■きぬた映画通信

 


 

きぬた映画通信特報

本日の押井発言

現在開催されている東京国際映画祭の<東京アニメ映画祭>という企画で本日「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の上映があり、押井さんも登場するとのことなのでちょっと覗いてきました。(AM11:30より上映、平日の昼間なのに結構お客さん入っていた)

  十数年ぶりに観た作品だったが、やたら新鮮に感じた。話の展開やキャラクター設定など、一部忘れていた部分もあったりして記憶の欠落を埋めながらの観賞だったけれど、新しい発見もあった。鳥や魚などの押井さん独特のモチーフは既にこの頃から、さりげなく画面に登場していたのですね。この作品はとかくストーリーにばかり注目がいくけれども、後々の作品としっかりつながっているのが確認できました。

  上映終了後に押井さんが来場してのトークショーが始まり、司会のお姉さんとのやりとりが二、三続いた後に「攻殻機動隊」が全米でセルビデオ・チャート1位になった件に話が及ぶと、押井さんは「あの作品がなぜ売れたのかの理由が、なんとなく解ってきた」と発言。それによると「公開当時、日米のいろんなマスコミから取材を受けて、いろんな意味で注目されたけれども、実際に作品を観るための上映用プリントは全米でたったの2本、つまり完全にアングラ、というかカルト作品扱いだった。そのプリントにしても50州を回って使われたものだから全編に渡ってキズの雨が降っていて、とても観賞に耐えられる状態ではなかった。キレイな映像を観たい人はセルのソフトを買うしか無かったんです。」とのこと。これは今年「イノセンス」の全米公開で渡米した際に、ハリウッドのドリームワークス社で確認したのだそうです。 (ちなみにイノセンスでは全米公開用のプリントが50本準備されたそうです)

  話が一段落して、観客からの質問を受け付けたのだが、ほとんど手が上がらなかったのでワタクシ意を決して手を上げ、現在進行中の仕事並びに今後の予定について質問してみました。それによると現在決まっている仕事は三つあって、ひとつはまもなく開催される愛知万博の展示の件。 (実は昨日から今朝の8時まで、徹夜で川井憲次氏と音楽のダビング作業をしていたのだとか) 二つめは近々創刊されるI.G が発行する新雑誌で、連載漫画の原作を書くとのこと。 (作画は藤原カムイ氏だそうです。) そして三つめは「低予算のビデオ・シリーズ」だそうで、「御先祖様万々歳」と同じようなリリース形式になるそうです。「敢えて作品名は言わないけれど、例の蕎麦関係のヤツです。」というわけで、立喰師列伝の映像化に正式にGOが出たようです。

  以上、きりたっぷでした。なぜかいつも迷彩帽を被っているアノ方が、取材パスを付けて参加しておりました。

 

 

 

 

きぬた映画通信特報

<きぬた通信>遅延のお詫び

  きりたっぷです。

  このところ <きぬた通信> がすっかり御無沙汰になっておりまして、誠に申し訳ありません。それというのもこちらの機材 (といっても単に携帯一個) にアクシデントが発生しまして、そのために発信出来ませんでした。 (単に私の操作ミスなのですが) メモリー内のデータがスルッとまるごと綺麗さっぱり消えてしまいまして、それを復旧させるのにかなり時間を費やしてしまいました。 (次の映画通信も八割方書いていたのですが、全部消えました) というわけで映画は2月分と3月分をまとめて送りますのでかなり長文になります。そこでこれは一旦後回しにして、比較的短めな落語の方を先に発信します。

  メンバーの皆様もデータの流失、じゃなくて消失にはくれぐれも御注意下さいませ。

 

 

きぬた映画通信No.24

1月のまとめ

昭和歌謡大全集

肉体女優殺し 五人の犯罪者

真実のマレーネ・ディートリッヒ

パリ・ルーヴル美術館の秘密

ロード・オブ・ザ・リング SEE

冬の日

女体桟橋

ブルース・オールマイティ

ファインディング・ニモ

UP! メガ・ヴィクセン

ドラキュリアⅡ

赤い髪の女

娘と私

10ミニッツ・オールダー/イデアの森

バレット・モンク

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 SEE

1980

悪霊喰

    注:SEE=Special Extended Edition

  邦画 7本  洋画11本    合計18本

[1月のまとめ]

 毎度同じネタで申し訳ないのだが、今回も劇場の閉館のニュースである。 1月31日を最後に有楽町駅前の銀座シネ・ラ・セットが閉館した。地域再開発が理由のようだが、やはり一抹の寂しさを感じずにはいられない。有楽町マリオンの裏側の、パチンコ屋やゲーセンや居酒屋などが密集したエリアの中にこの劇場は在ったのだが、ここが丸ごと再開発されてしまうらしい。

 シネ・ラ・セットと聞くと馴染みが無いかもしれないが、以前の有楽シネマという館名なら御存知の方も多いはず。60年代後半から70年代前半にかけてATG (アート・シアター・ギルド) 作品の封切館として、ひとつの時代を築いた劇場である。私が足を運ぶようになった頃には既にATG作品は上映していなかったが、それでも通好みの作品をいくつも観せてくれたし、劇場入口の上にはATGのロゴマークが誇らしげに輝いていた。また、有楽シネマ時代にはたぶん都内で唯一、本編の前にニュース映画を上映していた劇場でもあった。 (たしか毎日新聞ニュースだったと思う。35mmのニュース映像というのは、今となってはかなり貴重)

 シネ・ラ・セットになってからはなんと言っても、大ヒットした「アメリ」を上映した館として有名だったし、私個人としては鈴木京香主演の「木曜組曲」を観た劇場として、今後も記憶の中で生き続けていくことだろう。

 というわけで、今回も観た作品名を隅から隅までどど~んと。

 

  通常ならばここでは個別の作品について記すところであるが、今回は非常事態なのだ。なんと2月いっぱいで自由が丘武蔵野館も閉館するというではないか! いったいどうなっておるのだ? ここまで閉館が続くというのは、ちょっと信じられない。

  私のこの劇場との付き合いはかなり長い。現在のフィットネスクラブの二階にある劇場に改築される前、古~い平屋建ての <自由が丘武蔵野推理劇場> と名乗っていた名画座の頃からである。この時代に観た作品で今でも忘れられないのは、ハリーハウゼンのモデルアニメーションが見事な <水爆と深海の怪物> と今年のお正月にNHKで放映された <サンダーバード6号> である。どちらも、もう劇場のスクリーンでは観られない作品なのでなおさら思い出深い。

  現在の番組編成は昼間の東宝系邦画と、テーマによって独自の作品を週変わりで上映するレイトショーの二部制になっているが、ここで素晴らしいのはレイトショーで上映する作品の選定で、最近では <夢野久作の少女地獄>だとか<軍旗はためく下に> などをやっている。で、これはどんなテーマかというと <怪優・三谷昇特集> だったりするのだ。また昨年は <丹波哲郎特集> として、この<きぬた通信>でも紹介した <忘八武士道> や <恐怖奇形人間> を上映している。レイトショー作品を紹介するオリジナルのチラシも作成しており、文面も単なる資料のコピーではなく、必ずスタッフの一言コメントが添えられていて、これも好感が持てた。

  このような <古い日本映画を上映する> という行為が、経営として採算が合わないであろう事は私にも想像できるが、特に自由が丘には今は亡き゛名画座最後の砦″大井武蔵野館の遺志を引き継いでいる、という特別なものを感じていたのでもう少し頑張ってほしかった。

 以上、きりたっぷでした。ああもう、しばらく立ち直れない。

 

 

きぬた映画通信No.23

12月のまとめ

アイデンティティー

マトリックス レボリューションズ

女の都、オーケストラ リハーサル

狙撃、東京ゴッドファーザーズ

激動の昭和史 軍閥

女はみんな生きている

閉店時間

女競輪王

ひめごと、

アンダーワールド

告訴せず

女番長 野良猫ロック

修羅雪姫

フォーンブース

女真珠王の復讐

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ/東京SOS

邦画10本  洋画8本    合計18本

[12月のまとめ]

