■きぬたプロレス通信

 


 

きぬたプロレス通信No.8

 

EXPERT 新世代編(新木場 1st Ring)  12月19日(火)PM6:00

 EX 桜花由美 VS 斉藤啓子

 @木村響子 VS 市井舞

 A闘牛空 VS 竹迫望美 

 B秋山恵 VS 渡辺えりか 

 C木村ネネ&風香&渋谷シュウ VS お船&アップルみゆき&Mickyゆか

 D桜花由美 VS 松尾永遠 

 EMARU&亜沙美 VS 玲央奈&米山香織

 

LADY GO!(横浜赤レンガ倉庫展示ホール)  1月8日(土)PM6:30

 @木村響子 VS アメージング・コング 

 AMARU VS 零 

 B未来 VS 市井舞 

 C米山香織 VS 玲央奈 

 D前村早紀 VS レヴン寛香 

 E西尾美香 VS 亜沙美 

 FHIKARU VS 松尾永遠

  世の中の不景気を反映してか、プロレス界も軒並み観客動員が冷え込んで来ている。メジャー団体はそれほどでもないが、インディーや女子の団体はかなり深刻。一時は雨後のタケノコのように次々と旗揚げしたインディー団体も、かなり整理されてきた。こういう時は誰か一人でも世間やマスコミの注目を集める選手がパッと出現すると、それだけでかなりの波及効果があったりするのだが、なかなかそう上手くいくわけもない。そういう意味でも今回の二つの大会は各団体の若手の中で、はたして誰が注目に値する選手なのかを見定める格好の舞台となった。

  なにしろワタクシのように頻繁にプロレス会場に足を運ぶ人間でも今回初めて観る選手が何人もいる。世間的にはまったくの無名選手ばかり。だがこの中からなんとか将来のエース候補が現れてほしいのはファンのみならず、業界全体の切なる願いだろう。

 

  出場した選手の中で実力が頭一つ抜けているのはHIKARU、西尾美香、未来、木村響子、玲央奈、桜花由美、米山香織あたりだろう。実力は別としてそのルックスで人気が出そうなのは松尾永遠、亜沙美、市井舞、秋山恵、風香といったところ。だがどちらにしても一般的な知名度を上げるためにはマスコミへの露出、とりわけTV画面への登場回数を多くしなければとても業界全体を押し上げるまでのブームには至らない。やはり地上波での試合中継が無いのは致命的である。

  そんな中でも小さな現象を起こしつつあるのがHIKARUで、彼女がリングに登場すると常連の女性ファンから一斉に歓声が沸き上がる。 (こんな現象が観られるのは80年代のクラッシュ以来のこと) まだまだごく一部の動きではあるがこれが発火点となって、どんな形でもよいから世間を振り向かせてほしいものである。

 

 

きぬたプロレス通信No.7

WWE

RAW ゛ROAD TO WRESTLE MANIA

 [さいたまスーパーアリーナ] 2月7日(土) (18:00)

対戦カード:

@クリスチャン VS ハリケーン 

Aランディ・オートン VS マット・ハーディー 

Bモーリー・ホーリー VS リタ 

Cリック・フレアー&バティースタ VS ダッドリー・ボーイズ (ババレイ&ディーボーン) 

Dクリス・ベンワー VS クリス・ジェリコ  

Eケイン VS ロブ・ヴァン・ダム 

Fテスト VS リコWITHジャッキー 

Gハンター・ハースト・ヘルムスリー (HHH)VS ショーン・マイケルズ

 昨年のSMACK DOWNに続き、今年はRAWチームが来日。WWEには二つのチームがあり、それぞれが選手を率いて別々に興行を行っている。 (例えるなら、宝塚歌劇の中に花組とか雪組とかがあるのと同じ) 二つのチームが合流するのは年数回のPPV=ペイ・パー・ビューのみで、この時は万単位の観客を動員するが、今回のさいたまスーパーアリーナもそれに劣らぬ観客が詰めかけた。 (主催者発表では19,971人。TV収録のない、いわゆるハウスショーではWWE史上最高の観客動員数だそうである)

  RAWチームのレスラーの中には、日本でも御馴染みの選手が何人かいる。リック・フレアーは言わずと知れた元NWAチャンプで、なんと御齢54歳である。クリス・ベンワーは新日本時代はペガサス・キッド → ワイルド・ペガサスだったし、クリス・ジェリコはWARに出ていた頃はライオン・ハートと名乗っていた。ロブ・ヴァン・ダムやダッドリー・ボーイズも過去に何度か来日しているし、日本の観客が自分達に何を期待しているか、彼らは当然熟知している。

