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[平成25年問26~問50へ]

     平成25年マンション管理士試験問題解説(1)

 

 

 

問1 区分所有法(総則)
問2 区分所有法(義務違反者) 問8 区分所有法(管理組合法人) 問14 民法(手付) 問20 建築基準法(集団規定)
問3 区分所有法(義務違反者) 問9 区分所有法(団地) 問15 民法(相続) 問21 都市計画法
問4 区分所有法(総則) 問10 区分所有法(規約) 問16 借地借家法(借家法) 問22 水道法(簡易専用水道)
問5 区分所有法(規約) 問11 区分所有法(罰則) 問17 品確法 問23 消防法(設備)
問6 区分所有法(規約) 問12 民法(物権変動) 問18 不動産登記法 問24 警備業法
問7 区分所有法(規約) 問13 民法(抵当権) 問19 建替え等円滑化法 問25 標準管理規約(理事会)

 

問 1〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 専有部分とは、一棟の建物の構造上区分された数個の部分で独立して住居その他建物としての用途に供することができる区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

2 共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規約により共用部分とされた附属の建物をいう。

3 建物の敷地とは、建物が所在する土地並びに規約により建物の敷地とされた建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地をいう。

4 敷地利用権とは、専有部分を所有し敷地を利用するための建物の敷地に関する所有権、地上権、賃借権、使用借権又は地役権をいう。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第2条第3項に「専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。」と規定されており、また、同法第1条に「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる」と規定されており併せて当設問は正しい

 

・選択肢2:区分所有法第2条第4項に「共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物(規約により共用部分とした附属の建物)をいう」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢3:区分所有法第2条第5項に建物の敷地とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地(規約敷地)をいう」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢4:区分所有法第2条第6項に「敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう」と規定されており、設問にある地役権」は含まないので当設問は誤っている
 

 

≪答え≫ 

ここは区分所有法条文どおりの出題でありこの法律でいう定義は暗記しておく必要がある

 

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問 2 〕 甲マンションの区分所有者Aが管理者Bを誹謗中傷する内容の文書を貼付・配布する等の行為を行い、当該行為が名誉毀損に当たる場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aの行為によって名誉を毀損されたB個人は、Aに対して、名誉毀損による損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復する措置を講ずることを請求することができる。

2 Aの行為によって甲マンションの正常な管理又は使用が阻害される等当該行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当する場合は、A以外の他の区分所有者の全員は、Aに対して、当該行為の停止を求めることができる。

3 Aの行為が甲マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の規約に違反する行為である場合は、管理者Bは、Aに対して、規約の定めにより行為の差止め及び管理組合が被った損害の賠償を請求することができる。

4 Aの行為が区分所有法第6条第1項の共同の利益に反する行為に該当し、A以外の他の区分所有者の全員がAの行為の停止を請求することができる場合は、B個人は、Aに対して、名誉毀損による損害の賠償を請求することができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:名誉棄損は民法第723条に「他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢2:区分所有法第57条第1項区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢3:区分所有法第26条第1項に「管理者は、共用部分等を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢4:民法第723条に「他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる規定されており当設問は誤っている。 この個人が行う損害賠償請求A以外の他の区分所有者の全員がAの行為の停止を請求とは両立できる

 

 

≪答え≫ 

義務違反者に対する措置に関する出題である。名誉毀損は民法に規定があるが常識の範囲で正答を得られる。

 

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問 3専有部分の占有者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 マンションの建物の管理又は使用に関して、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない占有者には、専有部分の賃借人、転借人及び使用借主のほか、権原なき占有者も含まれる。

2 専有部分の使用借主が敷地内の駐車場を使用している場合、当該使用借主は、駐車場の月額使用料の増額変更に関する議案に対して、集会に出席して意見を述べることができる。

3 規約により住居専用とされている専有部分を事務所として使用している賃借人に対して、集会の決議により、管理者が当該使用の停止の訴えを提起しようとする場合は、あらかじめ、当該占有者に弁明の機会を与えなければならない。

専有部分について、居住目的以外での使用を禁止する規約に変更しようとする場合において、専有部分を店舗として使用している賃借人がいるときは、当該賃借人の承諾を得なければ、規約を変更することができない

≪解説≫ 

 

・選択肢1:区分所有法第6条に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。この規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者に準用すると規定されいるが、占有者には権原なき占有者も含まれるので当設問は正しい

 

・選択肢2:区分所有法第44条第1項に「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる」と規定されているが専有部分の使用借主(占有者)は直接的な影響を受けないので集会に出席して意見を述べることができないので当設問は正しくない。占有者は同法第46条第2項に「占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う」に規定されおり、駐車場の月額使用料の増額変更に関する議案は区分所有者と同一の義務を負わないので集会に出席して意見を述べることができないとの理屈である

 

・選択肢3:区分所有法第57条第1項及びに第2項に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないが、その行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。この規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならないと規定されているが該当者に弁明の機会を与えなければならないとは規定されていない。さらに、同法第57条第4項には「この規定は占有者にも準用すると規定されており当設問は正しくない

 

・選択肢4:区分所有法第31条第1項後段に規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されているが占有者の承諾を得るとは規定されていないので当設問は正しくない 

 

≪答え≫  

専有部分の占有者に関する出題である。区分所有法で占有者に認められている権利や占有者に課せられている義務について確認しておく必要がある

 

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問 4 〕甲マンションの101号室は、次のア~ウのとおり区分所有権が移転されているが、A及びBは、管理費を滞納している。管理組合法人が、平成25年4月に滞納管理費を請求する場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