 日本に外資系のシネマコンプレックス(通称シネコン)が入ってきて、それなりの時間が経過したが、いよいよ地方や郊外から都心部へ進出してきた。もちろんこれは、六本木ヒルズのことを指しているのだが、その余波として渋谷の東急文化会館が閉館したことは、以前ここでも述べた。 (閉館の理由として、直接六本木ヒルズの名前は出てはいないが、影響があったのは確実である) そして今度は新宿の追分交差点近くに在った新宿東映会館が1月9日を最後に閉館した。 (この中に在った新宿東映パラス2という劇場は、スクリーンに対して座席配置の傾斜がもの凄く急で、階段を上る時にうっかり足を踏み外すとそのまま一番下=最前列まで転げ落ちてしまいそうであった。ここまで急な傾斜は私の知る限り、今は亡き難波の大阪球場の内野スタンドぐらいである) だがこの閉館は外資系シネコンに負けたからではなくて、むしろその逆である。新宿東映会館の跡地には、新しい国内資本のシネコンが建つ予定で、外資系に対抗するための積極策なのである。こうして都心の繁華街に残っている昭和時代からの劇場は、いずれ新しいシネコンに移り変わっていくのだろう。観客にしてみれば設備は良くなるし、競争があれば料金の価格破壊が起こる可能性もあるわけで、ウレシイことばかりなのだが、物事はそう単純ではない。

 現在これだけ娯楽が多様化している中で、今後年間の映画観客人口が飛躍的に伸びることはまず有り得ない話で、そこで上映館数だけが増えても一館当たりの収益は横這いか、もしくは下がることになる。皆様御存知のように外資系企業というのは大変数字にシビアなわけで、収益が上がらなければ<日本からは撤退>なんてニュースが流れる日が来る可能性もある。そうなると膨らみきった上映館数はバタバタと減少し、このままの景気が続けば料金の値上げも出来ず、最後には<映画興行不毛の地>になってしまう。

 こんな未来予測にはもちろん当たってほしくないのだが、さてさて日本の映画興行の、明日はどっちだ~・

 

 というわけで今回も作品名を、ちょっと少なめですがどど~んと。

 

[2003年ベストテン]

 ここで少し説明をさせて頂くが、以下のベストテンは2002年12月から2003年11月までの間に公開された新作映画を対象として選出した。邦画と洋画を特に区別せず、映画祭などで特別上映された作品は対象外とした。

①六月の蛇

②グレースと公爵

③ファム・ファタール

④スコルピオンの恋まじない

⑤恋は邪魔者

⑥カンパニーマン

⑦アンダーワールド

⑧あじまあのウタ

⑨アイデンティティー

⑩ボウリング・フォー・コロンバイン

次点:キル・ビル

  ベストテン作品の中には<きぬた通信>のスタート以前の作品も入っているが、どれも有名なものばかりなので特に解説の必要はないだろう。(え? 知らない? )それにしても選出作品を改めて眺めてみると、見事なまでにファミリー向けの作品は入っておりませんな。やっぱりこういうところで選者の人間性が出るものらしい。2004年には待望の両巨頭の作品が公開されるが、はたして出来はいかばかりなのか? 期待と不安を胸に抱きつつ待つことにしよう。

 

 

きぬた映画通信No.22

11月のまとめ

片腕カンフー対空飛ぶギロチン

怒れるドラゴン/不死身の四天王

ウルトラヴィクセン

タカダワタル的

サンダーパンツ

マッチスティックメン

エイリアン ディレクターズカット

お吟さま

女神が家にやってきた

トゥームレイダー2

28日後…

その人は昔

フレディVSジェイソン

座頭市

恋は邪魔者

白と黒

リーグ オブ レジェンド/時空を超えた戦い

最後の審判

キル・ビル

社長学ABC

競輪上人行状記

フェリーニ/大いなる嘘つき

ティアーズ オブ ザ サン

雨の午後の降霊祭

密愛

邦画 8本  洋画17本    合計25本

[11月のまとめ]

 今回もかなり配信が遅れてしまった。ホント申し訳ない。やはり年末というものは、いろいろとやる事が多いのだ。

 話は変わるが、毎月これだけの作品を観ていても、もう一度観に行きたいと思えるものは、残念ながら滅多ににない。確率的には年間で数本といったところだろうか。逆に旧作でも、都内近郊のどこかの劇場で上映していれば、万難を排して駆けつけるお気に入りもある。毎月のまとめの中で、いつも観た作品の題名を列挙しているが、これは初見のみで再見の作品は入っていない。今回はそういった<お気に入り>を紹介しようと思う。その前に、いつものように観た作品名を懲りもせずにどど~んと。

 

<私のお気に入り その1>

 しとやかな獣 (1962)

 出演:若尾文子、伊藤雄之助、山岡久乃、高松英郎、船越英二

 監督:川島雄三 (下高井戸シネマ)

 川島雄三の代表作といえば、通常は「幕末太陽伝」になるのだが、私としては断然こちらを推したい。舞台は60年代前半の東京郊外の公団アパートの一室で、カメラはほとんどこの部屋から出ずにストーリーが進行する。この部屋に住む家族は全員が詐欺師で、そこに芸能プロの社長や所属タレント(小沢昭一怪演!)や流行作家や税務署職員などが様々な理由で絡んでくる。だがここで一番凄い演技を見せるのは、芸能プロの会計係に扮している若尾文子である。俗に言う <悪い女> の典型を見事に表現していて、こんな <悪くて綺麗なお姉さま> になら一度でいいから騙されてみたい、と男性ならつい考えてしまうほどの妖艶さ。当然の如く詐欺師一家を相手に、色仕掛けでまんまと大金を手に入れる。

 登場人物全員が悪人で、良心のカケラも無い者同志がぶつかり合うという、スリリングな展開が何とも心地よい作品。私個人としてはもし、自分が死んだら棺桶の中にこのソフトを入れてもらい、あの世にまで持って行きたい傑作である。

 

<私のお気に入り その2>

 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 (1969)

 出演:吉田輝雄、小池朝雄、大木実、由美てる子、土方巽

 

 ポルノ時代劇 忘八武士道 (1973)

 出演:丹波哲郎、ひし美ゆり子、伊吹吾郎、内田良平、遠藤辰雄

 

どちらも監督:石井輝男 (自由が丘武蔵野館)

 

  60年代後半から70年代前半にかけて東映で作られた、いわゆる<異常性愛>路線の中の2本。石井輝男監督といえば<網走番外地>シリーズが有名だが、こういったエログロ路線の作品にも独自の美学を発揮する。 (監督として未だ現役!)

 1本目はタイトルが示すとおり、電波に乗せることはもちろん、ソフト化も絶対不可。なにせ <奇形人間> ですからね。そのためかこの作品は完全にカルト化していて、どこかで上映されるとなるとマニアな連中 (主に20代でなぜか女性が多い) が大挙して詰め駆け、それなりの観客動員数を見込める作品になっている。

  一応、乱歩の原作になっているが、いろんな作品を継ぎ接ぎしているので、ほとんどオリジナルと言ってもよい。 (ラストには明智小五郎まで登場!)そしてこの作品を特徴づけているのは、土方巽率いる<暗黒舞踏>の面々である。そのオドロオドロしさは、とても言葉では表現出来ないし、昨今はやりのジャパニーズ・ホラーなんて足元にも及ばない。

  二本目は小池一夫原作の劇画の映画化で、いわゆる<吉原もの>である。幕府と吉原の総名主の対立に、丹波哲郎扮する無宿者が絡んでくるというストーリーだが、ここで注目すべきなのはウルトラセブンのアンヌ隊員こと、ひし美ゆり子さんが準主役で出演し、しかも出演シーンのほとんど全てがオールヌードで、そのまま立ち回りなどもこなしていることである。私のような世代の人間にとっては、ひし美ゆり子さんは一種特別な存在なので、その美しい肢体を観賞出来るだけでその映画は文字どおり<お気に入り>となる。こちらはソフト化されているので、探せば比較的簡単に手に入るでしょう。

 

 

きぬた映画通信No.21

アイデンティティー (2003)

出演:ジョン・キューザック、レイ・リオッタ、アマンダ・ピート、レベッカ・デモーネイ

監督:ジェームズ・マンゴールド

(ニュー東宝シネマ)

 久しぶりに登場した謎解きミステリーの傑作である。集中豪雨のために荒野の小さなモーテルに足止めされた10人の男女。ハリウッド女優とその運転手、交通事故に遭遇した親子、囚人護送中の刑事、貧相なモーテルの支配人など、曰く有りげな人々が集まった中で起こる連続殺人。映画は外界と遮断されたモーテルと、明日死刑執行予定の連続殺人犯の日記が発見され、これを新証拠として採用するべきかの予備審問とが、平行して描かれていく。中盤までは二つのストーリーには全く接点は無いが、予備審問で死刑囚本人への精神鑑定が開始されると、二つのストーリーは見事に繋がっていく。

