============================================================================ 「Tk翻訳王」for Linux バージョン 0.6 説明書 2001年3月31日 R.川岸 ============================================================================ 目次 1. はじめに 5. 使い方 9. 参考資料 2. 特徴 6. エラーメッセージの意味 10. 改版履歴 3. 動作環境 7. デスクトップの設定 11. 問題点と ToDo 4. インストール 8. 配布条件、制限事項など 12. 謝辞 & 連絡先 ---------------------------------------------------------------------------- 1. はじめに ---------------------------------------------------------------------------- 『Tk翻訳王』は、日本IBM の英日・日英翻訳ソフト 「インターネット翻訳の王様バイリンガル Version 4」 (以下、翻訳の王様) の Linux 版用の GUI ユーティリティです。 「翻訳の王様」のパッケージには Windows 版と Linux 版の両方が同梱されていて Windows 版には実に様々な機能があります。 Version 4 の Linux 版を他のバージョンと比較すると以下のようになります。 Version 3.5 Linux 版にもある機能 ○ コマンドライン英日翻訳 (コマンドライン操作) ○ テキスト/HTMLファイル英日翻訳 (コマンドライン操作) ○ 英単語辞書引き (コマンドライン操作) ○ ユーザ辞書登録作成 (コマンドライン操作) ○ Mule テキスト翻訳(英日) ○ Mule 辞書登録 ○ ブラウザ翻訳(英日) ○ 自作プログラムから呼び出せる翻訳ライブラリ API (翻訳、辞書登録) Version 4 Linux 版で追加された機能 ○ コマンドライン日英翻訳 (コマンドライン操作) ○ Mule テキスト翻訳(日英) ○ ブラウザ翻訳 (日英) ○ ブラウザで辞書引き ○ GUI による英和・和英辞書引き(Java) ○ GUI による辞書設定 (Java) Version 4 Windows 版にのみある機能 × マウス翻訳 × マウス辞書引き × オフィス翻訳 (MS Word, Excel, PowerPoint, Lotus Notes, WordPro, 1-2-3, Freelance, 一太郎, Acrobat) × 音声による原文、訳文読み上げ × メール翻訳 × かんたん英作文 × 自動巡回翻訳 私が最もよく使うテキスト翻訳で GUI が無いというのは面白くありません。 コマンドラインと Mule(Emacs)をバリバリ使いこなせる方には GUI など不要で しょうが、そうでない私は GUI でほとんどの操作ができたらいいなぁ、と思い 『Tk翻訳王』を作りました。 『Tk翻訳王』の最新版は、下記から入手できます。 http://www.yk.rim.or.jp/~kawagisi/ ---------------------------------------------------------------------------- 2. 特徴 ---------------------------------------------------------------------------- 「Tk翻訳王」の当面の目標は、次の 3つです。 (1) 「翻訳の王様」が持っているコマンドを全て GUI で使えるようにする (2) GUI ならではのわかり易い操作感と便利な機能を実装する (3) 「翻訳の王様」Version 4 だけでなく version 3.5 (POWER+) にも対応する 現在のバージョンでは、以下の特徴があります。 ■ 各種エディタ、Netscape, Kterm など他のアプリケーションのテキストを 範囲指定してワンクリックで英日/日英翻訳ができる ■ 原文、訳文のファイル入出力 ■ 辞書引き機能 (自動モードの場合、他アプリの単語を選択するだけで辞書引きする) ■ 好みにあわせ各種設定(外観、英日/日英変換の動作)ができる ■ ホイール付きマウスでスクロールが可能 翻訳ライブラリ API を使えば、さらにきめの細かいことも出来るようになるはず です。例えば、 ■ 複数の文からなる原文を 1文ずつに分割して対訳表示する ■ 再翻訳 これらは今後の課題です。 ---------------------------------------------------------------------------- 3. 動作環境 ---------------------------------------------------------------------------- 「Tk翻訳王」は Tcl/Tk 8.0 以上を必要とします。 