『女性ファンから見た志穂美さん』 by TOM.O

−内容−

1.志穂美さんとの出会い

2.志穂美さんと牧れいさん−2人のアクション女優−:その1

3.志穂美さんと牧れいさん−2人のアクション女優−:その2

4.清楚な志穂美さん

5.チャーリーズ・エンジェル

6.志穂美さんがミュージカルで痩せた話

7.『ス-パーヒロイン画報』に一

8.志穂美さんと比較されてたのは誰?

9.スケバン刑事

10.志穂美さんのアクション

11.セクシーなアクション?

12.アクション比較:志穂美さんと牧さん

13.五十嵐薫:自立した女性

14.『大江戸捜査網』の秘密

15.『明日の刑事』の山口志保

16.時代殺陣の難しさと『里見八犬伝』



志穂美さんとの出会い


わたしが志穂美さんを知ってから、もう20年以上になります。多くの志穂美さんファンと同じく、彼女との出会いが私の運命を変えました。忘れもしない小5の夏、「キカイダー01」の再放送、そして「ザ・ボディーガード」の再放送彼女は愛らしい笑顔と、すばらしいアクションを私に披露してくれました。小学生時代は、悦子さんの情報も少なく、どんな切り抜きでも集めたものでした。それから間もなく、悦子さんはブロマイドの売り上げ1位となり、いろんな意味でスターの仲間入りをいたしました。お金があれば、きっとそのブロマイドを全部買っていたことと思います。(小学生のお小遣いではムリでした)そのころのつたないスクラップブックが、今でもわたしの宝物です。世の中にビデオというものが出だした頃、新しもの好きの我が家では、早速購入し、しかしながらテープが高くて(1本4〜5000円!)、やはり学生のわたしには高価なものでした。ようやくテープも好きなだけ買えるようになったときには、悦子さんは、ほとんど芸能界から去っていました。今は、いいビデオも買えるしテープも好きなだけ買える。しかし保存したいものがほとんどありません。あの(小学生)頃、今のような時代であったなら、貴重な映像がたくさん保存できたのに・・・と思います。それでも最近、偶然にも『ザ・ボディガード』『ザ・ゴリラ7』『燃える捜査網』と初期の悦子さん出演のビデオが手に入り、20何年ぶりに見ることができました。『ザ・ボディー・ガード』は再放送で1度だけ、『ザ・ゴリラ7』はほんの1〜2話ぐらい、『燃える捜査網』にいたってはほとんど見てない(なんせ我が家は厳しく、平日の9時以降はTVを見せてもらえなかった)状態だったので、何とも言えない感慨深い思いで見ました。あとは『大非常線』『明日の刑事』『ドーベルマン刑事』等が見たいですね。私が1番好きなキャラクターは、『ザ・ゴリラ7』の"流矢ミチ"です。悦子さんの役柄は「女必殺拳」のイメージからか、それとも東映の方針なのか、影を背負った役が多いですよね。(「闘う妹」、まさにそうだと思いました。)だから、ホントに明るくてハチャメチャで元気なミチが素敵だった。もともと、『ザ・ゴリラ7』の番組そのものが、荒唐無稽な軽い番組のせいもあるんでしょうけど。それから、当たり役としてはやはり“柳生茜”でしょう。後半哀しい(悦子さんの「かなしい」って、「悲しい」より「哀しい」の方が合ってるような気がする)話になってしまうのですが。同じ柳生茜でも『柳生十兵衛あばれ旅』などは、面白いし、カッコ良かったですねぇ。あとは、これは役柄ではないですが、『欽ドン!』の悦子さんが良かったです。気取らない、悦子さんの素顔がかいま見られました。 志穂美さんて、どんなに強い役をやっても女を忘れていない、心の奥にキチンと女性であることを持っている方なんですよね。ボーイッシュとか、男勝りって言葉は当てはまらない。だから男女わけへだてなく、ファンが多いんじゃないでしょうか?いずれにしても、志穂美さんがわたしにとっては一生、永遠に消えることのない人であり、ビデオに残っていなくても、わたしの脳裏には、悦子さんが出た番組1つ1つが思い出として残っています。志穂美さんに関しては、ホントに書ききれないほど、いろんなエピソードや番組に関することがあります。これから、このコーナーで思いつくままに紹介してゆくつもりです。

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志穂美さんと牧れいさん−2人のアクション女優−:その1

わたしは牧れいさん(1970年代の特撮ものや『ザ・スーパーガール』をご存じない方にはなじみが薄い名前かもしれませんが)をまず知り、女性でもこんなにスゴイアクションする人がいるんだ・・・と思って、その後に志穂美さんに出会いました。だから、きっかけとしては牧さんの方が先なのですが、あまり知られていないので、どうしても「志穂美さんにあこがれて・・・」と、言ってしまいます。(これも言い訳でなくホントですが) 2人ともアクション女優でしたが、その出発点は全く異なっていました。牧さんは女優、志穂美さんはスタントウーマン。牧さんは東宝のニューフェイスとしてデビューし、アクションとは縁のない方でした。 それは彼女の最初の頃の作品を見れば一目瞭然です。その後『ウルトラセブン』(ゲスト出演)、同円谷系の『10-4・10-10』、『レッドバロン』に至るのです。『レッドバロン』で初めてアクションを覚えたそうです。彼女は、初めてアクションをやったにしてはカンも良く、まじめで覚えも早く、殺陣師の方にもかわいがられ、いつの間にかアクションヒロインと呼ばれるようになった。・・・とのことです。だから『レッドバロン』を見ると、だんだん立ち回りがうまくなっていくのがよくわかります。ナミも真理も男の中の紅一点だったので、ハネっかえりのおてんば、というイメージでした。明るくて元気で、負けず嫌いの勝ち気な女の子を演じていました。『ザ・スーパーガール』でのリエは、女の中にいるから意識してそうしたのでしょうか、ぶっきらぼうで暴れん坊、あまり女性らしくないキャラクターでした。牧さんが演じたキャラクターの中では、わたしはこのリエが1番好きなんですけど、牧さんの女性ファンは、ここが共通するんじゃないでしょうか。かわいいと言うより、頼もしい、かっこいいところがいいと。牧さんの役作りがそうなのか、元々の性格がそうなのか、今ではわかりません。ただ、リエというキャラは「男顔負けの腕と情熱を持つ熱血漢」と、スタッフがこさえたんでしょうが、牧さんが見事にこの役にはまったのです。