  モーテルでの連続殺人は、近くに先住民の共同墓地がある事実が浮上したりして、観客に <これってミステリーじゃなくてオカルトもの?>と一瞬思わせるが、ここから一気にドンデン返しへとなだれ込んでいく。未見の方のために、ここではラストのオチは明かさないが、ミステリーのセオリーから言えばこのオチは反則スレスレである。いや、スレスレだがやっぱり反則と言うべきだろう。ただしだからといって映画の面白さが損なわれるわけでははなく、反則技でもラストで観客がアッと言わされるのは間違いない。ひとつだけヒントを言えば、 <アイデンティティー> というタイトルそのものが謎を解くキーワードになっている。劇場での公開は終了しているので、ビデオやDVDで発売されたら一度手に取ってみて下さい。

 

 

きぬた映画通信特報2

2003/11/19

  昨日、渋谷に<リーグ・オブ・レジェンド>を観に行ったら 押井さんの新作<イノセンス>の特報が新しくなっておりました。時間も15→30秒と長くなり、主人公が前作の素子の相棒だったバトーであることも明示されています。背景に使用されている3DCGもかなり質感が改善されていて、人物との違和感もそれほど有りません。あ、犬と鳥もちゃんと出てきます。一緒に上映していた宮崎さんの新作の特報は、相変わらず15秒のままでした。使える画がまだ少ないのでしょうな。

 

 

きぬた映画通信No.20

[10月のまとめ]

HERO 英雄

関東おんなド根性

おんなの渦と淵と流れ

砂の上の植物群

ライフ オブ デビッド・ゲイル

閉ざされた森

喜劇 だましの仁義

シェフと素顔とおいしい時間

ザ・レース

女子学生マル秘レポート

デブラ・ウィンガーを探して

釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!

続 女子学生マル秘レポート

喜劇 大風呂敷

あいつと私

御用金

狂恋詩

女子学生マル秘レポートNO.3 初体験特集

あした晴れるか

バリスティック

女子学生マル秘レポートNO.4 性感優等生

猟人

くたばれ! ハリウッド

ザ・ドリフターズのカモだ!!御用だ!!

女子学生マル秘レポートNO.5 ハレンチポルノ'74

フリーダ

アダプテーション

女子学生マル秘レポートNO.6 我慢できない女たち

ザ・スパイダースの大進撃

ワンダーアンダーウォーター/原色の海

アフリカへの想い

ジョニー・イングリッシュ

スパイキッズ3-D ゲームオーバー

S.W.A.T.

アイノカラダ

 

  邦画12本 洋画23本  計35本

 [10月のまとめ]

  なにも今に始まったことではないが、昨今の映画の企画の貧困さは眼を覆うばかりだ。過去の名作、アニメ、ヒットシリーズが続々とリメイクされているが、庵野監督の実写版「キューティー・ハニー」のような期待を持たれている作品は稀で、大抵の作品は箸にも棒にもかからない場合が多い。これはなにも日本だけの現象ではなくて、ハリウッドでも同じことだ。実写版「サンダーバード」は来年公開予定だし、「ゾンビ」と「悪魔のいけにえ」のリメイク版は、既に劇場で予告編が流されている。(もちろん監督はオリジナルとは別の人!) 過去の作品は有限なわけだから、いずれリメイクするべきオリジナルが底をつく日が来るはずだが、その後はいったいどうなるのか。人間の頭脳から産み出されるアイデアが無尽蔵であることを期待したいが、はたして?

 というわけで今回も観た作品名を一気にどど~んと。

 <今月のマニア向け>

 {女子学生マル秘レポート}シリーズ

   女子学生マル秘レポート(1971)

  続 女子学生マル秘レポート(1971)

  同 NO.3 初体験特集(1971)

  同 NO.4 性感優等生(1972)

  同 NO.5 ハレンチポルノ'74(1973)

  同 NO.6 我慢できない女たち(1973)

 監督:エルンスト・ホフバウエル(アップリンクファクトリー)

  今ではまったく忘れられ、話題になることも無かった作品が、こうして再び世に登場するのもDVDというメディアのおかげである。1970年代前半に旧西ドイツで製作されたポルノ映画シリーズで、日本で初公開された時もけっこう評判となった。

  内容はレポーターが街頭インタビューにて通行人から自身の性体験について語ってもらう部分と、その体験をドラマとして再現する部分とが交互に展開する構成になっている。出演しているのはほとんど素人ばかりで、その均整のとれていない身体がかえって生々しい印象を与える。ドイツ国内でもかなりの話題になったらしく次々と続編が作られていくが、四作目の冒頭では街頭インタビューをするレポーターが登場して「観客の皆様から様々な賞賛や批判を浴びましたが、体験談は今も続々と寄せられており、我々は今後も作品を作り続けます」と所信表明するシーンもあり、当時としてはかなり物議をかもしたようである。

  驚いたのは当日来ていた客層で、男女比で言うと 6:4 ぐらいで、女性がかなり多い。男性の中には初公開当時に観たであろう、かなり年輩の人もチラホラいたが、女性のほとんどは二十代で、感覚としては <70年代ファッションを知るためのポップな映画> なのだろう。(もっとも、上映が始まって10分ぐらいでハダカの画面に耐えられず、そそくさと立ち去って行く女性の方も何人かいたが)

  アップリンクファクトリーにはこれからも、映画史には残らないがカルトな人気を誇る、名も無き作品群をどんどん発掘していってもらいたい。

 

 

きぬた映画通信No.19

 

東京国際映画祭'03特集

 まずは2日のファンタスティック映画祭(今年から新宿ミラノ座)は<映画秘宝まつり>ということで、香港の伝説のカンフー・スター、ジミー・ウォング主演&監督の<片腕カンフー対空飛ぶギロチン>(1976)と<怒れるドラゴン/不死身の四天王>(1973)のリバイバル二本立。休憩時間にはジミー・ウォング御本人がわざわざ来日して舞台挨拶に登場。場内は万雷の拍手! この回の観客はいわゆる<出来上がっている>状態で、アクションが決まれば拍手、ギャグをかませば大爆笑、とにかくガンガン反応する。

  この二本はブルース・リーのようなストイックな映画ではなく、冒険活劇カンフーといった感じ。作り方は荒っぽいがスクリーンから勢いとパワーが、吹き出すように迸っている。現在の映画界に一番足りないのは実はこれなのだが。

  ちなみに両作品とも悪役の日本人が登場する。もっともこの時代の香港映画ではよくあるパターンなのだが。ブルース・リーの<ドラゴン怒りの鉄拳>でも悪役は日本人。この作品に出てくる悪ボスは橋本力さんという俳優なのだが、この方は大映の大魔神シリーズで着ぐるみの中に入っていたヒト。つまりドラゴン VS 大魔神が、既に人知れず実現していたのだ! これってトリビアの泉で使える?

 

  次は同じく2日の東京ファンタのオールナイト上映<ラス・メイヤー ナイト>。60~70年代に米国で活躍したポルノ映画監督、ラス・メイヤーの作品三本をまとめて上映。作品名は<ファスター プッシーキャット!キル!キル!>(1966)、<ヴィクセン>(1968)、<ウルトラヴィクセン>(1979) だがこの際題名はどうでもよろしい。要点はこの監督の作品に出てくる女優はすべて<巨乳>、それだけである。この時代はまだハードコア=本番は行われてはおらず、すべて演技なので昨今のAVを見慣れた者にとっては、内容的にはかわいいモノだがなにしろ<巨乳>の大盤振舞いなので、上映が終了して早朝の歌舞伎町で太陽光を浴びたら、思わず「ごちそうさまでした…」と言いたくなってしまった。

  ラス・メイヤーとは何の関係もないがなぜか庵野秀明監督が実写版<キューティーハニー>の予告編と共に舞台挨拶に登場。「ほんの少しだけど本格的なミニチュアワークのある特撮がやれてうれしかった!」 と、しきりに強調されておりました。

 

  オールナイトでヘトヘトになりながらも翌3日の映画祭特別招待作品<タカダワタル的>(2003)に行く。これは伝説のフォークシンガー、高田渡の日常やライブ風景を追ったドキュメンタリー映画。高田渡といえば最も有名な曲は<自衛隊に入ろう>だが、最近はライブでもこの曲は歌っていない様子。だがトボけた味わいで漂々と歌い上げる姿は何とも魅力的。地元の吉祥寺での日常も、馴染みの居酒屋でフラフラしたり、自宅で酔い潰れて寝ているところを撮影されたりと全く気取りが無い。

  会場の渋谷ジョイシネマは立ち見が通路を埋めるほどの超満員。上映終了後の舞台挨拶ではプロデューサー兼出演もしている俳優の柄本明と、高田渡御本人が登場。その場で短い曲を三曲歌うという大サービス!(中でもスキンシップ・ブルースを生で聞けたのがヨカッタ!)

