宇都宮彗星(C/1997T1, Utsunomiya)
 これらの観測は全て自宅。

1997年10月12日
 北日本を気圧の谷が通過し、これに伴ってまた寒気が流入した。関東では11日 夜半前に寒冷前線の通過に伴ってにわか雨が降ったが、12日明け方には急速に天気が 回復した。これを受けて13日早朝に宇都宮彗星(C/1997T1,utsunomiya)の観測を行っ た。
 12日午後9時の月齢は10.8で、彗星の地平光度の高い夜半前は月光の影響を受 ける。このため彗星の観測は月が沈んだ13日朝2時以降に行った。地平光度は30度を 切り、観測地点では建造物にかなり近づいていたが、空の透明度が良く、最微等級は 5.4等を確保できたために問題はなかった。
 彗星はケフェウス座η星の東約1度の位置に移動していた。全光度は9.5等、コ マ直径は4分で、中央集光のある拡散状だった。尾は確認できず、大きな見え方の変 化は起こっていない。
 これからは月光の影響を受け、次の観測は月が明け方の空に移動してからにな るだろう。

1997年10月10日
 日本海を寒冷前線が南下し、日本海側から天気が崩れてきた。このため、関東 では昨日の夜は天気が良かったが日中は雲が多かった。
 10/11日夜、宇都宮彗星(C/1997T1, Utsunomiya)の観測に挑戦した。空の状態は前回観測よりも悪く、最微等級は5.0等と 目測した。その代わりシーイングは良く、像の揺らぎは小さかった。
 彗星の全光度は9.5等、コマ直径は3分で拡散状、前回観測よりも見にくかった 。前回観測から3度ほど南下している。空の状態もあるのだろうが、前回観測よりも 見にくかった。

1997年10月8日  海洋研でX線装置を使っていたので帰宅は0時を回っていた。この時、寒冷前線が東 に抜けて晴天が広がるとともに強い北西の風が吹いていた。
 帰宅後、ベランダに出て北西の空の宇都宮彗星に望遠鏡を向けようとしたが、冷た い北西の風が吹き付けてきた。空は澄んでおり、最微等級は5.9等と見積もった。ま た、望遠鏡では限界等級に近い10等級の星を楽に確認した。しかし、風が強いために 星のまたたきが激しく、望遠鏡の視野もガタガタ揺れた。そんな中、何とか彗星の姿 を確認した。
 彗星はケフェウス座β星の東約40分の位置にあった。地平光度が高いこともあ って彗星は見やすく、光度は9等から9.5等ほどのようだ。コマ直径は4分、中央集光 のある拡散状で暗い核を確認した。尾は望遠鏡でも確認できなかった。

原口 悟