インカレ・リバイバル 

第12回 第12回(埼玉)インカレ(2)

田垣 尚美(DE・日本女子大学第3走者)

筑波大の熊林あゆみ(前日の個人戦チャンプ)が1走でダントツのトップで帰ってきて、さいれんはあゆみと10分差にまとめて帰ってきた。出ていった2走のメンツを見てこんちゃんが順位を上げてくるのは分かっていた。3走勝負である。今まで3走勝負、自分の走りが勝敗を決めるというレースをしたことがなく、とても怖かった。「3走勝負になるなんて初めから分かってるじゃないすかー。」と例の口調で国沢君に言われて「そっかー」などと納得してしまったが。とにかく、さいれん、こんちゃんの努力をぶち壊さないようにしようと思った。

2走が帰ってくるときの呼び出しは聞こえにくく、いつタッチゾーンに入ったらいいのか分からずドギマギした。役員の人が「日本女子大、もうタッチゾーンに入っていいよ」と言うので、こんちゃんが帰ってきたのが分かった。「よくやった」などとエラそうに言ってタッチ。4位でタッチした。

地図置場に行くまでに3位の横国の3走金子しのぶには追いついていたが(2位の千葉大の3走加藤さんにも追いついていた。)、京女の3走花岡さんに追いつかれていた。1番ポストまでは長い道走りだった。金子しのぶは走るのが速くて有名だが、あまり飛ばさない。私もついていけた。花岡さんは少々苦しそうだった。1番ポストはしのぶと一緒だった。やばい、コースが一緒だ。走力勝負になったら負けてしまう…。

2番ポストへ向かう。ここで花岡さんはいなくなった。1番までの道走りが苦しそうだったから多分脱落したんだろうと思った。2番ポストをとる。加藤さんはもっと奥のポストらしく、さらに沢を進んでいった。2番をとって尾根へ登るのだが、結構疲れる。いつもより遅かったかもしれない。ここで金子しのぶに先に行かれるのではないかと思ったが、しのぶも遅い。私より少し後ろを一定の間隔を保って登っている。しのぶはオーストラリア留学で以前より体力が落ちているようだった。これならラスポからのかけっこでも何とかなるかもしれないと思った。そう思うと頑張ろうという気持ちも湧いてきて、3番に行くまでにしのぶを置いてくることができた。

3番に行くと沢の下から加藤さんが上がってきた。加藤さんはルートプランをちゃんとしてあったようで、チェック後さっさと進む。私も慌ててルートを考えて後を追う。4番はアタックが難しそうだから慎重に行った。何とか一発でポストについた。加藤さんは私のポストを見て、リロケートしようとしていた。これで千葉大もおいていける…。

あとはつぼらないように慎重に行こう…と5番をチェック後、沢を登っていると下のほうでガサガサと音がする。5番をチェックしようとするしのぶが見えた。大ピンチ!地図をぱっと見るとあとは道走りのコースだ。

しのぶの体力が低下しているとはいえ気を抜くと負けてしまう…。ドキドキしながら6番、7番を取る。7番の出戻りで、もうすぐそばにしのぶがいることが分かった。8番の有人では6秒差だったらしい

「抜かすなら早く抜かしてよ。ゴールレーンで抜かされたらみっともないじゃない!」などと思っていたが、ラスポをチェックしたとき8番ポストのときより差がついているようだったので、「もう大丈夫だろう」と思った。

トンネルを抜けて人が見える。横国が陣取っていたようで、「しのぶーっ」という叫び声が聞こえる。OCの人が見える。皆がいた。さいれん、こんちゃんが見えた。ホッとして2位にもかかわらず、片手でガッツポーズをしてしまった。

ゴールしてやっぱり嬉しかった。あっと言う間にOCの人だかりができて胴上げされた。こんなに喜んでもらえると思っていなかったので本当に嬉しかったし、何よりホッとした。

…インカレの後に文集が出るだろうと思って、頼まれもしないのに書いた文が残っていたので、それを見ながらインカレを振り返りました。自分の書いた文を見て、「私って、何て気が強いのかしら」、「今年はこんなにノーツボで行けるかな」等々、考えて笑ってしまいました。何よりも、こうやって自分が主人公の青春ドラマを演じきってる自分がおかしく思えたし。

たかがスポーツにこれほどものめり込んで、負けたって死ぬわけじゃないし、ちっぽけなことに過ぎない。分かっているのに、一年間インカレのために努力したり、気持ちを高めたり…、何故だろう?

でも、たまにはこういう世界もいいと思いません?汗くさくって、涙もろくなって、自分の学校の選手を声がかれるまで応援して。まさに青春ドラマ。今現実に生活していて、こんな気持ちはなかなか味わえないんじゃないかな?勝っても、負けても人々の感動を誘う…。だったら一生懸命やったもん勝ち!どんどん主人公になってしまおう!!

今年の主役は誰だろう?

もちろん私も狙います。

(わせだUNIV.OCレポート1990年度vol.13)


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