Customize #23 touring report & front


---------- welcome my open garage!! ----------

ツーリングレポートだ
その朝は連休の中の平日、5月2日、とてもよく晴れていたが少し寒い。
前日に付けたリアキャリアに2人1泊分の荷物を積みシーシーバーにくくりつけ、
7:30に家を出た。
目的地は南伊豆の伊浜というちょっと寂しげな港町の民宿だ。
タンデムなので、横浜新道は通れない、平戸桜木道路で国道1号を目指す。
一応平日なので、沿道には通学途中の制服の高校生も多く車も多い、
世の中はまだ普通の営みを続けている。
すり抜けながら東戸塚手前の平戸で、1号線に出る。
7-11で朝食のおにぎりを買うが、とても1号線脇で食べる気にもなれず、また走り出した。
なかなか食べるに適したところを見つけられないまま、原宿、藤沢バイパス、も通り過ぎてしまう
新湘南バイパスもタンデムは不可だ、辻堂にそれて旧道を行く。
茅ヶ崎を過ぎ、寒川の産業道路交差点に、大きいバイク屋パークみたいなのがある
そこの広場で朝食休憩を取る。
まだ9時前で、店も閉まっている。ドカやハーレーがウインドウの中からこちらの様子をうかがっている
”なんだ?あのヘンテコリンなバイクは?”って感じだろう。。
休憩を終え、馬入川(相模川)を渡り、平塚の街へ入る。
平塚のバイパスで、ハーレーFLSTCとスーパーカブの90と並走する。
スーパーカブが結構早い、外装もお洒落にいじってある。
信号で並んだときに話し掛けた。

”かっこいいですね〜”  -- 右のハーレーの男がこっちを向いたのを感じた。--
”スーパーカブ、しかも早い”  -- おまえじゃないよハーレーFL 自意識過剰すぎるぜ --

”100kgの体乗っけてるからね〜ちょっといじってあるんだ〜”
”それ、GLでしょ、なつかし〜ね〜そっちもそうとうかっこいいよ”
 とカブの男

そんな会話をしてるうちに信号が青に、GLとカブはFLを置き去りにして走り去った。
カブは左から、GLは右からカブを先に行かせながらも車をすり抜け、酒匂川の手前、小田原の入り口まで、いい調子で走った。
酒匂川の橋手前で渋滞していて、GLは右からまくっていったので、道幅が狭く左がつかえていたカブとはハグレてしまった。
小田原の街に入り、天気はいつのまにか曇って、お日様がいなくなっていた。
ターンパイクはタンデム可なので、それに向かう、入り口料金所の脇でトイレ休憩。
隣の車の老夫婦が話し掛けてきた。

”このバイクは何ccだい? えっ400 でっかいな〜 おれもこのくらいの買おうかな〜”と旦那
”あなた何いってんの。若い人はいいけど、もうあなたは怖いからだめよ” と奥さん
”わたしも最初はこわかったですけど、結構大丈夫になりましたよ” と我が伴侶
”そーだよ、こんくらい大きいと安定してるから、大丈夫なんだよ” と旦那

どーも男が物を欲しがって奥さんに話す言葉は説得力に欠けるね。。。。

”お互い山道、事故しないで行きましょうね〜” と奥さん
手を振って別れた。

さあ、ターンパイクの登りだ。頑張れ WingCustom

大観山少し手前の展望の良い駐車場まで一気に駆け上がっていったが、寒い!
凍える、我が伴侶の姿だ、→
ここで伴侶は、ウインドブレーカーを着込んだ。
煙草を1本だけ喫い、早々に走り出したが。
寒さに負けて、大観山の駐車場に乱入、2Fのレストランに逃げ込んだ。
伴侶は、暖かい天ぷらそば、僕はラーメンを注文。
なんとか蘇った。しかも食べてるうちに、ようやくお日様が顔を見せ始めた
東には相模湾、西には芦ノ湖、霧が晴れるとなんとも美しい景色だった。

外へ出ると、晴れたものの風が強い。
伴侶は、フリースを、僕はフリース肌着を着込んで再出発。
ターンパイクの十国峠区間を越えれば、いよいよ伊豆スカイラインだ。
尾根道で、とっても風がつよかった。ふっとハンドルが取られるようなこともあたった。
尾根の右・左と縫うようにして走る。
右側のときは、三島・沼津の街と駿河湾が見える。
左側のときは、湯河原の街と相模湾。豪快な道だ。

伊豆スカイラインには子供の頃の思い出がある。
3人で暮らしていた頃、決して裕福ではなかったのだが、父親はよく車を買い換えた。
父親は、なにかというと伊豆へのドライブへ僕と母親を連れ出したような気がする。
その当時でも、海沿いの135号の渋滞は激しくて、うんざりしたものだ。
それを避けて、ターンパイクと伊豆スカイラインをよく使うようになった。
子供心にも、”なんて爽やかな道なんだろう”という記憶があり、また、ちょっと切なくもある。
僕にとってはそんな”伊豆スカイライン”だ。