  上映時間は65分と短いが、この作品はもう一度じっくり見てみたい。来春にテアトル新宿で一般公開するそうです。

 

  最後は4日の特別上映作品の <エイリアン ディレクターズカット版>( 1979=2003)である。オーチャードホールのような大きい会場の大スクリーンでエイリアンが暴れるのを観ると、やっぱりスゴい迫力。20年以上前の作品だが内容的には全く古びていない。その後シリーズ化されたことを考えると、すべての原点がこの中にあるわけで、そういう意味でも画期的な作品である。

  エンドクレジットの後に来年公開予定の <エイリアンVSプレデター> の特報が付いていた。(この日が日本初上映だったとか) もうここまで来ると<モスラ対ゴジラ>みたいに東宝怪獣映画のノリである。<フレディVSジェイソン>も現在公開中だし、どちらが面白いか見較べてみるのも一興かも?

 

 

きぬた映画通信No.18

[9月のまとめ]

シー キルド インエクスタシー

弾痕

キリクと魔女

ピアニストを撃て

二十歳の恋 フランス篇

春だ ドリフだ全員集合!

永遠のマリア・カラス

トッポ・ジージョのボタン戦争

ゲロッパ!

ハルク

アイ・スパイ

女賭博師 乗り込む

ファム・ファタール

真剣勝負

日本ゲリラ時代

新撰組

祭りだ お化けだ 全員集合!

続 秘録おんな牢

牛乳屋フランキー

ある機関助士

シップヤードの青春

みえない鉄道員

猟人日記

舞伎はんだよ 全員集合!

パイレーツ オブ カリビアン

秘録おんな寺

HOTEL

月曜日のユカ

えびボクサー

放課後

 

  邦画19本 洋画11本  計30本

 [9月のまとめ]

 ずいぶんと遅くなってしまって本当に申し訳ない。なにしろトコトン忙しかったのだ。何でかって? もちろん映画を沢山観ていたからである。中でも最大の要因は自由が丘武蔵野館の<ババンバ ドリフで全員集合!>と、ユーロスペースの<中平康レトロスペクティブ> の両特集上映のせいである。どちらも滅多に上映されない作品ばかりなので自然と足が向き、毎週のように通いつめる結果となってしまった。

 ではこのふたつが終われば楽になるのか、と言えばさにあらずで新文芸坐の勝新太郎特集、イメージフォーラムのフェデリコ・フェリーニ特集、それに下高井戸シネマの小沢昭一特集と面白そうな作品が目白押し。これ以外にも普通にロードショー公開される新作もあるのだ。ああもう、マジで身体がふたつ欲しい! というわけで、いつものように一ヶ月間に観た作品名をまとめてどど~んと。

 

 <今月の想わぬ拾いモノ>

 ファム・ファタール(2002)

 

 出演:レベッカ・ローミン=ステイモス、アントニオ・バンデラス、リエ・ラスムッセン、エリック・エブアニー

 

  監督:ブライアン・デ・パルマ

 (新宿武蔵野館1)

 久しぶりのデ・パルマの快作! この監督は以前は<ヒッチコックもどき>とよく言われたが、現在では完全に自己のスタイルを確立している。また、デ・パルマは他人の企画の雇われ監督として仕事をすることもあるが、(アンタッチャブル、ミッション トゥー マーズなど)今回は自分の企画なので好き勝手のわがままぶり。だがそれがトンデモなく面白い。内容は怪盗ものプラス悪女ものといった感じで、例によってキャメラは俳優の回りをグルグルと流麗に動きまくる。そして問題のラスト。デ・パルマは必ず変わったオチをつけるので有名だが、今回はもう凄過ぎ。ここでは内容は明かさないが、これを掟破りと感じて怒るか、スゴイと感じて面白がるかは人によって評価が分かれるだろう。そういう意味でもとにかくこれは必見!である。

 この作品を観賞した新宿武蔵野館1(新宿武蔵野ビル7F)は残念ながら9月30日を最後に閉館となった。この劇場は駅東口地下街からそのまま入れたので雨の日には非常にうれしいところだったのだが。同ビル3Fの三館は今後も存続するようだが、昭和の老舗劇場がまたひとつ消えた。無念!

 

 <今月のちょっと大真面目>

 ある機関助士(1963)

 

 シップヤードの青春(1969)

 

 見えない鉄道員(1970)

 

  =全て短編ドキュメンタリー映画

 

(東京国立近代美術館フィルムセンター 小ホール)

 今回は通常の大ホールでの定期上映ではなく、<短編映像メディアに見る現代日本> という普段は観るチャンスのない短編ドキュメンタリー映画をカテゴリー別に分けての上映会。1本目は常磐線の急行<みちのく>を牽引する蒸気機関車=C62に乗務する機関助士の一日を追った作品。午前中に上野→水戸間を走り機関区で休憩した後、青森からやって来た上りの<みちのく>を水戸で受け継ぎ、夕闇迫る常磐線を取手到着までになんとか遅延を回復しようと奮闘する姿が描かれる。(取手以降は国電区間となり運転本数が増えるので、定時回復は難しくなる) 無事上野に到着したC62は神々しいまでに美しい。だが翌年(1964)には蒸気機関車は常磐線から消えていく運命なのだ。

 2本目は高校卒業後、九州の大型造船所で働く溶接工の日常を描写。作中のナレーションでは、造船業は高度経済成長を支える花形産業として紹介されているが21世紀の現在、造船業がどうなっているかは皆様御存知のとおりで、時代の変転というものを痛切に感じる。

 3本目はこの時期から急速的に普及し始めた業務用コンピュータ(作中では大型電子計算機と呼んでいる)が当時の国鉄に導入されていく過程を紹介。ATCによる列車運行の集中制御やマルスによる指定席の自動発券(登場するのは最初期型で、パンチ穴が両側に付いて券が縦に出てくるタイプ)、珍しいものとしては貨物ターミナル内の貨車を行き先別に自動編成する装置など、当時の最先端技術が人間の手仕事にとって代わる様子が描かれている。

  高度経済成長期に導入された技術は、今となっては日常的に当たり前なものばかりだが、その段階に至るまでには多くの情熱と時間が費やされている。また逆にそのおかげで今の社会からは完全に消えてしまったものも少なくない。過去の時代を的確に捉えた上記の映画は、改めてその事を我々に指摘し続けている。

 

 

きぬた映画通信No.17

放課後 (1973)

出演:栗田ひろみ、地井武男、宮本信子、篠ヒロコ  

監督:森谷司郎

(中野武蔵野ホール)

 レイトショーの森谷司郎監督特集も最後の作品にして白眉、<放課後>の登場である。主演の栗田ひろみを御存知ない方のために少し解説を加えると70年代前半に森永製菓の小枝チョコレートのCMで、「高原の小枝を大切に~」という小森のオバチャマのナレーションが流れていた時に画面で微笑んでいた美少女、それが栗田ひろみである。彼女の映画出演作は内藤洋子よりもさらに少ないので、この作品は本当に貴重である。

 本作で栗田ひろみは高校二年生という設定だがこれがまさにピッタリ。ブレザーの制服で黒カバンを持っている姿を見ていると <最近こういう女子高生っていないよな~> とつくづく思う。大好きな先輩目当てに校門で待ち伏せするなんて今ではギャグにしかならないが、この時代では充分にリアルなストーリー展開なのである。作品のテーマとして<青春>を真正面から扱うことが出来たのはこの時代が最後かもしれない。

 また、作中では栗田ひろみの家が世田谷区の豪徳寺にあるという設定なので東急世田谷線が何度も出てくる。当然車両は旧型で駅も改装前の低いホーム、豪徳寺の商店街もコンビニなんてものは無く個人商店ばかり、三十年という時間経過は確実に東京を変貌させている。

 この作品のもうひとつの特徴として井上陽水の曲がふんだんに使われている。オープニングの東宝マークから作品タイトル、そして栗田ひろみが登場するまでは有名な<夢の中へ>が流れるし、それ以降も<断絶><いつのまにか少女は>など陽水初期の名曲のオンパレード。当時としてはフォークソングブームの最中にあって時代を先取りした、ある意味で前衛的なセレクトだったのだろうが今となってはスタンダードナンバーとしてすっかり定着している。(オマケとして陽水のLPレコードがチラリと登場するシーンもあり)