Tcl 7.6/Tk 4.2 は試してませんが、おそらくエラーが出て動かないと思います。 現時点では Tcl/Tk 8.0.x jp (日本語パッチがあてられたもの)がお勧めです。 Linux, FreeBSD の場合、最近のほとんどの日本語ディストリビューションには デフォルトでインストールされているはずです。 日本語パッチがあてられていない Tcl/Tk 8.3.1 でも一応動作します。 (Tcl/Tk 8.1 から追加された漢字コード変換をする encoding コマンドを使用) 現時点での動作確認状況は以下の通りです。 Linux (1) LASER5 Linux 6.2 Devel (AT互換機) + Tcl/Tk 8.0.5jp (2) Turbo Linux Workstation 6.0 日本語版 (AT互換機) + Tcl/Tk 8.0.5jp [注] Unix 版の Tck/Tk 8.3.1 について Tck/Tk 8.3.1 は日本語処理に若干問題があり、その対策や他の改良も含む Plus Patch 版というもの(ソース)が http://members1.chello.nl/~j.nijtmans/plus.html にあります。 FreeBSD の ports および packages は Plus Patch 版が入っています。 Tcl/Tk 8.3.1 の日本語入力は XIM のみサポートしていますが、使用時は tk useinputmethods 1 を実行する必要があります。 ---------------------------------------------------------------------------- 4. インストール ---------------------------------------------------------------------------- 「Tk翻訳王」の配布パッケージには、RPM と Tarball の形式があります。 4.1 rpm (RedHat Package Manager) 形式のパッケージの場合 RedHat 系の Linux (RedHat, LASER5, Turbo, Vine, Kondara, Caldera, Mnadrake, etc.) など RPM パッケージを扱える環境の場合は rpm コマンドで 以下のようにインストールして下さい。 (x.xx はバージョン番号) # rpm -Uvh tkkingtr-x.xx-x.i386.rpm もちろん rpm コマンドではなく glint や GNOME の GnoRPM, KDE の kpackage など GUI 化したユーティリティでもインストールできます。インストールされる ファイルと、その格納先は次項の「tar.gz 形式のパッケージの場合」と同じです。 4.2 Tarball 形式のパッケージの場合 新規インストールでも、バージョンアップでも以下の手順は同じです。 ■ パッケージの展開 /usr/local で tkkingtr-x.xx.tar.gz (x.xx はバージョン番号)を展開します。 # cd /usr/local # tar zxvf tkkingtr-x.xx-tar.gz これで下記の5つのファイルができます。 /usr/local/tkkingtr/tkkingtr (プログラム本体) /usr/local/tkkingtr/tkkingtr-readme (ドキュメント) /usr/local/tkkingtr/colors.gif (色選択用 GIF画像) /usr/local/tkkingtr/tkkingtr.gif (ヘルプ用 GIF画像) /usr/local/tkkingtr/tkkingtr.xpm (アイコン) ■ ファイルのコピー (1) tkkingtr は、Tcl/Tk で記述されたスクリプトなので、MAKE 等の作業は不要 です。root 権限でパスが通った適当なディレクトリ(例えば /usr/X11R6/bin などが良いでしょう)にコピーします。 % su # cp tkkingtr /usr/X11R6/bin (2) tkkingtr-readme は、ヘルプファイルとして使っています。 デフォルトでは /usr/doc/tkkingtr-x.x に存在する(x.xはバージョン番号) ものと仮定して処理しているので下記のようにディレクトリを作り、そこに コピーします。 # mkdir /usr/doc/tkkingtr-x.x # cp tkkingtr-readme /usr/doc/tkkingtr-x.x 上記以外のディレクトリに置く場合は tkhonyaku の先頭の方にある set helpdir /usr/doc/tkkingtr-x.x という行を、そのディレクトリ名に変更してください。 (3) colors.gif は、色選択用の色環の画像です。 tkkingtr.gif は、バージョンやヘルプを表示するときに使う画像です。 この2つは、デフォルトでは /usr/local/tkkingtr に存在するものと仮定 しています。