対して志穂美さんは、元々スタント出身、最初の頃のせりふは???という感じで、お世辞にもうまいとは言えませんでした。しかし、闘っているときの顔や悲しみの表情には、すばらしい表現力を持ってました。また、同じ紅一点でも、牧さんの役柄が同年代もしくは年下に囲まれているのに比べ、まわりがいつも大人でした。たいてい出演者の中では最年少だったと思います。(のちに真田さんが登場するようになって、いくらか姉貴分となりましたが)だから『ザ・ボディガード』のジュンはマスコット的、『ザ・ゴリラ7』のミチや『燃える捜査網』のアキ子は妹分、『大非常線』のみどりは新米刑事という感じでした。『大江戸捜査網』のお新(風)や『柳生一族の陰謀』の茜にしても同じ。志穂美さんが演じたキャラは、腕は立つけど、いつでも守ってくれる大人がそばにいる。精神的な支えが必要なか弱さを秘めているからなのでしょうか。それは、前にも言った志穂美さんの中に必ず女というものがあることにつながると思います。若い頃は思春期の弱さ、大人になっていくにつれて女としてのナイーブさ、その時々によって感じさせてくれるものは違っていましたけど・・・。牧さんとの違いはこの辺にあると思います。(ただ牧さんは、『ザ・スーパーガール』のリエ以降レギュラーがないので、。『レッドバロン』の真理やリエのイメージ、とくに特にリエのイメージで考えてます。 二人とも「強い」けど、牧さんの真理やリエは精神的に「強く」、志穂美さんのジュン・ミチ・茜etc.は空手というか腕っぷしが「強い」。うまく言えないのですが、牧さんのリエはつらくても誰にもいわず1人で耐える、志穂美さんのジュンetc.は、見ているとつらそうで手をさしのべたくなる・・・・。その後の志穂美さんは、大人の女性としていろんな役柄に挑戦しましたが、どれにも必ず、その弱さがいろんな形で表現されていました。ある時は恋愛において、ある時は生い立ちによって、または子供に対して。

・・・・今これを書いてて、ふっと思ったのですが、志穂美さんて実は女同士、女だらけの番組って出てないんですよね。もしもこういうもの(プレイガールとかキャッツアイとか)に出ていたら、もしかしたらぶっきらぼうで明るく元気な悦子さんが見られたかもしれませんね。そう「あぶ刑事」のようなノリで・・・。「親子ゲーム」や「気まぐれ白書」の役は唯一近いかもしれませんね。

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志穂美さんと牧れいさん−2人のアクション女優−:その2


『ザ・スーパーガール』のエピソードで、牧さん扮するリエが主役の『女ドラゴン 紅の必殺拳』というのがあります。これがまさに『女必殺拳』もどきでかなり笑えます(いや、笑っちゃイカンが・・・)。殺し屋が3人出てきて、最後に対決するのがあの「石橋雅史」さん。得意の“サイ”を自在に振って。東映の作風そのまんまって感じです。ただ1時間番組なのでアクションは少ないし、リエは探偵さんなのであまり残虐なシーンはなかったです。でもやっぱり2〜3人ぶっ殺してます。(正当防衛になるのかな?)
このときのリエと紅竜を比べると、牧さんと志穂美さんの違いが良く分かります。リエは幼なじみの冴子・英子姉妹を殺されてしまうのですが、そのつらさを胸に秘めて1人で立ち去って行きます(そのシーンが印象的でした)。リエはやっぱり誰にも頼らず、1人で耐える。その強さがかえって悲しみを誘います。紅竜も、兄や姉を殺されてしまうし、自分も大けがを負ってしまう。しかし最後闘いを終えた後の表情が、肉親を失った悲しみより闘いの悲しさやむなしさを強く感じさせます。一般に映画制作では、脚本や監督は、ただ「最後悲しい表情!」としか言わないものです。なぜ、何が悲しいのかは、志穂美さんが主人公の気持ち・感情を解釈しなければなりません。「闘う妹」」の「闘うことの悲しみ」に2430mstさんが書かれたように、闘うということはつらく、悲しいことであると考えて、演技していたのでしょう。その点については、「闘う妹」の「闘うことの悲しみ」に同意できます。
ただ、紅竜は香港人だし、元々カンフー映画は『燃えよドラゴン』から来てるからおどろおどろしいし、その上ヤクザ・任侠の東映(青春ものの東宝、お笑いの松竹?)と合体したモンだから、『女必殺拳』の映画自体は「エロい、グロい、キツい」の3拍子そろったものになってしまっています。(志穂美さん自身の役は、「エロい、グロい」というところは全くありませんが。)でも、日本人は痛めつけられて最後は勝つ!というパターンが好きだから、耐えるヒロインというのはピッタシだったんですね。やっぱり、志穂美さんのイメージって東映映画の“色”も強いんじゃないでしょうか。

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清楚な志穂美さん:男性ファンにとっての志穂美さんの魅力についての掲示板での書き込みを読んで。


志穂美さんの清楚な部分をみなさん感じてらっしゃるようで、うれしいですね。わたしも最初に好きになった頃(10歳くらい)は、子供だったせいか、
強い女性=スケ番、とか女囚とか、そんなイメージが多くて、強いお姉さんは大人が見るモンなんだ(?)と勝手に思ってました。「プレイガール」のイメージね。ところが志穂美さんを見たとき、そんな思いが一挙にくつがえされました。どんなに暴れても、敵をやっつけても、“乱暴なスケ”には絶対ならない。普段の志穂美さんは清楚で、おしとやかで、ホントに女らしいなぁって思いました。実際の性格はわかりませんけど、そんなネコかぶってるような人には見えないし、きっと塩見悦子(今は長渕ね)さんも、そういう方なんでしょう。それが、役ににじみでてるんじゃないでしょか。


チャーリーズ・エンジェル


わたしの人生3大好物(食いモンかいっ!?)の1つに『チャーリーズ・エンジェル』という番組があります。やはり70年代にエンジェルブームを巻き起こしたアレです。以前、志穂美さんがあるインタビューの中で『チャーリ-ズ・エンジェル』のようなものをやってみたい」と言ってました。「身体を使ったアクションはもちろん、ガンさばきやカーアクション、そしてお色気もチョッピリ・・・。でもお色気はないかなぁ・・・」とも言っておられました。そう言えば、志穂美さんは一時期髪型を、ファラカットにしていたし、『キャノンボール』でファラ・フォーセットの吹き替えもしていたし、ANGELSに憧れてたのかもしれません。『ザ・スーパーガール』も『プレイガール』の流れをくむ番組だけれど、それよりも基本は『チャリーズ・エンジェル』の線を狙ったものだとのことでした。最近の話では、ミッシェル・ヨー(007)が、新エンジェルとなって、リメイクされるとのこと。志穂美さんも、やりたかったでしょうね。