 その他にも篠山紀信のヌードフォトの展示会 (たしか日本語版プレイボーイ誌に発表した写真だと思う) を観に行くシーンがあったり、渋谷や青山のロケでは走っている都バスが美濃部色 (クリーム地に青ラインの塗色) だったりと、何気ないシーンがいずれも時代の雰囲気を的確に捉えていて面白くもあり、そして懐かしくもあり。

<お詫びと訂正>:映画通信NO.14にて<ノストラダムスの大予言>は森谷司郎監督作品と記述しましたが、正しくは桝田利雄監督作品でした。お詫びして訂正させて頂きます。それにしてもこんな基本的な事を間違ってはイカンですなあ。手元にある<映画秘宝>シリーズとかを調べれば簡単に判るハズなのに。何事も記憶に頼らずにキチンと調べれなければイケマセン。海よりも深~く反省。

 

 

きぬた映画通信No.16

[8月のまとめ]

背中で感じる指先

テープ、アンダーカバーブラザー

春桜 ジャパネスク

ボウリング フォー コロンバイン

八月はエロスの匂い

女巌窟王

トークトゥハー

チャーリーズエンジェル フルスロットル

蒸発旅日記

赤いハンカチ

銀座の恋の物語

バトルロワイヤルⅡ

育ちざかり

白い巨塔

影なき陰獣

キャンディ

10日間で男を上手にフル方法

海女の化物屋敷

茄子 アンダルシアの夏

可愛い悪女 殺しの前にくちづけを

兄貴の恋人

セクレタリー

あじまあのウタ

CAPA in Love & War

マイビッグファットウェディング

ターミネーター3

穴の牙

弘高青春物語

 

  邦画17本  洋画12本   計29本

 [8月のまとめ]

 最近よく考えるのだが、ここまで全国的にシネコンが出来てしまうと一見、都市と地方の格差(公開される映画の絶対数という意味で)なんてほとんど無いように思える。ましてや昨年ぐらいから同じ地域でシネコン同志が競合する現象まで出てきているのだからなおさらである。 (12日にオープンするTOHOシネマズ川崎、と言うか元はヴァージンなのだが場所は京急川崎駅前。これって明らかにチネチッタにケンカ売ってますな。ヴァージンは海老名でもワーナーマイカルと競合しているし、よほどのケンカ好きとみえる) 劇場という形式にに拘らないのであれば、BSやCSの専門チャンネルもあるしレンタルのソフトも盛り沢山である。

 だがそんな中でもなかなか見ることが出来ないのが過去の日本映画、それも名作と呼ばれない名も無き作品群である。 (たとえば黒沢明作品とか円谷特撮とか人気ジャンルの作品を見るのは比較的簡単だが、そのカテゴリーから外れたものは放送機会やソフト量が一気に減少し、かなり難しくなる)日本国内で日本映画が見られないって、これはかなり困った状況なのだが裏を返せばそこにラピュタ阿佐ヶ谷や中野武蔵野ホール、銀座シネパトスや自由が丘武蔵野館のレイトショー企画の存在意義があるわけで、こういう劇場が取り上げなければ倉庫に眠ったままになっていた作品がいかに多いことか。

 というわけで、古い無名の日本映画を見るという行為は誰にでも出来る事ではなく(上記の劇場に通うには少なくとも首都圏在住でないとちょっと無理)金銭面はともかく、時間的な事を考えればこれはか~なり贅沢な遊びだと思うのだが如何だろうか。 (ここまで長々と書いてきて結論はそれかよ! このジコチューめ!!)

 では毎度おなじみの恒例行事をドド~ンと。

  

<今月のアッと驚く大怪作>

 女巌窟王 (1960)

 出演:三原葉子、万里昌代、吉田輝雄

 監督:小野田嘉幹

 銀座シネパトスのレイトショー特集<新東宝カルトムービーズ>の中でも特にカルトな一本。大蔵貢社長時代のエログロ路線によって創られた作品だが (有名なのは中川信夫監督の<地獄>や<東海道四谷怪談>など)現在の視点で見てもいろんな意味で面白い。  ダンサーの美人姉妹がギャングに追われてついに捕まり、無人島に連れて行かれて殺されそうになるが、洞窟に身を隠すと運良く? 大地震が起こり姉妹は中に閉じ込められてしまう。なんとか出口を探そうとする二人だがそこで運良く??海賊の財宝を発見し、俄然元気になった姉妹はついに脱出に成功。だがそこは無人島で助けを呼ぶ方法もなし、もはやこれまでと思われたが運良く??? 通りかかったヨットに救助され、そのヨットのオーナーと三人で海賊の財宝を資金にしてギャングに復讐することを決意する....と、ここまでが前半で後半は姉妹がギャングに復讐していくのだが、全編を通してこの美人姉妹は運が良すぎ! それに現代劇なのに海賊の財宝ってなんなのよ! 念のために言っとくけどこのストーリーはパロディじゃなくてマジだからね!

 でもこの映画の場合、ストーリーなんて大して重要な事ではない。重要なのはやっぱりカラダ、である。羽根付きレオタードのダンスシーンや着替えシーンにシャワーシーン、製作当時(昭和35年)の社会状況を考えればこれはかなりキワドい。洞窟で彷徨ったり無人島を探検したりするうちに姉妹の着ていた服はボロボロとなり、通りかかったヨットに必死に手を振る二人は超ミニビキニ状態。見事に観客の期待に応えている。

 それにしても、これだけ色々なコトをブチ込んでも上映時間はたったの82分! 昨今の平気で2時間を越える映画ばかり撮っている監督は大いに見習うべし!

 

 

きぬた映画通信No.15

 ターミネーター3 (2003)  

出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ニック・スタール、クレア・デーンズ、クリスタナ・ローケン

監督:ジョナサン・モストウ

(上野宝塚劇場)

 8月31日限りでJR上野駅公園口前にある上野東宝劇場と上野宝塚劇場が閉館になるので、その前に名残りを惜しむためにチョット出かけてみました。(私はこの劇場は初めて)

 T3を上映している上野宝塚劇場は地下なのでチケットを買って階段を降りていく。座席数は600強と大きめ。場内に入ると何とも懐かしい匂いがする。これは私が以前勤務していた横浜の劇場と同じ匂いではないか!(あの匂いを言葉で表現出来なくてすまぬ!)原因を考えた結果、場内の座席が横浜の劇場と同じものだったので、あの匂いは座席のモケットのの匂いだったのだと納得。

 映画の方は皆様よく御存知だと思いますので特に解説を付け加える必要は全くナシ。シュワちゃん扮するT-850とクリスタナ・ローケン扮するT-Xの戦いはやっぱりスゴイ。(特に最初のクレーン車を使ったスタントは凄すぎ! CGをほとんど使っていないのも好印象!)通常のハリウッド映画と少し違うところはラストで意外なオチがあること。私は <続・猿の惑星>を連想してしまいました。(これってネタバレ?)

 最後に長い間上野東宝会館に勤務されてこられた方々、そしてクレーン車に宙吊りにされてヒドい目に遭わされたスタントマンの方々に拍手!!

 

 

きぬた映画通信No.14

兄貴の恋人 (1968)  

出演:内藤洋子、加山雄三、酒井和歌子、岡田可愛、中山麻理

監督:谷司郎

(中野武蔵野ホール)

 レイトショー企画として上映された森谷司郎監督特集の中の一本。森谷監督と言えば<日本沈没>や <ノストラダムスの大予言>(金輪際、上映されません) が有名だが、この作品はそのような大作ではなく、数多く作られたいわゆる東宝青春映画路線の流れを汲んでおり、そうなるとやはり主演は当時の東宝NO.1アイドルだった内藤洋子となる。

 内藤洋子といえば黒沢明の<赤ひげ>が代表作となるが、その天性の明るいキャラクターを考えれば今回のような作品のほうがノビノビ演技していて、見ているこちらも気分がウキウキしてくる。作中で兄役の加山雄三は妹役の内藤洋子をわざと「デコ助!」と呼んでいるが、これはまさに内藤洋子のイメージそのものであり、内藤洋子とはイコール、デコ助な娘なのである。

 作中で加山雄三はサラリーマン、内藤洋子は大学生なので満員電車に乗る場面が当然出てくる。山手線や中央線 (国鉄時代の103系で非冷房!)も懐かしいが、後半で内藤洋子が酒井和歌子の実家(川崎という設定)を訪ねる場面では、背景で走っている鶴見線が旧型国電(チョコレート色!)でもう涙モノ。当時としては当たり前な光景なのだが、今となっては貴重な映像資料となっている。

 この作品には脇役で岡田可愛が出演している。実は私は前日にラピュタ阿佐ヶ谷で井上梅次監督の<可愛い悪女 殺しの前にくちづけを> を見たのだが、こちらの主演は范文雀。二日間で岡田可愛と范文雀をスクリーンで見るなんて、何か不思議な感覚。だが当然の如くX攻撃は出てこない。(解る人にだけ解ればよいネタなので、敢えて説明はナシ!)

