相続人がないときは、Bの敷地利用権は、敷地の他の共有者であるAに帰属する。
 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第10条「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」と規定されており設問は正しい。なお、これは民法で「形成権」と呼ばれており土地権利者からの一方的な「売り渡せ」という意思表示により相手がその申し出を拒んでも売買が成立する取引である

 

 

・選択肢2:区分所有法第22条に「区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は規約による別段の定めがない限り専有部分の床面積の割合によと規定されており設問は正しくない。選択肢に記載されているように規約に定められていないときはたとえ2室専有していても等しい割合によることはない

 

 

・選択肢3:区分所有法第23条に「規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでないと規定されており設問は正しくない従って、Dが善意であっても、分離処分禁止が登記されているので、Aはその無効をDに主張することができるつまり、不動産の取引において、取引に際して通常は登記簿を見るべきとみなした規定である

 

 

・選択肢4:民法では「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と規定されているが、区分所有法で建物の権利と土地の権利を一体化した分離処分の禁止の規定が無効となる不都合があるので区分所有法第24条に「この民法の規定は敷地利用権には適用しない」規定されており設問は正しくない。これにより、敷地利用権は他の共有者に属さずに専有部分とともに専有部分の所有者(特別縁故者または国庫)に帰属することとなり分離処分の禁止が適用されることとなる

 

 

≪答え≫ 

 敷地利用権に関する出題であるが抵当権の設定や相続に関しての知識も求めれる良問である

 

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 問 8〕区分所有法第6条第1項の共同利益背反行為をした区分所有者又は区分所有者以外の専有部分の占有者に対して、次のア~エの請求をする場合、集会の決議に基づき、訴えをもってしなければならないものは、同法の規定によれば、いくつあるか

 

 

ア当該区分所有者の専有部分の相当の期間の使用の禁止の請求

イ当該占有者の共同利益背反行為の結果の除去の請求

ウ当該区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売の請求

エ当該占有者の占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しの請求


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

 

≪解説≫

 

・選択肢ア:区分所有法第58条第項に「集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる」と規定されており、集会の決議に基づき訴えをもってしなければならない

 

 

・選択肢イ:区分所有法第57条に「区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる」と規定されているが、集会の決議に基づき訴えをもってしなければならないとは規定されていない

 

・選択肢ウ:区分所有法第59条に「集会の決議に基づき、訴えをもつて当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる」と規定と規定されており、集会の決議に基づき訴えをもってしなければならない

 

 

選択肢エ:区分所有法第60条に「集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる」と規定されており、集会の決議に基づき訴えをもってしなければならない。

 

 

え≫  (集会の決議に基づき、訴えをもってするのは、ア、ウ、エ の3つ)

  区分所有法第57条~第60条をしっかり学習しておけば容易に正答が得られる

 

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問 9上層階を住居部分、下層階を店舗部分とする複合用途型マンションの店舗一部共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 店舗一部共用部分である外装がマンション全体の美観に影響を及ぼすような場合におけるその全体の美観に影響を及ぼす外装の変更は、区分所有者全員の集会の決議を得なければならない。

 

 

2 店舗一部共用部分である店舗部分の1階出入り口の管理について、区分所有者全員の規約で定められている場合、その改修は、店舗一部共用部分の区分所有者の集会で決議することができない。

 

 

 

3 店舗一部共用部分であるエスカレーターについて、区分所有者全員の規約に定めがない場合、その取替えが区分所有者全員の利害に関係しないときは、店舗一部共用部分の区分所有者の集会の決議で取替えを行うことができる。

 

 

 

4 店舗一部共用部分である客用便所の管理について、区分所有者全員の規約で定めをしようとする場合、住居一部共用部分の区分所有者の1/4を超える者が反対したときは、することができない。

 

 

≪解説≫

 

  

・選択肢1:区分所有法第16条に「区分所有者全員の利害に関係するもの又は規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており、設問のマション全体の美観に影響を及ぼすような場合におけるその全体の美観に影響を及ぼす外装の変更は区分所有者全員の集会の決議を得なければならないので設問は正しい

 

 

・選択肢2:区分所有法第16条に「区分所有者全員の利害に関係するもの又は規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており、設問の店舗一部共用部分であっても区分所有者全員の規約で定められている場合には店舗一部共用部分の区分所有者の集会で決議することができず区分所有者全員の集会の決議が必要になるので設問は正しい

 

 

・選択肢3:区分所有法第16条に「(一部共用部分の管理で)区分所有者全員の利害に関係するもの又は規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行うと規定されており、店舗一部共用部分で区分所有者全員の規約に定めがなくさらにその取替えが区分所有者全員の利害に関係しないときは一部共用部分の共有者だけで管理できるので設問は正しい