右に左に景観の続く尾根道の終盤に、ながーい直線がありそれを超え、山をどんどん降りていくと、
そこは、冷川インターだ、そこで伊豆スカに別れを告げて、右に折れ、県道12号に入る。
修善寺方面に走るが、最初のT字路信号で、左折したらそれは県道59号(伊東-西伊豆線)だ。
この59号は、西伊豆の仁科の海岸まで続いている。

最初はきれいな川沿いに、徐々に登っていく。センターラインがなくなる
しばらく行き川が沢程度になりかけたところで、目の前にわさび田が広がった。

ここから、県道は沢から逸れて峠道となる。
ちょっと、わさび田で休憩だ。

ほんとキレイナ水にわさびだらけだ→

わさびの茎の三杯酢漬けが食べたい〜と思いながらも出発。

道は細いが、たいした峠でもないので、楽にパス。
国士峠(標高約500m)
天城湯ヶ島の街を目指して峠をおりていく。

ほどなくいくと、国道414号(河津〜修善寺)にぶち当たる。
右に折れ、ちょっとだけ修善寺にもどる感じで進む。どこかに左に曲がるところがあるはずで、それが県道59号の続きなのだが、すこし行き過ぎたようなので引き返す。
標識か少なくとも信号があるだろうとおもっていたのだが、今までのところなかった。
地図を見直すと、分岐点は橋の手前だったのでそこまで進む。
ここか?!と思った脇道があったので、入ってみたら地元の人がいたので、聞いてみた。

”西伊豆の仁科に通じる道はこれですか?”
”いや、これじゃないよ〜みんなまちがうんだよね〜”
”もうちょっともどって蕎麦屋の角だよ〜、仁科までは、道路はいいけど、細くてクネクネだからきをつけていけやー”

ちょっとこころ温まるおじ様だった。
そういえば、話す人みんな”気をつけていきな〜”って行ってくれる。
伊豆スカイラインの料金所のオバチャンもそうだった。

みんなが親切というか、そういう声を旅人にかける度量を持っているということもあるのだろう、が、
バイクのタンデムというのは、危ないという印象を持つのも、また事実なのだろうと思う。
高速道路のタンデムがなかなか解禁にならない一つの理由なのかも知れない。

言われたとおり蕎麦やの角を曲がって少し行くと、県道59号の看板が出た。まちがいない。
さあ!仁科峠を越えれば、そこは駿河湾だ。
とはいえ、仁科峠は 900m だし、海岸までは30km以上はあるぞ。
と思いながら走り出すと、確かに道が細い。
しかし、その登りの道は、いままで知らなかった素朴な伊豆の景色が広がっては通り過ぎていった。

伊豆は国道414号(修善寺〜下田)の東と西とで、表情が違う。
東側はどんな田舎道でも関東というか東京圏という空気が漂うが、西側はもっと乾いた感じがする。
都心からの観光客に媚びを売っていない、
景色までもがそうだ。僕らに媚びを売ってこない。
その乾いた感じが好きだ。

川沿いに進む。猫越川という名前だが、途中で県道は支流の持越川に沿って登っていく
持越川がまた3つに分かれるところに、中外鉱業持越鉱業所というのが現れる。

あとで知ったのだが、この持越に金山があったらしい。
そういわれてみると、川沿いに、二百枚や金山という集落があった。
江戸時代からつい最近まで操業していた金山らしい。
なんかロマンだ。

そこを越え2kmくらいで沢から逸れて本格的な登りになる。
登りきるちょっと手前に天城牧場への分岐が現れる。
伴侶が”ソフトクリームとか売ってないかな?”と言ったひとことでちょっとよってみる事に。
しかし、外来客用の売店などは無いようだった。
山頂付近にいきなり開けた草原。半島を越える風に吹かれる景色の中で、
牛が肩をよせあうように、静かにかたまっていた。

県道に戻り少し登ったらT字路で突き当たった、その向こうに、駿河湾が見えた。
風が強い
それもそのはず、風早峠という場所であった。
地図では右は自動車の通れる道路になっていないのだが、
きれいな新しい道ができている。
案内板があったので見ると、”西天城高原線”となっている
どうやら右にいけば、船原峠で西伊豆スカイラインとつながっているようだ。
あとで調べたら、99年3月に開通したルートだった。
左にまがり1kmほど尾根を進むと、標高900mの仁科峠だった。
駿河湾に宇久須港が見える、かなりの絶景だが、風が強く寒かったため早々に発進

仁科に降りる道と、宇久須に降りる道と分岐、宇久須行きのほうが道が新しく綺麗そうだったが、
仁科方面の県道59をそのまま進む。
細い峠道を13kmほど下って、ようやく川沿いにでる。宮が原という集落だった。

”わさびの駅”というのがあったので寄ってみる。
新鮮な生わさびがついた蕎麦を注文する。”うまい”
蕎麦もわさびもイケル。
”地下1000mの深層水”という井戸が併設してあり。無料で開放しているという。
ご近所の老若男女が水を汲みにきている
そこが標高300mくらいだから、海面で考えると、海底700mくらいか?
深層水とは、陸でもそういうのかな?