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志穂美さんがミュージカルで痩せた話

掲示板に「ミュージカルの時にやせた」という話が載っていて、ふと思い出した話があるので、紹介することにします。これは、ある人からつい最近聞いた話なのですが。1984年にJACの養成所卒業公演を兼ねてミュージカル『ゆかいな海賊大冒険』の2回目の公演がありました。(このミュージカルの初演は1982年です。)この公演は、A、B二通りのキャストで行われ、Aキャストはもちろん、志穂美さん、真田広之さん、黒崎輝さんなどのスターの方々、Bキャストは佐藤実里さん、山本あきらさん、渡洋史さんなどの若手の方々でした。で、実里さんが開演1週間ほど前に捻挫をし、リハーサル中にびっこをひき、ほとんど演技できない状態になってしまっていたんだそうです。初日前日の最後のリハーサルで、それで、実里さんが復帰できるまで、志穂美さんが代わりにBキャストの方にも出演することを申し出ました。(実際、次の日が初日なのに、すぐに代役をたてるのは不可能だったでしょう。)次の日からの舞台公演、志穂美さんは宣言通りABキャスト両方主役のミランダ姫をやってました。本来、ABキャストで、昼夜キャストをかえて上演するのは、体力的に大変きついからです。とくに、この作品は体力的に大変きつく、毎日1回でもきついのです。1日1回でもきついのに、志穂美さんは毎回やられてました。見る見るうちに頬がこけ、やつれていくのがはっきりと見て取れたと言います。何日かして、ようやく実里さんが初日をあけたとき、志穂美さんは倒れる寸前だったとのこと。でも、絶対に泣き言は言わず、がんばっていたそうです。私のその話をしてくれた人は、そのときの志穂美さんを見ていて、「ああ、やっぱりこの人はスゴイなぁって思った」と思ったそうです。この話、今年の6月頃に聞いたんですが、もうその話を聞いた瞬間、わたしは涙あふれそうになりました。感動したのと、もう15年近く経っていることを、こんなにもはっきりとその人が覚えてた・・・つまりそれほど印象的だったんだなぁと思ったのです。こんなにスゴイ人なんだと言うことを、多くの人に知って欲しいですよね。

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『スーパーヒロイン画報』に一言

先日買った『スーパーヒロイン画報』(遅れてますよね、出てから大分経つのに)に、志穂美さんと牧さんのことが載ってるページを見て、不思議に思うことがありました。
「70年代を代表する2人」と言うことで、両方好きなわたしにとって大変うれしい限りでしたが、もう1つの記述に、「スタイリッシュな牧れい」「泥臭い志穂美」と書いてあったのです。話の前後から解釈するに、要するに牧さんは『レッドバロン』で明るい女の子、志穂美さんは『キカイダー01』で、影を背負った女の子という役柄からだったようです。そして「好対照な2人」とも。これまでにも述べたように、二人には対照的なところがあります。しかし、「スタイリッシュな牧れい」「泥臭い志穂美」というところには、『キカイダー01』と『レッドバロン』だけではなく、二人の作品を数多く観ている私としては、「おや?」と感じてしまったのです。

デビュー当時のイメージは確かにそうだったかもしれません
。牧さんが演じる松原真理は、自分から闘うことを選んだ“女戦士”であり(途中で戦いに明け暮れる毎日を嘆くシーンもあるのですが)、平和という確固たる目的を持って闘う女の子。志穂美さんのビジンダー/マリは、自分では望まない宿命で生まれてきた“闘う半機械人間”。後半01たちの仲間になるまでは、何のために生き何のために闘うのか、そして機械であることがマリにとって苦しみ哀しみとなっている。キャラクターから言ったら、本当に好対照でした。じゃあアクションは、と言うと、これもやっぱり闘うことを“善”と思っている真理と、“悪(哀)”と感じてるマリ。この微妙な差が2人の立ち回りを違うものにしています。面白いですね、考え方が違うと、立ち回りも違って見えてくる。真理は自信たっぷりに演じてます。メカロボや鉄軍団をバッタバッタと殴り倒す。見ていて気持ちいいくらいに。「相手を倒す=死」と言うことを深く考えさせない。スマートで、スッキリ爽快なアクションでした。一方マリは、ビジンダーになると好戦的になっちゃうけど、マリ自身は戦いを好まない。自分が機械だから、命というものをものすごく大切に考えてるようです(子供を助けて凍ってしまう話がありましたね)。だからためらいがちに闘うこともあった。いずれにしても、両方とも番組スタッフが考えた役柄だから、志穂美さん、牧さんがどうこう・・・と言うことはないかもしれませんが。

その後2人のアクションは逆になるように思います。例えば、
『ジャッカー電撃隊』で志穂美さんが演じた小野夏子。
かっこよかったですよねぇ〜小野夏子さん。あの黒いレザーの上下、白いブーツに、ロング・ヘァー。アクションも、スマート・華麗に、ヌンチャク振り回して敵のコマンドをバッタバッタとぶっ倒す。このスタイルとアクション!! !これを「スタイリッシュ」と言わずして、何をスタイリッシュと言うのか!!この1カットの写真ほしさに当時出ていたジャッカーの本を買っちゃったモンです。