 

 

選択肢4:区分所有法第31条第2項に「一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない」と規定されており設問は正しくない。住居一部共用部分の区分所有者ではなく店舗部の一部共用部分の区分所有者1/4を超える者が反対したときはすることができないが正答である。

 

 

≪答え≫ 

複合用途型マンションに関する出題であるが、ざっと読むと各選択肢とも正答のような気がするが選択肢4ひっかけ問題がある

 

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 問 10〕下図の団地において、A棟及びB棟並びに附属施設について、団地管理組合(区分所有法第65条の団地建物所有者の団体をいう。以下同じ。)で管理する場合の規約の設定に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約の設定は、一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼさないものとする。


1 団地建物所有者全員が共有するごみ集積所については、団地管理組合の集会において団地建物所有者及び議決権の各3/4以上の決議を得て規約を定めることができる。

 

2 A棟及びB棟については、団地管理組合の集会における規約の設定の決議のほか、これに加えて、それぞれの棟の集会において区分所有者及び議決権の各3/4以上の決議を得て規約を定めることができる

3 A棟及びB棟の区分所有者が共有する駐車場については、団地管理組合の集会における規約の設定の決議のほか、これに加えて、当該駐車場の共有者及びその持分の過半数の同意を得て規約を定めることができる

4 戸建て住宅所有者のみが共有する駐車場については、団地管理組合で規約を定めることができない。

≪解説≫ 

 

・選択肢1:区分所有法第65条に「一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができると規定されておりごみ集積所を全員が共有しているなら規約を定めることができるので設問は正しい。単棟の場合と同様である。

 

・選択肢2:区分所有法第68条第1項2号により「当該団地内の専有部分のある建物につき規約を定めるには、団地管理組合の集会における規約の設定の決議のほか、これに加えて、その全部につきそれぞれ棟の集会における区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議があれば、規約を定めることができる」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢3:区分所有法第68条第1項1号に団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における附属施設は、団地管理組合の集会における規約の設定の決議のほか、これに加えて、当該附属施設の全部につきそれぞれ共有者の4分の3以上でその持分の4分の3以上を有するものの同意があれば、規約を定めることができると規定されており 設問は正しくない。団地内の土地(駐車場)が一部の建物所有者(A棟とB棟の区分所有者)の共有をしている場合、その旨を団地管理規約に定める場合はそれぞれ共有者の3/4以上でその持分の3/4以上を有するものの同意が必要であ過半数でない

 

・選択肢4:区分所有法第68条第1項1号の括弧書きにより戸建て住宅所有者のみが共有する駐車場は団地管理規約に定めることができないので設問は正しい

 

 

≪答え≫ 

 

 

  団地に関する設問であり毎年1問は出題される。区分所有法第2章に規定されているが、重要な条項である第66条(建物の区分所有に関する規定の準用)は単棟に関する規定が随所に規定されており大変長文で準用されており難解である。下記解説では該当条文を読み解いてそのポイントとなる事項を述べるにとどめる。選択肢2、3 については正確に理解しておく事

 

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 問 11 〕大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その全部が滅失したマンションの敷地の売却、その一部が滅失(区分所有法第61条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)したマンションの建物及びその敷地の売却並びに当該マンションの建物の取壊し等の決議に関する次の記述のうち、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 マンションの建物の全部が滅失した場合における「敷地売却決議」は、敷地共有者等集会において、敷地共有者等の議決権の4/5以上の多数でしなければならない。

 

 

 

2 マンションの建物の一部が滅失した場合における「建物敷地売却決議」は、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4/5以上の多数でしなければならない。

 

 

3 マンションの建物の一部が滅失した場合における「建物取壊し敷地売却決議」は、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4/5以上の多数でしなければならない。

 

 

 

4 マンションの建物の一部が滅失した場合における建物の「取壊し決議」は、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4/5以上の多数でしなければならない。

 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:被災区分所有法の第5条第1項に「敷地共有者等集会においては、敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下「敷地売却決議」という。)をすることができる」と規定されており設問は正しい建物の全部が滅失した場合と断っているので区分所有者は存在しないことに注意

 

 

・選択肢2:被災区分所有法の第9条に「第七条に規定する場合(区分所有建物の一部が滅失した場合)において、当該区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(「建物敷地売却決議」という。)をすることができる」と規定されており設問は正しいここで建物が一部滅失なら区分所有者も敷地利用権も残っているのが注意点

 

 

・選択肢3:被災区分所有法の第11条に「区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該区分所有建物を取り壊し、かつ、これに係る建物の敷地(これに関する権利を含む。次項において同じ。)を売却する旨の決議(「建物取壊し敷地売却決議」という。)をすることができる」と規定されており設問は正しいここで建物が一部滅失なら区分所有者も敷地利用権も残っているのが注意点

