日本の夏、水槽の夏


日本の夏は暑い。
私の顔は暑苦しい。
ほっとけ。

それはさておき、夏対策はやはり重要だろうということで、わが家流夏対策をご紹介しましょう。

専用クーラーで冷やせ
一番の正攻法である熱帯魚専用クーラーの設置、これなら間違いない。

写真左が熱帯魚専用クーラー。
中に設置した熱交換室に防水の袋が入っていて、そこに海水が流れることで冷やされる。まあ、乱暴に言えば冷蔵庫の中に海水を循環させて冷やしてるようなもの。
クーラーの機種にもよるが、多くは海水を循環させるポンプが付いていないので、写真右にあるような外部フィルターや、ポンプで循環させる必要がある。

これのメリットはなんと言っても能力範囲内であれば確実に温度調整できること。
また、循環ついでに殺菌灯を繋げられるし、海水の総量も増えて微力とはいえ水質安定の方向に作用するなどのメリットもある。

デメリットは価格の高さか。写真の製品は最安値商品だが実勢価格で2万円台後半。これに外部フィルターなどのポンプ機能を足すと3万円オーバーである。小型水槽なら1つ立ち上げられるくらいの予算が必要である。
また、クーラーは小型冷蔵庫と原理は一緒。冷やす以上、クーラーからは熱も放出する。なのでクーラー周辺の室温は上がってしまう。
専用ファンで冷やせ
熱帯魚用品売り場にGW明けになると置かれはじめるのが、専用ファン。
実はパソコンなどの電気機器の通風用ファンと仕組みは変わらない。というか製品によってはもろに流用だったりする。
一般的に売られている熱帯魚用冷却ファン・・・ではない。
実のところ、この手の商品は持ってない。なにしろ中身はどうせパソコンのケース等にも使われている電気機器用の通風ファンの同等品である。なので、秋葉原に行ったついでにジャンク品を買ってきて流用している。
なのでちゃんとした写真はないが、こんな形である。

製品として売られている物はクリップなどで水槽に固定しやすいような工夫がされているので、パソコンの組立とか電機部品に詳しくない方は専用品を買うのが無難。
水面へ向けて風を送ることで海水が蒸発して気化熱というのを奪う。熱い飲み物を飲むときにフーフーって息を吹いて冷ますでしょ。あれと原理は一緒。
これによって水温が下がるのである。
しかしこの手の小型のファン、微風だからと侮るなかれ、結構冷える。気化熱ってのは凄いらしい。

メリットはなんと言ってもクーラーより圧倒的に安価であること。数千円で買える。
(でもね、原形である電気機器用のファンって秋葉原行くと数百円なのよ!)

デメリットもある。気化熱での冷却は原理上、海水が蒸発してどんどん減る。2〜3日に一度は減った分の水(海水ではなく塩素を中和した水、ね)を補充して水量と比重を保たねばならない。面倒ではある。
また、その性質上、塩まじりの風が生じて周囲に塩分が散る。
これ、侮るとあかんよ。壁なんかベタベタになるから。
扇風機で冷やせ
日本の夏で庶民が冷やすと言えば扇風機である。
そう、これなら今時、どこの家にもあるのである。
どこでも売ってるクリップ扇風機。
ようするに水面に風が当たればよいのである。ならば、これで良いのではないかとも思える。
ならばとばかりに3つ並んだ水槽には壁設置用扇風機でいっぺんに冷やす。
このタイプでも熱帯魚専用ファンより全然安いのである。

まあ、一番安易な方法である。

メリットは安価。なにしろ熱帯魚専用品よりも売ってる数が多いだけに価格は安い。
風量が大きいので、冷えすぎるほど冷える。

デメリットもある。なんと言ってもご覧の通りで目立つ。美観を損ねると言うより醜い。インテリア重視であれば許し難い光景である。
上の写真のようなクリップ扇風機は、価格破壊が進みすぎていて品質面では耐久性に難有りである。安いものだと1シーズンで異音が出てブッ壊れる。安すぎるのは避けよう。
専用ファンと同じく海水が減って塩が散る。
また、メリットでもあるのだが、設置方法を工夫しないと冷えすぎる。設置距離を変えながら最適点を探したり、場合によっては電圧コントローラーなどで回転数を下げる工夫が必要になるだろう。

ならば冷えたら止まるようにすれば良いではないか。
そんなわけで最近見掛けるのがファン用コントローラー。ヒーター用コントローラー同様、設定温度でON/OFFしてくれる装置である。

右はおなじみヒーター用温度コントローラー。左がファン用温度コントローラーである。見た目は殆ど一緒だ。

違うのは動作。ヒーター用は設定温度より下がればスイッチが入る。クーラー用は設定温度より温度が上がればスイッチが入るのである。動作が逆なのだ。

これを扇風機の電源に繋げば水温が上がったときだけ扇風機が回るのである。
熱帯魚専用ファンでも使用することで無駄にヒーターが入ることは防止できよう。
メリットは冷えすぎない。電気代の節約。
デメリットはこれ自体、取扱店が少ないことと価格がやや高い。実勢価格は2,500〜4,000円。電気代分の元を取るには年数が掛かるが、なにより温度が安定方向に作用するので、生き物たちには優しい装置である。
そうそう、最近の扇風機はスイッチが殆ど電子式。使えるのは昔ながらの機械スイッチ式の扇風機だけである。今時は安いものにしか採用されていない。

部屋ごと冷やせ
部屋が暑くなければそもそもこんな装置自体が要らないのではないか、と誰でも思うのである。
昼間はエアコン、入れっぱなしにすればいいのである。

あ、写真は、ない。(エアコンの写真撮っても仕方ないわなぁ。)

メリットは塩が飛ばない。道具類の投資はゼロですむ。いつでも部屋が涼しいなどか。
メリットは少ないな。

デメリットは多い。
なにより電気代がかかる。エアコンのある部屋に水槽があったとしても、年間100日前後は稼働すると考えると、結構辛い。水槽がひとつならば、割が合うことはない。
当然、エアコンの寿命も縮むであろう。
水槽と別の部屋に取り付けていようものならますます高い。無駄に冷やす空間が増えるのである。
わが家は夏場の電気代が春より1万円近く高くなる。水槽がひとつなら間違いなく水槽専用クーラーを買う方がお得。
わが家の場合、その他ケダモノの類がいるため、どのみち日中はエアコンは入れていないとダメなので、結局これまで紹介した方法の全てを併用していることになる。
もったいない・・・。


さて、代表的な冷却方法は紹介した。
他にも積極的な気化熱を利用した装置も売っている。残念ながら店頭で見掛けないので買っていないが、原理を考えれば意外と効きそうである。

とにかく現状把握ってことで昼間、何度まで温度が上がり、夜明け前の冷えそうな頃合いには何度になっているのか、調べた方がよい。傾向によっては昼間だけファンなどで冷やせばよいかもしれないし、専用クーラー無しでは解決できないこともある。

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