もう少し後になると、牧さんは前述のリエ(『スーパーガール』)と、志穂美さんは山口志保刑事(『明日の刑事』)という対比になりますね。この二つは大体同時期ですし。リエは前にも書いたとおり、ぶっきらぼうで男勝り。志保は、ジュン(『ザ・ボディガード』)やミチ(『ゴリラ7』)に比べると大人になって見た目はおしとやか。村上刑事とロマンスもあってか、アクションの時は派手に立ち回るけど、だいぶ大人の女性というものを意識してます(ちょっと意地っ張りなトコがかわいい。)なんか、志穂美さんが演じているキャラの方がスマートなんですよね。志保は刑事だし、この頃の志穂美さんは『ドーベルマン刑事』の五十嵐薫刑事に見られるようなエリートを演じていたので、余計そうなのかもしれません。それに合せて、立ち回りも変わってきてます。『スーパーガール』はもともと“女性”が悪いヤツら、ダメな男達をやっつける−−と言うのがテーマなので、ある時は颯爽と、ある時は必死に闘います。真理に比べると人間味を感じさせます。それでも、リエは闘ってるときあまり“女”を感じさせないけど。『明日の刑事』『ドーベルマン刑事』などでは、犯人逮捕という目的があるので、どろどろしてない、あんまりやられちゃったりしない、アクションはあくまでもかっこよく、スッキリと爽快に(ドラマの内容はときどきどろどろしてたかも)。だからやたらこのときの志穂美さんが、カッコイイかったんだなぁ。これをスマートと言わずしてなんと言う!って感じですよ。デビュー当時牧さんがスマートで、志穂美さんが泥臭いというのが逆転し、見ようによってはリエの方が泥臭く、志保の方がスマートになったように思います。(これも役柄のせいでしょうが。『スーパーガール』が泥臭い東映の制作で、『明日の刑事』が東映作品でないこと、年代が80年に変わっていくうえでの作風の変化も理由の1つかもしれませんが。(でも、『ジャッカー電撃隊』は70年代で、東映制作ですね。)

以前、ミチとリエのコンビを見てみたいと言いましたが、これを書いていて志保とリエのコンビの方がおもしろそうだな、と思いました。いっつも志保に文句言われてそうですよね、リエが。この2人の性格がまるっきり正反対のように感じるし、ボケ(リエ)とつっこみ(志保)で切っても切れないくされ縁みたいな・・・へんな友情で結ばれてる。それでもお互いに信頼してるような、いいコンビになりそうです。ミチだとまだ若くて、リエを姉御と慕いそうですモン。う〜ん、この2人で誰かファンフィクション書いてくれないかな・・・。

何だか脱線しちゃったけど、結局、何が言いたかったのかと言うと「泥臭い」志穂美と言う言葉に反論したかったんですよ。


志穂美さんと比較されてたのは誰?


先日、昔のスクラップを開いたときに、おもしろい記事を見つけました。わたしは牧れいさんと志穂美さんの比較を書きましたが、あの当時
志穂美さんは一体誰と比較されてたと思いますか?実は『華麗なる追跡』で共演した女子プロレスラー“マッハ文朱”さんなのです。今読むと、これはどうかなって内容ですが、当時はこんなまるっきり違う職人同士を対比させるんだなぁと思いました(まあこれも宣伝のひとつでしょうが)。だって、志穂美さんとマッハ文朱さんじゃ、千葉真一さんとアントニオ猪木さんを対比させてるようなモンですからねぇー。そこに書いてあった記事を紹介します。


「同じアクションスターの志穂美悦子とは、いろんな意味で比較されるらしいが、悦ちゃんの静かな気迫に対して、マッハは燃えるような身体全体から吹き出す迫力であり、また、悦ちゃんは岡山人気質みたいなものが全面に出ていて、これぞと言うまでは容易に自分をさらけ出さないが、マッハの場合すべてを出すことによって、リング上での自分を作っていき、人々の好奇な目を自分に向けさせるのである」

これって、うまく言ってますよね。志穂美さんの雰囲気を良くとらえてる。もうひとつ、その『華麗なる追跡』の宣伝記事を紹介します。
「今ヤングの間でウナギ上りの人気を示しているのが東映の志穂美悦子。〜中略〜その彼女の次なる作品は『華麗なる追跡』、TV・歌にこれまた大活躍の女子プロレスラー・マッハ文朱との共演。「話してみると気が合うみたい」という2人だが、、空手、プロレスと分野が違ってもライバル意識はかなりのよう。もち映画の中では2人の“対決シーン”がもりこまれているので期待しよう。」


(ついでに言うと、このとき載ってた「さわやかアイドル5・若きエースたち」は、志穂美さん、マッハ文朱の他に小野寺昭、中村雅俊、ずうとるび、でした・・・なつかしい!)TVガイドにも、ちょうど『燃える捜査網』の時に『名勝負2人のブラウン管対決!』なんて出てました。同じNET局で、同じ金曜日に女子プロレスをやってたからみたいですけど。宣伝に使えるものはなんでもって感じでっすね、これは。

ところで“対決”っていうと、おもしろい番組がありまして、『ベスト3・夢の顔合わせ』というのですが、その記念すべき第1回が、「アコ・百恵・悦子の気は優しくて力持ち」でした。これは3人のスターがいろんな対決をする番組なのですが、このとき、和田アキ子さんは姿三四郎、山口百恵さんは緋牡丹お竜、志穂美さんはもちろん女ドラゴンでアクション対決をし、そのあと女らしさを競うおむすびづくり対決なんてのをしてました。こんな昔の番組、良く覚えてるんですよねぇ〜、不思議なことに。おむすびはアッコさんが特大のぐちゃぐちゃで、笑いを取ってました。百恵ちゃんはきれいなおむすび、悦子さんはコロコロとかわいいダンゴのようなおむすびだったと思います。結局誰が1番てのは決めないんですけど、この3人が共演したなんて、今考えるとスゴイことだと思いませんか?おそらく2度と見ることはできない番組だと思いますが、貴重な思い出だと思います。“対決”という言葉でここまで長くなってしまいました。・・・それにしても、同時期に「アドベンチャー女優」と『プレイボーイ』に載っていた牧れいさん、なんで志穂美さんと取り合わさなかったんでしょうか?表に出ない理由あるんでしょうか?

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スケバン刑事


1975年に、和田慎二さんが、『超少女明日香』というマンガを書いておられます。和田慎二さん・・・『スケバン刑事』を書いた人、と書くとわかりやすいでしょうか?仮面ライダーとか、特撮モノとか結構好きみたいです、どうやら。で、その単行本を先日見つけ、「きゃあ〜なつかしい!」と思いつつ購入しました。(一応わたしも女の子(!?)でしたから、男勝りでも、マーガレットとか読んでました・・・。)そのエピソードの中に、TV局を利用した悪業の話があるのですが、ある1コマに、
TV番組表があって、『スケバン刑事』の出演者に、志穂美悦子さんの名前があるのです。(ちなみに「神恭一郎」は野口五郎・・・ええ〜っ!?)
TV化されたときには斉藤由貴さんが演じられましたが、もしかしたら、
和田慎二さんの頭の中では、志穂美さんの「麻宮サキ」があったのかもしれません。75年というと、『ゴリラ7』の時代。19歳で高校生は、ちょっとムリ・・・ですかね? 見てみたいけど、やっぱり、似あわなさそうだし、皆さんどう思います?