 

 

・選択肢4:被災区分所有法の第11条第1項に「区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該区分所有建物を取り壊す旨の決議(以下「取壊し決議」という。)をすることができる」と規定されており、設問では「敷地利用権の持分の価格の各4/5以上」が含まれており設問は正しくない。取り壊し決議の場合は敷地の売却は伴わないので設問にある「敷地利用権の持分の価格の4/5以上」は決議要件とはされていないことに注意

 

 

≪答え≫ 

  被災区分所有法等からの出題である。被災区分所有法は平成25年9月に改正で地震などの大規模な災害でマンションの全部が滅失まで至らなくても災害により重大な損傷が生じ危険な状況になっている場合でも所有者の多数(4/5以上)が賛成すれば取り壊し等ができるようにしたもので、建替え等円滑法と合わせて注目すべき法律である。全選択肢とも一見正しそうに見えるがひっかけがあるので注意深く見直す必要がある

 

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問 12は、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)を、平成20年4月1日にに対し、期間を10年、賃料を月額50万円として賃貸し、引き渡したところ、Bは、平成25年4月1日にAに対し、賃料を月額40万円に減額するよう請求した。この場合における次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか

 

 

1 AとBとの賃貸借契約において、賃貸期間中は賃料を減額しない旨の定めがある場合も、Bは賃料減額を請求することができる。
 

2 Bは、平成25年4月1日より前の賃料減額を請求することができない。
 

3 Bの減額請求につき、AとBとの協議が調わないときには、Aは、減額を正当とする裁判が確定するまでは、Bに対し、相当と認める額の賃料の支払を請求することができる。
 

4 Bの減額請求につき、月額45万に減額するのが正当である旨の裁判が確定した場合、賃料は裁判確定時から月額45万円となる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:借地借家法の第32条第1項に「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」と規定されているが、ただし書きの反対解釈で賃貸期間中は賃料を賃貸借期間中は賃料を減額しない旨の定めがある場合でもBは賃料減額を請求することができるので設問は正しい

 

・選択肢2:借地借家法の第32条第1項に「当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができ」と規定されており設問は正しい

 

選択肢3:借地借家法の第32条第3項に「建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢4:判例により賃料減額の効力は減額の請求をした時(平成25年4月1日)から生じるので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

  借地借家法からの出題である。一定期間、建物の借賃を増額しない旨の特約は有効だが、賃料を減額しない旨の特約は無効であることを知っていれば容易に正答が得られる

 

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 問 13〕高齢のAは、甲マンションの201号室を所有していたところ、アルツハイマー症状が見られるようになり、Bから「このマンションは地震による倒壊の恐れがあり、せいぜい200万円の価値しかない」と言われて、代金200万円でBに対し売却してしまったが、その201号室の売却当時の時価は約2,000万円であった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 AB間の売買契約の後に、Aの子がAについて家庭裁判所に後見開始の審判の申立てを行い、Aが成年被後見人となったことにより、AB間の売買契約は、その締結時に遡及して無効となる。

 

2 Bが201号室の所有権移転登記をした後に、AB間の売買契約の経緯を知らないCが、Bの登記を信じて転売を受けた場合でも、Aが売買契約締結当時、Aに意思能力がなかったことが証明されたときは、Aは売買契約の無効を理由として、Cに対して同室の返還請求をすることができる。

 

3 Aは、Bの行為は暴利行為であり、公序良俗違反であるとして、売買契約の無効を主張することができるが、その権利行使は、Aがその売買による損害を知っててから3年以内にしなければならない。

 

4 Aが売買契約後に死亡した場合、Aの相続人は、Bに対して損害賠償請求をすることはできるが、契約の無効の主張又は取消しの意思表示をすることはできなくなる

 

≪解説≫

  

・選択肢1:民法第9条に「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない」と規定されているが、後見開始の審判以前の行為まで取り消せるわけではないので売買契約時にはAは成年被後見人となっておらず契約は有効なので設問は正しくない

 

・選択肢2:民法第3条の2に「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」と規定されており意思無能力者が行った契約はそのことが証明されれば無効となので設問は正しい

 

・選択肢3:民法第90条により公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」と規定されており、判例で暴利行為も公序良俗違反とされている。また、無効とする権利行使に期間制限はなく3年以内とする」の設問は正しくない

 

・選択肢4:民法第896条「相続人は相続開始時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されているので損害賠償をすることができる、契約の無効の主張又は取消しの意思表示をする権利も承継するので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