これ以外のところに置く場合は tkkingtr の先頭の方の set gifdir /usr/local/tkkingtr という行を、そのディレクトリ名に変更してください。 (4) tkkingtr.xpm は、デスクトップに「Tk翻訳王」の起動用ボタンを登録する 場合のアイコンです。使用方法は後述します。 ---------------------------------------------------------------------------- 5. 使い方 ---------------------------------------------------------------------------- 5.1 事前の確認 「Tk翻訳王」を初めて使用する前に「翻訳の王様」で用意されている以下の 各コマンドが kterm 上で正常に動作することを確認して下さい。 各コマンドの詳細は、IBM「翻訳の王様」のユーザーズ・ガイドをご覧下さい。 $ kingtr (翻訳) $ kingword (辞書引き:翻訳辞書) $ kinglook (辞書引き:研究社の新英和・和英中辞典) $ kingudict (辞書登録) $ kingdictset (Java ユーザ辞書設定) $ kinglookup (Java 辞書引き:研究社の新英和・和英中辞典) $ netscape http://localhost:9090 (ブラウザ辞書引き) 「Tk翻訳王」は上記コマンドを呼び出しているので kterm でこれらのコマンド が正常に動作しない場合は、当然「Tk翻訳王」でも正常に動作しません。 5.2 起動 kterm 上で以下のように入力して下さい。パラメータはありません。 $ tkkingtr & このようにコマンドを入力する代わりに GNOME, KDE, WindowMaker などの デスクトップに専用のアイコンを置いたり、メニューに設定して簡単に起動 する方法は「7. デスクトップの設定」をご覧ください。 5.3 操作 画面を見れば何となく分ると思う(?)ので詳しい説明はせずポイントだけにします。 (1) 原文入力と翻訳 メインウィンドウでの原文入力には3つの方法があります。 ■ 原文入力用のペイン(*)で、英語または日本語の原文をキーボードで入力し 「翻訳」ボタンをクリックする。 ■ 「ファイル」ボタンの「原文ファイル入力...」でファイルを選択後、 「翻訳」ボタンをクリックする。 ■ 「Tk翻訳王」に限らず Netscape, Kterm, vi, emacs など他のアプリケーシ ョンも含む任意のテキストを範囲指定(ドラッグ)してから「翻訳(範囲)」 ボタンをクリックする。 *ペイン pane の本来の意味は、(ガラス1枚分の)窓枠とか、窓ガラスのことですが GUI アプリケーションの場合、ウィンドウの中の1つの小さな領域のことを ペインと呼んでいます。 デフォルトでは上下に 2つのペインがあり、上が原文入力用、下が訳文表示 用です。設定画面の「ウィンドウの配置」で「横」を選択した場合は、左が 原文で右が訳文になります。 (2) 辞書引き メインウィンドウで「辞書...」の「辞書引き」を選択すると辞書引きのウィン ウドが表示されます。 辞書引きに使用する辞書として [翻訳用辞書] [研究社辞典] [両方] のどれかを 選択できます。 単語入力と辞書引きの動作として以下の方法があります。 ■ [自動] モードを選択した場合、「Tk翻訳王」に限らず Netscape, Kterm, vi, emacs など他のアプリケーションも含む任意の単語をドラッグ(マウスで 選択状態にする)だけで自動的に辞書引きする。 ■ [自動] モードでない場合は、単語入力域にキーボードで英語または日本語の 単語を入力する。または任意の単語をドラッグ&ドロップでコピーする。 次に [実行] ボタンをクリックする。 ■ [自動] モードでない場合は、任意の単語をドラッグしてから(マウスで選択 状態にするだけ) [選択] ボタンをクリックする。 メインウィンドウで「辞書...」の「研究社辞典(ブラウザ)」を選択するとブラ ウザを起動して辞書引きできます。 メインウィンドウで「辞書...」の「研究社辞典(Java)」を選択すると「翻訳の 王様」の kinglookup コマンドを呼び出して GUI の辞書引き画面が現れます。 (3) 設定画面の「漢字変換スタイル」 これは、VJE Delta のような XIM プロトコルを使ったかな漢字変換を使用する 際に、かな入力文字をどこに表示させるかを指定するものです。Canna など XIM プロトコルを使用しない、かな漢字変換の場合は関係ありません。 (4) 設定画面の背景色、文字色選択 色環の中央の黒丸をドラッグすると色相(Hue)と彩度(Saturation)が変化し、右 側のバーを動かすと明度(Brightness)が変化します。 5.4 日本語入力と漢字変換スタイル kinput2 や Xwnmo の場合、日本語を入力するには、Ctrl キーと \ (バック スラッシュ)を同時に押して日本語モード ON にします。 