  

 

きぬた映画通信No.13

[7月のまとめ]

箱の中の女2

アンダーサスピション

マトリックス リローデッド

二重スパイ

タイタニックの秘密

ブロンドと棺の謎

ザ・コア

ソラリス

陽のあたる坂道

錆びたナイフ

赤い波止場

スパイゾルゲ

ミニミニ大作戦

僕の妻はシャルロット・ゲンズブール

熊座の淡き星影

痴漢電車 いやらしい行為

痴漢電車 感じるイボイボ

ペッティングレズ 性感帯

マニトの靴

ナイト オブ ザ リビングデッド<最終版>

六月の蛇

ロスト イン ラマンチャ

めぐりあう時間たち

異常露出 見せたがり

飯場で感じる女の性

ゼロファイター大空戦

太平洋ひとりぼっち

北京ヴァイオリン

邦画13本  洋画15本    計28本

 先月のまとめのラストにて <どうなることやら> と書いたが、結局どうにもならなかった。これからの季節はむしろ映画館の中で涼しく過ごしたほうが良いので、本数が多いとか少ないとか考えるのはこの際ヤメました。どうせ成るようにしか成らないし。という訳で今月も見た作品のタイトルをドド~ンと。

<今月のマニア向け>

ソラリス(2002)

 出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マイケルホーン、ジェレミー・デイヴィス

 監督:スティーブン・ソダーバーグ

 普通の人は全く知らないがSFファンはよく知っている、スタニスワフ・レム原作<ソラリスの陽のもとに>を映画化した「惑星ソラリス」(監督:アンドレイ・タルコフスキー)の米国リメイク版。実は私が映画にのめり込む様になったのは、予備校生時代に惑星ソラリスを見たのがキッカケなのだ。その映画のリメイクなのだから期待半分、でもハリウッド映画だからストーリーが勝手に変えられているんじゃないかという不安半分で、劇場に足を運んだ。結果としてストーリーに大きな変更はなかった。タルコフスキー版ではソラリスの宇宙ステーションに到着するまでがやたら長いのだが、(東京の首都高速のシーンが出てくるのがココ) リメイク版ではすぐにステーションに到着した。全体的にソダーバーグ作品にしてはキチンと作られていて、破綻なく話は進行するのだが問題はラスト。タルコフスキー版では主人公が最後にどうなったか、キチンと描かれているのだが、このリメイク版ではどのようにでも解釈できるように、わざとボカシて終わらせている。原作を読んでいる人やタルコフスキー版を既に見ている人はこれでもよいだろうが、初見の人はたぶん頭の中が?マークだらけのままだろう。これはちょっと不親切。

 私の席の右斜め後ろに座っていたカップルは映画が始まって30分ぐらいでゴソゴソモゾモゾしはじめ、1時間経ったところでブツブツ言いながら席を立ち、外に出ていってしまいました。どうやらその二人にとってSFとは、正義の味方が悪い宇宙人と宇宙空間でドンパチするものの様でした。残念ながらソラリスにはその全てが出てきませんでした。御愁傷様! 

 

 

きぬた映画通信No.12

六月の蛇  (渋谷シネアミューズ)

出演:黒沢あすか、神足裕司、塚本晋也  

監督:塚本晋也

 塚本晋也は変態である。これは多分絶対間違っていないと思う。たが映画監督という職種の場合、この変態性は強力な武器となる。この作品ではその変態性が突出しているが、決して悪趣味にならず映像表現としては割と抑え目である。(この作品はカラーネガを使って撮影されているが、ポジ作成の段階でブルー以外の色を排し全体のトーンを青みがかったモノクロ作品として仕上げている。)

 そしてこの作品で(ある意味で俳優以上に)重要な要素となっているのが<雨>である。雨というのはとてつもなく淫び(→携帯なので漢字変換に限界が!)な存在で、裸体プラス雨となればこれは猥褻の極致である。と、ここまでくれば<六月の蛇>という表題の本来の意味が何となく察せられる。

 塚本晋也という監督は自主映画出身で、プロとなった現在でもその製作スタイルを貫いている。少なくとも自分で出した企画を映画化する場合は、プロのスタッフには頼らずに自身のプロダクション<海獣シアター>で、主にボランティアを中心とした素人のスタッフで映画を撮っている。当然、塚本自身も監督や出演以外に撮影、美術、編集など出来ることは何でもこなす。そうして自分自身の<純度>の高い作品を発表しているのだ。

 先ほども言ったようにかなり変態性の高い作品なので、万人にお勧め出来るわけではないが、ある意味での<究極愛>を覗いてみたい方はどうぞ。(ただし覚悟を決めて、心してから行くように!)

 私個人としては、今年の新作映画の中でダントツの第1位である。まだ今年は終わっていないが、これを越える作品はもう出てこない気がする。

 

 

きぬた映画通信No.11

マトリックス リローデッド

 The IMAX Experience <日本語吹替版>

出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ローレンス・フィッシュバーン、モニカ・ベルッチ

監督:アンディー&ラリー・ウォシャウスキー

 (メルシャン品川アイマックスシアター)

 何かと話題のこの映画、どこに行っても混んでいそうで、どうしたもんかなあ、と思っていたらなんとアイマックスシアターでもやっていることを聞きつけて行ってきました品川まで。思っていたとおり、やっぱり空いてました。(品川のプリンスホテルのところに映画館があることをほとんどの人はまだ知らない)

 さて内容に入る前にアイマックスについての説明。通常の映画は35㎜ポジプリントを縦に走らせて4パーフォレーションを1コマとして上映するが、(パーフォレーションとはフィルムの両側に等間隔で空いている四角い穴のこと) アイマックスは65㎜ポジプリントを横に走らせて、15パーフォレーションを1コマとして上映している。

 今回は残念ながらアイマックスのフォーマットは使っておらず、通常の35㎜での上映だが広大なアイマックス用のスクリーンへの映写と最新のデジタル音響設備のおかげで、じつに気持ち良く観賞できた。

 さて内容についてであるが言いたいことはただひとつ、この兄弟監督は押井作品からの影響を公言しているが、第二作に限って言えば庵野監督の<エヴァンゲリオン>の影響が明らかに出ている。ラスト少し前の、主人公ネオがソース内に侵入し設計者=アーキテクトと対面するシーンがそれで、アーキテクトによって明かされるマトリックス誕生の謎の一部は<エヴァンゲリオン>既見の方なら「なるほどね!」とおもわず膝を叩きたくなる内容です。

 それと技術的側面でひとつ言いたいのは先ほどのネオとアーキテクトの会話シーンは、回りが全て小さなモニター画面の集積という特殊な部屋で行われるのだが、二人の会話内容によってモニター画面の映像もどんどん切り替わっていく。映画のアングル内にTVモニターが入るというのは後処理が非常に面倒なのだが、その面倒なことをこのシーンでは最初から最後までヤリ尽くしているわけで、その処理数たるやたぶん天文学的数字になっているはずである。こんなことが出来るのもデジタルVFXが発展したからで、よく話題となるバイクチェイスシーンよりもこちらの方が技術的精度は高いといえる。(映像の仕事をなさっている野田さんなら、このへんの話は判っていただけるはず)

注:アイマックスシアターでの<マトリックス リローデッド>の上映は既に終了しています。残念でした!

 

 

きぬた映画通信No.10

 [6月のまとめ]

TAXI3

女の勲章

家宝

アニマトリックス

シカゴ

ハンテッド

鍵('59)

発禁本 SADE

サラマンダー

女系家族

あずみ

終電車CUBE2

デッドコースター

日曜日が待ち遠しい!