  ここから5問はいよいよ民法からの出題である。登場人物が複数となるので図に書いて相互の関係をメモしながら落ち着いて問題を読むとよい。本設問では制限行為能力者は契約の取り消しは可能で意思無能力者は無効であることを理解していれば済む。意思表示等からの出題は珍しい。制限行為能力者等の解説は省略するがマンション管理の知識第2編第4章1項を参照されたい。

 

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 〔問 14 〕甲マンションの附属施設である立体駐車場において、運転の自動車が、Aの運転操作ミスによって駐車場設備を破損したため、甲マンションの管理者は駐車場設備の修理費につき損害賠償請求をしようとしている。この場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか

 

1 事故時にAが18歳の高校生であり、友人の自動車で無免許運転をしていた場合、Bは、Aの両親であるC及びDに損害賠償請求をすることができるが、Aに損害賠償請求をすることはできない。
 

2 事故時にAが勤務先であるE社所有の自動車を私用で運転していた場合、Bは、Aに損害賠償請求をすることができるが、E社に損害賠償請求をすることはできない。

3 BがAに対して損害賠償請求をするに当たり、訴訟の追行を弁護士に委任した場合には、相当な修理費に加え、相当な弁護士費用を併せて請求することができる。

4 BがAに対して相当な修理費について損害賠償請求をする場合、当該債務は損害賠償を請求した時から履行遅滞になり、これに対する損害賠償を請求したの翌日から年5分の割合による遅延損害金を併せて請求することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第711条に「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」と規定されているが、この責任能力については、12歳程度の知能が備わっていれば責任が認められるとされる。したがって、18歳であれば自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えているとみなすべきであり設問は正しくない。なお、判例では「未成年者が責任能力を有する場合であっても、その監督義務者に監督義務違反があり、これと未成年者の不法行為によって生じた損害との間に相当因果関係を認め得るときには、監督義務者は、損害賠償責任を負うものと解するのが相当である」とあり両親に損害賠償請求をすることができる

 

・選択肢2:民法第715条に「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定されており設問は正しくない。なお、判例では「会社所有の車両であれば、たとえ本人私用で運転していても外形は職務の範囲内といえるので使用者責任も成立するとある。被害者から見れば会社の車両を私用で乗っていたのかまでは知る由もない。

 

・選択肢3:判例では「不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができる」とされており設問は正しい

 

・選択肢4:判例によれば損害の発生した時(不法行為の発生時)から履行遅滞になるので設問の損害賠償を請求した時からではなく損害の発生した時からなので設問は正しくない。また、金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定その利率は、年五分とするので設問の後半は正しい。なお、民法改正により利率は、年三分となる

 

≪答え≫ 

 民法の不法行為にからの出題である。判例によればあるが判例をすべて調べておくわけにもいかないので常識的な判断が求められる

 

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問 15 〕Aの所有する甲マンションの301号室をから賃借して居住しているは、Aの承諾を得て、301号室の賃借権をに譲渡し、301号室をCに引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 賃借権の譲渡前にBがAに対して賃料1ヵ月分を支払っていなかった場合において、賃借権の譲渡をAが承諾する際に、この未払の賃料をCにも負担させることをAB間で合意したとしても、Aは、Cに対し、その支払を請求することはできない。
 

2 賃借権の譲渡後、台風による暴風雨の影響で301号室の窓が破損した場合には、Cは、その修繕の請求をBに対してしなければならず、Aに対してすることはできない。
 

3 賃借権の譲渡後に発生する賃料について、Aは、Cに対して支払を請求することができるだけでなく、Cが無資力であるために支払えない場合には、Bに対しても支払を請求することができる。
 

4 BC間の賃借権譲渡契約において、Cが賃借権の譲渡の対価をBに支払うことが合意されていたにもかかわらず、Cがこれを支払わない場合には、Bは、Aの承諾を得ない限り、債務不履行を理由として賃借権譲渡契約を解除することができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第612条第1項に「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と規定されており、また、判例により「譲受人(C)が賃借人(B)の債務を引き受ける場合は債権者(A)、債務者(B)及び引受人(C)の三者による契約で行われる」とあり設問は正しい

 

・選択肢2:民法第606条第1項に「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うと規定されており、新賃借人は窓の破損修理の請求を賃貸人Aに対してしなければならず設問は正しくない

・選択肢3:賃借権の譲渡されると従来の賃借人は賃貸借関係から離脱し譲渡後に発生する賃料はAはCに対して支払を請求することになるので、Bに対し請求することはできず設問は正しくない

 

・選択肢4:賃借権の譲渡契約はBC間でありCに債務不履行があればAの承諾なくBは賃借権の譲渡契約を解除できるので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 民法の賃貸借契約からの出題である。民法の関連条文を知らなくても常識で判断できる設問でありやさしい。

 