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志穂美さんのアクション

志穂美さんが活躍していた時代は、カンフーブーム、アクションブーム全盛でした。私には時代劇よりも現代アクションの方が印象に残っています。初めて見たビジンダー/マリの志穂美さんは、飛んだり跳ねたり、悪い奴らをぶちのめす、凄いお姉さんとして子供心に強烈な印象を残してくれました。ビデオなんか無かった時代、TVにかじりついて、穴があくほど見つめていたものです。このときの想いを忘れることなく大人になってしまったわたしは、今幸運にも好きな職業に就くことが出来ました(ま、いろいろ苦労もありますが...)仕事柄、昔のアクションものを再び見る機会も増え、もう2度と見ることが出来ないと思ってたあの志穂美さんの勇姿を、もう一度大人の目で見ることができる日が来た訳です。もちろん、ビデオやLDやCSの普及のおかげという面もありますね。そこで、改めて見た志穂美さんのアクションについて、感じたことをお話したいと思います。

まず述べておきたいことは、
CGやワイヤーアクションなどの技術の進歩を別としても、志穂美さんが活躍していた昔と今とではアクションの撮影の仕方が全く違っているということです。昔はとにかく長回し、広い場所でのロンショット、1カット撮りが多かったのです。(注 後で述べるように、この点改めて凄いと思います。『ザ・ゴリラ7』などでも、出演者の皆さん、広い野原を駆け回りながらのアクションが、ロングショット、1カットで撮影されてますよね。今はカット割りによる撮り方が行われてます。カット割りが細かければ細かいほど、下手な人でも上手く動いてるように見えます。カット割りをすれば、単調な画面もよりスピーディに感じるし、1ショット1アクションの細かい描写説明もできます。それに対して、昔のロングショット、長回し、1カットの撮り方は、役者さんが本当に動ける人じゃないと駄目なんです。本当に動ける人でないと、全身で長回しってのは見ててきついんです。下手な上にたらたらとかっちょ悪いアクションをず〜っと見せられたら・・・「おいっ!」って、怒っちゃいますよね。だから本当にアクションができる人じゃないと、昔のような撮り方ってできないのです。もちろん、昔の番組とは言っても、『プ○イガール』とか他にもいろいろと例外はありますが。

さて、引き絵ならば吹替を使う場合もありえるので、本人とわかるサイズの絵でちゃんと確認してお話しているのですが、私の志穂美さんに対する思い入れから、多少ひいき目に見ている部分もあるかもしれませんが、志穂美さんってやっぱり凄いですよ。例えば、『女必殺五段拳』の映画撮影所の倉庫から出てきた後の大立ち回りを見て下さい。あの連続した十数手のアクションをビシッときめるというのは、本当に凄いことなのです。あと、舞台、つまり生で見てもカッコよかったですしね。舞台じゃ吹き替えは使えないので、ごまかしがききませんから・・・(使ってた人もいますが・・・いえそんな、○葉さんだなんて・・・言えません)。


少し付け加えますと、たとえいくらカット割りをしても、どうしてもカッコよく見えない人は見えないのです。それは、立ち振る舞いやダンスにも似た、身体のキレ、美しさがない人です。時代劇のカッコ良さは、動きももちろんですが、あの「見栄」と「立ち姿」が大事です。見ている人を惹きつける颯爽とした姿でアクションをするから良いのであり、これはボディアクションも同じなのです。どんなに早くても、動くても、サマにならないと駄目なのです。だから、うまく見せるために、かっこよく見せるためには、カメラワークや殺陣師の腕ももちろんですが、役者本人がどこまでやれるのか、ということが大事になってきます。その点、志穂美さんはロングで撮っても、アップで撮っても絵になる人ですね。


志穂美さんと同等かそれ以上に動ける人、今の日本にいるかもしれません。でも女優として総合的に見て、スターとなり、一世を風靡した方はやはり志穂美さんしかいないんです。香港では、ミッシェル・ヨーやアニタ・ムイなど、アクションもやるし文学作品にも出るし、と言った風の女優さんがいますが、日本の場合は「第2の」とか「めざせ!」と言われるように志穂美さんと同等に見られる、あるいは追い越すアクション女優さんは未だ出てきていません。JACには志穂美さんを受け継ぐ方が次々と出てこられましたが、知名度から言ったらまったくかなわないし、アクション女優と肩書きがつく女優さんも、今はいませんし...。

話がわきにそれてしまったようです、済みません。
志穂美さんは、実力も、知名度も、華やかさも兼ね備えた女優さん(アクション女優と言った方がいいのかな?)なのです。そうそうもうひとつ、プロ根性も備えていたましたね。

注) もう1つ今と昔で違うところは、昔はTVドラマでも映画並みにフィルム撮影だったことです。フィルム撮影ですと。コマ落としやスピード調整もできるという利点もあります。しかし、その場で撮り直しがきかない(ビデオ撮影の場合は、その場で画面のチェック−例えばバレやマチガイなど−ができるが、フィルムの場合ほとんどがラッシュ時、編集の時点でないと見られない)というのが大変ですね。

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セクシーなアクション?

これからお話することは好みの問題という面もあり、人の好みは様々だということも分かってます。アクションを演じる側の1人として、私がどのように感じているのか、思っているのかを書くだけなのです。気分を害する方がいましたら、お許し下さい。昨年、ここの掲示板であったトラブルの1つの原因が、アクションにおける「セクシーな面」についての書き込みにあったので、それについて私の考えや感じたことを書いておこうと思った訳です。

アクションにおいてセクシーな部分、もっとはっきり言うと性的魅力・・とはどういうものなのでしょうか。女性的なアクション、古くは『プレイガール』のように、アクションしてる最中に下着や裸が見えたりするものから、最近では、大胆なコスチュームでアクションをするもの(キャッツアイや峰不二子のように)を指すのでしょうか。一方で、ヒロイン(特撮・アニメも含めて)のパンチラなどを楽しみにしているファンもいます。『レッドバロン』の松原真理や『キカイダー』のマリ、『シャイダー』のアニー、他に『セーラームーン』『ロゼッタ』『ヴァニーナイツ』等々。セクシーと言うより、コレはもう趣味の世界なので、アクション云々とは言えませんけど。ただ、女である以上、どこの世界にいても、必ずこういったものにはぶつかるということはあります。しかし、アメリカや香港で、一般向けの映画やTVドラマのアクションシーンで、パンツが見えようとお尻が見えようと、それを強調して見せる、と言うことはありません。そういう観点から撮る映像ならまだしも、パンチラ重点にアクション映像を撮るのは日本だけです。

