原注


★1.「男組」

父親殺しの罪状をもつ流全次郎(ながれ・ぜんじろう)を主人公とした作品で、剣の達人である神竜剛次と流の中国拳法の激突が見物でした。主人公の流は、服役中の身なので、手錠をはめて通学(それも関東少年刑務所から)してくるという設定は今から考えるとかなりすごいものだったと思います。


★2.「影の総理」

満州国の政府の中心人物として、阿片の販売等の悪いことをやったという過去を考えると、モデルはどう考えても御殿場にすむ、昭和の妖怪[☆4]のあの人(本物もそうだったかは未調査)。

ただし、ロッキードでも有名になった右翼の黒幕の某氏[☆5]の要素も加味されているようです。

(今はどうか知りませんが、東スポは、この某黒幕氏の支配下にあった新聞で、梶原一騎は、この東スポで仕事をしていたことのある人です。例の「愛と誠」のお人好しの右翼のボスの出現はそのせいかと思えます)

ただし本物よりも圧倒的に凄い。なお女性関係等については箱根の山で東急の五島慶太(この人は強盗慶太とよばれていたんですねえ)と激突したピストルの人[☆6]の要素もありそうにみえます。もっともこれに関しても本物よりもすごい。

作中ではついに本名が明らかになっていない謎の人です。戦後の社会を裏側から、ほぼ完全に支配している恐るべき人物でして、実は神竜剛次の実の父親なんですが、神竜の理想は自分の支配にとって危険なものであることに気づき、「男組」の後半では敵対することになる人。神竜はこの父親によって大衆に絶望させられるのです。

「剛司それだ。それがいかんのだ。理想などというものが一番いかん。大衆はブタのままでよい。ドブ泥のような社会に、放しがいにしておいて、エサにつられて、どんなことでもきくようにしておくことが、権力をたもつコツだ。ワシが影の総理などと呼ばれ、巨大な力をたもっていられるのも、この社会がドブ泥につかっているからだ。 おまえのやり方では、ドブ泥をさらってワシの力を奪うことになる。だからおまえを許してはおけん。」

というセリフはなかなか衝撃的でした。


★3. 暴力を主題にした作品

「野望の王国」、「ドン」、「獅子たちの荒野」、「乱九郎一代」等々。


★4. M資金

MはGHQのマーカット中将(だったっけ?)の頭文字。戦後の闇金融とかサギではよく出る名前で極めて巨額の融資話がでるそうで、実態はあるともないともいわれていて闇の中です。

一番最近[☆7]ではロッキード疑獄で全日空の大場元社長がひっかけられて辞めることになったというのがあります。


★5. 結局復讐はならずしておわってしまう

ビッグコミックの読者欄で、復讐が成功しなかったのは残念だ、とかいう感想が出たことがあったけど、D機構の総裁が天皇でも、素直にそう思えるのだろうか?と思ったものです。


★6. 一部の右翼もこのような考えを持っている

かって右翼の黒幕だった児玉誉士夫氏は、大森実氏の戦後秘史シリーズでのインタビューで、戦後の社会がおかしいのは、天皇の戦争責任が曖昧なままになっているせいだ、といったことを答えています。


★7. すでに左翼ではない

太田竜氏は、数年前「迷宮」という雑誌で対談していますが、この雑誌は右翼といっていいと思います。

また氏は、相似象(ほら、知ってる人は知っている、あのカタカムナです)研究に参加しているようですが、創始者の楢崎皐月氏は右翼か、それに近い人です。


★8. 左翼が右翼になってしまうことはよくある

戦前、特高警察にいじめられて転向した共産党員はけっこう右翼になっているのです。
有名な例では田中清玄氏がいます。


★9. 金井南龍

滝の行者と異名をとる、かなりアクティブな裏(古)神道の伝承者。


★10. 元YMOの教授

坂本龍一氏のことです。たしかNHKでやったはずですが、天河なんとかという番組があったのですが、これは金井師の影響下にあった作品だそうです。確か、ムーで武田崇元氏と対談してましたね。


★11. 大本教

戦前、治安維持法で徹底的に痛めつけられた宗教団体。右翼とも関係が深かった。
ただ、いかんせん、皇族を巻き込むほどにやりすぎてしまった団体です。


★12. 結局日本全体がたどることになった

大本教のボス、出口王仁三郎は右翼とくんで昭和神聖会と青年隊を作りましたが、これはどうみてもナチとヒトラー・ユーゲントみたいな組織で、このことは、治安維持法で弾圧を受けたことが、平和主義の証明にはならない例の一つだと思います。

で大本は弾圧された、その後全国的にみな右翼になって、こんどはアメリカにやっつけられた、というわけです。カッパブックスの「霊界からの警告」を参照してみて下さい。もっともこの本の作者の武田氏は迷宮の編集長だった人ですが。