あとは、仁科川沿いに降りてく。
だんだん谷が浅くなり。川幅が広がり、道が直線になる。
去年の夏に走った、小谷村から糸魚川への姫川沿いのルートが重なる。
山頂に降った雨が沢から川となって海に流れ込むまでのプロセスを、道路で駆け下りていく。
ちょっとした感慨がある。
河口付近で平地が開けて、海が見えたところで、国道136号に突き当たる。
左折して今まで沿って降りてきた、仁科川の河口を渡る。

海に突き出た断崖を海沿いに越えると、松崎の街に入る。町並みを抜けるところで、分岐だ
蛇石峠方面とマーガレットライン(136号)。
迷わずマーガレットライン方面に右折。
すぐに登りになり、海の景色が開ける。エメラルドグリーンだ。
海に突き出た断崖の中腹を海沿いにワインディングしながら走っていく。
右手後方に富士山も見える。最高の気分だ

東洋のコートダジュール”という看板が出て、白壁にオレンジの瓦の家達が多い綺麗な浜を通り抜ける
岩地〜石部〜雲見とここからは小さな岬と小さな湾の繰り返しが続く。

糸魚川〜親不知〜越中宮崎のルートがまた頭の中で蘇る

雲見を越えると、海岸からちょっと離れる。まもなく波勝崎への分岐。
右に折れて波勝崎へ向かう。センターラインの無い細い道を進むと、いきなり野生の猿に遭遇。
波勝崎苑の入り口駐車場まで降りていき、そこで撮った写真がTOPの写真だ。
海に反射する逆光が綺麗だった

そして、同じ場所での伴侶の写真→

猿に何されるかわからないので、波勝崎苑の猿めぐりバスはパスして戻る。
国道まで戻らずに、今日の宿がある伊浜に出られる脇道があったのでそれを進む

すると海と断崖の間にひっそりと伊浜の集落が見えてきた。
本当に素朴な漁村という感じだった。
宿”めくみ荘”を確認し、まだ4時前だったので石廊崎へ向かう。

妻良(メラ)の手前で、記憶が蘇る。
大学三年のとき、先輩二人に拉致されキャンプにつれて来られた入り江があった。
確か2泊したのだが、そのころには携帯電話などもなく、誰にも連絡することもできずに
当時の友人や彼女からは、僕は行方不明ということになっていた。(笑)

妻良港を越えると、登りに入り海から遠ざかる。
そして、下田方面(国道)と石廊崎方面(県道)とわかれまた海に向かっていく。

石廊崎は、やはり観光ズレしている感があった。
なによりジャングルパーク千円は高い。
駐車場から石廊崎神社までは歩いて10分くらいかかったか?
あるくのがいやなら”ちゅうちゅうトレイン”という謎の路面電車に乗れって感じだ。
しかし、本当の先っちょは、観光スレしていなかった。
海に突き出た岸壁、伊豆半島最南端。
大島、利島、など伊豆諸島が見える。
地球は丸いって感じがする。
駐車場までの帰り道。”ジャングルパークを通れば近道です”っていうアナウンスがあるが、
誰も千円払って通らないと思うよ。

そして来た道をもどり、伊浜の民宿についた。

素朴な宿だが、お風呂から海と夕日が見れたし、
料理も鮑と伊勢海老がついて伴侶も満足したようだ。
ビールも進み、僕らは満ち足りた夜を過ごし眠った。


翌日は3日で、起きてみれば、天気も上々だった。
だらだらしていると渋滞しそうだったので、
下田に出て、東海岸135号線をひたすら北上、
河津で、414に行くかちょっと迷ったが、海沿いルートに決めた。
大島があんなに近くに見えるんだっけか?と思うくらいはっきり見えた。
伊東で土産のひものを買い、真鶴で昼食。
小田原で祭りをやっていた
1号線を行くが、平塚の手前で、134号線にはいり、 行きとは違うルート、
茅ヶ崎から江ノ島まで片道2車線になっていたのは初めて知った。
鎌倉134を左折し鶴岡八幡宮前を右折、朝比奈方面に進む。

そこで思いついた。
鎌倉霊園
伴侶の父上の墓によった。
祈り、家路についた。
(2002.05.02-03)