1月25日20:20~20:32
観測場所:紀伊半島南方海上
(北緯30度22.23分、東経135度26.39分)
日本近海まで北上した。冬型の気圧配置が弱まりつつあり、風も弱くなって波
も収まりつつある。南方とは違って風が冷たい。空の状態は良く、最微等級は6.5等
、低緯度よりも星の輝きが鋭い気がする。
彗星は前回の観測から3度ほど東北東に移動していた。全光度は9等でコマ直径
は4分、拡散状である。
1月23日20:56~21:09
観測場所:大東諸島南方海上
(北緯21度22.67分、東経130度52.22分)
南方での調査が終わり、帰途につくことになった。この日が南方での最後の観
測になる。
彗星はくじら座θ星の北約6度の位置にあった。全光度は9等でコマ直径は5分
、拡散状である。
1月22日21:10~21:40
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯18度30.02分、東経129度33.84分)
この日も空の状態は良いが透明度は前日より多少劣る様である。彗星は昨日の
位置から東に1.5度ほど移動していた。彗星の全光度は9等でコマ直径は4分、拡散状
である。
1月21日21:34~21:40
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯18度44.00分、東経126度26.94分)
この日は快晴で空の状態が良く、最微等級は6.5等、シーイング、透明度はと
もに良かった。
彗星はくじら座η星の北約7度の位置に移動していた。光度は9等でコマ直径は
4分、拡散状である。尾はわからない。少し暗くなっただろうか。
1月18日12:21~21:38
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯17度59.45分、東経128度31.74分)
彗星はさらに東北東に移動し、くじら座η星の北北西約7度の位置にあった。
空の状態は良いが昨日よりも少々劣る様である。彗星の全光度は8.5等から9等、コマ
直径は5分で拡散状、尾はわからない。
1月17日21:26~21:45
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯17度51.12分、東経128度30.88分)
彗星は昨日の観測時から東北東に2度ほど移動していた。空の状態は相変わら
ず良
くて最微等級は6.5等、シーイング、透明度ともに良好だった。彗星の全光度は8.5等
から9等、コマ直径は5分で拡散状、尾はわからなかった。。近くに土星が輝いている
。
1月16日20:42~20:52
観測場所:フィリピン東方海上
(北緯16度25.47分、東経129度49.65分)
この日の月齢は18で、夕方の空には月光の影響がなくなった。このため、最微
等級は6.5等が確保できた。
彗星は前回の観測から3度ほど東北東に移動していた。彗星の全光度は8.5等、
コマ直径は5分で拡散状、テンペル−タットル彗星やヘール−ボップ彗星よりも明ら
かに暗い。東に幅の広い短い尾が伸びているようである。
1月14日22:37~22:43
観測場所:沖の鳥島南方海上
(北緯14度27.59分、東経134度329.00分)
この日の月齢は15.8で、夜は終始月光の影響を受ける。彗星の光度が双眼鏡の
性能の限界に近いため、この観測については若干の不安がある。
月が出ているものの最微等級は5等と前回よりも星がよく見える。彗星はうお
座とくじら座の境界近く、くじら座ι星の北東約5度の位置にあった。彗星の全光度
は8.5等から9等、コマ直径は7分で、拡散状、それ以上はわからなかった。
ここまでの観測は自宅からである。
1997年12月21日
冬型の気圧配置になったものの大陸の高気圧が北に偏って張りだし、本州南岸
が気圧の谷になって急速に雲が広がった。昨日までは天気が良く、月が明け方の空に
移ったので夕方の空を移動するハートレー第2彗星(103P/Hartley
2)の観測を久しぶりに行った。
空の状態は良く、最微等級は夕方の空としては良好な4.5等程度だった。北西
の風が吹いていたが像の揺らぎは少なかった。
彗星は前回11月末の観測から2時間近く東に移動していた。位置はみずがめ座
の「三つ矢印」の南約10度のみずがめ座σ星の北東約2度で、前回の観測よりも明ら
かに明るくなっており、光度は8等と見積もった。相変わらず中央集光は弱く、コマ
直径は5分で東に幅の広い尾が30分ほど伸びていた。
1997年11月27日
発達した低気圧が日本海を進み、このために26日は全国的に雨だった。そして
27日には低気圧はオホーツク海に進み、東日本、西日本では急速に天気が回復すると
ともに低気圧に向けて強い南風が吹き上げて気温が大幅に上がった。しかし、天気が
良かったのも1日だけで今日28日には早くも曇ってしまった。
27日夜は久しぶりに晴天が広がり、仕事の関係で早く帰ることができたので久しぶ
りに彗星の観測を行った。観測した彗星はハートレー第2彗星(103P/Hartley
2)である。宇都宮彗星(C/1997T1,
Utsumoniya)は帰宅時は地平線に近すぎて観測は断念したが、ハートレー第2彗星は木
星の近くに見えており、望遠鏡の導入は楽だった。空の状態は良く、最微等級は4等
から5等、シーイングも良好だった。
彗星の光度は8.5等から9等、コマ直径は4分で中央集光の弱い拡散状、東に15
分ほどの幅の広い、淡い尾が伸びていた。木星属周期彗星では前に観測したウイルド
第2彗星(81P/Wild 2)とは見え方はかなり違っていた。
今回は望遠鏡だけの観測である。
東京大学海洋研究所 大洋底構造地質部門
東京大学大学院 理学系研究科 地質学専攻 D2
原口 悟