インカレ・リバイバル

第4回 第8回(駒ヶ根)インカレ(2)

飯山 春樹(HE・早稲田大学第2走者)

一走の小野さんが大健闘でトップと僅差の2位という絶好の位置で帰ってきた。次は二走の僕である。スタートへと向かいながらこれからのレース展開を考える。今日僕がやらなくてはならない最初のかつ最大の仕事は、すぐ後ろにいる千葉大の賀彦さんを巻くことである。賀彦さんがいつものようにかっとんでくれれば、どうせどこかで爆発してくれるだろうが、ペースを落として僕のあとについてこられるようだと非常に苦しい。従って、賀彦さんを先にいかせて彼のつぼりを待つという作戦しか考えられなかった。

というわけでペースを落とし気味に走って賀彦さんを先に行かせようとするが、前に出てくれないので1まで僕が先導することにした。ところが1でいきなりつぼってしまった。このツボで名大に抜かれてしまったが、賀彦さんを巻くことに成功したので良しとしなければならないだろう。「頭よえ−」とか思いながら2に向かう。2の手前で名大に追いつきここまでは良かったのだ。が、ポストの近くにいながら2が見つからず名大には先に行かれてしまい、かっとんできた賀彦さんにはあっという間に追い抜かれてしまった。

3へは最初のうちこそ賀彦さんを視界のなかに捕らえながらの走りだったが、「このレッグは難しそうなレッグだし、無理して賀彦さんについていって二人してはまるのは余りに頭が弱い」と思ったので、途中から彼の動きを完全に無視して超慎重にノロノロ行き、何とか3をクリアして賀彦さんがここではまっていることを祈りながら4へ。が、4へアタックしようとすると、名大と賀彦さんの姿を相次いで発見し二人がまだ前にいることが判明する。

ところがここで大きな落とし穴が僕を待ち受けていたのであった。二人の姿が見えたところにポストがあるだろうと、安直に地図を良く見ずにアタックしたのがまずかった。おまけにここら辺は最近伐採が入ったらしく、地図と現地がいくぶん違っていた。初めのうちこそじきに見つかるはずとたかをくくっていたが、1分、2分と時間が経過するにつれて段々焦ってくる。川の向こうの岸の家を目標にしてアタックしてもポストが見つからなかったときには自分が完全にはまっていることをいやが上でも思い知ってしまった。こういう時にはどうすればいいのか。分かるところまで戻るしかない。下の道まで出て超慎重にアタックしてようやくポストが見つかった。ようやくここで本当の意味での気合いが入り、これから絶対につぼらないぞと心に誓ったが今後のレース展開を考える上でこのツボは非常に痛かった。

ここからあとはノーミスである。7に着くとなぜか後ろから賀彦さんが現われ、再び「頭よえー」と思ってしまった。ここで再びペースを落として賀彦さんを先に行かせる作戦に出たわけなんだけど、後半のレッグを見るとルートチョイスの余地がほとんどない。つまり、賀彦さんと違うルートをとって勝負をかけるということができないわけで、僕が走力で賀彦さんをぶっちぎれるわけもなく賀彦さんのつぼりをひたすら待つしかなくなった。しかも賀彦さんは僕でも「遅い」と思うほどのスローペースで超慎重にやっていたし、要所、要所では振り返って僕の動きを確かめるという技まで使って、一向につぼってくれない。そして後半の中では最も難しいと思われる8→9を賀彦さんが無難にクリアしたときには、ほとんど目の前が真っ暗になった。今にして思えばちょっとでもせこくルートを変えて賀彦さんを攪乱すべきだったかもしれないが後の祭である。結局、賀彦さんは簡単な10でつぼってくれて、たなからぼたもちのトップで帰ってきて一応恰好だけはついたが、僕が密かに早稲田の敗因になっていることに気づいている人は何人いるだろうか。

結局、早稲田は連覇を果たすことができなかった。その責任は全て私にある。2走は甘い世界であることは去年の経験から分かっていた。だからこそ今年は格の違いを見せつけなければならなかったのに、その甘さにどっぷり漬かってしまい、結果的に白戸さんに多大な負担をかけることになってしまった。誠に申し訳なく思っています。と言うわけで今年度は心を入れ換えてトレーニングに励む所存でございます。最後に                                     来年は俺たちの力で大学日本一の座を奪い取ろうぜ!!                         (わせだUNIV.OCレポート1985年度vol.13) ※次回は第9回(愛知)インカレ第4走者、白戸秀和氏です。          


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