ここで、同じ仲間の経験を一つお話しておきましょう。彼女は、ある番組でヒロインのスーツアクターを演っていました。アクションが大好きで、それはもうボロボロ、ドロドロになりながらがんばって作品を撮り終えました。しかし、ある批評の中で、パンチラが足りないとか、本人のナマ足でないと見る気がしないとか意見を読んでショックを受けたそうです。どんなに良いアクションをしても、どんなにがんばってもパンツ1枚で善し悪しが決まるなんて・・・と。もちろん、そこを重点にした番組の狙いは当たった訳で、そう言った意見が出るのは作る側としては成功なワケです。見てほしいところを見てくれてるんだから。しかし、プレイヤー側から言わせてもらうと、ギャグで演ってない限り、そこばかり言われるのは、本当に悲しいことなんです。言わないでくれ、ということでなく、そういう思いもあるんだ、ということを知って欲しいのです。くれぐれも誤解のないようにお願いいたします。(もちろん、中にはアクションを評価してくれる人もいましたよ。)志穂美さんが、ビジンダー/マリでパンツが見えるのをいやがったと言うこと、『燃える捜査網』でやはり制服のスカートでのアクションに気を遣ったのは、もちろんそういうことに抵抗があったこともあると思いますが、やはり先の彼女と同じように、見てもらいたいところはアクションだったからだと思います。だって、そこを一番見て欲しいはずだもの。

アクションをやっているときに見えてしまうのは仕方ないというところもあります。(また、松原真理やアニーのように逆に変に意識しないでくれる方が、見ていても気にならないし、安心するということろもあります。)ただ、裸や下着を見せればセクシーなのかといったら、それは違うと思います。セクシー=性的魅力簡単に言えば、女らしさ、男らしさ、色気・・・・つまり、その人の持つ魅力なんですよね。宝塚の男役の人だってセクシーだし、舞台の女形だってセクシーだと思うし、いろいろです。うまく話がまとまりませんが、とにかく、セクシーといえば下ネタに走るのはちょっと違うように思うんです。てこういった話題って、1つ間違えると本当に人によっては不快に感じるものなんだ、ということをアクションをやる人間の側から話したかったのです。この点に関しては賛否両論あると思います。わたしも自分の意見が正しいとは思っていません。この話は、わたし自身の思い・考えです。他の人の意見も尊重するし、否定はしません。

少なくとも、わたしはカッコイイ女性が好きです。アクションが好きということ自体、男勝りな訳で、そういう人にあこがれ、自分もそうなりたいと思っています。だから余計女らしさ、とか色気には無縁で(それはそれでいかんのですが・・・涙)、よりカッコ良さを追求してしまいがちです。だからやっぱりセクシーを、裸や性描写などに例えられると抵抗があるんです。わたしが女だから、女の裸は苦手、というか恥ずかしく思うことがるのかもしれませんが....。ましてや、自分があこがれている人のことならなおさらです。それは、今まで述べてきた理由からです。アクション・闘いの中にセクシーさが必要かどうかはわからないけど、闘う姿がセクシーに見えると言うことはあるでしょう。アクションは、カッコよくてセクシーでスカっとする、魅力あふれるものでありたいです。

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アクション比較:志穂美さんと牧さん


20年ぶりに志穂美さんと牧さんのアクション、しかもほぼ同時期のものをCSで観ることができました。『爆走ドーベルマン刑事』の志穂美さんと『スーパーガール』の牧さんです。二人のアクションを比較してみることにします。

『スーパーガール』の方は、最終話近くの立ち回りが、全体的にわりと迫力あるものとなっていて、女性アクションものとしては見ごたえある映像で、結構おすすめです。
牧さんのリエもまあ力入ってるというか、暴れまくっております。めちゃくちゃパンチが早い。荒い、迫力のあるアクションを披露してくれています。牧さんは、最初の頃に比べると、この4クールの間に凄く動きがパワフルになりました。フックの連続なんて最高にカッコいいです。特に48話のクラブ内での立ち回り(水ぶっかけられるギャグまであって)、49話の倉庫内でのアクション、わたしのお気に入りです。

そして久しぶりに見た『爆走ドーベルマン刑事』での志穂美さんの現代アクションですが、『女必殺拳』や『ボディガード』から『大非常線』の一連のTVでのアクションドラマから、5、6年経った時期で、動きも大分変わってました。これがきれいで早くてカッコいい。TV見ながら、思わず「うわ、かっこい〜・・・」と自然につぶやいてしまいました。この頃から、ミュージカルのためにジャズダンスを始めたといこともあるからなのか、動きにキレがあってとにかくきれいなんです。円の動き、回転系とでも言いましょうか、回し蹴りやフックのあとの裏拳のコンビネーションなど、流れるような華麗な動きなのです。本当の回し蹴りは、コンパクトにひざをかかえて蹴りを出すときにスピードやパワーを出すのですが、志穂美さんは昔から足を伸ばして蹴ります。志穂美さんの長い足がきれいで、華麗で、それがかえってカッコよいのです。香港の女優さんの蹴りがよくこんな感じです、11話では、ジャック宙(注)をしてますが、あれたぶん志穂美さんご本人がやってます。だから、吹き替えみたいな映し方しないで、志穂美さんの顔をもうちょっと入れてあげればいいのに・・・と、その点がちょっと不満でしたが...。

