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− 徒然 −

最近読んだ本 2002/10/12 編


心理療法の本読んでました。
他にもいろいろ読んだけど、ちょっとまとまらない(ので放っておいたら
結構忘れてしまって進まない)(^^;) ので、とりあえず。


『心理療法個人教授』 先生=河合隼雄 生徒=南伸坊


■ 『心理療法個人教授』 先生=河合隼雄 生徒=南伸坊 新潮社  → 目次
 結局人間の心ってわかんないんだねぇ、ということが深くわかる(ような気がする)本。
 以前、この南伸坊生徒シリーズ(?)の『平然と車内で化粧する脳』という本を読んで、これがやたらと面白かったのだ。 で、この本も買ってみた。 心理療法というのは、謎で得体が知れなくて怪しい、とても興味のある分野だったし。
 そう、心理療法とは多くの人にとってかなりそういう「訳わかんない」モノではないだろうか。 でも、惹かれる。 自分の中の(あるいは他人の中の?)闇、表層をめくった下の幾重にも重なり合ったドロドロの層、そんなものを覗くような怖いもの見たさの気持ちがあるのではないかと思う。
 実際、自分のことをいろいろと考えながら読んだのだけど、ふっと「わかった」 ような気がした箇所もあった。 知識だって役に立つ。 まあ、わたしの場合すぐに忘れちゃうんだけど。(苦笑)

 河合隼雄という人は、とてもバランスのとれた人だという感じがする。 「まあたぶん、こういうことなんでしょうなあ」と説きつつ、その一方で 「でもそれだけじゃないんだけどね」とふっと身をかわす。 いくつもの極でうまくバランスを取り、ふわりと立っている。 人間の心のわけのわからなさをよく知り尽くしている。 そういう感じ。
 南伸坊の洞察や突っ込みも鋭くておもしろくて、それでいてとぼけた味わいがあって、とてもよかった。挿絵がまたいい。

 この本の中の一節に、
 「心の病」の治療の本質は、何と言っても病んでいる本人が自ら「治す」あるいは「治る」ことであり、心理療法家はその援助をするだけである。
 と書かれている箇所がある。 わたしもちょくちょく「今日はどーもチョーシがワルイなあ」と思うことも多いし、 そういうものとどう折り合いをつけていけばいいのかはまだ試行錯誤の部分も多いが、 結局は自分自身の「ココロの癖」。少なくともわたしの場合は、そうだと思う。 そう、治りたい人だけが治るのだ。

 それと「恋愛性の転移」の話なんかもすごくおもしろかった。 転移とは、心理療法中にクライアントがセラピストに依存してしまうこと。 恋愛感情(のようなもの)を持ってしまったりするのだが、 それとは逆にセラピストがクライアントに恋愛感情を持ってしまうこともあって、 これを「逆転移」という。
 これが、男のセラピストと女のクライアントの場合は非常によく起こるらしいが、 逆は少ないらしいのだ。曰く、
 男の治療者のほうが、恋愛したがっている。
 男の治療者っていうのは、自惚れててね、自分が好かれていると、思いたがるんですね。 女の治療者は、その辺が、ものすごく微妙にわかっていて、べつに男のクライアントから恋愛なんかしてほしくない。 男は、何でもいいから、できるだけたくさんの人に愛されたい(笑)。 錯覚が起こりやすい。 これは僕の考え方です。
 身も蓋もないが、確かにわかる。思わず頷いてしまった。

 そして、一番心に残った一節。 ノイローゼとは文明病だということ。 人間はどうも、豊かな状態で生きていくように設計されていない。
 カネ持ちになった分だけ、つまり物が豊かになった分だけ、心のほうも努力しないといけない。
 物が豊かになると、それに見合うだけの心の豊かさ ─ つまり、心のエネルギーを使うこと ─ がないと人間は不幸になってしまう。
 生きることに汲々としなくてよくなったところから、人間の不幸が始まる。 心の努力。
 いろいろなことを考えさせられる本だった。

2002/10/12 記


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