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問 16 〕甲マンションの201号室を所有するが、管理費60万円を滞納したまま遺言をすることなく平成25年12月1日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aの死亡より前に配偶者が死亡し、Aに実子B及び養子Cがある場合、B及びCがいずれも単純承認したときは、滞納管理費については、B及びCが各30万円を承継する。
 

2 Aの死亡より前に配偶者が死亡し、Aに実子D及び実子Eがある場合、Dが単純承認し、Eが相続放棄したときは、Dが滞納管理費60万円全額を承継する

3 Aに配偶者F、実子G及び実子Hがあり、Aの死亡より前にG及びHが死亡し、Gに実子Iがあり、Hに実子J及び実子Kがある場合、F、I、J及びKがいずれも単純承認したときは、滞納管理費については、Fが30万円、I、J及びKが各10万円を承継する。
 

4 Aに配偶者、子がなく、Aの死亡より前に実父が死亡し、Aに実母L及び兄Mがある場合、Lが単純承認したときは、Lが滞納管理費60万円全額を承継する。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第809条に「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と規定されており、実子と養子は相続分については異ならず、また、管理費は金銭債権であるから、それぞれ法定相続分に応じて分割されたものを相続するのでので設問は正しい

 

・選択肢2:民法第939条に「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と規定されており、単純相続したDのみが相続をするので設問は正しい

 

・選択肢3:代襲相続に関する設問であるが、民法第901条第1項等により「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるまた、子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」と規定されており右記の通り設問は正しくない。配偶者は1/2(30万円)をGの実子Iは1/4(15万円)、Hに実子J及び実子Kは合わせて1/4(それぞれ7万5万円ずつ)を相続する。

 

・選択肢4:民法900条第1項2号等により「被相続人に配偶者及び子がいない場合は直系尊属、直系尊属もいない場合は被相続人の兄弟姉妹が相続すると規定されており、設問では直系尊属実母LがおりLが滞納管理費60万円全額を承継するので設問は正しい

 

≪答え≫ 

  民法の相続からの出題である。被相続人が残した債権を相続人がどのように負担すべきかを問うている。登場人物が複数いるので図示して誰にいくらの相続があるのか明確にするとよい。

 

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問 17AがBに中古住宅である甲マンションの101号室を売却した場合におけるAの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 AとBとの売買契約において、隠れた瑕疵につき瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から1年間とした場合、Aが宅地建物取引業者であり、Bが宅地建物取引業者でないときは、Aは、引渡しの日から2年間は瑕疵担保責任を免れない。

 

 

2 AとBとの売買契約において、隠れた瑕疵につき瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から6ヵ月間とした場合、Aが宅地建物取引業者でなく、Bが宅地建物取引業者であるときは、Aは、引渡しの日から6ヵ月を経過した時に瑕疵担保責任を免れる。

AとBとの売買契約において、住宅の構造耐力上主要な部分の隠れた瑕疵についてのみ瑕疵担保責任を負うとした場合、A及びBが宅地建物取引業者であるときは、Aは、住宅の構造耐力上主要な部分の隠れた瑕疵以外の瑕疵についても瑕疵担保責任を免れない。

 

4 AとBとの売買契約において、隠れた瑕疵につき解除及び損害賠償請求に加え、あるいはこれに代えて瑕疵修補請求ができるものとした場合、Aが宅地建物取引業者であり、Bが宅地建物取引業者でないときは、Bは、瑕疵修補請求をすることができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:宅地建物取引業法第40条に「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、その目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、買主に不利となる特約をしてはならない。また、この規定に反する特約は無効とする」と規定されており、設問の隠れた瑕疵につき瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から1年間ととする」とされておりこの特約は無効なので設問は正しくない。改正民法では「買主は契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨を通知する必要がある」と規定されている

 

・選択肢2:宅地建物取引業法第40条に「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、その目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、買主に不利となる特約をしてはならない。また、この規定に反する特約は無効とすると規定されているおり、売主が宅建業者でないので宅地建物取引業法は適用され「隠れた瑕疵につき瑕疵担保責任を負う期間を引渡しの日から6ヵ月間とする」と特約をすることは有効であり設問は正しい

 

・選択肢3:売主も買主も宅建業者である場合は宅地建物取引業法は適用され瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすることは有効であり設問は正しくない

 

・選択肢4:売主が宅建業者の場合は買主に有利な特約は有効であり設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 

 売主の瑕疵担保責任関する出題である。売主が宅建業者である場合や宅建業者間の取引について知識を整理しておく事。民法改正で「隠れた他瑕疵担保」は「契約の内容に適合しないもの」に改められた【民法改正のポイント】を参照のこと

 

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 〔問 18 〕 敷地権付き区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

