ドメイン名は誰のもの?

インターネットの資産、ドメイン名

あのさぁ・・・

“ドメイン名ってなぁに?”なんて聞くなよ(-_-;)

てへへへぇ(^_^;)

(-_-;)・・・・ドメイン名っていうのは、インターネット上のサイトを表す名前だ。例えば、www.microsoft.comなら、“microsoft.com”がドメイン名だ。ピリオド(.)の後ろの“com”という文字列には、会社、企業(company)という意味がある。“com”のほかに“gov”(政府機関)“org”(団体)というように、いくつかのカテゴリーに分かれているんだ。

日本にはいろいろあるみたいだけど?

日本だと“co.jp”とか“go.jp”といった具合に、一番後ろに日本を表す“jp”という文字がくっつくんだよ。日本以外だと、イギリスだと“uk”とかトンガなら“to”というように区別されている。“com”が付くのは、あくまでアメリカのドメインだけなんだけど、登録代行業者に頼めば日本にいても“com”ドメインは取得可能だ。

今回は、アメリカ以外から“com”をとっちゃいかん!という話なの?

いや、違う。今回は主にアメリカのお話。
インターネットが普及していない頃は、こうしたドメイン名というのは、早く登録申請した者が取得できた。つまり“早い者勝ち”だったわけだ。誰であろうと、まだ使われていない名前ならば登録可能だったんだ。

ふぅん。それでなんかトラブったわけね?

うん。早い者勝ちだったから、個人が企業の名前のドメイン名を取得できたし、実際に取得した例もあった。そして、その名前の企業に対してドメイン名を購入しないか?と持ちかけたわけだ。たとえるなら、花見で一番良い場所を先に確保しておいて、そこにどうしても座りたい人に売りつける、みたいな感じかな。

なんだか判り易いんだか判りにくいんだかよく判らないたとえね。

ごめん。
このようにして、その企業からお金を巻き上げようとする行為をインターネット上の座り込み、サイバー・スクワットと呼んでいるんだ。

サイバー・スクワット法の抱える矛盾

今もその状況は変わってないの?

いや、アメリカ議会はこうした“悪意ある行為”を禁止する『サイバー・スクワット法』を1999年11月に通過させて、企業を守った。

じゃぁ、それで解決じゃない。

いや、話はそれで収まるほど簡単ではないんだ。サイバー・スクワット法では、“悪意ある”占拠行為を制限しているのであって、非営利の、例えばファンクラブのような団体に関しては例外を認めている。また、企業同士で合ってもユニークな名前でかつ一般に知られているような名前なら問題ないんだけど、たまたま違う職種の同名の企業名だった場合、どちらを優先するか、といった問題も抱えているんだ。

とりあえず大きな網だけ掛けておいて、後からゆっくり整備していくつもりなんでしょ、すばやいだけ日本よりましだわ。

うーん。それはそうなんだが・・・。
企業側にしてみれば、早く法を整備して欲しかったというのは本音だろうね。似たような名前のドメイン名を取られて、反企業キャンペーンなんかやられた日にはたまらないからねぇ。

反企業キャンペーンって?

有名なものだと、Microsoftに対するものかな。“hatemicrosoft.com”なんてドメイン名がそのものずばり、反マイクロソフトだろう?このサイトはアダルトサイトだけどね。

あ、企業のイメージダウンにつながるということね。

そういうこと。でもアメリカの企業は、サイバー・スクワット法を拡大解釈しているようだね。自分の企業の名前が一部に使われているようなサイトに対して、閉鎖勧告を出し始めたらしい。(C NETの記事『コカ・コーラがファンサイトとドメイン名争い』を参照)それがどんなサイトであろうとね。
まぁ、登録されるすべてのドメイン名を監視している訳にも行かないだろうから、検索してヒットしたところに送るという方法なんだろうけど、任意団体だろうがなんだろうがお構いなしというのは乱暴な話だと思うよ。

日本ではどうなの?

でも、アメリカの話なんでしょ?日本にいたら関係ないじゃない。

それがそうとも限らない。最初に言ったように、日本に居ても com の付いたドメイン名は取れるわけだ。もしある企業の名前に似たドメイン名を取得している場合には、いきなりアメリカから閉鎖要求が来る可能性があるんだ。

まさかぁ。

いや、実例がある。同人サークルで『DellForce』という団体があるんだが、ここが“dellforce.com”というドメイン名を取得していたんだ。そして、ある日アメリカのコンピュータメーカーDELLから閉鎖勧告が来てしまった。

ほんとにぃ?!

いや、マジに。詳しい経過はデルフォースの掲示板に書いてあるけど、最終的にはデルコンピュータの日本支社が間に入ってくれて、丸く収まったようだ。
これはうまくいった例だけど、日本に支社や代理店がない企業から、閉鎖勧告が来たらどうしようもない。裁判で争うといったって、アメリカじゃぁどうしようもない。

なんだか怖いわねぇ。あ、日本ではどうなっているの?

日本企業は・・・言い方悪いかも知れないが、こうしたことについては鈍感というか動きが悪い。日本のドメイン名を管理している団体、JPNICの方で「法人登録していない企業に対しては co.jp ドメインを発行しない」という制限を加えている。だから、という訳ではないがあまりトラブルは表面化していないようだ。

日本ではトラブルが起きないということ?

いや。異業種同名企業の問題は、アメリカと同様放置されたままだ。だから、今後大きなトラブルとなる可能性もあるし、サイバー・スクワット法は日本にないから、こうした不法占拠に対する法的な歯止めがない分、日本の方が火種を抱えている感じがあるね。実際、企業名じゃないけれど、無作為にドメイン名を取得してJPNICとトラブルを起こしている企業もある。

このままアメリカ主導で進むと、大企業優先になってしまいそうだし、なるべく早く全世界的な統一基準が整備されることを望みたいね。


関連リンク

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デルフォースのサイト

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