  リック・フレアーは相変わらず、小狡いファイトでうまく立ち回っていた。コーナーポストに上がろうとして相手にタイツを掴まれ、半ケツ出し状態のままデッドリードライブをくらうなど、相変わらずのサービスぶり。ベンワーとジェリコは通常のアメリカン・スタイルとは違い、関節技を多用するなど日本のファンの眼を意識したファイト内容だった。

  だがこの日、観衆がもっとも待ち望んでいたのは゛ストーン・コールド″スティーブ・オースチンだろう。彼は現在首のケガで試合が出来ない状態だが、今回はシェリフという立場での来日。第5試合終了後に登場した悪徳ゼネラル・マネジャー(GM)のエリック・ビショフが観衆に対して悪態を吐いているところへ、それを遮るように登場。必殺のスタナーをビショフGMにお見舞いしてKO、乱入してきたGM側のヒールレスラーにも次々にスタナーが炸裂、もちろん観衆はヤンヤの大熱狂。オースチンは本部席に用意してあった大型アイスボックスから缶ビールを受け取り (アシスタントがリング上のオースチンに投げるのだが、そのコントロールが抜群!) オースチン側のレスラー仲間と缶ビールのガブ飲みパフォーマンス。ついでにリングサイド最前列で観戦していた KONISHIKIや武蔵丸親方とも乾杯、次から次へと飛んでくる缶ビールを器用に受け取り飲みまくるオースチン、50本以上の缶が消費されリング上はビールまみれ、最後にはリング上に横になり泳ぐ仕草までみせた。まさにビールの海を渡るオースチンであった。 (レ

スラー達が去ると休憩時間となったが、その間にビールまみれのリングマットはスタッフによって交換されていた。その作業のうまさたるや、まことに手際良し!)

  またWWEの会場といえば、観客が持参してくるプラカードが有名だが、その種類には大まかに言って3つある。自分の好きなレスラーを応援するもの、ヒールレスラーを罵倒するもの、プロレスとは全く関係ないウケ狙い&時事ネタもの、である。今回の会場では最後のパターンでかなり秀逸なものがあった。「I・Love American Beef!」というタイムリーなネタ、これはかなり笑えました。

  試合終了後、どうせ出口は混雑するだろうからと思い、場内の観客が半分くらいになってから席を立ち、通路を歩いていたら場内から「オ――ッ!!」という歓声が。慌てて場内に戻ってみると、オースチンが私服姿で入場ゲートから登場、僅かばかり残った缶ビールをアイスボックスから取り出すと、再びガブ飲みパフォーマンス。スタッフがリング解体作業を行っている最中でもお構いなしに花道で続行、最後にはカラになったアイスボックスをブン投げて回りに手を振って入場ゲートに消えた。ラストまで残っていてくれたファンへのボーナストラックであった。

 

 

きぬたプロレス通信No.6

メジャー女子プロレス A TO Z

[後楽園ホール] (2003/12/21 12:00)

対戦カード:

@玲央奈 VS 北尾ゆかり

A春山香代子 VS 闘牛・空 

B吉田万里子 VS 藤田愛 

C玉田凛映 VS GAMI 

D中西百重 VS 未来  

E阿部幸江&西尾美香 VS 堀田祐美子

 

[東京武道館] (2003/12/25 18:30

対戦カード:

@Baby・A VS 北尾ゆかり 

A阿部幸江 VS 闘牛・空 

B玉田凛映 VS 米山香織 

C玲央奈&西尾美香 VS コマンド・ボリショイ&倉垣翼 

D吉田万里子 VS GAMI  

E中西百重&未来 VS 堀田祐美子&伊藤薫

 

  今回の後楽園ホール大会には金沢在住の若奥様Mさんと川崎在住のT氏が同行。お二人共後楽園ホールは初めて。観戦終了後の感想は「クモ柄の人(吉田選手)の上腕から腋の下にかけてのラインが素晴らしい」(Mさん)、「プロレスを最後まで通して見たのは初めてです」(T氏)とのことでした。プロレス観戦歴何十年の私からすると、初心者の感想というのは実に新鮮なものがある。

 