1 敷地権付き区分建物の登記記録の表題部の「敷地権の目的である土地の表示」欄には、敷地権の目的である土地の地目、地積、敷地権の種類が登記される。

 

2 敷地権は、区分建物と分離して処分することができない敷地利用権であって、登記できる権利でなければならないが、現に登記されている必要はない。

 

 

3 区分建物が属する一棟の建物の面積及び各専有部分の面積は、いずれの面積も壁の内側線で囲まれた水平投影面積による。

 

 

4 共用部分である旨の登記の申請が、当該区分建物の所有権の登記名義人からなされ、登記官がその申請を受理し、それに基づきその旨の登記をするときは、職権で、当該区分建物についてなされている権利に関する登記を抹消しなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:敷地権付き区分建物の建物の登記記録の表題部の「敷地権の目的である土地の表示」欄には「敷地権の種類」は登記されておらず設問は正しくない。敷地権の目的である土地の表示」欄には所在地・地番、地目、地積などが登記される。敷地権の種類は専有部分の表題部「敷地権の表示」欄でに登記される

 

・選択肢2:不動産登記法第44条第1項9号に「敷地権は建物又は附属建物が区分建物である場合において、敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの」と規定されており設問は正しくない。つまり、敷地権とは登記されている敷地利用権のことである

 

・選択肢3:区分所有法第14条第2項に「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積による」と規定されており設問は正しくない。つまり、一棟の建物の面積は区画の中心線で測るが各専有部分の面積は壁の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による

 

・選択肢4:不動産登記法第58条第2項に「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と規定されており、設問の前半の「共用部分である旨の登記の申請が、当該区分建物の所有権の登記名義人からなされ」には建物の表題部所有者が記載されていないが登記名義人は記載されているので設問は正しい。なお、設問の後半部分は正しい。前半部分の記述に表題部所有者」が記載されていないからといって単純に正しくないと判断しないこと。他の選択肢がすべて正しくないから消去法で7選択肢4は正しいと判断すべき。

 

≪答え≫ 

 不動産登記法からの出題である。この分野は毎年出題されており細かい事項について問われるので注意を要する。選択肢1は区分建物の登記簿の実例にて確認しておく事。

 

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問 19〕マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律(この問いにおいて「マンション建替法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 総会は、総組合員の2/3以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、マンション建替法に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 

2 施行再建マンションの建築工事が完了したときは、遅滞なく、施行再建マンション及び施行再建マンションに関する権利について、当該施行再建マンションの区分所有権を与えられた者が必要な登記を申請しなければならない。

3 建替組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができる。

4 建替組合は、権利変換計画を定めるときは、審査委員の2/3以上の同意を得なければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:マンション建替法に「総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる」と規定されており設問は正しくない。設問前半の2/3が正しくないことに気付けば容易に正答は得られる。なお、総会成立の条件が半数以上の出席であり過半数でないことに注意を要する

 

・選択肢2:マンション建替法に「施行者は、施行再建マンションの建築工事が完了したときは、遅滞なく、施行再建マンション及び施行再建マンションに関する権利について必要な登記を申請しなければならない」と規定されており設問は正しくない登記申請をするものは施行者である。

 

・選択肢3:マンション建替法に「組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができる」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢4:マンション建替法に「施行者は、権利変換計画を定め、又は変更しようとするときは、審査委員の過半数の同意を得なければならない」と規定されており設問は正しくない

 

≪答え≫ 

  マンション建替法からの出題でありここも毎年出題されている。区分所有法の建て替えに関する規定と併せて学習するとよい。ここは法令の内容をどの程度暗記しているかが正答を得るポイントとなる

 

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 20〕違反建築物等に対する措置に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

1 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反することが明らかな建築工事中の共同住宅について、緊急の必要がある場合においても、通知、意見の聴取等の手続きをとらなければ、建築主、工事請負人又は工事現場管理者に対して工事の施工の停止を命ずることができない。 

 

2 建築監視員は、建築基準法違反の共同住宅について、緊急の必要がある場合でなければ、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることはできない。  

 

3 特定行政庁は、違反建築物ではない床面積の合計が100㎡を超える共同住宅について、著しく保安上危険であると認める場合であっても、当該建築物の所有者等に対して、勧告をした後でなければ、除却等の命令をすることはできない。 

 

4 特定行政庁がそのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合においては、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときであっても、行政代執行法の定めるところに従って特定行政庁が自ら当該所有者等のなすべき行為をすることはできない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:建築基準法第9条第9項に「特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、緊急の必要があつて通知・意見の聴取等の手続等によることができない場合に限り、これらの手続によらないで、当該建築物の建築主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対して、当該工事の施工の停止を命ずることができる」と規定されており設問は正しくない 

 

 

