WWFNo.35のページへ戻る

 「ところで、俺は教育のある人間じゃないんだ。君はたぶん偉い英雄だろう。」

 「そうだよ」と学生は確信をもって言った。「そして僕は、われわれのロシヤを、われわれの自由なる革命を、破壊しつつあるボリシェヴィキーに反対なんだ。さて、君はそれをどう説明するかね?」

 兵士は頭を掻いた。「俺にゃ全然説明できんよ」とかれは、知力を働かせることの苦痛で、しかめ面をしながら言った。「俺は全くかんたんだと思うんだが―ところでしかし、俺はいい教育をうけてはいないんだ。ただ二つの階級だけがあるように思うんだ。プロレタリアートとブルジョアジー―」

 「君のばかげた公式がまた出てきた!」と学生は叫んだ。

 「―ただ二つの階級だけが」と兵士は頑固につづけた。「で、一方の側にいない者はだれでもみんな別の側にいるわけなんだ。……」

 

ジョン・リード/原 光雄 訳『世界をゆるがした十日間』


WWFNo.35のページへ戻る