  さて試合のほうであるが、ここに来てかなり風雲急を告げてきた。9月の有明コロシアム大会までは順調だったA TO Zもその後ゴタゴタが続き、11月30日には若手の主力選手AKINOが退団してフリーに転向、そして藤田愛も本日の試合をもって退団することが決定している。(4月引退の予定)GAMIの言葉を借りれば「今、ウチの団体では退団がブームやねん」ということになるが、これはどうみても異常事態である。

  メインで社長兼任の堀田は阿部と西尾を相手に、大場外乱闘を繰り広げる大暴走。一方的に勝利を収めると、25日のタッグパートナーとして伊藤薫 (元全女のエースで現ダリアン・ガールズのコーチ) を呼び込んだ。対する中西はまだパートナーが決まっていなかったが、そこでセミで中西に善戦した若手の未来が自ら立候補。こうして25日のメインカードは決定したが、中西の不利は歴然。はたしてこの結果はどうなるのか?

 

  続いて25日の東京武道館大会。 (今回は一人で観戦) 実は東京武道館という会場は初めて訪れるのだが、どこにあるのか御存知ない方も多いだろう。JR常磐線(営団千代田線)の綾瀬駅から徒歩5〜6分といった立地で、普通の体育館とは違い館内は土足厳禁で(二階席も同じ)入口で渡されたビニール袋に自分の履き物を入れて座席まで持っていくという、どこか懐かしいシステム。(座席数は2,000)

 

  試合の方はセミとメインで事件続出。セミの終了後に吉田が退団表明。ここまでくるともう空いた口が塞がらない状態。メインでは試合開始48秒で未来が伊藤のラリアット一発で沈んでしまう。さすがにこのままではどちらも納得せず、中西のパートナーに急遽玲央奈を入れて再試合を開始。だがそれでも中西は不利を逆転できず、最後は伊藤のダイビング・フットスタンプ→堀田のピラミッド・ドライバーの連携技で中西自身が3カウントを聞いてしまう。その場で堀田は社長を辞任して退団すると宣言、付き人の北尾も行動を共にすることに。また、この日に怪我から復帰したBaby・Aも団体を抜けると発言。エージェント・マネジャーの下田は「残った選手だけで来年以降もやっていく」との見解を示したが、エース級の選手が中西のみではかなり苦しい。 (しかも中西は所属選手ではなく、あくまでフリー参戦) 若手選手の粒が揃っている点では女子団体でも随一なのだが、はたしてこの選手たちは興行界の荒波を、来年も渡っていけるのだろうか?

 

 

きぬたプロレス通信No.5

メジャー女子プロレス A TO Z

<下田美馬引退記念興行> [有明コロシアム]

(2003/09/13 16:00)

対戦カード:

(1)西尾美香 VS 未来 

(2)北尾ゆかり VS 闘牛・空 

(3)Baby・A&ボリショイ・キッド&お船 VS GAMI&ルフィストー&セーラ・デル・レイ

(4)阿部幸江 VS 玉田凛映

(5)日向あずみ VS 玲央奈

(6)下田美馬 VS 藤田愛

(7)堀田祐美子&吉田万里子 VS 中西百重&AKINO

 生命保険のCMソングの歌詞に「華の命は結構長い!」というのがあるが、現在の女子プロレス界はまさにこの歌詞のとおりで30代は当たり前で40代の選手も普通に戦っている。そういう意味では下田選手の引退は、ある種の潔さを感じさせる。下田美馬&三田英津子のラス・カチョーラス・オリエンタレス(通称ラスカチョ)は長い間名タッグチームとしてこの世界に君臨してきた。しかし今年初めにチームを解消し下田選手がA TO Zの所属になってからはお互いに同じリングに上がるのを避けてきた感がある。今回の大会でも三田選手は対戦カードに入っていないし、最後の対戦相手も後輩の藤田愛である。

  引退試合というのを何度か見た経験があるがこれは相当難しいものだと思う。観客がそう感じるのだからやっている選手のプレッシャーはかなりのものだろう。下田選手が勝ったら<まだやれる>と思われてしまうので負けて当然、藤田選手は負けると<引退する選手より弱い>と思われるので勝って当然、観客は勝敗以上の何かを試合に求めているわけでその期待に応えようとすると、普段とは違って動きがぎこちなくなってしまう。最後は藤田がエンジェル・スプラッシュで決めたがやはり物足りなさが残った。下田選手も同様だったようで、この日特別レフェリーとして試合を裁いていた現みちのくプロレス社長の新崎人生選手に対戦を要求、いきなり引退試合は第二ラウンドに突入した。