・選択肢2:建築基準法第9条の2及び第9条第10項により「特定行政庁は、政令で定めるところにより、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、緊急の必要がある場合においては、定める手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる」と規定されており設問は正しい。つまり、緊急の必要がある場合でなければ、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることはできない 

 

 

・選択肢3:建築基準法第10条第3項に「特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により次章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる」と規定されており設問は正しくない 

 

・選択肢4:建築基準法第9条第12項に「特定行政庁は、そのまま放置すれば著しく保安上危険となると認めた共同住宅の所有者等に対して保安上必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる」と規定されており設問は正しくない

 

≪答え≫ 2

  建築基準法はからの出題である。建築基準法は毎年出題されるが範囲が広く正答を得るのは難しい。今回は規定の違反の措置に関する事項であり常識的判断と消去法で正答を得ることは可能である。建築監視員がどこまでの権限があるのかを理解しているかがポイントとなる。

 

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 〔問 21〕都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか

 

1 市街化調整区域については、現に市街地を形成している区域には、原則として用途地域を定めなければならない。

 

2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域であり、市街化調整区域は、おおむね10年以内に計画的に市街化を図る予定の区域である。

 

 

3 市街地開発事業は、市街化調整区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めることができる

 

 

4 準都市計画区域には、風致地区を定めることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:都市計画法第13条第1項7号に「市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢2:都市計画法第7条第2項に市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢3:都市計画法第13条第1項12号に「市街地開発事業は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢4:都市計画法第8条第2項 に「準都市計画区域については、都市計画に、風致地区等を定めることができる」と規定されており設問は正しい。なお、準都市計画区域には風致地区以外に下記を定めることができる

 「用途地域」、「特別用途地区」、「特別用途制限地区」、「高度地区」、「景観地区」、「緑地保全地区」、「伝統的構造物群保全地区」

 

≪答え≫ 

  都市計画法からの出題である。都市計画法は毎年出題されるが範囲が広いが暗記すべき事項を確実に学習しておくことがポイントとなる。今回市街化区域市街化調整区域等、基本的事項を習得していれば容易に正答を得られる。

 

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 〔問 22〕貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質の検査として、給水栓における臭気、味、色、濁りに関する検査及び大腸菌に関する検査を受けなければならない。

2 簡易専用水道の設置者は、水槽の掃除を、1年以内ごとに一回、定期に行うとともに、水槽の点検等有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講じなければならない。

3 簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査では、水槽だけでなく、その周辺の清潔の保持についても、検査の対象となっている。

4 水道事業者から供給を受ける水のみを水源としている貯水槽水道の設置者は、その水槽の有効容量の合計が10立方メートル以下でも、当該水道事業者の定める供給規程に基づき、水槽の管理責任を負う。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:厚生労働省の告示により簡易専用水道の設置者は、給水栓における臭気、味、色、濁りに関する検査を受けなければならないが大腸菌は規定されておらず当設問は設問は正しくない。なお、大腸菌でなく残留塩素の検査は受けなければならない。ここは厚生労働省の告示まで学習しておくことは不可能なので常識的判断による

・選択肢2:水道法に「水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。及び、水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること」と規定されており設問は正しい

・選択肢3:厚生労働省の告示に「水槽及びその周辺の清潔の保持について」についても検査の対象となっており設問は正しい

・選択肢4:水道法により設問にあるような貯水水道は簡易専用小水道または受水槽水道であり、その設置者は水槽の管理責任を負ので規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

  水道法からの出題である。水道法は毎年出題されるが範囲が広いが暗記すべき事項を確実に学習しておくことがポイントとなる。今回は簡易専用水道と貯水水道からの出題であるが何が検査の対象になっているのかが問われており難問である

 

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問 23〕高さ31mを超えるマンションにおける防炎対象物品の防炎性能に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 7階の住戸で使用される寝具は、政令で定める基準以上の防炎性能(以下、単に「防炎性能」という。)を有するものでなければならない。

2 1階の住戸で使用されるカーテンであっても、防炎性能を有するものでなければならない。

3 11階の住戸にスプリンクラー設備を設置した場合、当該設備の有効範囲内の部分については、防炎性能を有しないカーテンであっても使用することができる。

4 5階の住戸で使用するために、防炎性能を有する既製品のじゅうたんを購入した場合、関係者は、総務省令で定めるところにより、販売店の名称等を明らかにしておかなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:消防法に「防炎対象物品はカーテン、布製のブラインド、暗幕、じゆうたん等(じゆうたん、毛せんその他の床敷物で総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)、展示用の合板、どん帳その他舞台において使用する幕及び舞台において使用する大道具用の合板並びに工事用シートとする」と規定されており、寝具は含まれていないので設問は正しくない