ア 平成22年4月、Aが101号室を購入

イ 平成23年10月、BがAから101号室を受贈

ウ 平成24年10月、Cが抵当権の実行による競売で101号室を取得

 

1 Aは、管理費に係る債権の引当てである区分所有権をBに贈与しているので、管理組合法人は、Aに対して、Aの滞納管理費を請求することができない。

2 Bは、贈与を受けた中間取得者であり、特定承継人ではないので、管理組合法人は、Bに対しては、Bの滞納管理費のみを請求することができる。

3 Cは、担保権の実行としての競売による買受人であるが、管理組合法人は、Cに対して、A及びBの滞納管理費を請求することができる。

4 管理組合法人は、規約に別段の定めがない限り、Cに対して、A及びBの滞納管理費に係る遅延損害金を請求することができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第7条第1項に「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」と規定されており、また、同法第8条に「前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」と規定されており、併せて元々滞納をしていた区分所有者に対しても請求できるので当設問は正しくない

 

・選択肢2:Bは特定承継人でありA及びBの滞納管理費を請求できるので当設問は正しくない

 

・選択肢3:Cは特定承継人でありA及びBの滞納管理費を請求できるので当設問は正しい

 

・選択肢4: 民法第415条に「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」と規定されており、規約に別段の定めがないときはA及びBの滞納管理費に係る遅延損害金請求できるので当設問は正しくない

 

 

≪答え≫ 

 滞納管理費を請求に関する出題である。滞納管理費に関する特定承継人の責任を整理しておく事。なお、遅延損害金を請求する場合の法定利率は民法改正で年3%となった

 

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問 5 〕次に掲げる事項のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができる事項はいくつあるか

 

ア 共用部分の保存行為

イ 管理者の選任及び解任方法

ウ 集会における議長の選任方法

エ 解散した管理組合法人の残余財産の帰属

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 四つ

≪解説≫

・選択肢ア:区分所有法第18条第1項及び2項に共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。この規定は、規約で別段の定めをすることを妨げないと規定されており規約で別段の定めをすることができる

 

・選択肢イ:区分所有法第25条第1項に区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができると規定されており規約で別段の定めをすることができる

 

・選択肢ウ:区分所有法第41条に「集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる」と規定されており規約で別段の定めをすることができる

 

・選択肢エ: 区分所有法第56条に「解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第十四条に定める割合と同一の割合で各区分所有者に帰属す」と規定されており当設問は規約で別段の定めをすることができる


≪答え≫  (ア、イ、ウ、オとも規約で別段の定めをすることができる)

 よく出題される設問である。本問以外にも規約で別段の定めをすることができる事項があるのであるので整理しておく事。

 

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問 6 〕マンション分譲会社は、マンションの分譲に際し、専有部分の区分所有権及び敷地の共有持分とは別に、一部の区分所有者らに、マンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲し、その代金を受領した。Bらは、所定の駐車場使用料を管理組合に毎月支払い、駐車場を専用使用してきたが、Cは、集会決議により規約を変更した上で駐車場使用料を増額する旨の決議をした。ところがBらはこれに応じなかった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、適切なものはどれか

 

 

1 Cが、規約を変更した上で駐車場使用料を増額したことは、一般的にBらに不利益を及ぼすものであるから、Bらの承諾を得ない限り、許されない。

2 Bらが訴訟において駐車場使用料増額の効力を争っているような場合に、Cが、Bらの駐車場使用料の増額分の不払を理由に駐車場使用契約を解除し、Bらの駐車場の専用使用権を失わせることは、契約の解除を相当とするに足りる特段の事情がない限り、許されない。

3 AがBらにマンションの敷地の一部に設けられた駐車場の専用使用権を分譲する売買契約は、公序良俗に反するものであるから、無効である。

4 Aは、区分所有者全員の委任により、Bらに駐車場の専用使用権を分譲したものであるから、Cは、Aに対して、委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき、AがBらから受領した専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第31条第1項後段に「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されており、判例では「特別の影響を及ぼすべきときとは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される」とされており、Bらの承諾を得る必要がないので当設問は適切でない

・選択肢2:判例で「専用使用権者が訴訟において使用料増額の効力を争っているような場合には、裁判所の判断を待つことなく、専用使用権者が増額された使用料の支払に応じないことを理由に駐車場使用契約を解除し、その専用使用権を失わせることは、契約の解除を相当とするに足りる特段の事情がない限り、許されないものと解するのが相当であるとされており当設問は適切である

 

・選択肢3:判例で設問記載のような売買契約は「公序良俗に反するものでない」とされており当設問は適切でない。まあ、妥当な判断と言える

 

・選択肢4判例で設問にあるような「Cは、Aに対して、委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき、AがBらから受領した専用使用権の分譲代金の引渡しを請求することができる」は認めていないので当設問は適切でない。判例全文をみたい場合はここをクリック最高裁の平成10年10月22日ミリオンコーポラス高峰館事件

 

≪答え≫  

 駐車場使用料の増額に関する判例からの出題である。判例を知らなくても常識的判断で正答を得られる。

 

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問 7〕次の規約の定めのうち、区分所有法の規定によれば、規約としての効力が生じない定めの組合せはどれか

 

ア 一つの専有部分が数人の共有に属するときは、各共有者は、その共有持分の割合に応じて議決権を行使することができる。

イ 規約及び集会の議事録は、管理者が指名した管理者以外の区分所有者に保管させることができる。

ウ 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。

エ 集会の議長は、集会に出席した区分所有者のうちから管理者が指名した者がなる。

 

1 アとイ

2 イとウ

3 ウとエ

4 エとア

 

≪解説≫

 