  通常では考えられない男対女の試合で引退するというのもいかにも下田選手らしい破天荒さである。しかし試合内容は人生選手の<拝渡り><曼陀羅捻り><念仏パワーボム>などで 押されっぱなし。もはやこれまでかと思われたところでナント、三田英津子登場!!リングインするや持参の黄色パイプイスで人生を攻撃 (下田のパイプイスはピンク) 下田を救出するとここからは男対女の1対2の変則タッグマッチという複雑な試合形式となった。最後の最後で復活したラスカチョはここぞとばかりに<鉄柵プレス><ローリング踵落とし&デスバレーボム>といったオリジナル連携技を連発、ラスカチョの試合では見慣れた風景だがこれも最後かと思うと感慨もひとしおである。ラストは人生選手の秘技 <高野落とし> で3カウントを取られてしまったが、もう二度と見られないと思っていたラスカチョがたとえ一回限りでも復活したことで、タッグチームとしての歴史もここに大団円を迎えた。

  メイン終了後には団体の取締役エージェントマネジャーの下田美馬として白いスーツ姿で再登場、自分の軍団を創るという<仕事>を早くもこなしてみせた。何はともあれ美馬姐さん、長い間現役選手としてお疲れ様デシタ!!

 

  引退試合以外に目立った点はふたつ。第三試合に登場した米国人選手のルフィストーは女子では珍しいデスマッチが得意という異色の存在。大好きな凶器は画鋲で、試合中には画鋲ボード(ベニヤ板に画鋲を張り付けたお手製の凶器)をリング上に敷き、その上からタッパに入れて持参した追加の画鋲をザラザラと振りかけるという念の入れよう。この選手は面白い!要注目!

  もうひとつは全女退団後、久々のリング登場となった中西百重。休養期間をとって故障箇所を治療したので動きも至ってスムーズ。やはりモモには回りの眼を引き付けるという天賦の才があるようで彼女がリングインすると一気に華やいだ雰囲気となる。これからの活動はまだ不明だが定期参戦するのであれば、いろいろと面白いカードが実現するかもしれない。期待大!

 

 

きぬたプロレス通信No.4

メジャー女子プロレス A TO Z 旗揚げ戦

<ATTENTION PLEASE>[川崎市体育館]

(2003/07/25 18:30)

対戦カード:

(1)未来 VS 北尾ゆかり

(2)闘牛・空 VS GAMI

(3)阿部幸江&アリソン・デンジャー VS 玉田凛映&Baby・A

(4)西尾美香 VS 藤田愛

(5)下田美馬&エイプリル・ハンター VS 吉田万里子&玲央奈

(6)堀田祐美子 VS AKINO

 あの日(5月11日)以降、いろんな事があった。結局、堀田と西尾は全女を退団したが高橋とHikaruは残留した。これで事態は落ち着いたかと思ったら、今度はエースの中西が退団してしまった。(現在、首の治療のため試合欠場中)

 一方、堀田と西尾にはJDスターを辞めた阿部とフリーの下田、元全女の北上(現=未来)が加わって5人体制となり、<Z-SPIRITS>と名乗ってアルシオンに登場した。そして(ここからがスゴイのだが)Z-SPIRITSはアルシオンを吸収合併して新団体<A TO Z>をつくり、堀田は新社長になってしまった。新団体とは言うものの、内部は元アルシオンの選手<チーム・アルシオン>と<Z-SPIRITS>に分かれており、当面はこの両者の抗争が展開されていくのだろう。

 現在の女子プロレス界は液状化現象を起こしており、現7団体もこの先どうなるか予断を許さない。(全ての元凶は全女の経営不振にあるのだが) ただし新世代の選手の中には将来のエースとなるべき者(先ほどの中西やガイアの里村&浜田、全女の高橋など)も確実に存在するので、光明はあるのだがもう少し時間が必要。

 今回出場した選手の中では再デビューとなった未来が以外と好感触。彼女と西尾がコンビを組めば実力はともかく、男性諸氏の注目を集めることになりそう。セミとメインに出た藤田とAKINOは相変わらず身体能力の高さを発揮して動きまくり! この二人は素材としては全く申し分なしで、今のうちからチェックしていたほうがよい。将来名を成す可能性大。

 

 <お詫びと訂正>:前回のNO.3にて観客動員を16,500人と記しましたが、正しくは11,600人でした。(こちらの入力ミス)それとビッグ・ショーを初来日と記しましたが、以前新日本に登場した経験がありました。どうもスミマセン!(林家三平風)

 

 

きぬたプロレス通信No.3

WWE SMACK DOWN!

