オンラインソフトとは?

 この春、就職や入学で新たなスタートを切る人のために、今回は初心に戻り「オンラインソフトとは何か」改めて解説することとした。1ページでどれだけ伝えられるかは判らないが、オンラインソフトの思想を感じてもらえれば幸いだ。

●オンラインソフトとはなにか

 オンラインソフトとは、『オンライン』すなわち通信によって配布されるソフトウェアの形態を指す言葉だ。パソコンショップなどで販売されるソフト(パッケージソフト)との比較からこう呼ばれる。近年では通信以外のメディア(例えばCD-ROMなど)によって配布されることも多い。また、パッケージソフトとして流通しているソフトがオンラインソフトとして配布される、またはその逆の場合もある。
 オンラインソフトには、大別してふたつの種類がある。無償で利用できる“フリーウェア”と有償の“シェアウェア”だ。シェアウェアは元々ソフトの開発にかかった費用を“分担する”という考え方から生まれたものだが、ソフトメーカーが販売手段のひとつとしてオンラインソフト化、シェアウェア化するといったケースも増えてきた。
 フリーウェアは無償と述べたが、フリーウェアの“フリー”は「無料」という意味ではないということに注意して欲しい。作者は「自由な」形で配布でき、利用者(ユーザー)は「自由に」利用できるということなのだ。こうした考え方は、アメリカのFSF(Free Soft Foundation)という団体が推進しているGNU運動から発生したものだ。(詳しくは、日本語によるGNU情報サービスを参照のこと)
 自由な配布形態としては、「作者宛のメールを出す」ことを条件にしているメールウェア、「よければカンパを」お願いしているドネーションウェア、「利用するのに勇気がいる」タイブウェア、「谷山浩子さんの歌を聞く」ことが条件のノコウェアといったフリーウェアがある。
 このようにオンラインソフトは、作者が配布形態を決めることができるソフトといえる。フリーウェアにしろシェアウェアにしろ、そこには作者の考え方が反映されている。できるだけ作者の意図を汲んで利用したいものだ。
 シェアウェアには試用期間を設けたり、送金が確認されるまで機能に制限を設けているものもあるが、そうした制限がないからといって、長期間送金せずに利用するのはマナー違反だ。シェアウェアを試してみて気に入ったなら、作者に送金しよう。
 Vectorのシェアレジや@niftyのシェアウェア送金代行サービス(注:2001年3月で終了)を利用すれば、インターネット上から簡単に送金できる。ただし、こうしたサービスはクレジットカードでの支払いが前提であり、かつ、ソフトがこれらのサービスに登録されていなければ利用できない。さらに@niftyの送金代行サービスは、@nifty会員のみのサービスとなっている。送金代行サービスを使えない場合、銀行振込や郵便振替で支払えることもある。
 いずれの場合にも、オンラインソフトに付属しているテキストファイルやヘルプに送金方法が記載されているので、必ずチェックするようにしよう。

●オンラインソフトの醍醐味とは?

 オンラインソフトには、コミュニケーションウェアとしての側面もある。これは作者の造語だが、パッケージソフトにはない作者とユーザーのコミュニケーションが可能なソフトであるという意味が込められている。
 オンラインソフトはパソコン通信の誕生とともに産声を上げた。asciinetやPC-VAN、Nifty-Serve、日経MIXなどのパソコン通信サービスの中で、オンラインソフトの入手だけでなくバグ報告や要望、アイディアなどが作者とユーザーの間でやりとりされ、よりよく改良されたり新しいソフトが生まれたりした。パソコン通信からインターネットに場所を移した現在でも、作者とユーザーの交流は電子メールや掲示板によって続けられている。一方通行ではなく、作者とユーザーが交流することによって成長していくという点が、オンラインソフトとパッケージソフトの大きな違いだろう。
 作者との距離が近いオンラインソフトでは、作者へ簡単に質問できるという利点もある。だが、なんでも質問していいというものでもない。簡単な質問でも、作者に負担をかけることになるかもしれないからだ。操作方法に迷ったりトラブルにあったら、まずソフトに付属しているヘルプを参照しよう。作者がウェブページを開設している場合には、そのページにアクセスして掲示板やQ&A集を確認する。それでも見つからなければ作者にメールで問い合わせるようにしたい。
 メールを送る際にも、ただ「動きません」といった内容では、質問が理解されない。どんなことをしたらどんなふうになった、この操作方法がわからないというように、具体的に現象を記載する必要がある。また、環境に依存する部分もあるので、自分の環境を追記しておくと良いだろう。
 メールを送るなということではない。多くの作者さんはメールも歓迎している。ただ闇雲になんでもメールで、という考え方だけは避けて欲しい。オンラインソフトといっても実社会と同様、コミュニケーションが大切なのだ。
 人と人のコミュニケーションから生まれたオンラインソフトは、コミュニケーションによって成長し進化していく。オンラインソフトをただ漠然と利用するのではなく、作者とのつながりを大切にして活用してほしい。

| OnlineSoft CloseUp | | Link |