1月29日21:42~21:52
観測場所:埼玉県深谷市東方
冬型の気圧配置が続いており、相変わらず寒い、東京でも上越線からやってく
る貨物列車が雪まみれになっているのを見た。ただ、風は前日に比べて弱くなってい
る。最微等級は5等、シーイング、透明度はともに良いが、昨日よりは透明度が落ち
る気がする。
彗星が南下しつつあるため、西に障害物がある自宅のベランダからは観測でき
ず、自宅裏に出かけた。4月から5月に夕方の空のヘール−ボップ彗星(C/1995O1,Hale
-Bopp)を観測したポイントである。
彗星は南に移動し、アンドロメダ座β星の西約3度の位置にあった。見え方は
前日とさほど変わらず、光度は7等から7.5等、コマ直径は10分の中央集光のある拡散
状である。核光度は9等、コマは大きく広がった印象である。また、コマは北東に大
きく広がっていた。尾は確認できていない。
1月28日22:18~22:26
観測場所:埼玉県深谷市東方
故郷復帰後最初の彗星観測である。観測場所は自宅である。
本州の南を低気圧が通過したが、陸地への影響はほとんどなく、北日本は相変
わらず冬型の気圧配置が続いている。北関東も北星の季節風が吹き、空は澄んでいる
。最微等級は5等程度、シーイング、透明度はともに良好である。ただ、彗星が北星
の空に見えているので冷たい季節風がまともに吹き付け、南洋に慣れた身としては寒
さが応える。観測はSpector LO-MAX6cm屈折望遠鏡とKenko Artos
10x40双眼鏡を使用した。
彗星はアンドロメダ座β星の北東約5度の位置に移動していた。全光度は7〜7.
5等、中央集光のある拡散状で核光度は9等だった。コマ直径は10分ほどで、望遠鏡観
測では大きく広がった印象である。コマは北東に大きく広がっているようだが、顕著
な尾は確認できない。ジェットの発達ははないようだ。
1月8日から26日までの観測は海洋科学技術センター(JAMSTEC)の研究船「かいれい 」によるマリアナ諸島近海からフィリピン東方海上の航海(KR98-01航海)の間の観 測である。使用器材はFriend Binoculars Super Star12x50双眼鏡である。
1月26日20:46~21:05
観測場所:三浦半島近海
(北緯35度06.57分、東経139度45.55分)
翌日にJAMSTECへの入港を控え、陸地にかなり接近している。陸地の光がわか
り、低空は影響を受けているようだ。最微等級も6等程度でこれまでよりは良くない
。
彗星はアンドロメダ座ω星の南約2度の位置に移動していた。彗星の全光度は7
.5等でコマ直径は7分、中央集光のある拡散状である。前日よりも明らかに見え方が
衰えた。尾はあまり伸びていないようである。
1月25日20:20~20:32
観測場所:紀伊半島南方海上
(北緯30度22.23分、東経135度26.39分)
日本近海まで北上した。冬型の気圧配置が弱まりつつあり、風も弱くなって波
も収まりつつある。南方とは違って風が冷たい。空の状態は良く、最微等級は6.5等
、低緯度よりも星の輝きが鋭い気がする。
彗星はアンドロメダ座に移動し、アンドロメダ座ω星の北約2度の位置にあっ
た。全光度は7等でコマ直径は15分、中央集光のある拡散状である。核光度は9等、コ
マは北東に大きく広がっており、そこから細い尾が伸びているようだ。
1月23日20:56~21:09
観測場所:大東諸島南方海上
(北緯21度22.67分、東経130度52.22分)
南方での調査が終わり、帰途につくことになった。この日が南方での最後の観
測になる。
彗星はさらに南下し、カシオペア座δ星の南約5度の位置にあった。全光度は7
.5等でコマ直径は8分、中央集光のある拡散状である。核光度は9.5等で北東に細い尾
が伸びているようだ。
1月22日21:10~21:40
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯18度30.02分、東経129度33.84分)
この日も空の状態は良いが透明度は前日より多少劣る様である。彗星はカシオ
ペア座δ星の東約3度の位置に移動していた。散開星団M103の近くである。彗星の全
光度は7.5等でコマ直径は7分、中央集光のある拡散状である。細い尾が北東に伸びて
いるようだ。光度はM103よりやや暗いか。
1月21日21:34~21:40
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯18度44.00分、東経126度26.94分)
この日は快晴で空の状態が良く、最微等級は6.5等、シーイング、透明度はと
もに良かった。
彗星は昨日の位置から南南西に7度ほど移動し、カシオペア座ε星の北約2度の
位置にあった。赤緯+70度線を南に越え、この緯度ではあまり高い位置に上らなくな