UNLEASHED IN THE EAST

[横浜アリーナ](2003/07/17 19:30)

対戦カード:

(1)マット・ハーディー VS レオナルド・スパンキー

〈2〉ビキニコンテスト : セイブル VS ニディア VS ドーン・マリー VS トリー・ウィルソン

(3)ウルティモ・ドラゴン VS ジェイミー・ノーブル 

〈4〉ショー・フナキ VS A-トレイン

〈5〉ビリー・ガン VS ジョン・シナ

〈6〉レイ・ミステリオ VS ビリー・キッドマン 

〈7〉チャーリー・ハース&シェルトン・ベンジャミン VS クリス・ベノワ&ライノ 

〈8〉TAJIRI VS エディ・ゲレロ 

〈9〉トリプルスレットマッチ : ブロック・レスナー VS ビッグ・ショー VS カート・アングル

 会場には開始1時間前に到着したが、グッズ売場はすでに長蛇の列。WWEの人気もすっかり定着した感じで、これは既存の日本の団体にとってはある意味脅威となるかもしれない。それと米国人の観客が大挙して来ているかと思ったが意外と少なかった。それでも16,500人の入りだからやっぱり大盛況。

 開始時間になると<当然>とでも言いたげに時間ピッタリにスタートした。これは他団体にも見習ってほしい。とかく10分ぐらい遅れるのが当然といった風潮が日本の興行界にはあるが、帰宅時間等のことを考えれば定時を守ることもファンサービスのひとつである。

 試合進行も極めてスムース。リングアナによる選手コールも、入場ランプからリングまでの花道の間に済ませて、選手が揃ったら即ゴング。試合が終わって選手が引き上げたらすぐにリングアナが次の試合のアナウンスをする、と余計な間を作らずに観客を飽きさせないシステムが完璧に出来上がっている。これを<すばらしい!>と感じるか、<今終わった試合の余韻を楽しむ時間がほしい>と考えるかは意見の分かれるところだが、短時間で決着がつく試合が多いのでやはりこのスタイルがベストなのかも。

 第2試合は男性諸氏待望のディーバたちのビキニコンテスト。きわどい水着でのダンスを披露して(いわゆるストリップティーズみたいなもの) 観客の拍手の大きさで優勝をきめる形式。翌日の東京スポーツでは裏1面の2/3をブチ抜いたカラー大写真で、優勝したセイブルの肢体を載せておりました。見出しは <99%裸 ビキニコンテスト! スーパー美女4人がヒモパン対決!> さすが東スポ!(編集方針がハッキリしていて非常に潔いですな)

 メインに出場した三人はいづれも初来日だが試合は文句なく素晴らしかった。ビッグ・ショーはアンドレ並みの体格だが結構動けるし、必殺技のチョークスラムは高さも充分。そしてレスナーとアングルはアマレス経験者(アングルは五輪金メダリスト!)らしい受け身のうまさを発揮して試合を組み立てていた。最後はレスナーの必殺技:F5でアングルからピンフォールをとって試合を締めた。

 それにしても選手たちのタフネスさには頭が下がる。前日はタイで試合があり、移動日なしで即来日。そのまま横浜アリーナへ来て試合をこなし、翌日もアリーナでもう一試合。翌々日は神戸へ移動して試合をこなしたら、そのまま関空から帰国という殺人的スケジュール。俗にアメリカンプロレスは力ばかりで内容は雑、という印象があるがWWEに登場するレスラー達は、他人にはできない何かを持っていて、それがあるからレスラーとして生き残れるし上記のようなスケジュールもこなせるのだろう。(実際WWEから離脱する選手も数多い) そういう意味においてWWEとはレスラーだけでなく、全てがまさに<プロフェッショナル>であった。

 

 

きぬたプロレス通信No.2

 全日本女子プロレス 横浜アリーナ大会
 
(2003/04/29 12:00)

対戦カード:

(1)前村早紀、米山香織 VS さくらえみ、高瀬玲奈 

(2)藤井巳幸 VS エリカ・モントーヤ 

(3)渡辺智子、前川久美子 VS 三田英津子、日向あずみ 

(4)高橋奈苗、倉垣ツバサ、ファング鈴木 VS 井上京子、井上貴子、吉田万里子  

(5)立野記代、小倉由美 VS ダンプ松本、クレーン・ユウ 〜OGバトルロイヤル〜  

(6)金本浩二、大向美智子 VS 魔界4号、アメージング・コング 

(7)堀田祐美子、神取忍 VS 魔界魔女1号、2号 

(8)納見佳容 VS 下田美馬 

(9)中西百重 VS 浜田文子

 今回は全女創立35周年記念大会ということでかなり期待していたが、ハッキリ言ってハズした。いや、ハズしまくりである。もちろんその原因は判っている。なんといってもマッチメークが悪すぎ!

