EC Mid Booster

(2006.Apr.17〜)
ネットをぷらぷらしてたら The Blue Guitar というサイトに辿りつき。 「Schematic & Links」のページには Eric Clapton Signature モデルに搭載されている Mid Booster の回路図一式があり。 これは作ってみたい、と思い、アーカイブを紐解いてみたのだが。 どうも様子がおかしい。 コンデンサや抵抗の値が馴染みのないものだったりして。 これはホントにホンモノなのか?ということで、自前の EC Signature をバラして、 この回路を検証してみることにした。
結果、使用抵抗のほとんどが 4桁表示の誤差 1%のもの。 抵抗値には系列が色々あり、自分の馴染みのあるものは E24 系列(誤差 5%を見込んだ系列)だったのだが、 この回路では律儀に E96系列(誤差 1%を見込んだ系列)をフルに使っていることが判明。 コンデンサの値で馴染みがないものは、製作者の値の読み違えによるものと判明。 だが、念のために、自分でも回路図を起こしてみることにする。 こうして参考資料があるとはいえ、自力でコピーをはじめてみることになったワケだが。 はてさて、どうなりますことやら。
これが The Blue Guitar で手に入れた回路図。 そいでもって、自前の EC Signature についてたものはこちら。 The Blue Guitar の方と自前の方の主な違いは
 The Blue Guitar自前
デカップリングコンデンサ 10u × 2 10u
Q1-3 2N5088 MPSA18
最終のコンデンサ なし C13=.001u
となっている。
ま、こんな小さい基板にデカップリングコンデンサが二個も要るか?ってコトで、気にしない。 Q1-3 に関しては、こりゃ同等品。 最終のコンデンサは多分、コレ、あっちの間違いじゃないかな? ま、ちょっと気になるから簡単に外せるようにしとく。
後は Q2 のBASE 端子にくっついてる抵抗の値が違うけれども。 他はみんな E24 系列で書かれてるのにここだけ E96 で書かれてるってコトで、 こりゃあちらの読み間違いってコトで、自前の方を信じる。
使用コンデンサは基本的に MKT。 入手し辛そうなのでフィルムコンデンサを使ってみることにする。
また E96 系列も入手が難しそうなので、E24 の近い値に置き換えることにする。
ってコトで、部品表はこちら
さて、レイアウトとパターン図を作らないと。
2006.Apr.18
レイアウトとパターンはほとんど出来てるんだけど、ちょっと寄り道。
EC Signature が出たばかりの頃、Fender Japan からも同じような仕様のギターが出てた。 ST54-85LS。 Lace Sensor Gold 三発搭載。 ミッドブースター付き。 同じような仕様のものは現行では ST54-95LS という型番で出ている。 ST54-85LS を持っていたのだけど、売り払ってしまった。 けど、ブースターは外して持ってる。 そこで、このブースターの回路図起こしもやってみた。

左が EC、右が ST54、それぞれのブースターの基板。 ST54 の方がかなり小さい。 ポットとの結線も違っていたので、別物だと思ってたのだが。 しかし。

上が EC のブースター回路図を E24系列で書き直したもの。 下が ST54 のそれ。 画像をクリックすると PDF で見ることができるようになってますが。 回路構成はほぼ同じ。 使ってるトランジスタが違ってたり、抵抗やコンデンサの値が違ってたりするけれども。 これはトランジスタの特性に合わせてのことなのかな? それともブースト量や周波数も変えてある? そのヘンのところは不勉強で解析できてないんだけれども。
ST54 の方の R10。 730K は誤記。 正確には 130K。 スマン。
大きな違いとゆーと、EC の方は

	PU → 入力バッファ → ボリュームポット → ミッドブースト → ブーストポット
という接続順なのに対し、ST54 は
	PU → ボリュームポット → 入力バッファ → ミッドブースト → ブーストポット
という接続順。 以前、EC の方のボリュームポットを 250KA に変更してみたところ、発振しまくって大変な目にあった。 50KA のギター用ポットなんてなかなか手に入らない。 ので、250KA が使えるよう、ST54 の方は入力バッファ前にボリュームを入れたんではないかな? いや、ま、推測ですけど。
ST54 で使ってる 2SC458 は生産終了品らしい。 EC で使用してる MPSA18 や 2N5087 のピンアサインと ST54 で使ってる 2SC458, 2SA733 のピンアサインは 違っているので、作る方がいらっしゃいましたら、注意して下さい。