・選択肢ア:区分所有法第40条に「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」と規定されており、規約で別段の定めができると規定されていないので「各共有者は、その共有持分の割合に応じて議決権を行使することができる」は適切でないので設問は規約としての効力が生じない

 

・選択肢イ:区分所有法第33条第1項に「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない」と規定されており、管理者がいれば管理者が保管しなければならないので設問は規約としての効力が生じない

 

・選択肢ウ:区分所有法第36条に「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる」と規定されており規約に定めれば効力が生じる

 

 

・選択肢エ: 区分所有法第41条に「集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる」と規定されており規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合は集会に出席した区分所有者のうちから管理者が指名した者がなることができるので規約に定めれば効力が生じる

 

≪答え≫  (規約としての効力が生じない選択肢はア及びイ)

言い回しがちょっと難解だが結局、設問は問5と同様に区分所有法に抵触せず規約で別段の定めができるかどうかを問うている

 

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問 8〕管理組合法人の理事及び監事に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか


1 理事が数人あるときに、管理組合法人を代表すべき理事の選任は、集会の決議によらなければならず、規約の定めにおいて理事の互選によるとすることはできない。


2 辞任により退任した理事は、新たに選任される理事が就任するまでの間、規約で定めた理事の員数が欠ける場合であっても、その職務を行う必要はない。


3 管理組合法人においては、理事及び監事が置かれなければならず、また、両者を兼ねてはならない。


4 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任される仮理事が管理組合法人を代表する。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第49条第5項に「規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない」と規定されており当設問は正しくない

 

 

・選択肢2:区分所有法第49条第7項に「理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事が就任するまで、なおその職務を行う」と規定されており当設問は正しくない解任の場合はその職務を続けることができない

 

 

・選択肢3:区分所有法第49条第1項に「管理組合法人には、理事を置かなければならない」と規定されており、また、同法第49条第1項及び第2項には「管理組合法人には、監事を置かなければならない」及び「監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない」と規定されており当設問は正しい

 

 

・選択肢4: 区分所有法第51条に管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する」と規定されており当設問は正しくない。なお、当設問には直接関係はないが、仮理事は同法第49条の4第1項に「理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならないと規定されている

 

 

≪答え≫ 

 

 

   管理組合法人に関する出題である。各選択肢の設問は区分所有法の該当条文そのままであり容易に正答を得られる。なお、当設問と直接関係はないが平成28年3月に標準管理規約の改正があり監事の権限が大幅に強化されたので確認しておく事

 

 

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問 9〕一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟~C棟及び戸建て住宅があり、それらの団地建物所有者が土地及び附属施設たる建物である集会所を共有する場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとし、B棟の建替えは他に特別の影響を及ぼさないものとする。 

 


1 A棟の建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときは、A棟の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

 

 

2 B棟の建替えについては、B棟の集会において建替え決議をし、A棟~C棟及び戸建て住宅の団地建物所有者の団体の集会において議決権の3/4以上の多
数による承認の決議を得て、建替えを行うことができる。

 

 

3 C棟の区分所有者全員の共有に属し、その共用に供されるべきことが明らかなC棟のエレベーター(EV)は、一部共用部分である。

 

 

4 A棟~C棟、戸建て住宅及び集会所の全部を分譲前に所有する者は、公正証書により、集会所を団地共用部分とする規約を設定することができる。


≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第66建物の区分所有に関する規定の準用)で同法第61条(建物の一部が滅失した場合の復旧等)及び第62条(建替え決議)を準用する旨、規定されておらず各棟の復旧、建替えは各棟の集会で決議できるので当設問は正しい。区分所有法第66条は極めて長文の条文なので解読するのは困難でだが団地の集会まで持ち込まなくても棟の集会(右記)で決議できるものを整理しておく事。管理所有、敷地利用権の分離処分の禁止、義務違反者に関する規定、復旧・建替えに関する規定は棟の集会で決議する

 

 

・選択肢2:選択肢1の続きとなるが団地内の各棟の建替えは区分所有法第69条の規定により「団地集会において議決権の3/4以上の多数による承認の決議をが必と規定されており当設問は正しい建替え決議は各棟の集会で行い、団地集会では承認決議が必要であることに注意の事。また、議決権は土地の共有持分の割合であ

 

 

・選択肢3:C棟(団地内の特定棟)の区分所有者全員の共有に属し、その共用に供されるべきことが明らかなC棟のエレベーターは、C棟の区分所有者の共用部分であり一部共用部分ではないので当設問は正しくない

 

 

・選択肢4:区分所有法第67条第2項に「一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、団地共有部分を定める規約を設定することができる」 と規定されており当設問は正しい

 

 

≪答え≫ 

 

 

 団地に関する出題である。選択肢3及び選択肢4の設問に注意の事

 

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問 10〕甲マンションの管理組合は、自ら居住しない組合員(この問いにおいて(「不在組合員」という。)に対して、組合費のほかに住民活動協力金を負担させる旨の規約の変更を行った。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものは次のうちどれか

 

 

1 規約の変更の効力は、規約の変更の必要性及び合理性とこれによって不在組合員が受ける不利益とを比較衡量し、実態に照らし、その不利益が不在組合員の受忍すべき限度を超えると認められるかどうかによって判断すべきである。

 

 

2 規約の変更によって不在組合員が受ける不利益についての判断に当たっては、組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担と居住組合員が負担する組合費とを比較衡量する必要はない。

 

 

3 管理組合の運営業務及びその費用は、本来、組合員が平等に負担すべきであり、不在組合員が占める割合が大きく、それらが管理組合活動等に参加することが期待し得ない場合は、規約を変更し、不在組合員のみを対象として金銭的負担を求めることは合理性を欠くものと見ることはできない。

