この映画、志穂美さんの立ち回りもいいし、しかも志穂美さんが少女ではなく美しい女性となっていて、後から見ると魅力的な映画です。(ただ、最後がちょっと尻切れトンボのような感はいなめませんが。)でも、やはり公開当時は、ファンの間ではあまり評判良く無かった記憶があります。その理由としては、志穂美さんが「女性」になっていて、助けてくれる渡瀬恒彦さんを男性として意識するように描かれているのが最大の理由でした。男女を問わず、当時のファンは志穂美さんを助けてくれる男性は、志穂美さんにとって「男」ではなく「兄」であるように描かれて欲しいと思ってたのですね。この辺、今から考えると大変に面白いと思います。
注) 画像はソンビさんから提供を受けたものです。
画像はソンビさんから提供を受けたものです。
左の写真、一見すると化粧の濃い志穂美さんのように見えるかもしれません。(そうでもないかな?)でも、これは志穂美さんではなく、シンシア・カーン(楊麗青)さんという香港のアクション女優です。これは『Bart』という雑誌の香港の女優さんを紹介する記事の中での写真ですが、その記事の中で彼女がどのように紹介されているのかをちょっと述べておきましょう。
「志穂美悦子ソックリ顔でピンとくるとおり、彼女はアクション女優だ。台湾でスカウトされて、単身香港にやってきた。2年間み〜ちりカンフーを習い、映画デビュー。『高いところから飛び下りて膝を骨折したり、腰の骨をはずしたり、撮影中に男優にホオを殴られたり、怪我ばっかし。恋愛女優だったら、もっと恋ができたかもしれないのに』」(『Bart』1992年10月26日号)
ただ、映画や他の写真では全く志穂美さんには似てないのに、この写真だけ似て写っているのは奇妙です。ちょうどミシェル・ヨー(キング)が結婚して一時スクリーンから遠ざかってた時期で、ミシェル・ヨーの後釜としてスカウトされたわけです。一時期は随分人気があった女優さんですが、その後香港での人気が下火となり、現在は主に独立系の香港の映画会社がフィリピンで制作する映画にもっぱら出演しているようです。興味を持たたれた方は、藤岡弘と西脇美智子が共演している『香港・東京特捜刑事』をご覧になって下さい。結構置いているビデオ店多いと思います。繰り返しますが、映画の中では志穂美さんには全く似てません。しかし、それなりに魅力的ではあると思います。
志穂美さんには直接関係ない話でしたが、お許し下さい。
上のシンシア・カーンさんは香港のそっくりさん(しかもアクション女優)として日本の雑誌に紹介されました。そっくりさんと言えば、掲示板で、故胡桃沢耕次氏の『翔んでる警視』シリーズに出てくる「志村みずえ」という女性刑事が志穂美さんそっくりという設定であるとの情報がTOM.Oさんによって提供されました。そこで、小説の中で志穂美さんにそっくり、あるいは良く似ているという設定の女性が出てくるものを紹介することにしましょう。
(1)『翔んでる警視』シリーズ(廣済堂文庫、胡桃沢耕次著)
これは先に述べたTOM.Oさんが書かれた情報によるものですが。この『翔んでる警視』シリーズの主人公岩崎白昼夢は東大卒のキャリア組(現在の国家公務員試験第1種、昔の上級職試験合格で警察庁に採用となった人のこと。)であり、天才的頭脳を持った警視です。志村みずえは、 この岩崎白昼夢に心を寄せる美人刑事ですが、後に岩崎と結婚することになります。最初、この志村みずえは「松坂慶子そっくりの美人」ということになってました。しかし、この作品郷ひろみさんが岩崎役、志穂美さんがみずえ役でテレビドラマ化された後では、胡桃沢さんはみずえのことを「志穂美悦子そっくりの美人」というように形容するようになってしまいました。TOM.Oさんは、このことから「志穂美さんって、正統派美人なんですよね。」とおっしゃってます。胡桃沢氏がお亡くなりになったこともあり、現在このシリーズ絶版となっているようですが、古本屋を探せば結構置いてあると思います。なお、このテレビドラマはビデオ化されてますので、興味がある方はご覧になって下さい。(ただし、志穂美さんがみずえを演じているのは第1作のみです。志穂美さんが引退後の第2作は、みずえは大地真央さんが演じています。)
(2)『姐御探偵』(一部が『巡回診療魔』として桃園文庫から出版、宇能鴻一郎著)