日本語モードの解除(OFF)は Ctrl + o かまたは Ctrl + \ です。 VJE Delta および ATOK12 の場合は、Ctrl キー + スペース で日本語入力を ON/OFF します。 VJE Delta など XIM プロトコル対応の漢字変換をご使用の場合、「設定」ウィ ンドウの「漢字変換スタイル」の中から好みのスタイルを選択できます。 "Over the Spot" は、いわゆる「その場変換」でカーソル位置で入力します。 "Off the Spot" は、付箋ウィンドウの下部、"root ウィンドウ" はデスクトッ プの下部にそれぞれ日本語入力用のウィンドウが現れます。 漢字変換スタイルの選択は、XIM プロトコル対応の漢字変換を起動している場合 のみ有効です。そうでない場合は、エラーになります。 5.5 テキスト編集のキーバインド ← , Ctrl b カーソル左移動 → , Ctrl f カーソル右移動 ↑ , Ctrl p カーソル上移動 ↓ , Ctrl n カーソル下移動 Shift ← 選択範囲左移動 Shift → 選択範囲右移動 Shift ↑ 選択範囲上移動 Shift ↓ 選択範囲下移動 Ctrl ← , Meta b 単語単位でカーソル移動 Ctrl → , Meta f Ctrl ↑ 段落単位で移動 Ctrl ↓ Ctrl Shift ← 単語単位で選択範囲移動 Ctrl Shift → Ctrl Shift ↑ 段落単位で選択範囲移動 Ctrl Shift ↓ Home, Ctrl a カーソルを行頭に移動、選択範囲クリア End, Ctrl e カーソルを行末に移動、選択範囲クリア Shift Home 選択範囲を行頭まで拡張 Ctrl Home, Meta < カーソルを文頭に移動、選択範囲クリア Ctrl End, Meta > カーソルを文末に移動、選択範囲クリア Ctrl Shift Home 選択範囲をカーソル位置から文頭まで拡張 Ctrl Shift End 選択範囲をカーソル位置から文末まで拡張 Ctrl / 文全体を選択 Ctrl \ 日本語モードON Meta w 選択範囲をクリップボードにコピー Ctrl w 選択範囲をクリップボードにコピーし、選択範囲をカット Ctrl y クリップボードの内容をペースト Del, BS, Ctrl h 選択範囲を削除。選択範囲がない場合場はカーソル左の 1文字削除 Ctrl v カーソルは動かさず、テキスト画面を下にスクロール Ctrl d カーソル右の1文字削除 Meta d カーソルの右側を単語の終りまで削除 Ctrl k カーソル位置から行末まで削除 Ctrl o 日本語モードOFF。英語モードのときは改行 Meta BS, Meta Del カーソルの左側を単語の先頭まで削除 Ctrl x 選択されているものを全て削除 Ctrl t カーソルの左右の文字を交換 5.6 ホイール付きマウスによるスクロール ホイール付きマウスのホイールの操作により 5行単位でスクロールできます。 Shift キーを押しながらホイールを回すと 1行単位、Ctrl キーを押しながら だと 1頁単位で前後にスクロールします。 (Windows の場合は Shiftキー/Ctrlキーを押しても 5行単位です) X Window system で、このようにするには /etc/X11/XF86Config の Pointer section を下記のように設定します。 (Protocol を変更し、ZAxisMapping の行を追加) Section "Pointer" Protocol "imps/2" Device "/dev/mouse" ZAxisMapping 4 5 Section "Pointer" Protocol "intellimouse" Device "/dev/mouse" ZAxisMapping 4 5 Section "Pointer" Protocol "MouseManPlusPS/2" Device "/dev/mouse" ZAxisMapping 4 5 Section "Pointer" Protocol "Auto" Device "/dev/psm0" ZAxisMapping 4 5 Section "Pointer" Protocol "PS/2" Device "/dev/psm0" ZAxisMapping 4 5 大抵 Protocol を "Auto" に設定、Device をその環境でのマウスデバイスに 設定し、ZAxisMapping 4 5 を追加すれば動作するようになります。 X は XFree86 3.3 以降が望まれます。 その他、詳しくは /usr/X11R6/lib/X11/doc/README.mouse をご覧下さい。 X Japanese Documentation Project による日本語訳があります。 (注1) 3ボタンエミュレーションをイネーブルにしているとホイールは使用でき ません。Emulate3Buttons の行はコメントアウトして下さい。 (注2) Logietch FirstMouse+ には 3種類あり、「箱入り」バージョン (ボディ に色のついた Logitech ロゴがある。MODEL:M-C48)と、ロゴ無しの「バ ルク」バージョン (ボディは黒。MODEL:M-S48)は動作しますが、 OEM バージョン(白いボディにモノクロの Logietch のロゴがある。MODEL M-S48 OEM)は動作しないとのことです(下記の最初の URL 参照)。 <参考> Netscape など他のアプリでのホイール付きマウスの設定方法 http://www-sop.inria.fr/koala/colas/mouse-wheel-scroll/ これを翻訳しました。下記にあります。 http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/mouse-wheel-scroll.html http://www.turbolinux.co.jp/tech/info/document/wheel-mouse.html http://www.ongs.net/daichi/freebsd/configuration/index.shtml 5.7 <参考> 「Tk翻訳王」が作成するファイル 「Tk翻訳王」を起動すると ~/.tkkingtr というディレクトリが作成され、その下に 以下の 2つのファイルが作成されます。 (1) 設定ファイル (~/.tkkingtr/tkkingtr.conf) 「設定」画面でユーザが設定した内容が保存されます。 このファイルを削除して「Tk翻訳王」を起動すると、全ての設定は デフォルト値になります。その内容で設定ファイルが新たに作成されます。 (2) エラーログ (~/.tkkingtr/error.log) Tcl/Tk が出力するエラーメッセージをファイルにセーブします。 既存の error.log ファイルが存在する場合、上書きするので以前の内容は 消えてしまいます。バグ報告やデバッグに利用できます。 設定画面の「共通」タブ、または「英日固有」タブで 「設定ファイル(~/.king/kingrc)更新」ボタンをクリックすると、設定内容を ~/.king/kingrc に書き込みます。 ~/.king ディレクトリに、このファイルが存在しない場合は、 /usr/local/lib/king/system.kingrc から ~/.king の下にコピーします。 ~/.king/kingrc が既に存在する場合は、~/.king/kingrc.old という名前の バックアップファイルにセーブします。 kingrc は「Tk翻訳王」ではなく IBM の「翻訳の王様」用の設定ファイルです。 このファイルの内容は IBM の「翻訳の王様」のユーザーズ・ガイドをご覧下さい。 ---------------------------------------------------------------------------- 6. エラーメッセージの意味 ---------------------------------------------------------------------------- (1) "PRIMARY selection doesn't exist or form "STRING" not defined" 範囲指定(選択)した文字列が無い状態で「翻訳(範囲)」「翻訳用辞書(選択)」 「研究社辞典(選択)」の何れかのボタンをクリックすると、このように表示され ます。先に、翻訳したい文、または辞書引きしたい単語を選択して下さい。 (2) "No IM server is available." VJE Delta など XIM プロトコル対応の漢字変換を起動していない状態で、設定 画面の「漢字変換スタイル」を選択すると、このメッセージが出ます。 (3) "can't create IC" 原文と訳文のペインを一度もクリックせずに「漢字変換スタイル」を変更すると このメッセージが表示されます。 IC というのは Tcl が漢字を処理する際の「内部コード」のことのようです。 両方のペインのどこかを一度クリックすれば、それ以降は表示されません。 ---------------------------------------------------------------------------- 7. デスクトップの設定 ---------------------------------------------------------------------------- 「Tk翻訳王」を簡単に起動できるように GNOME や KDE, WindowMaker などのデス クトップに専用のアイコンを置いたり、メニューに設定する方法を説明します。 以下の設定は「5.2 起動」のコマンドラインから「Tk翻訳王」を起動する方法で 正しく動作することを確認してから行って下さい。 7.1 GNOME のデスクトップにアイコンを追加 デスクトップの何も無いところでマウス右ボタンをクリックし、「新規」の 「ランチャ...」を選び、以下のように入力します。 