んで、ST54 の方の基板。 抵抗を立てて実装してるので、すごい集積度。 左手前にもう一個何か回路が入ってるが、部品が実装されてない。 これもちょっと回路図起こし、してみっかなー。


2006.Apr.19
EC の回路図レイアウトとパターン図を作りました。

イメージをクリックすると PDF で見られます。
基板のエッチングとか、面倒なんで、 ユニバーサル基板を使ってポイント TO ポイントで作るコトを前提としてます。 いやま、ポイント TO ポイントとエッチング、どっちが面倒か?ってハナシもあるんですが。
また、ちっこく作ろうとしてるので、かなり窮屈になってますし、 ポットなどへの配線の取り出し口も一方向に向けようと思ってませんので。

尚、このページに記載されてるコトを商利用しないで下さい。 また、このページ見て自作してみようと思った方。 いかなるコトも自己責任でお願いしますね。 よろしくです。


2006.Apr.30
作ってみました。 ブーストできません(苦笑)。 おっかしーなー、と思って回路図と実物をチェック。
Q2 と Q3 のコレクタが逆だぁ。 正しくは The Blue Guitar で手に入れた回路図の形。 ってコトで、そのうち、回路図とか諸々、修正しますね。
で、そこを直した結果。 ブーストはできてるみたい。 ホンモノはもっとブーストできたよーな気がするけど。 んー。 これもそのうち比べてみます。
2006.May.03
ホンモノと比べたところ、ホンモノの方が音デカい。 なんでじゃ? ってコトで、要再考。
2006.May.09
現物同士を見比べてみたところ、初段のトランジスタのエミッタにつながってる抵抗の値がおかしいコトに気付く。 カラーコードの読み間違い。 1.8KΩのところ 1.5KΩを載せてた。 回路図は合ってるのに。 で、修正。 けど、相変わらず。
また現物チェック。 初段のトランジスタのコレクタを吊ってる抵抗が間違ってた。 ホンモノは 22KΩ。 自作は 2.2KΩ。 回路図から違ってる。 修正。 そしたらホンモノそっくりになった。 やった。

ってコトで、正しい回路図とレイアウトを。 絵を押すと pdf で見られます。

んで、ジャンパーがあるのが許せないので、ジャンパーなし版のレイアウトも作る。 次回があったらコレで。 まだコレでは作ってないので、動作保証はしません。

取り急ぎ、使う予定があったので、ケースに入れてみる。 スイッチなし。 珍しく電池内蔵。 ブーストのツマミは MXR のものを借用し、足で操作できるよーにしてみる。

んで使ってみたが、やっぱコレだと使い難いので、FV-50L に突っ込んでみるコトを考える。 ボリュームポットのシャフトの系が合わないので、部品調達中。


2006.May.10
製作とデバグからの考察。

ブーストのポットは 250KA にしてたんだが、 これだと 7 くらいまでツマミを回さないとブーストの効き目が出てこない。 Bカーブにした方がいいのか?と道具箱を見てみたら、あった。 自作機には軸の短いポットを使ってるのだが、みつけたヤツは長い。 いーじゃん。 おあつらえ向きたーまさにこのコト。
FV-50L に押し込む時、横っちょのミニマムつまみは Volume にしようと思ってた。 FV-50L のミニマムについてるポットの値をよくよく眺めてみたら 50KB。 をー。 ここは A だろーが、B だろーが構わんではないか。 ってコトで基板から外してしまう。
んで押し込んでみた。 なんかすげーぴったりなんですけど。

 

ってコトで組み上げ。 …てみたら。 フットペダルだとポットの軸が半分も回らない。 こ、これじゃぁダメじゃん。 ペダルを上げた時がブースト最小ってふーにすると踏み込んだ時に上がり切らないし、 踏み込んだ時に最大にしとくと、上げた時にまだブーストが残ってしまう。 あいやぁ。
これだったら Aカーブの方がいいのか? それとも何か他の値にした方がいいのか? むー。 ぬか喜び。 今日はこのくらいにしといたる。


2008.Apr.23
ペダルに納めて、ってのをほったらかしにしちゃって、もう二年も経つワケですね。早いもんだな。
その間、Mカーブだか Nカーブだかのポットを仕入れて試しましたけど。やっぱり上手くいかなくて。んで、頓挫してます。

そんな中、ネットをプラプラしてると、このページを見て製作された方の blog にでくわしまして。こちら。この方は、こちらでは実績のないジャンパーなしバージョン、2N5088 使用というもの。ちゃんと動いたようですね。よかった、よかった。実績作っていただき、誠にありがとうございます。


参考URL