この作品については、悪友から「お前の好きな好きな志穂美悦子さんそっくりの女性スパイが活躍する作品があるよ。」と聞かされていたのですが、最近までどういう作品か分からなかったたのです。気になっていたので、調べてみて唖然、呆然。作者の名前からもわかるように、これはポ○ノであって、志穂美さんに失礼ですし、紹介するのは問題かもしれません。でも、最近ようやく内容を確認しましたので紹介しておくことにします。(それから、女性の方ごめんなさい。)この作品は、1984年に『小説CLUB』という(成人男性向けの)月刊小説雑誌に連載されました。主人公「姐御探偵」(姓名は不明)は、女性の探偵というよりスパイなのですが、「細川ガラシャの生まれ変わりで、志穂美悦子そっくりの美人」という奇妙奇天烈な設定となってます。おまけに、3人の男性の部下は『西遊記』の孫悟空、沙悟浄、猪八戒の生まれ変わりと言うあいた口がふさがらない設定になってます。つまり、細川ガラシャの生まれ変わりである志穂美さんソックリの美人スパイが、三蔵法師のように3人の手下を引き連れて、謎の事件に挑むと言うことなのですが....。作者が作者ですから、毎回御想像のようなシーンが登場します。しかし、著者の意図としては、単なるポ○ノではなく、西遊記などのファンタジー、時空を超えた生まれ変わりの輪廻物語、それにスパイ・探偵ものなんかの要素も取り入れたエンターティメントにしたいというところがあったようです。しかし、このあまりにも欲張ったというか、はっきり言うと支離滅裂なキャラの設定のため、それからそういうお話にするのは作者の能力を超えていたために、作品的には完全に失敗に終わってます。上述のように、内容の一部が文庫化されていますが、はるか昔に絶版となってるようです。まぁ、興味のある方は古本屋ででも探してみて下さい。
しかし、この小説の内容確認するために、わざわざ国会図書館まで行った私って、一体.....。
(3)『柳家お藤捕物帳』(鳴海丈、PHP研究所)
これは時代劇ですので、主人公について志穂美さんにそっくりとかいう表現はもちろん出てこないのですが....。私には、この主人公のお藤がなんとなく志穂美さんに似たというか、志穂美さんの影響を受けたキャラであるように思えてならないのです。気のせいかもしれませんが。一つにはこの鳴海丈さんという方、時代劇、現代ものアクションなどさまざまな作品を書いている人ですが、志穂美さんの大ファンであるということもあります。鳴海丈さんが書かれた小説『完殺者 真魅』(集英社、ジャンプジェイブックス)も、志穂美さんを思わせる少女戦士が活躍する少年向け小説ですが、その後書きからも鳴海氏が志穂美さんのファンであることがよく分かります。
この小説の主人公の「お藤」は、剣の達人である紀州浪人里見新之丞の妹で、楊枝の店柳屋で働く江戸で評判の美人と言う設定です。そして、単に美人であるというだけではなく、真伝鬼倒流という柔術の達人であり、優れた推理の能力を持っています。このお藤が、お藤に惚れている岡引の五郎八親分とともに、ときには兄新之丞の助けを借りながら、怪事件・難事件を解決するというストーリーです。ここで、このお藤の容姿は、
「鶺鴒髱に紅色の櫛、細面で、顎はすっきりとまとまっている。目は切れ長で鼻筋が通っていた。女にしては、やや濃い眉だが、それがかえって、若々しい美貌を引き立たせている。意志の強さが口元に顕れていて、聡明さを湛えた明るくて美しい顔立ちだ。」(p.9〜10)
と説明されています。上は牧美也子さんによる中扉の挿し絵ですが、右側の女性がお藤ですが、志穂美さんに似たところがあると思いませんか。志穂美さんが演じたら適役だと思われるような、きりっとした感じですよね。これは、空想・妄想コーナーに書いた方が良いのかもしれませんが、こんな感じの役志穂美さんに演じてもらいたかったです。
このHPや掲示板でもしばしば触れていますが、志穂美さんは女性ファンが非常に多い女優さんでした。実際、真田広之さんが出て来てJACの女性ファンが増える前でも、志穂美さんの出演するイベント等には、志穂美さん目当ての女性ファンが多く、男性の私は肩身の狭い思いをしたことが、強い印象として残ってます。志穂美さんへのファンレターもほとんど女性からだったようです。志穂美さんは1985年に角川の『野生時代』に連載していたエッセー「悦ちゃんの夢の楽屋口」のある回の中で「私には、ほとんど男性のファンがいない。」と言っている程です。さて、そのエッセーのその回の中で、ファンレターについてのいろいろなエピソードを紹介しています。その中でとくに変わったエピソードを一つ。志穂美さんに来たファンレターの中に、いきなり「結婚してして下さい。」と始まるものがあったそうです。随分、ストレートな内容だけど、やはり「男性ファンからのもの方が嬉しくて、ニヤニヤしながら」読んでいたところ、最後に来て大ショックが....。何と、そのファンレターの差し出し人の名前は女性だったそうです。
しかし、今になって考えて見ると、志穂美さんのファンに占める男性の割合ってどの位だったんでしょうか? TOM.Oさんが以前指摘していたように、男性ファンの方がシャイだから、ファンレター出すような目立つ行動をとることがなく、割合はそんなに低くなかたのに男性ファンの存在が目立たなかっただけだという可能性もあります。考えてみれば、私もファンレター出したことなかったし....。