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ヨーロッパでデンシャに乗ったんですけど

 

 

 

へーげる奥田


 鉄道について何か書くようにとのことですが、いきなりお詫びであります。すいません私は鉄道関係について、一点の曇りもない「ど素人」であります。おそらくこの本を手にするような方はかなり高度で専門的な知識をお持ちと存じますが、私の知識は……何かボケをかまそうとしても何も思いつかないといったレベルでございます。

 なので終了、ではいくら何でもあんまりなので、比較的最近海外旅行に行った際に見た鉄道について書きたいと思います。

 春にヨーロッパに行ったですな。ドイツとかフランスとかあちこち行ったのですが、とりあえずスイスの登山鉄道の話から。

ドイツの貨物列車

 このヨーロッパ旅行、行程の最初の国がドイツでして、しばらくドイツ国内の観光をしていたんですな。ドイツ国内でも鉄道は何度か見ましたが、主に貨物列車のようで、しかも予備知識もなく、単に「あ、電車だ」といった程度でした(筆者は「電車」と各種機関車の区別が基本的についていない)。駅の形態などにもそこそこ興味はあったんですが、残念ながらドイツ国内では駅らしい駅は見ることができませんでした。

 で、ドイツのフッセンから、スイスのインターラーケンに移動したですな。残念ながら移動は全部バスでした。ちなみにインターラーケンなる地名は、なんでも「湖の狭間」ぐらいの意味らしく(ガイドの言葉を鵜呑み)、たしかに湖がありました。その湖の水をなめてみたらなんだか塩味がしましたが。

 

 到着翌日早朝からスイス登山鉄道でアイガー中腹からユングフラウヨッホなる山の頂にある駅まで観光、ということとなりました。なんか旅行時に書いたメモにはグリンデンワルトとあるので、もしかするとこれがたぶん駅の名称かなとか思ったんですが、旅行時に撮った写真を見ると「Lauterbrunnen」とか書いてあるのでソレ駅から乗ったのかもしれません。ちなみに、それまでの行程ではけっこう暑かった感じなのですが、このへんになるとやや肌寒いというところで、なおかつ山の上の方に行くとシャレにならないくらい寒いぞなどといろんな人から脅かされたものでした。

 さて駅ですが、なんか江ノ電の無人駅が2〜3個分連なってる感じ、みたいな記憶があったんですが、そのときの写真なんか見てみるとけっこうでかい駅でしたなあ。とは言ってももちろん無人駅ではなく、ちゃんとミヤゲモノを売ってるキヨスク的な建物もあるし、やたらと線路がたくさんあったんで、ははあ、さてはなんか車庫でもあるデスカなどと漠然と考えていましたねえ。

 ど素人なんでちょっと驚いたのが、なんか線路のレールとレールの間にもう一本、ギザギザのレールがありましてですな。ちょうどオモチャのジェットコースターかなんかみたいな感じでした。素人目にも、ははあこれは、山の勾配が急なもんで、このギザギザに歯車かなんかからめてガシガシ登ろうってな魂胆だななどと思いましたが、なんでもそのギザギザはラックレールと言い、アプト式だのリッゲンバッハ式だのシュトルプ式だのとかいうものらしいですな。もっとも素人の私には、目の前のソレがナニ式だったのかぜんぜんわかりませんでしたが。まあ、どうも駅にあった線路の全部が全部その「ラックレール」つきのものではなかったですけどね。

Lauterbrunnen駅

スイス登山鉄道のラックレール

 で、我々が乗った登山列車ですが、なんか下三分の一ががフカミドリ色、上三分の二がカラシ色といった感じのちょっとレトロな感じの列車でした。もちろん動力がなんだか知りません。クモハとかそーいう文字も書いてなかったし。シートは木製のベンチみたいなもので、片側二人がけ、もう片側一人がけのクロスシートという装丁でした。車体はあまり重厚なものでない作りで、見た目にも軽量化・低コスト化を重視しているように感じました。あまり役には立ちませんでしたが、荷物置きの網棚(前から思っていたのだが、あれって最近のは「網」じゃないじゃん。吊革も「革」じゃないし)も小型のものがついていました。窓は開かない構造になっていたのですが、そのくせ喫煙可ということだったので勘弁してくれと思いましたな。まあ、列車の行程中最初から最後まで誰もタバコなど吸わなかったので助かりましたが。