  プロレスというのは興行であるから時としてアングルも必要となるが、その内容が<それはないだろう>というものばかりでゲンナリしてしまった。ツッコミたいところは山ほどあるが、いちいち書いているとキリがないので以下には逆にこの日の良かった点を揚げておきます。

・前半戦で良かったのは第3試合。何のアングルも無かったので、純粋に試合内容のみで観客を魅了した。4人の中で一番活躍したのは、皮肉にもJWPの日向あずみ。渡辺と前川は普通。三田はラスカチョを解散して方向性を模索中といったところ。それにしても日向はつくづく惜しいと思う。レスラーとしてのポテンシャルはかなり高いのに、JWPという弱小団体に居るために大きな活躍の場が与えられていないのが現状。もっと表舞台に出てほしい存在である。

・第6試合のミックストマッチは新日本の田中リングアナ(ケロちゃん)がコールした。試合後に、リングサイドにいたパンクラスの鈴木みのると金本が視殺戦を展開していた。それにしても全女の会場で、新日本とパンクラスの選手が睨み合うってどういう意味?

・この日はメインの中西VS文子戦で救われた。もしこの試合がダメだったら、今回の興行はほとんど<金返せ>状態である。試合内容は文句無しに素晴らしかった。次世代のエース同志の初対決なので事前の期待もかなりのものだったが、それに見合う内容だった。浜田文子には佇まいだけでもエースとしての風格があり、やはり血は争えないと思った。(父親のグラン浜田もセコンドとして来ていた)結果としては文子が勝ちWWWAのベルト奪取となったが、これは何度でも見たいカードである。

  翌日のスポーツ紙によると堀田、高橋、西尾、Hikaruの4選手の全女退団が発表された。これってもしや崩壊の序曲?

  本当なら終了後にアリーナすぐ傍の奥田氏宅に顔をだそうと思っていたが、あまりにもゲンナリしてしまったので、そのまま帰ってしまった。失礼!

 

  

きぬたプロレス通信No.1

 アルシオン 後楽園ホール大会
(2003/04/29 12:00)

対戦カード:

(1)AKINO、北尾由賀梨 VS 高瀬玲奈、江本敦子

(2)Baby・A VS 天界二十八部衆 カルラ

(3)7WAYバトル(二人勝ち抜け) 参加メンバー:ライオネス飛鳥、下田美馬、井上貴子、吉田万里子、GAMI、玉田凛映、バイオニックJ

(4)藤田愛 VS チャパリータASARI

(5)吉田万里子 VS 玉田凛映

  本来ならこの日はトーナメントARSだったのだが、大向美智子離脱によるベルト返上のため結局、7WAYバトルによる勝者2名がメインで決定戦を行うことになった。

  この日の興行は休憩前の第3試合までは、ハッキリ言って<なんだかなあ〜>といった感じだったが、休憩後のセミはかなりの好試合。特にASARIは5月5日に引退するのでこの日がアルシオンでのラストマッチ、相手も手の合う藤田なのでお互い得意の空中技を出しまくり。そしてメインで場内は一気にブレイクした。

  勝ち上がった吉田と玉田は元々全女出身。ひと昔前なら全女興行の第4試合ぐらいのカードなのだが、吉田のファイトスタイルが当時とはまったく変わっているので、関節技VS全女スタイルの攻防となり場内は興奮の坩堝と化した。私もこの二人の対戦を何度も見ているが、この日の試合が今までのベストだと思う。最後に吉田の<クモ絡み>が決まってレフェリーストップになったのだが、二人共しばらく立ち上がれないほどの激戦だった。(負けた玉田は失神KO寸前で、ゴングと同時にリングドクターが飛び込んできた)

  最近のアルシオンは選手の離脱騒動などで一時に比べると団体としての勢いが落ちて来ているが、メインの試合を見る限りまだまだ大丈夫だと思う。新人の北尾も無事デビューしたし、生え抜き選手のAKINOや藤田がこのまま順調に延びれば未来は明るい。