インカレ・リバイバル

第8回 第10回(群馬)インカレ(2)

日高 加代(DE・早稲田大学第3走者)

終わってしまえば、あっと言う間だった、’87インカレ。もうずっと前に終わった気がする。だけど一つ一つが鮮明に蘇ってくる。そして、どうしようもない、やり場のない気持ちが湧いてくる。

個人戦…。何の緊張もしなかった。「自分のレースをやること」それが目標だった。中盤まで結構自分のレースができていたが大発散。結構長いツボリ。どうにか回復して走っていると“深田特急”(筑波4年・DE1位)がやって来た。それにうまく乗ることができ、どうにか25位。その深田特急に乗ったとき朱美(お茶大3年・DE2位)がいた。「とんでもないゲレンデだね」と私が言ったが、彼女は口を閉ざしてUPを登っていた。その朱美の真剣な苦しそうな顔が忘れられない。

団体戦…。早稲田女子3走をやることはあらかじめある程度分かっていたことだったから、私は個人戦より団体戦に焦点を当てていた。自分より他のエリート選手、また1年生のことの心配ばかりしていた。「昨年度エリートを経験したから、余裕があるはず」と自分に言い聞かせた。そしてそういう自分を正当化している自分がそこにはいたような気がする。緊張して自分自身から逃げようとしていたに違いない。そんな自分が他選手のことなんて考えられるわけがない。

−おーたかおりからタッチ。やるだけやろうと思う。走った。1番。迷っている相模女子大の3走発見。Luckyと思いきや、またまたさまよっている広大の3走に出くわす。これも走り去ろうとすると、「ねえねえ、○番知っとう?。」私は動揺した。が、思わず「ここ尾根だよね…」、私「そう、尾根。大きな尾根。」と答える。

−私のリズムはここで崩れた。この子たちより早く次のポストへいけば二つ順位があがる。−そう思ってひたすら走り、気がついたら自分の現在地さえ分からなくなっていた。どうにかリズムを元に戻し走る。すると目の前にまたその二人が出現したのである。焦った。どうしても抜きたい。ひたすら走る。だけど追いつかない。悔しかった。情けなかった。

結局、早稲田女子10位。昨年度と同じ。今年はもしかしたら入賞かと思っていた。しかし、それは甘かった。

インカレは甘いものでない。スポーツは本気でやったら本当に甘いものでない。真剣勝負である。今回のインカレで痛感した。個人戦レース中に見た朱美の真剣な、口を開かなかったその横顔。それに対し、一人の敵に対し話しかけられることだけで動揺した私。お茶大が優勝したのもその真剣さに通じるものがあるだろう。

男子団体戦−。今までで最悪の6位。どうして負けたんだろうか。早大OCはインカレに向けて、個人差はあるにせよ、頑張ってきた。OBからも準備はよくやっていたと言われる。だけど負けた。

この春、一つ上の先輩が卒業した。3年前、早稲田が優勝した時にいた早大OCのメンバーはもう残っていない。「強い早稲田」はもう本当に伝説になってしまった。「強い早稲田」なんて、今どこにもない。一からの出直しだ。誰だって弱いOCより強いOCの方がいいに決まっている。誰かが強いOCの一員であってくれ。自分は「ミーハーじゃないサークル」に入っていることに誇りを持ってたって何も意味がないぞ!!

戦いはもう始まっている。私はとにかく本気でオリエンテーリングをやってみる。この一年は…。

がんばるぞ!!

(わせだUNIV.OCレポート1987年度vol15)


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