・選択肢2:消防法により高層マンション(建物の高さが31メートルを超えるもの)なら階数に関係なく防炎性が求められるので設問は正しい。法令によらなくても常識的に判断できる

・選択肢3:高層マンションであればスプリンクラー等の設備の有無にかかわらずカーテンには防炎性能が求められるので設問は正しくない。法令によらなくても常識的に判断できる

 

・選択肢4:消防法に「防炎性能を与えるための処理又は防炎対象物品の作製を行なわせたときは、防炎物品ごとに、見やすい箇所に、防炎処理品又は防炎作製品の文字、処理をし又は作製した者の氏名又は名称、処理をし又は作製した年月を防炎表示を付させるようにしなければならない」と規定されており、販売店の名称等は含まれておらず設問は正しくない。これも常識的に判断できる。

≪答え≫ 

 消防法からの出題である。消防法は毎年出題されるが範囲が広いが暗記すべき事項を確実に学習しておくことがポイントとなる。

 

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 〔問 24〕マンションで行われる警備業務に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 マンションの警備業務の委託を受けた警備業者は、委託した者から犯罪に対する警戒強化の強い要望があれば、その警備業務に従事する警備員に公安委員会に届けていない護身用具を携帯させることができる。

2 マンションの施設管理業務及び警備業務の委託を受けるビルメンテナンス業者が、その警備業務の全部を他の警備業者に再委託する場合、当該ビルメンテナンス業者は、警備業の認定を受ける必要がない。

3 警備業者は、マンションの警備業務を依頼した者から当該警備業務に従事する警備員に対して苦情があった場合と同様に、当該マンションの周辺住人からの苦情に対しても、適切な解決に努める義務がある。

4 警備業者は、マンションの警備業務を委託した者からの犯罪に対する警戒強化の要望に対応するためであれば、そのマンションの警備業務に従事する警備員の服装を警察官の制服とほぼ同じものにすることができる。

≪解説≫

 

・選択肢1:警備業法に「警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たつて携帯する護身用具については、公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対して、その携帯を禁し、又は制限することができる」と規定されており設問は正しくない。法令を知らなくても常識的判断で容易に正答を得られる。

・選択肢2:警備業法に「警備業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の認定を受けなければならない」と規定されており、警備業務の全部を他の警備業者に再委託する場合であっても当該業者は警備業の認定を受ける必要があり設問は正しくない

 

・選択肢3:警備業法に「警備業者は、常に、その行う警備業務について、依頼者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。ここで依頼者等とは、依頼者の外、警備業務実施場所の周辺住民、通行者等をいうと規定されており問は正しい

 

・選択肢4:警備業法に「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と、色、型式又は標章により、明確に識別することができる服装を用いなければならない」と規定されており設問は正しくない。これは当然のことである

 

≪答え≫ 

 警備業法からの出題である。最近よく出題されるが警備業法を一通り目を通しておけば常識的な判断で容易に正答を得られる。

 

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 問 25〕規約の変更に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びにマンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば、適切なものはどれか

 

1 ペットの飼育を容認する旨変更し、ペットの飼育をする区分所有者及び占有者に対し、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、当該区分所有者及び占有者が改善勧告に従わない場合には、理事会が飼育禁止を含む措置をとることができる旨定めた。

敷地の共有持分割合を専有部分の床面積割合から各住戸毎に均等へと変更した。

3 理事長は、マンションの敷地及び共用部分である集会室を管理所有する旨変更した。
 

4 理事長は、集会に代えて、文書により毎年1回一定の時期にその事務に関する報告を行うことができる旨変更した。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:標準管理規約第18条コメント③ に「ペットの飼育を容認する場合、ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる」と記載されており設問は適切である。 なお、「ペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続き等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である」とコメントされている

 

・選択肢2:標準管理規約第10条コメント③に「敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである」と記載されており、設問のような規約の変更は適切でない敷地及び附属施設の共有持分と共用部分の共有持分とを取り違えないように注意の事

 

・選択肢3:区分所有法第27条第1項に管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる」と規定されているが、敷地は含まれていないので敷地は管理所有はできないので設問のような規約の変更は適切でない

 

・選択肢4区分所有法第43条に「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」と規定されており、設問のような規約の変更は適切でない

 

≪答え≫ 1

 

  〔問25〕~〔問33〕までの9問は標準管理規約からの出題である。当年は区分所有法に関する出題が〔問1〕~〔問10〕までの10問であり同様なウエイトである。標準管理規約からの出題は規約本文とコメントに記載されているかどうか問うており頭をひねる問題はほとんどない。規約本文とコメントを繰り返し読み、かつ、区分所有法との関連を確認しておくとよい。なお、標準管理規約は平成28年3月に大幅な改正があったが当設問に関連する事項はない。

 

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