名前: TK翻訳王 説明: 「翻訳の王様」の GUI ユーティリティ 命令: tkkingtr 種類: Application アイコンのボタンをクリックするとアイコン選択画面が表示されます。 ここで TK翻訳 のインストール時に格納したディレクトリ(デフォルトでは /usr/local/tkkingtr) の tkkingtr.xpm を設定します。 これでデスクトップ上に「TK翻訳王」のアイコンが表示されます。 このアイコンをマウス右ボタンのメニューで「プロパティ」を指定し、「オプ ション」タブの「ファイル処理」「開く」のところで「標準で用意されたオー プン処理を行う」のチェックを外し tkkingtr と入力します。 7.2 GNOME のメニューに追加 画面左下の足跡のアイコンで「デスクトップ設定」の「メニューエディタ」 を起動します。 左側のツリーのどこか挿入する場所、 例えば「ユーティリティー」という カテゴリの下あたりを選びます。 次に「ファイル」「新規項目...」を選び、以下のように入力します。 名前: TK翻訳王 説明: 「翻訳の王様」のGUI ユーティリティ 命令: tkkingtr 種類: Application 前項と全く同じですね。アイコンの設定方法も同じです。 7.3 KDE のデスクトップにアイコンを追加 デスクトップの何も無いところでマウス右ボタンをクリックし「新規作成」の 「アプリケーション」を選び「確認」をクリックします。 アイコンがデスクトップに作成され、設定用のダイアログが表示されるので 以下のように入力します。 「一般」タブ ファイル名: Tk翻訳王.kdelnk 「実行」タブ 実行: tkkingtr 「アプリケーション」タブ   コメント: 「翻訳の王様」のGUIクライアント     名前: アプリケーション 7.4 KDE のメニューに追加 画面左下の歯車+K のアイコンで「パネル」「メニューの編集」を選択して メニューエディタを起動すると現在のメニューが表示されます。 「ユーティリティー」というカテゴリを選択するとサブメニューが現れるの で挿入したいところでマウス右ボタンをクリックします。 「新規作成」をクリックして各項目に以下のように入力します。   タイプ: アプリケーション ファイル名:    名前: TK翻訳王  アイコン: /usr/local/tkkingtr/tkkingtr.xpm 小アイコン:  コメント: 「翻訳の王様」のGUIクライアント    実行: tkkingtr 7.5 fvwm95 の FvwmButtons に登録する場合: #------------------ FvwmButtons というセクションの、 # Define the buttons to use..... というところで、 *FvwmButtons tkkingtr tkkingtr.xpm Exec "tkkingtr" tkkingtr & という1行を追加します。 7.6 AfterStep で Wharf のアプリケーションランチャに登録する場合: *Wharf tkkingtr tkkingtr.xpm Exec "-" tkkingtr & 7.7 qvwm のデスクトップにショートカット設定する場合: [Shortcuts] というセクションに、 "Tk翻訳王" "tkkingtr.xpm" "tkkingtr" という1行を追加します。 7.8 WindowMaker のドックに追加: tkkingtr を起動するとアイコンが表示されます。表示されたアイコンをドッ クやクリップに近づけると吸いつけられるように登録されます。後はアイコ ンや起動条件などを「右ドラッグ→メニュー→属性」などで設定しましょう。 ---------------------------------------------------------------------------- 8. 配布条件、制限事項など ---------------------------------------------------------------------------- (1)「Tk翻訳王」は、フリーソフトです。 GPL (General Public Licence) Version 2 の条項に従って自由に改変、配布 することができます。「Tk翻訳王」を使用することによって生じる損害、 損失などいかなる不利益にも作者は責任を持ちません。 (2) ペイン付きウィンドウ、カラー選択ダイアログ、タブ付きノートブックのプロ シージャは「参考資料」の項で示した「Effective Tcl/Tk」という書籍に出て いる Mark Harrison さんの著作物です(一部、改造しています)。 これらは http://www.awl.com/cp/efftcl/efftcl.html で公開されています。 この書籍の12頁に「これらのサンプルは勉強していただくだけでなく、あなた 自身の Tcl/Tk アプリケーションの構築にも使っていただくことを、大いに奨 励したい」との記述があります。 ---------------------------------------------------------------------------- 9. 