私のお金の使い方
(1992.6-J.Amari/一番鶏) 
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金の使い方というと入社間もない去年の春を思い出す。
自分でも信じられない話だが、何を思ったか170万円
のダイヤを買ってしまったのである。ただし、いまその
ダイヤは手もとにない。7日後に、再び店に出向いて頭
を下げて引き取ってもらったからだ。(だったら最初か
ら買うな、というのはもっともな意見だと思う。)それ
にしても、きれいな店員さんに誘われるままに某有名宝
石店に入ってしまったことといい、そのうえアンケート
用と称して出してきた男性用ダイヤ付きネックレスを首
にかけてしまったことといい、赤面ものの恥ずかしさで
ある。断っておくがダイヤに特段の興味があるわけでは
ないし、ましてや自分に似合うとは絶対思わない。しか
し店員の態度が変わってきたのは、こいつはカモだと思
われたからだろう。「あなた絶対ラッキーよ!220万
円相当のダイヤが170万円・・」さすがにこれくらい
で買ってしまう程の莫迦ではない。「結婚するときね、
その胸にかかっているダイヤを指輪にするの、絶対彼女
泣くわよ。」大体彼女などいない。まったくよくもそん
なにクサイセリフを真顔で言えたものだ。ところが・・
心が動いてしまっったのである。しかも、「買ってしま
えばこの場から逃げられる、とにかく楽になれる。」な
どと思ってしまったのだ。後悔がおそってきたのはビル
を出てからであった。おめでとう商法でン百万円の壷を
買わされた老人を絶対に笑えないというひとつの教訓で
あろう。
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 Comment

1992/6に会社の組合機関誌(一番鶏)に「私のお金の使
い方」という題をもらって寄稿した記事です。
「某有名宝石店」とはもちろんあのココ山岡・・。
あの様なことになるとは夢にも思わず、ひとつの語り草
として忘れかけていましたが・・。
1997のココ山岡倒産劇でTVに写る被害者の男性群を見
て思うことが色々あったのはいうまでもないことでしょ
う。・・(笑)
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