 

 

4 規約の変更の効力を判断するに当たっては、不在組合員のうち住民活動協力金の支払を拒否する者の数及び不在組合員全体に対するその割合を考慮する必要がある。


≪解説≫

 

・選択肢1:設問記載の内容は妥当であり当設問は正しい

 

 

・選択肢2:設問記載の内容は妥当でなく当設問は誤っている不在組合員の金銭的負担と居住組合員が負担する組合費とを比較し不在組合員の負担があまりにも多くならないよう配慮すべきである

 

 

・選択肢3:設問記載の内容は妥当であり当設問は正しい

 

 

・選択肢4:設問記載の内容は妥当であり当設問は正しい。判例によれば「住民活動協力金の趣旨に反対してその支払を拒んでいるのは,不在組合員が所有する専有部分約180戸のうち12戸を所有する5名の不在組合員にすぎないことも考慮すれば,本件規約変更は,住民活動協力金の額も含め,不在組合員において受忍すべき限度を超えるとまではいうことができない」とされている

 

 

≪答え≫ 

 

 

   判例からの出題であるがマンション居住者は身近に起こりそうな問題だが判決文が記載されておりわかりずらいが常識的判断で正答を得られる。この判例は平成22年1月26日の最高裁判例から出題されている。判例は「マンション管理の知識」にも掲載されており「判例さくいん」から参照することができる

 

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問 11 〕管理者の行為が、区分所有法第71条の規定により20万円以下の過料に処せられることのないものは、次のうちどれか。

 

1 区分所有者の会計帳簿の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒んだとき。

 

 

2 議長が作成した集会の議事録を保管しなかったとき。

 

 

3 集会において、毎年1回一定の時期に、事務に関する報告をしなかったとき。

 

 

4 利害関係人の集会の議事録の閲覧請求に対して、正当な理由がないのに、それを拒んだとき。


≪解説≫

 

 区分所有法第71条の罰則の規定からの出題である。下記の場合は20万円以下の過料に処せられるので暗記しておく必要がある。
 ① 規約、議事録、書面決議による合意書面、電磁的記録の保管義務違反・・・選択肢2
 
② ①の書類又は電磁的記録に関し正当な理由がないのに閲覧を拒んだ場合・・・選択肢4

 ③ 事務報告違反・・・選択肢3

 

 

  従って、選択肢1は20万円以下の過料に処せらないので正答となる。ちなみに、罰金は刑法上の刑罰で検察官が起訴して裁判所が下すもので前科になる、過料は法令に従わない者に対する制裁で行政処分なので前科にはならない なお、管理組合法人でない組合が「管理組合法人」の名称を用いたときは使用者は10万円以下の過料に処せられる。20万円以下の過料に処せられるものは下記

 

 ①規約・集会の議事録、書面決議の書面等の保管義務違反

 ※管理者がいない場合に、集会の決議で定められた保管者が保管義務に違反しても、過料には処せられない。

 ②規約・集会の議事録、書面決議の書面等の閲覧の拒絶

 ※管理者がいない場合に、集会の決議で定められた保管者が保管しているにもかかわらず、正当な理由なく閲覧を拒んだ場合には、科料に処せられる。

 ③ 集会の議事録の作成義務違反

 ④集会での毎年1回一定の時期における事務報告義務違反

 ⑤管理組合法人等の登記義務違反

 ⑥管理組合法人の財産目録作成義務違反

 ⑦管理組合法人の理事又は監事の選任手続の懈怠

 ※区分所有法上、会計帳簿の作成・閲覧義務はないことから、区分所有者からの会計帳簿閲覧請求を拒絶しても、過料に処せられることはない。

 

 

≪答え≫ 

 

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問 12〕 は、との間で、Aの所有する甲マンションの301号室の売買契約を締結した。Aは、その後、301号室について、との間でも売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 AC間の売買契約は無効であり、Cが301号室の所有権を取得することはない。

2 Cが、Aとの売買契約締結時に、301号室を既にBがAから買い受けていることを知り得た場合には、Cが301号室の所有権を取得することはない。

3 Bが先に301号室の引渡しを受けていても、CがBより先に売買代金全額をAに支払ったときには、Cは、Bに対して自分が301号室の所有権者であることを主張することができる。

4 Cが先に301号室の引渡しを受けていても、Bが所有権者として登記されたときには、Bは、Cに対して自分が301号室の所有権者であることを主張することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法177条に「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されており二重譲渡は有効であるので設問は正しくないCは所有権を取得するには登記をしなければBに対抗できない

 

・選択肢2:民法177条によりCが悪意であってもAC間の売買契約は有効であり設問は正しくない

 

・選択肢3:民法177条により代金の支払いの先後はには関係なく所有権を主張するには先に登記をしていなければならないので設問は正しくない

 

・選択肢4:民法177条によりBが所有権者として登記すればCに対して自分が301号室の所有権者であることを主張することができるの設問は正しい

 

≪答え≫ 

 二重譲渡の場合、先に所有権移転登記を済ませた方が所有権者であることを主張できる原則を知っていれば容易に正答を得られる

 

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問 13〕 Aが、平成24年4月に、甲マンションの301号室の購入に際してB銀行から融資を受け、同室にBの抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 Bの抵当権設定後にAから301号室を賃借した者は、その賃貸借契約が3年を超えないときに限り、賃借権をBに対抗することができる。

 

2 301号室の一部が火災により損傷し、Aが火災保険金を受け取ることができる場合、Bは、当該火災保険金請求権を差し押さえてこれを行使することができる。

 

3 AのBに対する債務について、Cが連帯保証人になっている場合、CはBからの請求に対して、抵当権の実行を先に行うべきことを抗弁することができる。

 