THE EYE

X-MEN2

日本女侠伝 鉄火芸者

仮面ライダー対ショッカー

神に選ばれし無敵の男

ぼくんち

KILLERS

さらば箱舟

日本女侠伝 激斗ひめゆり岬

アリス スウィートアリス

大脱走

殺しを呼ぶ卵

ヴァンピロス レスボス

 

邦画10本  洋画18本    計28本

 6月は本当に忙しかった。仕事もそうだが、見た映画の本数も極限まで増えてしまった。あちこちで特集上映が組まれたのが要因だが、さすがに体が保たないのでこのへんが限界。7月はいったいどうなることやら、というわけでいつものように今月見た作品のタイトルをドド~ンと。

  <今月のアッと驚く大怪作>

仮面ライダー対ショッカー(1972)

  出演:佐々木 剛、藤岡 弘、小林昭二、天本英世 監督:山田 稔

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて行われた天本英世追悼特集にて上映された一本。いわゆる<東映まんがまつり>の中の劇場版オリジナル作品。おなじみのダブルライダーと死神博士率いるショッカーの改造人間の対決を描いている。(1号ライダーは仮面に白線のない旧バージョン) 驚いたのは死神博士がモノ凄くダンディなこと。黒マントの下はサスペンダーに純白のフレアーシャツという出で立ち。これってもしや衣装じゃなくて自前?

  それからこの頃は採石場や完成前の宅地造成地で、爆発やバイクアクションのロケをやっていたのは皆様御存知だと思うが、本編のアクションシーンの背景にチラリとガラス張りの駅舎が写り込んでいるのだ。あれってもしや多摩センター駅? だとすると仮面ライダーは現在のパルテノン多摩あたりで戦っていたことになるのだが、はたして?

 

 

きぬた映画通信No.9

甦れ! 東急名画座 大脱走

(2003/06/30(日) PM11:00)

監督:ジョン・スタージェス

出演 下記参照

(渋谷東急2 改め 東急名画座)

 AM9:30にチケットを購入してそのまま即入場。上映開始まで時間があるので、ロビーに展示されている過去の上映作品パネルを見て歩く。通路の壁には来場者の思い出ラクガキがいっぱい。入口で記念撮影する人も多数。そうこうしているうちに座席は満員、立ち見もギッシリ。熱気渦巻く中、上映スタート。

 バイクアクションもお見事、スティーブ・マックィーン! 若々しいぞ、リチャード・アッテンボロー! 何でも調達、ジェームズ・ガーナー! クールにキメるぜ、ジェームス・コバーン! 髭はまだ生えてねえ、チャールズ・ブロンソン! 今回はイイ人、ドナルド・プレザンス! お久しぶり、デビッド・マッカラム! ………  至福の2時間45分だった。(拍手!)

 以上、きりたっぷでした。ありがとう! 渋谷東急文化会館。

 

 

きぬた映画通信 実況版

大脱走

 朝も早から本日AM11:00より上映の<大脱走>のチケットを買うために、渋谷東急文化会館の階段で列に並んでおります。こちらの列はまだ200人ぐらいですがスゴイのはプラネタリウムの列のほう。渋谷駅と会館をつなぐ通路にズラ~っと並んでいて、もうすぐ1000人になろうかという勢い。最初はこちらが映画の列かと思い肝を冷やしたが、違うと判って一安心。私は前から30人目ぐらいなので、とりあえずは楽勝です。(それにしても、無くなると判ると人が群がるのはどの世界でも同じですな)作品内容については改めて配信します。

 

 

きぬた映画通信No.8

東京国際ファンタスティック映画祭

(2003/06/13(金)PM11:00)

大同窓会 あばよ&ありがとうパンテオン!(オールナイト)

 皆様御存知の通り6月末日にて渋谷東急文化会館が閉館になるので、長い間毎年秋に行われていた東京ファンタが閉館記念イベントとして一日限り開催された。(東京ファンタ自体は今秋より新宿ミラノ座にて続行)

 上映作品は<デッドコースター>と<ゾンビ ダリオアルジェント監修版>のふたつ。<ゾンビ>については皆様もよく御存知だと思いますので、ここでは省略してもうひとつの<デッドコースター>について。これは元々<ファイナルデスティネーション>という作品の続編で、原題も<ファイナルデスティネーション2>なのだがなぜ<デッドコースター>になったかは不明。

 内容は落語の<死神>と同じで「人間の一生は既に寿命が決まっている」というもので、死ぬはずの人間が何らかの要因(この映画の場合は予知能力)で死ななかったとき、死神が有りとあらゆる手を使ってその人間を殺しに来るというもの。(死神自体は画面には登場せず不条理な力として描かれる)とにかくその殺し方が万にひとつもあり得ないような偶然の連続で、見ているこっちは思わず笑ってしまう。まあ、それがこういう映画の正しい観賞方法なのだが。

 その他には第1回~第18回までの映画祭予告編の一挙上映、当日会場に来ていた俳優&監督&スタッフの舞台挨拶、数々の作品を提供してくれた各配給会社の担当者や評論家の方々へのインタビューなどが行われた。

(それと<シベリア超特急>の佐伯大尉こと、ボンちゃんが閣下音頭なる曲を歌い踊って山下陸軍大将こと、水野晴郎氏に代わって宣伝に努めていた。シベ超は第7作まで作る予定だとか)

 そしてこの日の主役はやっぱり小松沢陽一プロデューサーであった。オープニングからエンディングまで映画上映中以外はほとんど出ずっぱり。また東京ファンタだけでなく、毎冬には北海道夕張市で夕張ファンタを開催してしまうほどの情熱家である。毎年の映画祭期間中の最初と最後には感動のあまり必ず号泣してしまうアツイ人なのだ。(人呼んで<泣きの小松沢>と言われている)

 休憩時間にロビーに出てみると、パンテオン創設以来ここで上映された作品をリストにした大パネルがあった。それを見て、初めてこの劇場で観賞した作品が「ブレードランナー」だったことを思い出した。(大学一年の夏だった)

 <ゾンビ>の上映が終了すると東京ファンタの引継式が行われた。パンテオンとミラノ座の両支配人が挨拶をした。小松沢プロデューサーはやっぱり号泣していた。(ついでにパンテオンの支配人も泣いていた)場内が明るくなり観客が出口に向かい始めた。時計は朝の7時を指していた。出口の扉では小松沢プロデューサーが帰っていく観客ひとりひとりと握手していた。外に出ると土曜日の朝の渋谷という現実が広がっていた。

 

P.S  押井さんの<KILLERS>の上映は27日(金)までです。未見の方はお早めに。

  個人的にはクレクレタコラがミョーに懐かしかった。それとオススメは<ヤマザキ製パン こっぺ つぶあん&マーガリン>です。

 

 

きぬた映画通信No.7

 [5月のまとめ]

ラーゼフォン 多元変奏曲

ハッピーフューネラル

デアデビル

ナイトチャイルド

イヴ EVE

お姐ちゃんはツイてるぜ

銀座のお姐ちゃん

ドリームキャッチャー

デリリウム

怪談異人幽霊

歓楽通り

アルマーニ

華麗なる闘い

ボイス

エニグマ

ミレニアム マンボ

アンドレイ ルブリョフ

ロード オブ ザ リング 二つの塔

 

  邦画 5本  洋画13本   計18本

   5月もなんだかんだでたくさん観てしまった。最近思うことは、自分の中で古い日本映画に対する興味が明らかに増大していること。上映中に「後ろで走っているのは都電?!」とか「東急の青ガエルだ!!」などと、ストーリーと関係ないところで一人で勝手に盛り上がったりする。これはやはり<オトナ帝国>の匂いのせいかも?

  例によって5月に観た作品名をズラズラ~っと。

 

  <今月のオススメの逸品>

  エニグマ(2001)

 知っている人は知っている、第二次世界対戦中に独軍が使用していた暗号機エニグマをなんとか解読しようとする英国人数学者、そしてその機密文書の内容を知ってしまったヒロインと英国情報部の駆け引き、といった話。解読用の計算機(最初期型コンピュータ)なんてのもチラッと登場します。

 

  <今月のマニア向け>

  華麗なる闘い(1969)

 岸恵子特集として上映されていたが、この作品の主演は内藤洋子である。そう、あの内藤洋子、<白馬のルンナ>である。(もっと判りやすく言うと女優 喜多嶋舞のマザーである)現在は米国在住でマスコミには一切登場しない。それがまたこちらの幻想を掻き立ててくれるのだ。

 

  <今月のアッと驚く大怪作>

  ドリームキャッチャー(2003)

  原作スティーブン・キングで監督ローレンス・カスダンなのだから格調高い作品かと思ったらトンデモナイ! だって全編にわたってグチョグチョズルズルヌトヌトなんだもの。あのエイリアンに身体を乗っ取られるのはどうしてもイヤだ。(何故かは観ればわかります) それにしてもなぜ、モーガン・フリーマンはあんな役を引き受けたのだろう。普通ならあれはマイケル・アイアンサイドの役柄である。それとも税金対策か?

