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− 徒然 −
最近読んだ本 2002/12/28 編
しばらく書いていませんでした。
あんまり本を読まなかった気がしますが、ちょっとずつ。
『向田邦子の恋文』 向田和子
『ビンボーはカッコイイ 好きなことを仕事にする幸福』 森永卓郎
『葡萄物語』 林真理子
- ■ 『向田邦子の恋文』 向田和子 新潮社
→ 目次
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読み後わった後、何ともいえない感慨が残った。
昭和三十八〜三十九年の東京・杉並、思わず背筋のぴんと伸びるような内容。
人生を賭けられるような相手との、向田邦子の恋、相手「N氏」の病、自分の家のこと、相手の家族のこと、そして相手の死。
この本から垣間見えるその仕事ぶりも、生活ぶりも、人との関わりも、
何をとっても凄いと思う。
向田邦子の本やドラマは母が好きで、その影響で読んだり、観たりしていた。
死後何度となく組まれたテレビの特集や、雑誌で見るポートレートの出来の良さは不思議に思っていた。素人が撮ったとは思えない。
そして、その謎が今回解けた。相手の「N氏」はカメラマンだったのだ。
写真の、ファインダーに向けた眼差しはN氏に向けたものだった。
謎は多い。N氏の病の状態や、なぜ死を選んだのか、その苦しみなどはわからないままだ。淡々としたN氏の日記からはそのような深い苦しみは伺えない。読む側は、想像するしかない。
ドラマのようで、真実の人生なのだ。
「ままや」が暖簾を閉じていたこともこの本で知った。平成十年の春。
できれば母を連れて一度行ってみたいと思っていたが、結局、行かないままになってしまった。
そしてこの本に出てくる、食べることを始め、日々の暮らしを大切にしている様子。
愉しく豊かな生活だなあと思う。
忙しくても(というほど私は忙しい生活をしているわけではないけれど)、こういう小さなことを愉しむ暮らしは、いいなあと思う。
- ■ 『ビンボーはカッコイイ 好きなことを仕事にする幸福』 森永卓郎 日経ビジネス人文庫
→ 目次
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「お金がなくても、楽しい仕事をしながら、一生幸せな暮らしができる」
ということが書かれた本。
ニュースステーションでブレイクした(?)森永氏。
おもしろい人だなあと思っているが、彼の書いた本はずいぶん前に「非婚のすすめ」を読んだきりで、その時は「何ヘンなこと言ってるの? この人」とまるきりツボに入らなかったことを覚えている。
この本も、「そううまくいくかしら」「本に載ってる例は、ものすごく特殊な例なんじゃないの?」「なんで市井の魚屋のおっちゃんや植木屋のおっちゃんがいなくて、ダイバーやサーファーや女優の例しか載ってないんだ?」など疑問は感じる点は多いものの、底流に流れるラテンさ加減が結構、気持ちいい。
100%信じると危ない気もするけど、このノリはいいよね、今の時代の閉塞感を打ち砕くにはこういう部分が大事なのかしら、という感じ。
と思いつつ、でもたぶん多くの人は、好きなこと、好きで好きでしようがないことがあるけどそれを仕事にしていない(できない)わけではないのだ、きっと、と思う。
それほど好きなことが、そもそもないのだ。違うかな。
ノウハウの問題ではなく、もっと本質的な(子どもの育て方とか、教育とか、風土とか)の問題のような気がするのだった。
自分のことを鑑みてみるに、厳しいわ。
- ■ 『葡萄物語』 林真理子 集英社文庫
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久しぶりにこの人の本を読んだ。山梨の田舎の葡萄農家を舞台にした話は、他にも読んだことがある気がする。それは確か高校生が主人公の話だったと思うけれど、これは三十代、農家の人妻が主人公。
こういう、夫や姑やその親族や、地域社会のもろもろの束縛にどっぷり浸かった話を読むと、本当にこういう生活があるの? と不思議に思う。
主人公は自分とほとんど同年齢だけどあまりに環境が違いすぎて、いつの時代の話かしらと思ってしまうが、実際はそうでもないんだろうか。
私は実家も田舎ではあるが新興住宅地で、あまり近所や地域社会といったドロドロは感じないのだが
─ って実際住んでいないので違うのかもしれないが ─、もう少し違う土地であれば、こういう暮らしもまだごく一般的なのだろうか。
結婚生活の苦さをよく描いているけれど(そして婚外恋愛の甘さも)、
そういう人たちは、何かを諦めているようで、それでいてすごく強い感じもする。他の選択肢よりはまし、と消去法で選ぶ人生のようでなんだかつらい。
こちらの勝手な思い込みかもしれないが。
全体的には、読みごたえがあっておもしろかった。心理描写も細かく、さすがだと思う。だけど恋人の死は、きれいすぎるなあと思う。こんなキレイにまとめるようなもんじゃないでしょう、と思うんだがそこが林真理子か。ラストも、まあそんなものかもしれないけれど、小さなため息が出る感じ。消去法で選ぶ人生を、こんなもんだよと言われているような。
2002/12/28 記
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