った。光度は7.5等でコマ直径は10分、中央集光のある拡散状である。東よりに幅の
狭い尾が伸びているようである。
1月20日22:00~22:13
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯18度54.03分、東経129度58.89分)
この日は雲が多く、視界を雲が流れる中の観測になったが空の状態は良いよう
だ。
彗星はカシオペア座に移動し、カシオペア座ω星の北東約3度の位置にあった
。彗星の全光度は7.5等から8等、コマ直径は8分で核光度は7等から9.5等だった。南
に尾が伸びているようである。前回観測よりも暗く感じた。
1月18日12:21~21:38
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯17度59.45分、東経128度31.74分)
彗星はさらに西に移動し、こぐま座にあった。この日、彗星は最も北上した様
である。空の状態は良いが昨日よりも少々劣る様である。彗星の全光度は8等、コマ
直径は8分で中央集光のある拡散状、核光度は9等から10等である。この日も彗星の移
動が確認できた。
1月17日21:26~21:45
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯17度51.12分、東経128度30.88分)
彗星は昨日の観測時から西に7度近く移動し、天の北極から7度程度の位置にあ
った。空の状態は相変わらず良くて最微等級は6.5等、シーイング、透明度ともに良
好だった。彗星の全光度は7.5等、コマ直径は10分で中央集光のある拡散状、南にプ
ラズマの尾と思われる細い尾が伸びているようだ。これとは別に幅の広い尾がコマか
ら広がり、30分ほどの長さがあるようだ。この日は彗星の移動を確認した。
1月16日20:42~20:52
測場所:フィリピン東方海上
(北緯16度25.47分、東経129度49.65分)
この日の月齢は18で、夕方の空には月光の影響がなくなった。このため、最微
等級は6.5等が確保できた。
彗星は赤緯+80度を越え、りゅう座ときりん座との境界付近に移動していた。
彗星の全光度は7等から7.5等と前回観測に比べて大幅に明るくなっていた。コマ直径
は10分で中央集光のある拡散状、核光度は9等である。南に幅の広い尾が伸びている
ようである。
1月14日22:37~22:43
観測場所:沖の鳥島南方海上
(北緯14度27.59分、東経134度329.00分)
この日の月齢は15.8で、夜は終始月光の影響を受ける。彗星が大きく北上して
夕方も観測が可能になり、ハートレー第2彗星、ヘール−ボップ彗星の観測にも対応
するために夕方の観測に移行することにした。今航海初めての夕方の空での観測であ
る。
月が出ているものの最微等級は5等と前回よりも星がよく見える。彗星はりゅ
う座λ星の北約2度の位置に移動しており、赤緯+70度を越えた。彗星の全光度は8等
、コマ直径は8分で拡散状である。
1月12日28:38~28:45
観測場所:マリアナ諸島南西方海上
(北緯11度23.67分、東経142度11.30分)
この日の月齢は13で、薄明開始までに月が沈まず、月光下の観測になった。シ
ーイング、透明度はともに良好だが、最微等級は4等程度である。双眼鏡でもあまり
星が見えず、月光の影響は歴然としている。
月光下でも彗星の確認はなんとかできた。彗星はおおぐま座δ星の北約5度の
位置に移動し、赤緯+60度を越えている。全光度は8等から8.5等、コマ直径は3分で拡
散状、それ以上はわからない。観測の限界か。
今航海最南端での彗星観測である。
1月10日28:40~28:50
観測場所:マリアナ諸島西方海上
(北緯15度20.55分、東経140度30.46分)
彗星はおおぐま座δ星の南約3度の位置に移動し、前回の観測から7度ほど北上
していた。全光度は8.5等から9等、前回観測よりも明るくなった気がする。コマ直径
は5分で拡散状、南西にコマが広がっているようだ。
空の状態は相変わらず良好である。北緯20度を越えたため、北極星の高度が非
常に低い。
1998年1月8日27:40~27:55
観測場所:小笠原諸島南東海上
(北緯21度53.75分、東経139度21.89分)
彗星はおおぐま座γ星の南東約8度の位置、系外銀河M106の東約2度の位置にあ
った。光度は9.5等、コマ直径は4分でM106と同じくらいだろうか。拡散状でコマ、尾
は確認できなかった。
空の状態は極めて良く、最微等級は6.5等、シーイング、透明度はともに良か
った。ただ、海上で水蒸気が多いためか像のシャープさがいまいちの様に感じる。彗
星の観測後、南十字座を確認、ω星団も双眼鏡で球状星団であることがわかる。
東京大学海洋研究所 大洋底構造地質部門
東京大学大学院 理学系研究科 地質学専攻 D2
原口 悟