4 Bが抵当権の被担保債権をD社に譲渡しようとするときは、Aの承諾が必要であり、Aが承諾しないときは、被担保債権及び抵当権はD社に移転するが、そのことをAに対抗することができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第177条に「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」の規定により賃貸借契約の期間に関わらず抵当権者に対し賃借権は対抗できないので設問は正しくない。なお、設問にある賃貸借契約が3年」は平成15年民法改正までは民法に規定されていたが改正で廃止された。なお、関連して民法第395条に「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者はその建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」と規定されており賃借権者が保護されている

 

・選択肢2:民法第372条に「抵当権(先取特権規定の準用)は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、抵当権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢3:民法第454条には「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁、検索の抗弁の権利を有しない」と規定されており、連帯保証人には「催告の抗弁権」(この設問の場合)は認められていないので設問は正しくない

 

・選択肢4:被担保債権を他に譲渡しようとするときは、抵当権者に通知すれば(抵当権者の承諾がなくても)抵当権者に対抗できる(抵当権の随伴性)ので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 

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問 14が所有し、居住する甲マンションの501号室を1,000万円で売り渡す旨の契約をとの間で締結し、手付金として100万円をBより受領した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、AB間の売買契約には、手付に関する特約はないものとする。

 

1 Aは、Bが売買代金の融資申込みをした場合には、Bに対して200万円を現実に提供しても、売買契約を解除することはできない。

2 Aは、Bが代金支払期日に代金を支払わないため売買契約を解除した場合には、Bに対して100万円の手付の返還義務が生じるとともにBの債務不履行により発生した損害全額の賠償を請求することができる

Aは、Bが100万円の手付を放棄して契約の解除をしても、Bの解除により100万円を超える損害がAに発生しているときには、Bに対して100万円を超える損害について賠償を請求することができる

4 Aは、Bに501号室を引き渡すために同室から退去した場合には、Bに対して200万円を現実に提供しても、売買契約を解除することはできない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第557条に「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」と規定されており、判例によれば売買代金の融資申込みをした場合だけではまだ履行の準備にすぎず履行の着手したとはいえない」とあり設問は正しくない

 

・選択肢2:民法第545条第1項に「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない」と、民法第545条第4項に「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢3:民法第557条に「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。 ただし、損害賠償の請求はできない」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢4:選択肢1に記載した通り相手が契約の履行に着手するまでであれば手付による解除はできるが設問にある「Aが退去しただけでは相手方Bが履行に着手したことにはならない」のでAは手付による解除ができるので設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 手付金に関する出題である。手付金の制度そのものは簡単であるが、設問は実際に起こりうる問題を取り上げており慎重に考えて回答する必要がある。選択肢2で債務不履行により契約を解除した場合は損害賠償の請求ができる

 

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問 15が所有する甲マンションの301号室をが賃借し、B及びCの2人で居住していたところ、Bが死亡した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか

 

1 CがBの妻であるときは、Aの承諾がなくても、Cは、Aに対し301号室に居住することを主張することができる。

2 CがBの妻であり、Bに子がなく母Dがいるときは、CとDとの遺産分割協議が成立するまでの間、Dの承諾がなくても、Cは、Dに対し301号室に居住することを主張することができる。

3 CがBの内縁の妻であり、Bに前妻との子Eがいるときは、EがBの賃借人の地位を相続するので、Cは、Aに対し301号室に居住することを主張することができない

4 CがBの内縁の妻であり、Bに相続人がいないときは、Cは、Bの賃借人の地位を承継することができるので、Aに対し301号室に居住することを主張することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第890条に「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されており、CがBの妻であればCはBの賃借人の地位を相続するので、Cは、Aの承諾がなくても、Aに対し301号室に居住することを主張することができるので設問は正しい

 

・選択肢2:民法第898条に「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と規定されており、Bが死亡すれば遺産分割協議が成立するまでは301号室はCとDの共有となりDの承諾がなくてもCはDに対し301号室に居住することを主張することができるので設問は正しい

 

・選択肢3:借地借家法第36条第1項に「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」と規定されており設問は誤っている。設問では相続人として前妻との子Eという相続人がいるが賃借人の内縁の妻は相続人の賃借権を援用して賃貸人に対し当該家屋に居住する権利を主張することができる(最判昭和42年2月21日)

 

・選択肢4:借家法第36条第1項により、内縁の妻があるときは建物の賃借人の権利義務を承継するのでCはAに対し301号室に居住することを主張できるので設問は正しい

 

≪答え≫ 

 居住権に関する出題であるが内縁の妻も絡んでくるので難問である。消去法により正しいものを選択し残され設問が正しくないと判断する他ない。

 

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問 16は、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)について、借地借家法が定める定期建物賃貸借の契をすることとし、平成15年4月1日、Bに対して、期間を10年とし、契約の更新がないこととする旨を定めて賃貸し、引き渡した。この場合における次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aが、Bとの建物賃貸借契約を公正証書以外の書面によって締結した場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

 

2 Aが、Bとの建物賃貸借契約に先立ち、Bに対し、当該建物賃貸借は更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明をしなかった場合、Aは、期間満了の際、借地借家法の定める正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸借契約の更新を拒絶することができない。

 

3 Aが、Bに対し、平成24年12月1日に期間満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、平成25年5月31日を経過するまでAは契約の終了をBに主張することができない

 

4 Bは、建物賃貸借契約において、期間中の解約ができるという特約をしないかぎり、解約の申入れをすることはできない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:借地借家法第38条第1項に「期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができる」と規定されている。ここで公正証書による等書面による契約」とは「公正証書以外の書面による契約」も含むので期間満了の際、正当の事由がなくても賃貸借契約の更新を拒絶することができるので設問は誤っている