登山鉄道の車内シート

 で、出発したわけですが、たしかにけっこう勾配がありまして、森だとか小さな滝だとか牧場っぽい感じのところとかいろいろ見えたりして、へたなアトラクションの乗り物なんかよりずっとおもしろかったですな。なんでもこのへんの地方は、『アルプスの少女』の舞台になったらしいですが、あのアニメとか観ていなかったので詳細は存じません。ちなみにガイドに訊いたところ、普通にこのルートの切符を買うと8千円だかかかるとか。まあ妥当といえば妥当でしょうか。

 列車は最初地上を走っていましたが、登るにつれて雪なんかが多くなってきました。途中ラッセル車が停車していたのを見ましたな。で、途中ナントカ駅というところで休憩・食事などし、別の列車に乗り換えました。この駅では初めて韓国人観光客とか中国人観光客とか見ましたが、もしかすると彼らもわれわれと同じ列車に乗ったかもしれません。山の上の方にあるにしてはけっこうでかい駅で混雑していたもので、あまり詳細に状況がつかめなかったですな。

 ちなみにミヤゲモノ屋の看板には、「おみやげ」とかなんとか日本語のものがありましたが、これはサービスというものを取り違えているのではないかと。日本人は外国、特にヨーロッパに行ってまで日本語なんか見たくありません。まあちょっとウケることはありますが、どちらかといえば「ぶちこわしだ」とか思うほうが大きいですな。

スイスのナントカ駅のミヤゲモノ屋

 で、いよいよ本格的な山岳行程に入ったのですが、トンネルの中を走ったのでなんにも見えなかったんですけど。要するに山の中をくり抜いた、まあ上越線のループ工法の路線みたいな感じだったのかもしれません。

 アイガーの中にあるアイガーワンドなる駅とか、とにかく地中なんですけど、まあやっぱり山ですから、山腹に穴をあけた窓がありましてな。外界がちょっと見えるんですが、切り立ったすげえ雪山とかがぼぼ〜んと見えまして。あまりに綺麗で、なんかアリガチなチーズとかの包装紙みたいな絵葉書チックな画でしたな。

包装紙みたいなアレ

 で、アイガーの中からユングフラウヨッホの中に入り込んだみたいなんですが、何しろ地面の中ですから、いったいどっからがユングフラウヨッホなんだかわかりゃしません。だいたい私もアイガーなる山は知っていましたが、ユングフラウヨッホなんか初めて聞いたのは地理にうといせいですか? どうもドイツ語っぽいので、だいたい「少女的山岳」とかそういう感じだとはわかったのですが、なんでもアイガーが男性峰、中間に僧侶の山があって、少女峰のユングフラウヨッホと並んでいるとのことでした。という説明は、車内の放送でされたのですが、まず現地語であるドイツ語、英語の説明があり、続いてチャイナ語、フランス語、ジャパン語、コリア語とほぼアルファベット順で各国語アナウンスが流れました。今回のサッカーワールドカップで、ジャパンの後に来る「K」でなくジャパンの前に来る「C」で始まる「COREA」の旗を振った韓国人の方々は、さぞや謝罪と賠償を要求したかったことでありましょう。

