 | 公的資金投入の是非
大蔵省は『公的資金を投入しなければ、金融破綻が起きる。』と、公的資金投入の必要性を主張している。逆に、多くの識者はテレビ等で、『公的資金等を使用しなくても、住専の処理は可能だ。』との意見も有ります。
筋からいけば、破産法又は会社更正法によって、処理をする事が本来の方法である。その過程で、各関係者の責任等が明らかにされるであろう。
ここで、大蔵省が主張している金融破綻が発生するであろうか?である。
金融破綻と言う言葉自体が何を意味しているのか良く判らないが、仮に銀行の半分くらいが倒産する現象と考えると、たかだか 6800億円程度の公的資金投入で済むくらいの問題ならば、金融破綻など起きる筈が無いと多くの方は考えるだろう。
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 | 各関係者の責任
1.母体行として住専設立に関わって、紹介融資を行って来た多くの銀行。
2.経営が破綻した当事者としての住専各社。
3.住専各社から借金をして返さない会社等。
4.住専各社へ融資している農協系金融機関。
5.監督省庁としての大蔵省。
このような各関係者の中で、誰が一番悪い等の議論しても、罵り合いに終わるだけである。
母体行は、子会社である住専に対し力関係によって、自分等では融資出来ない様な問題の有る融資話を押しつけて来た、親会社としての責任。株主としての責任とも言える。
各住専は、融資をする場合の審査や、土地を担保にした場合のその価値がどの様に変化するかの見通しの甘さに対する経営責任がある。この責任が重大であるならば背任罪又は特別背任罪に問われるべきである。
これらの住専は、住宅専門であるにも関わらず多くの融資が住宅購入を行う個人に対してでは無く、不動産投機が目的の多くの会社にされた事を考えれば、融資先の多くに、官僚や国会議員が関係しているのではないかと疑ってしまう。
借金をして返さない会社等は、返さないなりの責任を果たしていればそれ以上の責任は問えないが、権力を利用した圧力や暴力によってその責任を免れているとするならば、徹底的に問題の解明に努力しなければならない。
農協系金融機関は、住専へ融資を行う際にそれ相応の審査をし、担保を設定して、銀行が融資する時と同様の事をしているならば、ある程度の責任は免れるが、それをせず、後楯の母体行の信用のみによって安易に融資しているとするならば、経営者の責任が問われなければならない。
大蔵省は、監督省庁としての責任があるとは思えません。あるとすれば、会社の経営に関しては能力が無いのに、いろんな企業の重役に天下りをする事です。これは大蔵省に限った事では無いのですが、物事の分別も判らない者が権力を傘に無責任な口を出す事が問題である。当然、天下り先で経営者としての責任は取らなければなりません。だから、この住専問題にも口を出すべきでは無いように考えます。
最近の官僚は行政能力すら持ち合わせて無いように感じます。そのくせ、それ以上能力が無い経営に口を出して来るのだから、企業としては堪らない。
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 | 解決方法
先ず、問題解決を早める為に実行すべき事は、問題解決の主導権を国会議員や官僚の手から取り上げて、第三者に委ねる事です。
二番目には、各企業から天下り官僚を排除する事。当然、退職金等は出してはなりません。出しても一般社員並にする事です。
それから、法的な処理をする事が有効ではないかと考えます。
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 | 繰り返さない為に
これまで、大蔵省が公的資金投入にこだわる理由を私なりに考えれば、もともと大蔵省は住専を倒産させること無く処理をしたいと考えていたのではないだろうか?
その理由は簡単である。彼らの天下り先を減らしたく無いからである。
最近では、住専を倒産させる事なしに処理する事は不可能である情勢になって来てもなお、公的資金投入にこだわるところを見れば、法的な処置をすれば大蔵省としての問題はもちろんの事、多くの天下り官僚の責任問題があぶり出されてくるであろう。もしそうなれば、一部の官僚の免職はもちろん、更には天下りは諸悪の根源である様な議論まで起きかねないと考えているのでは無いだろうか?
と言うことで、私の考えとしては先ず官僚の天下りの全面禁止を行う事が先ではないかと考えています。その次のステップとして規制緩和を進めて行く。
なぜ天下り禁止が先かと言えば、官僚の裁量によって決まる規制が多ければ多い程天下り先が確保しやすい為、天下り先が有れば規制緩和に手加減が加わるからである。
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