参考資料 ---------------------------------------------------------------------------- (1)「インターネット翻訳の王様 バイリンガル Version 4」 ユーザーズガイド 日本アイ・ビー・エム株式会社 (2)「インターネット翻訳の王様 Power+ Version 3.5」 ユーザーズガイド 日本アイ・ビー・エム株式会社 (3)「入門 Tcl/Tk」 巣栗 歩人著:秀和システム刊 ISBN4-87966-795-1 2,800円 (4)「Tcl/Tk 入門」第2版: 播口 陽一/中込 知之/棚橋 直美著 プレンティスホール/トッパン刊 ISBN4-89471-085-4 7,600円 (5)「Effective Tcl/Tk」Mark Harrison/Michael McLennan 著、吉川 邦夫訳 アスキー出版局 ISBN4-7561-3165-4 4,200円 (ペイン式ウィンドウ、カラー選択用ダイアログ、タブ付きノートブックは、 この本に出ているコードを使用しました) ---------------------------------------------------------------------------- 10. 改版履歴 ---------------------------------------------------------------------------- version 0.1 2001年2月4日 翻訳魂用 GUI クライアント「Tk翻訳」1.4 をベースに開発に着手 version 0.2 2001年2月5日 辞書関連の機能を追加。 version 0.3 2001年2月10日 研究社辞典のカラー表示 (エスケープシーケンス)に対応 version 0.4 2001年2月12日 研究社辞典カラー表示、その他細かい点を色々修正 version 0.5 2001年2月21日 [初公開] 設定画面、設定ファイル(~/.king/kingrc)の更新 version 0.6 2001年3月31日 自動辞書引き機能(単語を選択するだけで辞書引き)を追加 研究社辞典のカラー表示の色を変更(水色-->青、黄色-->紫) ---------------------------------------------------------------------------- 11. 問題点と ToDo ---------------------------------------------------------------------------- [問題点1: 終了できない] エラーが出たあと「Tk翻訳王」を終了できない場合があるかもしれません。 そういう場合は、とりあえず以下のようにして強制的に終了させて下さい。 $ ps ax ... 909 ? S 0:00 wish /usr/X11R6/bin/tkkingtr ... $ kill 909 (現在動作中のプロセスを表示して tkkingtr のプロセス番号を調べ、そのプロ セスを kill コマンドで終了させる) [問題点2: 設定画面の訳文出力スタイル] 設定画面の「共通」タブで「訳文出力スタイル」として「訳文のみ」「対訳」の 何れを選択しても表示される結果は同じです。 設定画面の「外観」タブの「訳文表示スタイル」で選択して下さい。 [問題点3: version 0.5 からアップデートしたら、エラーが出て起動できない] version 0.5 から version 0.6 で辞書引き関連の設定項目を追加したのですが 以前のバージョンで作成された設定ファイルには無いのが、上記エラーが出る原 因です。以前の設定ファイル (~/.tkkingtr/tkkingtr.conf)を削除してから再度 「Tk翻訳王」を起動して下さい。 [ToDo] (今後やるべきこと) (1) 辞書登録/設定機能の追加 Windows 版の辞書ツールに匹敵するようなものをものを作りたい。 (2) API を利用してよりきめの細かい(Windows版にあるような)機能を入れたい。 例えば一文ずつ区切って対訳表示する。 (3) 再翻訳 ---------------------------------------------------------------------------- 12. 謝辞 & 連絡先 ---------------------------------------------------------------------------- 他の環境での動作報告(動いた/動かなかった)をお待ちしています。 感想、バグ報告、要望、改良のアイデア、クールなアイコン、その他お気づきの点 があれば下記宛てにメールをお送り下さい。 R.川岸 電子メール : kawagisi@yk.rim.or.jp ホームページ: http://www.yk.rim.or.jp/~kawagisi/ [R.K's Linux & Free Solaris homepage]