要するに、牧さんはパンチ技がカッコ良くって、志穂美さんは足技がカッコ良いということですね。

牧さんは「レッドバロン」の立ち回りからすると、全く動きが変わっています。真理は動きが華麗だったけど、リエはとにかく荒々しい。パワーとスピード感にあふれている。志穂美さんは、ジュンやミチの動きはまだ荒っぽさが残っていたけれど、五十嵐刑事は動きが洗練されていて、まるでダンスを踊っているかのように見えます。リエが直線的な動きとすると、五十嵐刑事は円の動きですね。実は、以前に以前他の方が書いた志穂美さんと牧さんのアクションの対比に対して同じようなことを書きましたが、改めて映像を見てみて、自分の記憶が間違ってなかったな、と思いました。『レッドバロン』は時代劇の殺陣の人が殺陣師だったので、舞台調の、一見華麗にさばいていくようなアクションでした。真理はムチを使ってメカロボをさばきながら倒していく。『ス−パーガール』はJACの金田治さんが担当です。(『女ドラゴン 紅の必殺拳』と24話のみ西本良治郎さん。リエは相手をさばくこともさることながら、自分から掴みかかってくわ、投げ飛ばすわ、飛びかかってくわで、敵陣に突っ込んでいく。そういう性格なんでしょうけど、その勢いが、前にも言った暴れん坊状態なんです。男顔負けの動きで、ぶっ飛ばす、叩きのめすと言った表現が当てはまる。五十嵐刑事は、かかってきた敵を迎えつつ、さばいてやっつけていました。だから余計華麗に見える(この意味お分かりになるでしょうか?)。

リエのフックはサイコーです。あの小柄な身体から繰り出す迫力あるパンチ、二段蹴りの連続や投げ技もイイけど、やっぱり決めは“フック”ですね。志穂美さんは“蹴り”。特に回し蹴りからバック回しのコンビネーションは、昔からカッコ良かっけど、この五十嵐刑事の時は、ほんときれい!回し蹴りもバック回しも、とにかくキレがあるしきれいだし、長い足が目立ってます。これだけタイプの違うアクションを見せてくれるお2人、イイですね。『スーパーガール』はもう終了してしまい、『ドーベルマン刑事』は今月(4月)で終わってしまうのが、本当に残念です。


(注)ジャック宙とは、JAC宙・・・ウソです、信じないでください。ジャックナイフのような動きの宙返り、の意味だと思います。多分。

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自立した女性 五十嵐薫


『爆走!ドーベルマン刑事』の五十嵐刑事、むっちゃくちゃイイですね〜。キャラ投票に1票入れときゃ良かっ
た。志穂美さん、大人の魅力というか、今までのジュンやミチなどに感じていた誰かに頼る弱さがなくなり、自信に満ちた振る舞いやのびのびとした演技が、とても印象的です。共演の黒沢さんなんかが上手く引き出してるようにも思います。本庁の刑事という、レギュラー軍団から一歩ひいた立場だから、かえっていいのかもしれませんね『影の軍団』や金曜夜シリーズのJACものだと、どうしてもお頭やリーダーなどがいて、その人に頼る形となってしまうので、自立した女性として描いてくれないような気がします。女性の優しさや心の底にある弱さを表現してくれるならいいのですが、どうしても千葉さんがアタマにいると、「千葉さん=頼れる男!」みたいな作り方にします。もちろん、主役だからしょうがないし、それはそれで面白いんだけど、同じパターンを繰り返しすぎ・・・に思うのは、わたしだけでしょうか。もちろん、志穂美さんの魅力の1つに、強さの中に見え隠れする弱さというものがありますけど、五十嵐刑事のカッコ良さを見るにつけ、やはりその年代なりの強さが見えてくると素敵なんです。『明日の刑事』の志保のよう、恋愛に悩まない分、五十嵐刑事はカッコいいのかもしれませんね。バイクに乗るので、パンツにジャケット、と言ういでたちち、またこれが似合ってます。いやぁ、ホントに素敵です、しびれました。


『大江戸捜査網』の秘密


昨年発売された『大江戸捜査網』のビデオですが、もう皆さんご覧になったでしょうか。やはり「風」は良いですね。志穂美さんが出演されているシリーズが、一話だけしか収録されてないのが本当に残念です。
 
実は、『大江戸捜査網』で志穂美さん手を骨折して、それを隠してお芝居、立ち回りをしている回が数回あります。昔録ったビデオが出てきたところをみると、15、6年くらい前に一度だけ再放送を見ているはずですが、当時何で腕を隠してるのだろうと思っていたのです。わたしの知り合いの人(その当時どこかの事務所のマネージャー)が、当時ある放送局で偶然に志穂美さんと出会ったとき、志穂美さん怪我して腕を吊っていたそうです。ちょうど、その怪我のときだった訳です。そう言えば、うろ覚えに『みどころガンガン大放送』の時も、腕を隠していたような記憶があるのですが・・・。
 右の手のどこを骨折したのかは良く分からないのですが、280話の撮影期間中に怪我をされたようです。それで、その次の281話では完全に手を隠していています。その後は、7話ぐらいラストのアクションのときだけ黒い覆いをしていて、その最初の2、3話は、ほとんど蹴りだけでアクションしています。
怪我したばかりの回の280話ですが、もう一回見たら凄いことに気がつきました。なんと左手で刀を振っていました!もちろんずーっと蹴りで立ち回りしてたのはもちろんなのですが、その回は志穂美さんのお新が主役の回です。だから、最後に悪人の首魁をぶった斬るのを風がやるんですよ。そのとき、なんと利き腕でない左で刀を使っていたのです。いくら竹光とは言え、左でぶれることなく刀さばきを見せてるのに驚いてしまいました。(たぶん右手はまったく使えなかったのではと思うのですが、右手を添えることもなく、刀で相手の刀を受けて回し蹴りを食らわし、最後には胴斬り、袈裟斬り、横一線! 是非とも、皆さんに見て欲しいシーンです。     とにかく、アクションシーンで腕を隠していた期間がそれなりに長かったことを考えると、完治していないのに無理をしてたんだなぁと、改めて志穂美さんのがんばりには頭が下がります。見直して見て感じたことですが、ラストの立ち回りほどではなくても、途
中途中それなりにアクションあって、右手を使って立ち回りするたびに、「あっあっ、・・・だいじょうぶかな!?」て思わず心配してしまいした。志穂美さんの頑張り本当に凄いですよね。

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『明日の刑事』の山口志保

高校時代に再放送を見て以来、20年ぶりぐらいに『明日の刑事』を見ることができました。8クールという長期にわたるレギュラーで、志穂美さんの出演作ではこれが一番長いのではと思います。これだけ長いと、役柄が成長してきて、キャラクターがどんどん魅力的になっていきます。途中志穂美さんがレギュラー掛け持ちのため、出番がぐっと減ってしまいます。それでもメンバーの紅一点、ちょっとしか出てこなくても、いつもいつも光り輝いて見えます。ということで、山口志保刑事にベタ惚れです。主役の回が回ってくると、立ち回りもスタントも見応えたっぷりで、山口刑事のの独壇場になってしまいます!ホンットにすごく魅力的なんですよぉ!

