私が最初に入手したのがこのマシン。
当時、父親がF社だったこともあって、なんの迷いもなくこのマシンがうちにやってきました。私は13歳。私のパソコンの師匠もこのマシンを持っていました。うちにこのマシンが来る前は、よく師匠の家に行って、師匠の息子さんとダンプリストの入力なんてことをやりました。
●64Kbit-DRAMを世界で初めて4層プリント板に実装
当時、64K DRAMはとても高価でした。それを8個も使っているというのは、当時としてはとても贅沢な作りでした。
●2個のCPUを搭載している
シリーズ共通の特徴としてあげていますが、これも当時のパソコンとしては画期的でした。詳しくはこちらで述べていますが、非力な8ビットCPUを使うためとVRAMでメモリ空間を圧迫されないための工夫だったようです。
●カラーグラフィックが扱える
当時のパソコンは、640dot×200lineで1ドット単位に色を付けられる物はとても高価でした。それが、BASICから簡単に扱えるようになったFM-8は画期的なマシンだったと記憶しています。
また、当時はこの解像度でも「高解像度表示」と言っていました。(カタログより)
●日本語表示が可能
今でこそ、漢字が表示できることは当たり前ですが、当時漢字が「オプションとは言え」表示できるマシンはそう無かったと思います。ちなみに、FM-8の漢字表示は16×16dotで、第一水準のみでした。漢字ROMは基板(カード)で供給されているわけではなく、ROMそのものを買ってきて、ユーザがソケットに差すという物でした。
●多彩な補助記憶装置
当時、補助記憶装置と言えば「オーディオカセットテープ」でした。データレコーダという専用オプションもありましたが、たいてい普通のラジカセとか会話記録用のテープレコーダなどを流用していました。FM-8は1600BPSという当時としては「とても高速」な転送速度でしたが、オーディオ周りがとてもシビアで、よく「Device I/O Error」という読み込みエラーをおこしていました。
ですが、FM-8には「とても高価」ですが他にも補助記憶装置が用意されていました。当時用意されていたのは、
で、後に
- 最大10MB(アンフォーマット時)のHDD
- 128Kのバブルカセット
が追加されました。
ちなみに、富士通はバブルカセットに相当入れ込んでいたみたいです。
●その他
その他の特徴として、色々なOSが使えると言うことがカタログには書いてあります。カタログをみるまで思い出さなかったのですが、「FLEX」というOSも使えるということです。Z80カードというものを装着すると、CP/Mまで走るし、これもカタログをみて思い出したのですが、8088カードなる物の存在して、CP/M-86も使用できたみたいです。
●私のマシン
私のFM-8は親と共同で買った物でした。当時はカラーCRTが高価だったので、TVに表示するための「TVアダプタ」というオプションを本体といっしょ買って使っていました。あまりきれいには出なかったのですが、当時はこれが当たり前で、自分としてはとても満足でした。
その後私は3台のFM-8を入手しました。
一台は、高校を卒業するときに、先生に譲っていただいたもの。グリーンCRT、5インチ「フルハイト」のFDDもいっしょに譲っていただきました。
次の一台は、中古屋でパーツ取りにと思って購入した物。大学生の時に数千円で入手したと思います。
最後の一台は、師匠が使っていた物をもらいました。これ、実はフル装備で、Z80カードはもちろん、漢字ROM、そしてバブルカセットも装備している物です。なかなか無いセットですが、「もう使わないから」と言ってくれました。
●余談
余談になりますが、FM-8は内部の部品が発売時期によって色々あります。CPUは私の持っているものは日立製でしたが、モトローラ製のものもあるし、たぶん富士通製のものもあると思います。また、BASIC-ROMに至っては、マスクROM版とEPROM版があるようで、師匠からもらった物はEPROM版、前から持っていた物はマスクROM版でした。ちなみに、中のF-BASICのバージョンも微妙に違う物があるようです。
F-BASICのバージョンについては、FM-7も同様なことがあったようで、FM-77が発売されたころにこっそりバージョンが変わっていたようです。もっとも、ほとんど影響ないのですが・・・
また、このページで紹介した64K DRAMはセラミックパッケージですが、前から持っていたFM-8はプラスチックパッケージでした。
脚注:
ユーザがソケットに差す:当時はパソコンと言えばこれくらいの事はだれでもやっていました。改造も当たり前。クロックアップはこのころから日常茶飯事でした。(でもないかな・・・) 
とても高速:たしか、PC8001あたりは300BPSだったと思います。
ちなみに、もっと高速な機種が存在していました。カセットが一体型だったSHARPのMZ-2000あたりは2700BPSだったと思います。 
とても高価:5インチ2DのFDDが2ドライブで30万位したと思います。まぁ、だんだん安くなっていきましたが、それでも私が買ったとき(高校1年だったと思います)でも10万はしたはずです。また、32Kのバブルカセットは、ドライブに相当するバブルホルダユニットが8万5千円位、メディアが3万5千円でした。また、ハードディスクユニットに至っては、10Mで498,000円という、今から考えるととんでもない定価が付いていました。 
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