 

 

きぬた映画通信No.6

ロード オブ ザ リング 二つの塔 (2002)

出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、クリストファー・リー  

監督:ピーター・ジャクソン

(池袋シネマサンシャイン1)

 最近は気になる映画が多すぎて、上映期間に余裕がある作品はつい後回しにしてしまうのだが、さすがにこれはそろそろ観ないとヤバくなってきたので行ってきました。(なぜ池袋なのかは後述)

 作品の内容については既に皆様よく御存知だと思いますので、ここでは思い切り個人的な事を書きます。

 なんといってもこの作品には我が御贔屓俳優のクリストファー・リーが出ているのだ。この人がスゴイのは芸歴56年、実年齢80歳になろうというのに、未だに主役級で映画に出演していることだ。(もちろん、ほとんど悪役!) さらにここ数年の活躍はめざましく、<スターウォーズ エビソード2>のドゥークゥー男爵役でヨーダと1対1で戦ったりしているし、ウワサによると死んだリチャード・ハリスに代わって<ハリーポッター>第三作で校長を演じるらしいではないか。これが本当なら現在の洋画の三大シリーズ全てに出演している唯一の俳優ということになる。スゴイぞ!クリストファー・リー! 頑張れ!クリストファー・リー!!

 

  <二つの塔>を観る前に池袋の新文芸坐でタルコフスキーの<アンドレイ・ルブリョフ>を観た。どちらも3時間を超える長尺! 昨日だけで6時間以上劇場に居たので、さすがにちょっとヘビーでした。でも学生時代には一日に4本観た経験もあるから同じようなものか?

 

 

きぬた映画通信No.5

アルマーニ (2000) <ドキュメンタリー>

監督:ジュリアン・オーザンヌ (ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ)

 まだまだ大丈夫だと思っていたら<アルマーニ>が23日(金)で上映終了とのことで、急遽本日(20日)六本木ヒルズに初見参することに。生憎と雨でしたがそのおかげで思っていたよりも空いてました。<アルマーニ>はプレミアアートスクリーンでの上映なのですが、入口がチケット売場の横のカフェレストランの奥にあるという変な造り。でもプレミアというだけあって座席はそれなりに豪華。

 ジョルジオ・アルマーニと言えばもちろんモード界の巨人なのだが、とにかくこの人はなんでも自分でやらないと気が済まないタチらしく、自作コレクションのショー本番中でもあちこち動き回って細部を手直しする。まさに<ミスター陣頭指揮>といった感じで、ある程度のところまでは部下に任せる、なんて事は考えもしないようである。

 その一方で 8月のバカンス中(地中海の島の別荘で一ヶ月!)には、私が引退した後の会社が心配だ、とカメラの前で発言したりもする。やはり頂点に立ち続けるというのは、かなりの重圧と孤独に苛まれるものらしい。

 ニューヨークでマーティン・スコセッシ監督とイタリア映画史のビデオを見ている場面で、モニター画面に写っている作品はビスコンティの<夏の嵐>とフェリーニの<世にも怪奇な物語>でした。このあたりにもアルマーニの趣味が出ていますな。

 

 

きぬた映画通信No.4

 [4月のまとめ]

クローサー

ホーンテッドキャッスル

女殺し屋 牝犬

レッドドラゴン

濡れた貴婦人

思い出の指輪

OL官能日記 あァ!私の中で

小さなスナック

WATARIDORI

女房を早死させる方法

クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王

白夜

スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする

007 ダイ アナザーデイ

わたしのグランパ

帰ってきた刑事まつり

可愛い悪女

帰ってきたヨッパライ

ネメシス S.T.X

プレイガール

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード

キャッチミー イフ ユーキャン

 

    邦画12本 洋画10本  計22本

今回でNo.4となりましたが、私は見たもの全てをここに書いているわけではないのです。やはりこちらの心を動かされたものでないとね。でも一応念のために今月見た作品のタイトルだけでも書いておきます。

 

  <今月のオススメの逸品>

  WATARIDORI (2002)

  題名のとおり様々な鳥類の、国境を越えた地球規模での<渡り>を追ったドキュメンタリーである。何が凄いって、飛行中の鳥に極限まで接近してカメラを回しており、どうやって撮影したのかアレコレ考えてしまう。(CGじゃなくて本物だよ) とにかく非常に丹念に造られた力作で、ビデオではなくスクリーンで見る価値大である。

 

  <今月のダメダメ注意報>

  帰ってきた刑事まつり (2003)

  ハッキリ言ってこの作品のノリには、ついていけない。女刑事を主人公とした短編オムニバス作品なのだが、これのどこが刑事? というものが多く、名作刑事ドラマのパロディもパターンが空回りしている。何やら学生映研の内輪ウケ映画のようで、観客は置き去りにされている。けっこう有名な俳優も出演しているのだが、第三弾には足を運ばないでしょう。

 

 

きぬた映画通信No.3

帰ってきたヨッパライ (1968)

出演:フォーク・クルセイダーズ、緑 魔子、佐藤 慶、渡辺文雄
監督:大島 渚

(シネマ下北沢)

 さあ困った。いきなり大島渚である。それも最近の作品ではない。<日本の夜と霧>事件で松竹をクビになり、自ら創造社を起こして既存の映画会社と戦っていた、あのバリバリにトンガッていた頃の作品である。一筋縄ではいかぬ。

 脚本構成は以外にも<ビューティフルドリーマー>に似ている。といってもこの作品では、主人公は日本人大学生3人組と、ベトナム徴兵拒否の韓国軍逃亡兵とそれに同調する高校生との2人組である。水泳中の3人組から服装を奪う韓国人2人組。取り戻そうとする3人組。これに謎の女とその親方が絡み、話は二転三転、少しずつ設定を変えながら同じ話が繰り返される。最後には、誰が日本人で誰が韓国人なのか、誰が敵で誰が味方なのか、訳が分からなくなってしまう。どうやらこの辺が、大島渚の狙いなのだろう。

 また、本編中の挿入歌は<帰ってきたヨッパライ>と<イムジン河>なのだが、ここで重要なのはやはり<イムジン河>の方だろう。この曲が映画製作当時にどう扱われたかを考えると、35年後の現在にこの曲が復活しているとは、大島渚でさえ想像出来なかったろう。(イムジン河という曲がたどった紆余曲折の詳細を知りたい方は、TVドキュメンタリー番組<NON-FIX=放送禁止歌>を御視聴下さい)

 60年代後半という状況とベトナム戦争と朝鮮半島が絡んだ問題作なので、誰にでもオススメというわけではないが、こういう事に興味のある方にはとりあえず必見!でしょう。

 

 

 

きぬた映画通信No.2

わたしのグランパ (2003)

主演:菅原文太、石原さとみ(新人)
監督:東 陽一
(伊勢左木町東映)

 やはり筒井康隆原作となれば見逃すわけにはいかぬ。グランパ役の菅原文太の演技はわりとアッサリとしていて、やや枯れた感じ。(原作ではもう少しドギツイ雰囲気)主人公である中1の女の子も違和感なし。平田満や宮崎美子(父&母役)との演技でも見劣りしない。ただしストーリーは原作と較べて、いくつか削ったエピソードがあるのでやや不満。後半の流れ(誘拐から奪還まで)も、もう少し映画として盛り上げてほしかったところ。

 それにしても、休憩時間に数えられる程度の観客しか入っていない。いつも思うことだけれど、やっぱり東映は宣伝がヘタ。

 ちなみに、筒井康隆本人はチラッと出演しています。

 

 

  

きぬた映画通信No.1

白夜 (1957)

主演:マルチェロ・マストロヤンニ、マリア・シェル
監督:ルキノ・ビスコンティ 
(横浜シネマベティ)

 古い作品ではあるが、そこはやはりビスコンティ、やっぱり素晴らしい。久々に美しいモノクロ画面を見た。それからもう一人の主要人物としてジャン・マレーが出てきた。そう、<ファントマ>シリーズで主役を張る、あの人である。これはちょっと意外。

 後年のビスコンティ作品と違い、物語は到ってシンプルなラヴストーリーである。まさに伝統的なイタリア映画といった感じ。一見の価値あり!