 『明日の刑事』は人情ものなので、愛や憎しみを取り上げる内容が多い。そう言う事件の関係者を見つめる表情がものすごくイイ!のです。例えば恋人が殺された女性や、ある女性の恋人が容疑者だったりした時のその相手を思いやる表情・・・。何とも言えない表情をするんです。ものすご〜く奥深い表情・・・。山口刑事の優しさが見えてくるような表情なんですよね。田中健さんの村上刑事との恋愛模様も見どころのひとつで、すねた顔やはにかんだ笑顔、ひとつひとつの表情がお芝居とは思えないほど微妙な表現をしています。村上刑事に対する演技が、もうマジ?って思えるほどかわいくてきれいで素敵なんです。恋する女の微妙な心境を、いろんな形で表現してくれる。せりふだったり表情だったり態度だったり。いつも大事が起きないと素直になれない2人、うんうん、とうなずきながら見てしまうわたし、すっかりオバさん化してる・・・(苦笑)。山口刑事の人柄が、まるで志穂美さんそのものみたいに見えてきます。ドラマの中の役柄とわかっていても、感情移入してしまうくらい魅力的な女性なんです。正義感が強くて責任感も強い、腕っ節も強いし怖いモノ知らず・・・だけど本当に明るく優しく温かくて、女性らしい心遣いを持っている人。ココまで来ると完璧な女性かと思うけど、でもヘソ曲がりで好きな人には素直になれないところがあって人間らしさを感じさせてくれる。山口刑事が笑顔を見せると、なんだかこっちまでうれしくなってしまう・・・。そんな気持ちになります。この山口刑事のキャラクターって、志穂美さん自身に一番近い性格のような気がするんですが、わたしの考えすぎかな?
 『キカイダー01』のマリは、笑顔のイメージがなかったし、『ザ・ボディガード』、『ザ・ゴリラ7』ではまだ幼い少女の面影が残っています。『燃える捜査網』や『大非常線』では、キャラクターを掘り下げる時間がなかった。『大江戸捜査網』はまた違った魅力があるんだけど、でもやっぱりまだ妹分という感じが抜けていないように思います。
『明日の刑事』は大人の女性として、キャラクターが確立した作品ではないでしょうか?同時期の作品『サーカス』や『熱中時代』『柳生一族の陰謀』なども、大人の女性を意識した役柄になってると思うんですけど。今まで妹分だったのが、1人前の刑事として女性として、仕事、恋愛を経験していき、その経験の中でもっともっと魅力的な人間になっていくという感じで、作品の間で人間的な成長が感じられるのは面白いですね。
 山口刑事と村上刑事ですが、最終回でせっかく結婚の約束をするのに、日の出署は最大の悲劇を迎えてしまいます。この時代の作品は、ハッピーエンドが少なかったののでしょうか?(『熱中時代』も『柳生一族の陰謀』も『影の軍団』も、み〜んな結ばれないですし...。)
 この作品、山口刑事が素敵なのはもちろんのこと、エピソードもなかなか見応えあります。このドラマはミュージカルかいっ!と思うようなくらい、歌手がゲスト出演してるし(そのうえ必ず唄うし 笑)、今では「ええ〜っ!」とビックリするような人まで出てる。この作品も、志穂美さんファンには是非見せてあげたいドラマですね。

 時代殺陣の難しさと『里見八犬伝』
 
 ここ数年はすっかりコーディネートの仕事が増え、スタッフ側に回っていたのですが(歳のせい?ええい、ほっとけっ!笑)、昨年末から久しぶりにスタントのお仕事が入りまして、某TV時代劇に行っています。
 この世界に入って20年になりますが、実は本格的時代劇はこれが初めて。特撮ものや舞台、イベントなどで剣立ちはやったことはありますが、カツラを着けて着物を着、殺陣師の方に手を付けてもらう現場はホントに初めてでした。殺陣師がいること自体初めての経験でした。と言うのは、日本の「殺陣師」には資格あるいは免許みたいなものがあって、その条件を満たしていないとそう簡単に名乗ってはイケナイのです。だから、たいていの場合、殺陣をつける人は「アクションコーディネーター」とか「擬闘」としてでクレジットされています。そのような点でも、私にとってはとても興味深い現場です。
 
先日もあるシーンの吹き替えで行ったのですが、その前のカットを本人同士で撮っていました。ところが、ただ刀を合わすだけなのに何度やってもOKが出ない。タイミングが合わなくて、カメラ位置にうまく入らないのです。その後に自分の出番が来て、走りながら町人を切り捨てていくシーンを撮ったのですが、今度は切られ役の町人が普通の役者さん&エキストラだったため、ちょいと手間取りました。からみの経験がない人は、間合いもタイミングも関係なしに突っ込んできます。手足だけでも危ないのに、刀を持ってるわけですから、こっちは細心の注意を払いながらの立ち回りです。素手の立ち回りより、武器を持った立ち回りの方が見栄えはするけど、場合によってはウソくさくなるので大変です。
 
先日久しぶりに『里見八犬伝』を見ましたが、志穂美さんと真田さんの2人で立ち回りが、息が合ってるし迫力満点!刀と二丁ガマがお互いホントぎりぎりでかわしてるのがスゴい。立ち回りは、ウソに見えないようにするためには呼吸が大切なんです。だから迫力を見せる打ち合いをするには、お互いを信用していないと絶対できない。その点からみの人はイイ位置に切られ(やられ)に入ってきてくれるから、わりと素人でもうまく見せることができます。
 
志穂美さんが全力を出して打ち合いをするアクションシーンはなかなか見られません。大体はばったばったとなぎ倒す切り捨てるのが多かったから。同等のレベルか、または自分より上手い人との立ち回りならば全力でやれるんだけど、志穂美さんクラスで動ける女性はいなかったし、男性でも真田さん(&JACの数人)ぐらいでしょう。(あっもう一人いるけど、この話はまた次の機会に...。)
 ほんのちょっとしたシーンだったけど、『里見八犬伝』のあのシーンは良かった...。ところで、志穂美さんと真田さんが敵味方で立ち回りするのって、これが最初で最後でしたっけ?だとしたら...うーん、残念...。

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