 

・選択肢2:借地借家法第38条第2、3項に「定期建物賃貸借による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない 。建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする」と規定されており設問の場合は賃貸借契約の更新を拒絶することができない設問は正しい

 

・選択肢3:借地借家法第38条第4項に「建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない」と規定されており設問は正しい

  

  この規約に従い、順番に考察する

 ・平成15年4月1日から契約期間が10年の定期建物賃貸借契約なので契約の満了は、平成25年3月31日となる
・平成24年12月1日に該当の通知を出すならば規定の「期間の満了の一年前から六月前までの間」の6ヶ月前を過ぎているので借地借家法第38条第4項のただし書き「その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない」が該当する
平成24年12月1日から6ヵ月後の平成25年5月31日が過ぎるなら契約の終了を主張できる
 

 

・選択肢4:定期建物賃貸借の契約は、特約をしないかぎり途中解約はできず設問は正しい

  なお、途中解約できる場合は借地借家法第38条第5項に居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する」と規定されている.本問の101号室は「店舗部分」とあるので、特約がなければ途中解約できない

 

≪答え≫  

 定期建物賃貸借の契約に関する出題である。定期建物賃貸借の契約とはどういう契約かが分かっていれば容易に正答を得られる 

 

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問 17 〕新築の住宅店舗複合用途型マンションの売買契約における売主の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定め、引渡しを受けた4年6月後に、当該マンションの店舗部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、引渡しを受けた時から5年以内に損害賠償を請求しなければ、売主は、その責任を負わない。

2 マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から5年と定め、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、売主に損害賠償の請求をすることができない。

3 マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から10年と定め、引渡しを受けた8年後に、当該マンションの住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じた場合には、売主に瑕疵修補の請求をすることができる。

4 マンションの売買契約において建物のすべての部分につき瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から15年と定め、引渡しを受けた12年後に、当該マンションの住宅部分の納戸に隠れた瑕疵が発見された場合には、売主に損害賠償の請求をすることができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:品確法第95条第1項「新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等(注:雨水の侵入を防止する部分も入る。参照第94条)の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負うと規定されており、また、同法第95条第2項に「前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする」と規定されている。さらに、同法第2条第1項に「品確法における住宅とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいう」と規定されており、マンションの店舗部分の外壁は「人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分」に該当するため特約で瑕疵担保期間を引渡しから5年間」と定めてもは無効であり、引渡し時から10年間は売主は瑕疵担保責任を負う従って、設問は正しくない。大変芸が細かい。

 

・選択肢2:品確法で瑕疵担保責任期間を10年間と規定されているので、特約で瑕疵担保責任期間を5年間と定めても住宅部分の外壁の瑕疵により雨漏りが生じているのでこの特約は無効となり設問は正しくない

 

・選択肢3:設問記載事項は適切なので設問は正しい売主の瑕疵担保責任として瑕疵補修の請求ができること注意の事。

 

・選択肢4:品確法第97条に「住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、売主が瑕疵その他の住宅の隠れた瑕疵について担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる」と規定されているので瑕疵担保責任の期間を引き渡した時から15年と定める特約は有効である。また、対象となる瑕疵は「建物のすべての部分」との特約があるので納戸に隠れた瑕疵が発見された場合にも売主に損害賠償の請求をすることができる。従って、設問は正しくない

≪答え≫ 

 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法と略す)に関する出題である。同じような設問が続くので慎重に考えること。

 民法の改正により(品確法は変更されていないが下記の事項がに変更がある。当設問の正誤には変更はない

・損害賠償責任は無過失責任から過失責任へと変更

・品確法上、土地工作物の請負契約の担保責任において契約の解除が可能

・引き渡された目的物が「種類、品質、数量」に関し契約の内容に適合しないものである場合は注文者又は買主は報酬の減額請求可

・瑕疵担保責任の追及にあたり瑕疵は隠れたものでなくても構わない

 

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問 18 〕敷地権付き区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 敷地権付き区分建物及びその敷地権の目的である土地の所有者が、当該区分建物について表題登記を申請するときは、同時に当該区分建物の敷地権の目的である土地の登記記録について、当該登記記録中の所有権が敷地権である旨の登記を申請しなければならない。

 

2 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならないが、この場合に当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって当該他の区分建物についての表題登記の申請することはできない。

 

3 敷地権付き区分建物についてされた抵当権の設定の登記は、当該区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたものであっても、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。

 

4 敷地権付き区分建物については、当該建物のみを目的とする抵当権の設定の登記をすることはできないが、その抵当権の設定登記の登記原因が当該建物の敷地権が生ずる前に生じたものであるときは、当該建物のみを目的とする抵当権の設定の登記をすることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:不動産登記法第46条に「登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない」と規定されており、敷地権の目的となった土地の登記は登記官の職権で行うので設問は正しくない

 

・選択肢2:不動産登記法第48条第1項、第2項に「区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。 この場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる」と規定されている。設問の前段は正しいが、「この場合当該区分建物の所有者(分譲業者)は、他の区分建物の所有者(専有部分の購入者)に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができので後段は正しくないので設問は正しくない

 

・選択肢3:不動産登記法第73条第1項1号に「敷地権付き区分建物についての担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう)が区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されている場合は、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についての効力を有しなと規定されており設問は正しくないつまり、敷地権付き区分建物についての担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたものについては、土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない

 

・選択肢4: 不動産登記法第73条第3項に「敷地権付き区分建物には、当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、登記原因が当該区分建物の敷地権が生じる前に生じたものは当該建物のみを目的とする抵当権の設定登記ができる」ので設問は正しい

