最終回の前のエピソードで、沙絵は「ツリガネ」の放った使者を魔法で殺してしまう。
「なぜ、殺した?」。
その事実は沙絵にどんどん自分を追いつめさせていく。
「同じ人間なのに……」。
そうして沙絵の心の遍歴が始まる……。
「ボケーとしてんだから」 と言ってのける七香。
「足手まとい」 と軽蔑する油壷センパイ。
……「ワタシは、いらない人間なんだ」。
だが、ほうきに乗ってツリガネと戦えば……そう
「みんなワタシのことを褒めてくれるんだ」。
「高倉先輩も、ジェフくんも、みんなワタシのこと、褒めてくれるんだ」。
(……大きく中略……)。けれども、沙絵はやがて、ほうきに乗って空を飛ぶことで自分の存在価値をたしかなものにしたいというその考え自体が、自分にとって大きな限界になっていたことに思い当たる。
沙絵は、自分を束縛していたものの一つからたしかに脱却することができたのだ。
「ワタシはここにいていいんだ!!」。
「ぁあ〜、いまごろ気づいたんだ」 と茜。
「そんなことにも気づかなかったの? まったくむかしっからそうだけどぼけーーっとしてんだから!!」 と七香。
そして、全世界から「おめでとう」 と祝福のことばを受けて、沙絵の一つの心の旅はひとつの目的地に達した。ジェフくんに、さようなら。
高倉先輩に、ありがとう。
すべての魔法使い(チルドレン)に、
おめでとう!
レイ 「とつぜんどこかからやってきたおっきな(ちっちゃいのもいたけど)使徒は、地球を侵略しちゃうぞー、みたいなメッセージを世界中に送りつけたのかどうか知らないけど、世界中の兵隊さんとかがN2地雷とか使って立ち向かったんですけど、ぜんぜんかなわないっていうか。
でも使徒ってこっちから手を出さなければ第三新東京市以外にはなにもしないんですよね。
だから、一年も経つとみんな慣れっこになっちゃったんです。
信号も守るし(信号のところに坑掘ったりしてたけど)。
でも、でも!
それじゃいけないって碇司令が言ったんです。
使徒をやっつけるって!
それが人類補完計画にあずかる者の使命なんだって。
碇司令! ワタシ、ワタシ……
司令みたいな立派な国際公務員に、なります!
(と、零号機に乗って渋滞の国道を走っている綾波)
(メーワクそうな運転手の顔)
……って思ってるのにぃ、こんな日に遅刻するなんて、なんかやばいってかんじだよね」。
(中略:いっぽう港の埠頭では)
碇「予定時間を15分過ぎた。帰りましょう、冬月先生」。
冬月「使徒をやっつけるんじゃなかったのかね」。
碇「よしてください。あれは、だから、勢いで言ってしまいましたが」。
冬月「君は女の子の前だとすぐカッコつけるくせがあるようだね」。
碇「反省はしてます。冬月先生」。
冬月「そんなところ好きだよ」。
碇「いや、まあ……。
しかしさすがにだれも本気にしなかったみたいですね。
それはそうだ。
綾波くんあたりがが本気にしていたらどうしようかと思いましたが(暗い笑)」。
レイ「司令ーーっ!」。
碇『えっ!?』。
冬月「綾波くんだよ」。
碇「来てしまいましたね」。
レイ「すみませーん、遅くなっちゃって」。
……かくして人類補完計画は始まったのであった。