無料パソコン
タダでパソコンがもらえる?!
『無料パソコン』って、タダでパソコンもらえるなんてラッキーじゃない?ね、申し込んだら?
おいおい、ちょっと待ってよ。そんなに結論を急がないで。まず、無料パソコンとは何かについて知ってからでも遅くないだろう?
あのさ、考えたんだけど、あんたお父さん(飼い主のオスの方)に似て、なんだか理屈っぽいわよ?
しょうがないだろ、飼い主はペットに似るっていうじゃないか。そんなことより無料パソコンのことだよ。
あーはいはい。
そもそも無料パソコンは、アメリカのFreePCという会社が始めたんだ。パソコンをタダで配りますよ、と宣伝したら、あっというまにものすごい数の申し込みがあったそうだ。
アメリカ人にもケチは多いってことね。でもうらやましいわ。
いや、そうでもないよ。タダでもらえるならもらいたいなんて、人種は関係ないらしい。ハムスターならみんなひまわりの種が好きなようにね。それに、うらやましさを感じるのもちょっと早いよ。
なぜ無料なのか?
『タダより高いものなし』という言葉もあるくらい、何の対価もなしにモノをくれるわけがない。それが利潤を追求しなければならない企業ならなおさらだ。
対価って何よ、お金がいるんなら無料じゃないじゃない!
対価はお金じゃなかったんだ。タダでもらえるパソコンでインターネットに接続すると、広告が表示されるという仕組みさ。さらに、使う前に自分の趣味や興味ある分野のアンケートに答えなければ為らない。
個人情報を渡すってことね。
だが、このしくみは結局のところうまくいかなかった。FreePC自体が吸収合併されただけでなく、2000年になって無料パソコンサービス全体を止めることにしたんだ。
なんでだめになったの?沢山の人が申し込んだんでしょ?
一度に大量の人が申し込んだから、それを処理するのに時間がかかって評判を悪くした、ということもあるが、そうした宣伝方法に興味を示す企業が少なかったということだろうね。効果がそれほど認められないなら、企業が金を出すはずないもの。まぁ、これは想像だけどね。
日本でもパソコンじゃないけど、無料でインターネット接続を提供するサービスがあったが、1年ほどで中止になったという事例もある。なかなかむずかしいね。
アメリカではそんな状況なのに、日本では無料パソコンがあるわけ?
日本とアメリカではちょっと状況が違う。アメリカの無料パソコンが、広告費用で元を取ろうとしたのにたいして、今、日本で行われている無料パソコンは、契約するとパソコンがもらえるというもの。ほとんどが、複数年のインターネット接続に申し込むことが条件になっているね。いってみれば、『おまけ』ってことかな?
おまけっていってもさ、契約するのにはお金がかかるわけでしょ?無料じゃないじゃん。
まぁ、そうだね。厳密には無料パソコンじゃないし、はっきりと『無料パソコン』と謳っているところは少ないようだね。
なぁんだ。期待して損しちゃったわ。
総合的に損得を考える
無料パソコンにはどんなものがあるか、リストを作ってみた。締め切りがすぎたものもあるし他にもあると思うが、とりあえずの参考資料として見せよう。
メーカー名/サービス名 | 条件 | 最低費用 |
マウスコンピュータージャパン | DION常時接続契約を2年以上継続利用(99/12/31まで) | \30,000 |
バーテックスリンク Free PC ムリョーパ |
月1回のアンケート/クレジットカードの作成/プロバイダ契約/いくつかのオプション選択(第2回募集が1/15まで) | \3,680 |
富士通ビジネスシステム FreePC 399 |
ODNとの3年契約 | \3,990 |
NTT-MEフリーPC 「128−インターネット パック」 |
3年契約 | \4,980 |
NTTコミュニケーションズ OCN Aptivaパック |
OCNプロバイダ契約/IBM保守契約それぞれ3年継続 | \3,980 |
Baywell Interne Beywellパソコン会員 |
1年または3年のプロバイダ契約 | \103,000/年 |
どれがお得なの?
月額費用の一番安い、バーテックスリンクのムリョーパを例に挙げて考えてみようか。
まず、マシンのスペックだけど、Intel Celeron/433、64MBメモリと8.4GBのハードディスク、モデム内蔵、15インチCRT付属となっている。大体10万円前後のモデルだな。計算を楽にするため、11万5000円としておこうか。これが、3年経つと5,000円でユーザーが買い取れる。本体価格12万円ということになる。120,000円÷36ヶ月だから、一ヶ月あたり3,333円。月々347円でインターネットが使い放題とい計算だね。
使用時間無制限のプロバイダで、そんなに安いとこないわよね。十分お得じゃない?
実は、そうでもない。まず第一に条件を良く見て欲しい。月に一回のアンケート、まぁこれはいいとして次のクレジットカードの作成だ。初回年度の入会費と年会費は無料だが、逆にいえば2年目からは年会費がかかるということ。ウェブ上の情報では年会費がいくらかは記載されていなかったが、年500円程度かな?それにオプションサービスをひとつ選択しなければならない。月額300円でウェブページスペースを確保するものから、プリンタなどの周辺機器やソフトを購入するものまである。無料のオプションは証券会社とのインターネットトレード契約だけどこれも詳細は記載されていない。
それに最大の難点は、やはり解約だろう。6ヶ月は解約できないし、それ以降の解約でもペナルティを課せられるんだ。月々支払いをしたうえでキャンセル時に違約金を支払うなら、リースしたのと変わらないよ。
なんだかいろいろあるのね。
そうだね。まぁオプションの選択にもよるけど、もし今インターネットを利用しているユーザーなら、あまりメリットはないんじゃないかな。パソコン自体も10万円以下、7万円台のモデルも登場しているからね。
じゃぁ、どんな人におすすめなの?
うーん、難しいところだけど・・・今までパソコンを持っていなくて、当然プロバイダにも入っていなくて、インターネットやってみたいな、みたいな人かなぁ・・・。少なくとも2台目に、という目的には向かないよね。
なんだか歯切れが悪いわね
結局、『無料パソコン』としては人に薦めたくないんだよ。「OCN Aptivaパック」のように、無料じゃなくリースとなっていれば受ける感じも違うんだけど。
こうしたサービスというか販売形態は、これからも続いていくだろうけど、『無料パソコン』という言い方は誤解を招き易いからね。違うものになっていくかもしれない。
名称がどんなものであれ、大切なのは『自分に必要なものなのかどうか』を判断できる目と『やりたいこと』にたいする確固たる信念だね。
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用語解説