 

≪答え≫ 

  敷地権付き区分建物の登記に関する出題である。ここは毎年出題されている。選択肢3、4について迷わないように要注意。不同登記法の第73条については別資料参照のこと

 

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問 19 マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 建替組合の設立の認可を申請しようとする者は、組合の設立について、建替え合意者の3/4以上の同意を得るほか、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)の同意を得なければならない。

2 建替組合は、権利変換計画の認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合員全員の同意を得なければならない。

3 施行マンションを占有していた者は、定められた権利変換期日においてその権限を失い、直ちに建替組合に明け渡さなければならない。

4 権利変換手続開始の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する建替組合の組合員は、これらの権利を処分するときは、建替組合の承認を得なければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:マンションの建替え円滑化法第9条第2項に「マンションの建替えの認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の四分の三以上の同意を得なければならない」と規定されており設問の前段は正しいが、後段の「施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)の同意を得なければならない。」との規定はなく設問全体として正しくない。なお、権利変換計画の決定に当たっては、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)の同意も必要となるのでこれと勘違いしないように。

 

・選択肢2:マンションの建替え円滑化法第57条第2項に「認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む)について権利を有する者の同意を得なければならない」と規定されており、また、総会の議決は同法第30条第3項に「組合員の議決権及び持分割合の五分の四以上で決する」と規定されており、全員の同意を得る必要はないので設問は正しくない

 

・選択肢3:マンションの建替え円滑化法第80条第1項に「施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる」と規定されており、さらに、同法同条第2項に「前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない」と規定されており、「直ちに建替組合に明け渡さなければならない」事はないので設問は正しくない

 

・選択肢4: マンションの建替え円滑化法第56条第2項に「権利開始手続き開始の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権若しくは敷地利用権を有する者(組合が施行するマンション建替事業にあっては、組合員に限る。)又は当該登記に係る隣接施行敷地の所有権若しくは借地権を有する者は、これらの権利を処分するときは、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない」と規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

 

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(「マンションの建替え円滑化法」と略す)も毎年1題は出題されるので要注意。

 

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 20〕 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

 

1 準防火地域内にある共同住宅に高さ4mの看板を設ける場合には、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。

法改正により削除

3 防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

4 防火地域及び準防火地域にわたる共同住宅が、防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:建築基準法第63条に「防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ三メートルをこえるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない」規定されているが準防火地域では準防火地域内であれば該当しないため設問は誤っている

・選択肢3:建築基準法第65条に防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:建築基準法第65条第2項に「建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する規定されており設問は正しい。 

 

≪答え≫ 

  建築基準法も毎年1題は出題されている。ここは範囲が広いのですべてをマスターすることは不可能である。過去問題等から的を絞って学習すること。当設問は建築基準法の条文通りの出題である。

 

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問 21〕 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 特別用途地区は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地区の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地区とする。

 

2 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域においては、特例容積率適用地区を定めることができない。

 

3 第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては、高層住居誘導地区を定めることができる。

 

4 準都市計画区域においては、都市計画に用途地域を定めることができない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:特別用途地区は都市計画法第9条第13項に「用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区とする規定されており設問は正しくない。例えば文教地区が該当する。設問は特定用途制限地区地域に関する定義であり用途地域が定められていない土地の区域に定められる。 

 

・選択肢2:都市計画法第9条第15項に「特例容積率適用地区は、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法第五十二条第一項から第九項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする」と規定されており、第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域においては特例容積率適用地区を定めることができないので設問は正しい。特例容積率適用地区が何であるかを知っていれば正答であることは想定できる。 

 

・選択肢3:都市計画法第9条第16項に「高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第五十二条第一項第二号に規定する建築物の容積率が十分の四十又は十分の五十と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。」と規定されており、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域においては高層住居誘導地区を定めることができないので設問は正しくない

 

・選択肢4:都市計画法第8条第2項に「準都市計画区域においては、都市計画に用途地域を定めることができる」と規定されており設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 選択肢2に「特例容積率適用地区」が取り上げられたおりどのような地区なのか調べておく事。本問は消去法により正答を得るのがよい。

 

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問 22〕簡易専用水道の管理に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 簡易専用水道の設置者が、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けない場合、100万円以下の罰金に処される。

2 地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者による検査の項目には、給水栓における水質の検査及び書類の整理等に関する検査が含まれる。

3 水道法第34条の2第1項に定める簡易専用水道の設置者による水槽の点検等が実施されていることをもって、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の定期の検査に代えることができる。

4 都道府県知事(市又は特別区の区域においては市長又は区長)は、簡易専用水道の管理が厚生労働省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を指示することができる。

 

≪解説≫ 

 

・選択肢1:水道法第34条の2の第2項に「簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期(注:1年以内ごとに1回)に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない」と規定されており、また、「この義務に違反した場合は水道法第54条の第8号に百万円以下の罰金に処する」と規定されており設問は正しい

・選択肢2:厚生労働省告示に「給水栓における水質の検査」及書類の整理等に関する検査」が含まれているので設問は正しい。大変細かいところを問われているが常識的判断で正しいとしてよいのでは。

・選択肢3:選択肢1の解説で記載した通り「地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない」と規定されており、「簡易専用水道の設置者による水槽の点検等が実施されていることをもってこれに代えることができる」とは規定されていないので設問は誤っている

・選択肢4:水道法第36条第3項に「都道府県知事は、簡易専用水道の管理が厚生労働省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を指示することができる と規定されており設問は正しい。なお、別途の規定で都道府県知事とあるのは市長又は区長と読み替えるものとする」との規定がある。