 さて、今回の行程のメダマというのが、このユングフラウヨッホの山頂に設けられた展望台駅だった訳ですが、旅行前からさんざん脅されたのがその空気の薄さと低温でした。展望台駅の中には氷の宮殿などがありまして、すなわち気温はおそらく零度を下回っていたと思われるんですが、もともと寒いのはわりと強い(のか?)こともあってか自分にとって低温はぜんぜん大したことなく、ジャケットの上にブルゾンを一枚着ただけで問題なかったですな。むしろ深刻だったのはやっぱり空気でした。展望台のあるユングフラウヨッホ駅は標高3571メートルありまして、富士山の山頂近い高さがある。実は人生においてこんな高い山に登ったことはなかったんですが、比喩やなんかではなく、ホントに空気が薄くて呼吸が苦しかったデスヨ。通常が70ぐらいの脈拍が、いきなり100前後に跳ね上がり、いつキモチ悪くなってゲロ吐くかという感じでした。事前の説明や車内アナウンスで、走ったり大声を上げたりしないでくださいとか言われてましたが、頼まれたってするもんかとか思いましたね。トイレに入ったら、幾人分かのおゲロ様がございまして。それ見たときはもう頭クラクラして人生が走馬燈状態となり、いっそ自爆して果てようかと思った次第ですがなんとか持ちこたえました。しかしまあ世の中には元気な方々がいらっしゃって、ぜんぜん平気で大声でわめきまくったり走り回ったりしている向きもおられましたデスヨ? もちろん中国と韓国の方々でしたが。

ユングフラウヨッホ駅

世界最高高度の郵便ポスト ちなみにこのユングフラウヨッホ駅、ヨーロッパ最高峰だそうで、この場からハガキを出しましょうとか言われて、まあせっかくだからということでハガキ出しました。日本までたしか1・8ユーロでしたな。ただ、ポストがなんだか知らないけど日本の昔の赤いポストでして。

 展望台は一部外に出られる部分があったのでとりあえず出てみたり、施設内に作られた「氷の宮殿」を見たりしましたが、とにかく息が上がっていて困ったもんでした。帰りの列車に乗ったときはなんともほっとしたものです。かくしてなんとか息災にて戻ってきたのですが、帰りのことはどうもあんまりよく覚えておりません。

 その後、ジュネーブからなんか新幹線モドキでフランスのパリに行ったりしましたが、ジュネーブの駅構内の一部はフランスの領土だかなんだかになっているということで、TGVに乗った段階ですでにフランスに入っていたみたいですな。しかし、なんだか向こうの駅のホームは、日本よりずいぶんと低いようです。簡単に飛び降りてまた飛び乗ることができそうな案配で。日本のほうが例外的でしょうか?

ジュネーブ駅のホーム

 ただ、パリで乗った地下鉄のホームは、やっぱりちゃんとある程度高かったですな。治安が悪いので注意とか言うのでかなり警戒していたんですが、幸い別にワルモノも現れませんでしたし。シンガポールの地下鉄とかと違って駅のホーム側には扉とかついておらず、そのへんは日本とそっくりでした。パリ地下鉄の場合、1号線だの5号線だのといったアバウトな路線名がついていましたが、どこからどこに行ってもいちりつ1・8ユーロ(確かそのくらい)でしたな。切符はわりとチープな青い紙製で、うらに細く磁気テープ的部分がありました。一応自動販売機がありましたが、窓口で担当者がめんどくさそうに売っているのを買いました。でも、朝のラッシュ時なんかそもそも誰も切符チェック機を通していなかったですよ? ゲートも開けっ放しで、出るときもノーチェックでしたし。現地人ガイド氏に聞いたら「それはたまたま故障していただけザンス! ミーの国をバカにするザンスか!?」とか言うのですが、それにしては現地人乗客たちは非常に慣れた様子で、絶対「たまたま故障」なんて感じじゃなかったですな。

パリ地下鉄切符。色は緑青。材質は紙。

裏。黒い線は磁性体。

 地下鉄車内は、なんかゆりかもめにちょっと似ていましたが、もっとゆったりした座席配置でした。車内で急に楽器の音がしだしたので何事ならんと思ったら、二人組の男がなんか楽器を奏で、ひとしきり終わると入れ物をもって集金して回るんですな。もちろん誰もカネなんか入れてませんでしたが。

パリの地下鉄車内

 とまあこんな感じでいろいろ見てきたわけですが、いかがだったでございましょ。何しろ電車のこととか全然知らんもので相当に不正確だったと思いますが。まあそんなところでご勘弁を。

 最後に全体的所感ですが、「捨てたもんじゃないぞ日本! ていうか大したもんだぞ日本!! 都市機能とかちゃんとしてるし、日曜日も店やってるし」てな感じでございましょうか。

ではでは。

2002/07

 


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