≪答え≫ 

 簡易専用水道の理に関する出題である。水道法の詳細をしらなくても常識的判断で正答を得られる。

 

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問 23〕マンションにおける消防用設備等に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 マンションの11階以上の階には、総務省令で定める部分を除き、スプリンクラー設備を設置しなければならない。

2 マンションの地階、無窓階及び6階以上の部分には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、避難口誘導灯及び通路誘導灯を設置しなければならない。

3 延べ面積が1,000㎡以上のマンションには、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にあるものを除き、消防機関へ通報する火災報知設備を設置しなければならない。

4 高さ31mを超えるマンションで使用するカーテンその他の物品で政令で定めるものは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:消防法施行令第12条第1項12号により「マンションの11階以上の階には、総務省令で定める部分を除き、スプリンクラー設備を設置しなければならない」と規定されており設問は正しい

・選択肢2:消防法施行令第26条第1項により「マンションの地階、無窓階及び11階以上の部分には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、避難口誘導灯及び通路誘導灯を設置しなければならない」と規定されており、設問にある6階は誤りなので設問は誤っている

・選択肢3:「防法施行令第23条1項3号により「延べ面積が1,000㎡以上のマンションには消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にあるものを除き、消防機関へ通報する火災報知設備を設置ならない」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:消防法第8条の三に「高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物)若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない」と規定されており設問は正しい

 

≪答え≫  

  消防法関連の規則は膨大であり調べるのは大変なので深入りせず各選択に記載されている事項(特に数値)は重要事項として記憶しておく必要がある。なお、マンションは「消防法施行令:別表第一(五)項ロ」に「共同住宅」として挙げられている。

 

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問 24〕 機械警備業務に関する次の記述のうち、警備業法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 警備業務対象施設に各種のセンサー等を設置し、それらの端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信することで、警備員が対応するシステムは、機械警備業務ではない。

2 機械警備業者は、基地局で盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに事案の対処が行われるよう、必要な数の警備員、待機所及び車両等を適正に配置する。

3 機械警備業者は、基地局ごとに警備業務用機械装置の運用等の管理監督を行う機械警備業務管理者を、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。

4 機械警備業者は、依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするとき、当該契約に係る重要事項等の説明を行っていれば、契約締結後において、依頼者に対し、契約の内容を明らかにする書面の交付は要しない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:警備業法第2条5項に「機械警備業務とは、警備業務用機械装置(警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置で内閣府令で定めるものをいう。)を使用して行う警備業務をいう。」と規定されているが、細かく見ると「事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し・・・」と規定されており、「端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信し警備員が対応するシステム」は機械警備業務ではないので当設問は正しい

・選択肢2:警備業法第43条に「機械警備業者は、都道府県公安委員会規則で定める基準に従い、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに、現場における警備員による事実の確認その他の必要な措置が講じられるようにするため、必要な数の警備員、待機所(警備員の待機する施設をいう。以下同じ。)及び車両その他の装備を適正に配置しておかなければならない」と規定されており当設問は正しい。これは法律を紐解くまでもなく当然のことである。

 

・選択肢3:警備業法第42条1項に機械警備業者は、基地局ごとに、警備業務用機械装置の運用を監督し、警備員に対する指令業務を統制し、その他機械警備業務を管理する業務で内閣府令で定めるものを行う機械警備業務管理を、次項の機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない」と規定されており当設問は正しい

 

・選択肢4: 警備業法第19条1項に「警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない」と規定されており当設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 警備業法(機械警備)に関する出題である。警備業は毎年出題されているので法律で定める警備業務(特に機械警備)について一通り学習する事。

 

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問 25〕 管理組合の総会及び理事会の運営に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば、適切でないものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。

 

1 理事長は、専有部分の賃借人の書面による議事録の閲覧請求があったときは、総会議事録については閲覧をさせなければならないが、理事会議事録については閲覧をさせる必要はない。

2 管理規約の変更は、総会では組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上で決するが、総会に提案する規約変更案を理事会で決定する場合は、出席理事の過半数で決する。

3 総会では、招集通知によりあらかじめ通知した事項以外を決議することはできないが、理事会ではそのような制限はなく、必要があれば、理事会当日にその場で提案された事項についても決議をすることができる。


4 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:標準管理規約第49条第3項に「理事長は、総会の議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる」と規定されており設問の前段適切であるが、後段の理事会議事録の閲覧は同規約第53条第2項に「理事会の議事録については、第49条(第4項を除く)の規定を準用する」と規定されており規定されており全体として設問は適切でない。なお、「第49条(第4項を除く。)」とは「所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示する必要はない」でありこれも出題が予想されるので注意を要する

・選択肢2:標準管理規約第53条第1項に「理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する」と規定されており設問は適切である。管理規約の変更に関しても出席理事の3/4ではなく過半数で決する事ができる

 

・選択肢3:総会に関しては標準管理規約第47条第9項に「総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる」と規定されているが、理事会についてはそのような規定はないので理事会当日にその場で提案された事項についても決議をすることができるので設問は適切である

・選択肢4: 標準管理規約第41条第2項に「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる」と規定されており設問は適切である。なお、同規約第41条(監事)に関しては平成28年3月の改正で監事の権限が大幅に強化されている。今後、この条文からの出題が予想されるので目を通しておく必要がある。

 

≪答え≫  

  問25~問35(問32及び問33を除く)の9問はマンション標準管理規約(「標準管理規約」と略す)からの出題である。なお、標準管理規約は平成28年3月に大幅な改正があったのでこれに関連する事項があればこれを記載する。今後、類似の出題があれば注意を要する。

 

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